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頭がよくても面接で落とされる人の特徴…医学部受験面接の返答「小児科医になりたい」は即刻△がつくワケ

プレジデントオンライン / 2024年11月29日 10時15分

出所=『医学部進学大百科2025完全保存版』(プレジデントムック)

医学部受験では高い理系的リテラシーが必須だが、面接を軽視すると不合格の憂き目にあう。医学部専門予備校「D組」の校舎長・七沢英文さんは「診察時の患者とのコミュニケーション能力や相手に寄り添う気持ち、看護師などとチームを組むうえでの協調性も重要です。そのため、面接を重視する医学部が増えている」という――。

※本稿は、『医学部進学大百科2025完全保存版』(プレジデントムック)の一部を再編集したものです。

■一緒に働く仲間としてふさわしいかどうか

「『サイエンス』と『人間力』。医師になるための最大の必要条件はこの二つです。105歳で亡くなられた医師の日野原重明さんの言葉を借りれば、『医はサイエンスに支えられたアート(人間力)』。高名な医師の先生方はみな、この言葉に似た高い意識を持って後輩を育てています」

そう語るのは東京の医学部専門予備校「D組」の校舎長・七沢英文さん。

国公立大、私立大の医学部の多くが受験科目に「面接」を課すのは、後者の「人間力」をチェックするためだ。

「数学や理科といったサイエンスの基礎知識は、国公立大なら大学入学共通テストや2次試験で、私立大なら1次試験などでそのレベルが測れます。医師には高い理系的リテラシーが必須ですが、それだけでは務まりません。患者を診察する際のコミュニケーション能力や相手をおもんぱかる想像力、他者に寄り添う気持ちといった側面も大事です。看護師などとチームを組むうえでの協調性も求められます。いくら学科の成績が優秀でも、これらが欠けていれば医師という職業人としては失格です。だから、各大学は面接を重視しているのです」(七沢さん、以下同)

■理数各100点、面接が200点…学科の点数がよくても落ちる

しかも、面接は合否の決定打となるケースも多いという。鍵となるのは、配点だ。大学によっては、面接結果を点数化しないこともあるが、英・数・理など主要科目と同等以上か、さほど低くない配点にしている大学も少なくない。

例えば、国立大。秋田大の2次試験は英・数が各100点、面接が200点。面接は総得点の50%を占める。

私立大では、金沢医科大学(前期)の配点は、英・数各100点、理科2科目計150点、面接110点、小論文60点。面接が約20%を占めている。

「学科の問題が難解で平均点があまり高くない場合は大きなチャンスとなります。なぜなら、面接は面接官の心象によっては満点もありえるからです。合否の決定をする総合点で大逆転も可能になります。私が過去に指導した受験生の中でも、私立の1次の得点が低かった子が2次の面接で高評価を得て合格するケースは少なくありません」

【図表2】医師の両輪は「科学」と「アート」
出所=『医学部進学大百科2025完全保存版』(プレジデントムック)

では面接でどう答えればいいのか。

どの大学の2次試験でもほぼ必ず質問されるのが、これだ。

「なぜ医師になりたいのですか?」

これに対して、「以前、家族や親戚が病気やケガで命を落としたことがきっかけです」と回答したとしよう。評価はどうか。身内の悲しい出来事を踏まえたもので、決して悪くはない。だが、動機付けとしてやや浅い印象は否めない。なぜなら面接現場で、実際にこの回答をする受験者は珍しくなく、インパクトに欠けるからだ。

「なぜ、医学部は毎年この見え見えの質問をするのかといえば、どれだけ医学に関して真面目に考えたのかが顕著に表れるから。とってつけたようなありきたりな回答だと、面接官は『この人は、ただ医師というステータスがほしいだけ、お金を稼ぎたいだけなのではないか』といった疑念を抱いてしまうかもしれません。

そもそも医師の仕事は、患者の命を預かったり、夜勤で長時間勤務があったり、と過酷です。そうしたつらい状況になったときに、しっかりした動機がない人は苦しさに耐えられませんし、踏ん張りもききません。でも、病める人を癒やすという行為にその人なりの価値を見いだし、患者の命を救ってその人の人生に貢献したいという志や奉仕の気持ちがある人ならやり抜ける。それまでの人生で経験した具体的なエピソードを挿入しながら、そういう回答ができたら評価も高いでしょう」

