納豆に混ぜて食べれば「最強の朝食」に…ビタミンb1の力で疲労回復、腸内環境がアップする「緑色の野菜」の名前
プレジデントオンライン / 2024年12月12日 6時15分
※本稿は、しん(野菜を育むプロ)、東京慈恵会医科大学附属病院栄養部(監修)『農家が教えたい 世界一使える野菜の教科書 おいしくて体にいい選び方&食べ方』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■「活性酸素」の増加が生活習慣病の誘発要因に
私たちの体の燃料はたんぱく質・脂質・糖質です。これら3大栄養素にはカロリーがあり、体のあらゆる機能は3大栄養素のカロリーを体内でエネルギーに変える(代謝する)ことで成り立っています。
野菜に豊富に含まれる「微量栄養素(ビタミン、ミネラル)」にはカロリーがありません。しかし、たとえば「ビタミンB1は糖質代謝を促進する」というように、非常に複雑な代謝プロセスには微量栄養素が必要不可欠です。その働きがなければ、カロリーをとっても体内でうまくエネルギーに変換されず、元気に活動できなくなってしまうでしょう。
それだけではありません。体内では常に「活性酸素」という物質が発生しています。俗に「サビ」とも言われますが、活性酸素は細胞を酸化させ、血管の劣化や肌の衰えといったあらゆる老化現象を促進します。ひいては生活習慣病の誘発要因にもなります。
■「微量栄養素」が体内のサビを防ぐ
そんな厄介な活性酸素を除去するために重要な役割を果たすのも、微量栄養素です。3大栄養素・ビタミン・ミネラル・食物繊維と並び「第7の栄養素」と呼ばれるフィトケミカルも同様です。
みなさんは「ビタミンCはアンチエイジングに効果的」「目の健康にはアントシアニン」なんて聞いたことはありませんか? これもビタミンCやアントシアニンが強力な抗酸化物質だからなのです。
野菜にはエネルギーとなる3大栄養素を多く含むものは少ないのですが、さまざまな症状の改善に効果的な微量栄養素を豊富に含むものはたくさんあります。つまり日々野菜をたくさん食べるほどに、美しく健やかな体が作られるということ。ごはんや肉・魚はしっかり食べながら、野菜もたくさん取り入れていきましょう。
■疲労に効く代表的な野菜3選とは
症状:疲労
疲労とは、体を動かすのに十分なエネルギーや栄養、酸素が足りない、あるいは行き届いていないために、体がだるい、重い、動きたくない、気持ちが沈みがち……などの症状が現れている状態。元気が出る野菜を意識的に食べて、スタミナアップを図りましょう。
にんにく
三大栄養素の1つである糖質を代謝し、体内でエネルギーとして活用できるようにするには、ビタミンB1が欠かせません。そのビタミンB1の吸収を促進してくれるのが、にんにくに豊富に含まれる硫化アリルという成分。
単にビタミンB1(豚肉など)をとるだけでなく、硫化アリルと一緒にとることで、糖質(ごはんやパンといった炭水化物)をより効率的にエネルギー利用できるようになり、スタミナアップにつながるのです。硫化アリルは玉ねぎや長ねぎ、にらなどにも豊富に含まれているので、にんにくたっぷりの肉野菜炒めやレバにら炒めがおすすめ。
オクラ
オクラには糖質を体内でエネルギーとして活用する際に欠かせないビタミンB1が含まれています。ビタミンB1はにんにくなどの硫化アリルと一緒にとると糖質代謝が促され、期待できる疲労回復効果がアップ。さらに効果増強を狙うなら、疲労回復物質のクエン酸を含む梅や酢と組み合わせるのも一案です。
■ほうれん草は「快眠」の味方でもある
ほうれん草
ほうれん草に含まれる鉄、ビタミンC、マグネシウムは優秀な疲労解消物質。体内で酸素を運ぶ役割を担う赤血球中のタンパク質・ヘモグロビンの生成には鉄が欠かせないため、鉄が不足するとフラフラの鉄欠乏性貧血になってしまいます。
またビタミンCは、強力な抗酸化物質として体内で発生した疲労物質(酸化物質)の除去に役立つうえ、鉄の吸収を助けます。さらにマグネシウムは気持ちを落ち着かせる作用によって快眠・熟睡を導き、寝ている間の脳や体のメンテナンスがスムーズに行われるようにしてくれます。
疲労解消! おいしくて体にいい野菜料理
にんにくたっぷり肉野菜炒め
糖質をエネルギーに変える際に欠かせないビタミンB1豊富な豚肉×ビタミンB1の吸収を助ける硫化アリルに富むにんにくという組み合わせは、疲労回復の鉄板方程式です。
ほうれん草ときのこの卵炒め
マグネシウムの吸収をよくするビタミンDに富むきのこ・卵と炒め合わせることで、ほうれん草のマグネシウムを効率的に摂取。鉄の吸収を助けるビタミンCは水溶性なので、ほうれん草は下茹でしません。
オクラと生玉ねぎの梅あえ
クエン酸を含む梅を合わせ、さっぱり食べられる疲労解消食に。硫化アリルは水溶性なので玉ねぎの薄切りは水にさらさず、常温で30分ほど置いて辛みを抜きます。
■ごぼう、オクラ、アスパラガスは“腸活野菜”
症状:便秘
便秘とは、便を押し出す腸のぜん動が減っていることで排便が滞っている状態。また、腸内の水分不足でも起こりやすい症状です。水分をしっかりとったうえで、便の形成やぜん動を促してくれる野菜を意識的に食べることが、お通じの改善に直結します。
