「義実家との人間関係が大変だから」だけではない…帰省で妻が不機嫌になる"夫が知らない本当の理由"
プレジデントオンライン / 2024年12月30日 8時15分
■義実家への帰省が夫婦関係にダメージを及ぼすことがある
多くの夫婦にとって、年末年始には避けては通れないイベントが生じる。「義実家への帰省」だ。コロナ禍がひと段落ついた雰囲気も漂うなか、義実家への帰省を断る理由も見当たらず、ため息をついている人も少なくないはず。
義実家への帰省はときとして大きなストレスになり、夫婦関係にダメージを及ぼすこともある。今回は、夫の実家への帰省で離婚の危機にまで発展した夫婦のエピソードを紹介しよう。
※プライバシーを考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。
■「妊娠したんじゃない?」「単に太っただけです」
【CASE1】デリカシーのない義両親
「職場だったら一発アウトな発言をしてくる義両親に、堪忍袋の緒が切れそうになった」と夫の実家への帰省を振り返るK乃さん(37歳)。2歳年上の夫と結婚3年目のK乃さんは、子どもを授かりたいと思い現在妊活中。長年勤務する会社のコンプライアンス推進部に所属している。
K乃さんが夫の実家に帰省したくない理由は、「義両親にデリカシーがなさすぎるから」だという。
「私が妊活のために定期的に通院していることを知りながら、『年を取ってからの子育ては大変よ』『子どもがいないのに、どうしてそんなに忙しいの?』などと平気で言ってくる義母。そんな義母の暴言を義父も止めようとせず、それどころか『K乃さんも、もう少し女らしい格好をしたらどうだ?』『夫婦生活はどうなっているんだ?』といったあけすけな言葉を冗談めかして投げつけてくるのにはイライラも限界。夫に訴えても『お前の言うことは間違っていない。でも、親世代には通じないから我慢するしかないんじゃない?』と注意しようともしない」
先日は、K乃さんの夫が送った二人の旅行の写真を見た義母から電話がかかってきた。「K乃さん、あなたちょっと太ったんじゃない? 『妊娠したんじゃないか』って、もうウチでは大騒ぎよ。年末にはうれしい報告が聞けるわよね?」と電話口ではしゃぐ義母に対し、K乃さんは「いえいえ、そんなんじゃないです。単に太っただけです」と悔しさをこらえて、否定するしかなかったという。
「子どもができるまでこの状態が続くのかと思ったら、離婚して家族の縁を切ったほうがマシだという気すらしてきた」。K乃さんは今年も帰省の時期を前に、デリカシーのない義両親への対応に頭を抱える日々だ。
■孫の教育に口を出しすぎる義母
【CASE2】子育てに過干渉な義母
子どものことが理由で、義実家への帰省に及び腰になるケースはほかにもある。R子さん(43歳)は、「子育てのことで義母からいろいろ言われることが最大のストレス」と話す。
R子さんは高校卒業後に就職した会社で知り合った5歳年上の夫と結婚。現在、中学生と小学生の子育てをしながら働いている。R子さんの夫の両親は、二人とも元教師だったこともあり、孫の教育にも並々ならぬ関心を寄せ続けているとのこと。
「まだ子どもたちが小さかった頃は、『子どもたちにこれを食べさせれば頭がよくなる』『この本を読み聞かせさせてあげなさい』などと、いろいろなものを送ってくるだけだったが、最近はどこで知識を得たのか『今の学校に通っていて、塾のテストでもそんな結果ならFランクの大学にしか進学できないわよ』と子どもの成績をなじってきたり、『R子さんのご両親はどうしてあなたを大学まで通わせてあげようとしなかったのかしらね』と私の育った家庭の教育方針にまで口を挟んできたり、正直とてもわずらわしい」
■子どもの受験を理由に帰省を断ることに
前回、義実家に帰省したときも、孫の成長をよろこぶより子育てについて細かく指摘する義母の姿勢が目立っていたという。
「『私はこうやって息子を育てた』『昔は親がこうするのが普通だった』といった、義母の子育て法を聞かされるたびに自分のやり方が否定されているようでつらい。自分の育てた息子は自慢の作品と思っているかもしれないが、夫のだらしない一面をよく知っている私にとっては『だからこんな息子に育ってしまったのでは?』と義母の子育て法に文句のひとつも言いたくなる」