■「小児科医になりたい」は弱い…「口先だけ」の志望動機はダメ

近年の2次試験の面接での頻出質問項目にはこんなものもある。

「将来、医師になって何をやりたいですか?」

こちらも定番中の定番だが、ある受験生が「小児科医になりたいです」と答えたとする。当然、その理由を聞かれるわけだが、「少子化の中、子供を健やかに育てる手伝いを……」「子供が好きなので……」程度の回答しかできないと、「とりあえず医師になりたいだけの人」という印象を面接官に与えてしまうことになる。

『医学部進学大百科2024完全保存版』(プレジデントムック)
『医学部進学大百科2024完全保存版』(プレジデントムック)

「子供が好きなのはいいことですが、それなら将来の進路は保育士や小学校の教員にしてもいいわけです。小児科医は、大人の病気のように診療科が細かく分かれておらず、ほぼ全身の病気を診る大変な仕事です。子供への病状の説明にも技術が必要です。将来は小児科医にと答えるなら、現代はインターネットもあるのですから、事前に小児科医の現実を調べて情報武装するべきでしょう。グンと説得力が増します」

類似した一見よさそうに見える発言に「医師になったら研究に没頭したいと思っています」もある。表面上は何の問題もないが、興味のある研究内容が具体的に言えないと逆効果かもしれない。

「面接官はきっと、『研究を受け持つ医師の仕事がどれくらい地味で忍耐強さを求められるか、何もわかっていない』と心の中で苦笑いしているでしょう。画期的な発見をするヒーロー(ヒロイン)研究者への憧れを抱くのはいいのですが、発言が稚拙だと残念な結果を招いてしまいます」

■求めているのは「自慢話」ではない

その他、面接時の言動で無意識のうちに犯してしまう残念なミスもある。

多くの大学では「面接は普通に受け答えできれば、大丈夫です」と言うが、この「普通」がクセモノだ。例えば、面接時に自己PRの意図も込めてこう発言するのは正解かどうか。

【図表3】こんな態度はNGです
出所=『医学部進学大百科2025完全保存版』(プレジデントムック)

「私は医師向きの人間だと思います。これまで災害時にもボランティア活動などをして困った人々を助ける活動に意義を覚えるからです」

確かに人助けの行動は尊い。だが、どこか「ネタ感」が漂っている。ドヤ顔で“自慢話”をされても、面接官は素直に「いいね」とは思わないだろう。

「必ずしも悪い発言ではありませんが、立て板に水でそう言われると、ちょっと謙虚さに欠け、横柄な印象を持たれかねません。面接官の多くは医療現場でたくさんの修羅場を乗り越えてきたベテラン。『若造が何を言っている』『何となく生意気』と心証を害される恐れもあります。むしろ、能弁でなくてもいいので、実直さや誠実さが出せると印象がいいのではないでしょうか」

もちろん、緊張のあまり極端にオドオドして挙動不審な対応になったり、相手の顔を見なかったりというのは不合格の要因になりうるが、これは予行演習さえしっかりやればいい。

「人と話す機会を増やす、鏡を見ながら話すといった対策がおすすめです。ある教え子は、自宅での面接の模擬練習中に正面と横の2カ所からスマホで自分が話す様子を録画してチェックしていました。そうした映像チェックで、自分が話の最初に『まあ……』と言ったり、無意識に『フン』と鼻で笑うような音を出したりという“口癖”を修正できた生徒もいました」

とはいえ、敵もさるもの。企業の就活のように医学部の面接でも、いわゆる圧迫面接で受験生の本性をあぶりだそうとする大学もある。

「面接官が緊迫した空気をわざとつくったり、足を組んでウトウトしてやる気がないような態度をとったりする中、どんな対処をするかチェックする。逆に、柔和な雰囲気を出してボロを出させるということもあります。面接官側はマニュアルも用意しています」

近年はMMIという、複数の面接を組み合わせた方式も導入されている。

「東京慈恵会医科大、東邦大、藤田医科大などで取り入れられています。短時間で、観察力、分析力、問題抽出能力、問題解決能力、そして想像力を試す、といった、付け焼き刃の面接対策では対応しきれないような質問が出されています。普段からの思考習慣で対応力を養う必要があります」

(プレジデントFamily編集部)

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