今年は子どもの受験を理由に、夫の義実家への帰省の同行を断ることを考えているというR子さん。心穏やかに年末年始を迎えることができることを祈っている。
■妻のいない場所で悪口大会を開く夫と義父母
【CASE3】妻の味方をしてくれない夫
「義実家への帰省がストレスなのは当たり前。問題は、夫がそんな私の気持ちを汲み取ったり、フォローしたりしないこと」とM実さん(41歳)は憤る。
M実さんは結婚以来、毎年、年末年始には4歳年下の夫の実家に帰省している。家事が苦手なM実さんは、「お雑煮の準備、お願いね」「リビングの掃除をしておいて」「洗濯物を取り込んできて」などと義母に指示されるたびに「家政婦じゃないのに」とカチンときていた。加えて、その間、義父とコタツでくつろぎながらテレビを観ているだけの夫にも不満を抱いていた。
M実さんの頭に離婚という考えがよぎったのは、お風呂上りに親子3人でしていた会話が廊下にいるM実さんに聞こえてきたときのことだった。
「『何年たっても気が利かないね、あの子は』『どうせお前は普段もロクな食事をさせてもらっていないんでしょう。たくさん食べていきなさいよ』という私の悪口で盛り上がっていた。もともと好かれていないのはわかっていたけれどそれなりにショックだったので、寝る前に夫に抗議したところ『おふくろたちの言うことも一理あると思うよ。反省するいい機会なんじゃないの?』と、まさかの追撃をくらう形に。その後、大喧嘩に発展した」
結局、M実さん夫婦はしばらく冷戦状態が続き、最終的には夫婦でカウンセリングに通う事態にもなった。
■帰省前に夫が心がけたい「3つのこと」
義実家への帰省でストレスを感じる妻の多くは、義両親の言動そのものだけでなく、夫のフォローにも不満を感じている。たとえ義両親からダメージを受けるようなシーンがあっても、それはあくまで帰省中の出来事として気持ちを収めることはできる。ところが、そのときの夫の態度に不満を感じると、その後の結婚生活にも延々と尾を引く問題に発展していくからだ。
夫婦関係に亀裂を生じさせないためには、夫は帰省前に次の3つのことを心がけたい。ひとつは、「味方でいることを伝える」こと。実家では両親より、妻を優先させることが肝心。「いつでも自分は妻の味方だから」ということを事前に伝えておくことは、パートナーシップの強化につながる。その後、妻のいない別の機会をつくって実家に帰省し、両親を安心させてあげることも忘れずに。
ふたつめは、「帰省中の役割分担をきめておく」こと。「料理は手伝ってもらうけれど、皿洗いは自分が引き受ける」「面倒なことを頼まれたら、まず自分に相談してほしい」というように、夫婦間で事前に実家と自分たちの期待値を調整しておくと摩擦は少なくなる。
そして、「無理をしない」ことも大切だ。可能なら帰省の頻度や滞在時間を減らし、夫婦関係に影響の出ない範囲でコントロールし、妻のストレスを減らすようにしたい。
いずれにしても、帰省中にお互いが精神的な疲労や居心地の悪さを感じることがないよう、事前の話し合いをしておくこと。これは夫婦が協力して義実家問題を乗り越えていくために必要なことでもある。
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夫婦問題研究家・パートナーシップアドバイザー・公認心理士
夫婦問題研究家、パートナーシップアドバイザー、NPO日本家族問題相談連盟理事長。立命館大学産業社会学部卒業、立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科修了。自らの離婚経験を生かし、離婚相談所を設立。離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立する。これまでに32年間、38000件以上の相談を受け、2200人以上の離婚カウンセラーを創出『離婚カウンセラーになる方法』(ごきげんビジネス出版)。近著は夫婦の修復のヒントとなる『夫婦がベストパートナーに変わる77の魔法』(サンマーク出版)。著書多数。
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(夫婦問題研究家・パートナーシップアドバイザー・公認心理士 岡野 あつこ)
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