食物繊維には不溶性と水溶性の2種類があり、両方とも便秘解消には欠かせません。不溶性食物繊維は、腸内に溜まった食べかすや老廃物など体内の不要物を絡め取り、十分な量の便を形成しますが、だからといって不溶性食物繊維ばかりとっていると、むしろ便が硬くなって詰まってしまう恐れがあります。
そこで必要となるのが、ぜん動を促して排便を起こりやすくする水溶性食物繊維です。ただし、水溶性食物繊維のほうが多い野菜はないため、不溶性に偏りすぎていない野菜をとることが便秘解消の有効策となります。
その意味で、ごぼう、オクラ、アスパラガスは、どれも優良な“腸活野菜”の1つ。また、アスパラガスとごぼうには腸内の善玉菌のエサになるオリゴ糖も含まれています。腸の健康を握っている善玉菌がオリゴ糖を食べて増殖することで腸内環境を改善、便秘の解消にも役立ちます。
■オクラ×納豆は最強の組み合わせ
便秘解消! おいしくて体にいい野菜料理
オクラ納豆
発酵食品は腸内環境の向上に役立つ「プロバイオティクス」の1つ。納豆も発酵食品なのでオクラ×納豆=食物繊維×プロバイオティクスの“ネバネバコンビ”で、便秘を撃退しましょう。小口切りのオクラと納豆、細かく刻んだオクラとひきわり納豆など、好みの食感で。
アスパラガスとごぼうのサラダ~ヨーグルトドレッシング~
アスパラガス、ごぼうにヨーグルトのドレッシングを合わせれば、食物繊維×プロバイオティクスの「腸活サラダ」に。水溶性食物繊維を極力多くとるには、アスパラガスは「蒸す」もしくは「レンチン」がいいでしょう。
症状:胃腸の不調
胃腸の不調とは、胃酸が出すぎている、腸内環境が荒れているといった原因で、胃痛や胃もたれ、むかつき、お腹の張りやガスが生じている状態。胃を保護して働きを助ける野菜や腸内環境を整える野菜を食べて、疲れた胃腸を労ってあげてください。
キャベツ
胃酸は食べものを消化・吸収する際に不可欠なものですが、分泌されすぎると胃の粘膜を傷つけ、痛みやむかつきの原因となります。そこで胃の保護に役立ってくれるのが、ビタミンU、その名も「キャベジン」と別称される栄養素。キャベツに多く含まれるビタミンUには胃酸の分泌を抑えて胃粘膜を保護するほか、腸を整える作用があります。ただし水溶性で熱に弱いため、健胃・健腸効果を得たいならキャベツは生で食べましょう。
■大根は煮るよりも生がおすすめ
大根
大根に含まれる「ジアスターゼ」という成分は、消化を促すことで健胃の助けになる消化酵素。ただし熱に弱く、おでんや煮ものなど大根を加熱する料理ではほぼ失われてしまいます。また、ジアスターゼは大根の皮にも多く含まれていることから、生で皮ごと大根おろしや大根サラダなどにするのがベスト。時間が経つごとにジアスターゼは減少していくため、大根をおろしたり切ったりするのは食べる直前にしましょう。
にんじん
少し健康意識が高く栄養にも詳しい人なら、にんじんというと「βカロテンが豊富」というイメージが強いかもしれません。でも実は、にんじんは食物繊維にも富んでいます。不溶性・水溶性ともに含まれているため、にんじんには優れた整腸効果があると言えるのです。
■整腸効果を得るならジャガイモは冷ます
じゃがいも
茹でる、蒸すなど加熱したじゃがいもを冷やすと、熱によって柔らかくなったじゃがいも中のでんぷんが、ふたたび結晶化して「レジスタントスターチ」という形態に変化。レジスタントスターチは腸内の善玉菌のエサとなることで、腸内環境の正常化に役立ちます。
健胃健腸! おいしくて体にいい野菜料理
千切りキャベツと大根のサラダ
キャベツと大根には食物繊維も含まれているので整腸にも効果的。酸味のきいたドレッシングなら、胃もたれやむかつきがあってもさっぱり食べられます。
にんじん入りポテトサラダ
熱々ほくほくのじゃがいも料理もおいしいのですが、レジスタントスターチの整腸効果を得るなら、加熱後に冷やして食べるポテトサラダが最適。にんじんも加えれば、食物繊維を増強した整腸ポテサラに。
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1977年生まれ。(有)高橋農園常務取締役。群馬県前橋市にて従業員約80名、ビニールハウス470棟にてほうれん草やチンゲンサイなどを周年栽培しながらフォロワー数26万超えのX(Twitter)を運営し、野菜と農業の魅力について配信中。衰退する日本の農業を元気にし、農業を通じて幸せになる人を増やすのが夢。
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東京慈恵会医科大学附属病院栄養部部長
給食栄養管理と臨床栄養管理をバランスよく機能させ、患者の立場に立った食生活の向上指導にあたる。監修書に『完全版 その調理、9割の栄養捨ててます!』(世界文化社)、『慈恵大学病院のおいしい大麦レシピ』(出版文化社)など多数の健康レシピ本にかかわる。
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(高橋農園常務取締役 しん/野菜を育むプロ(高橋伸吾)、東京慈恵会医科大学附属病院栄養部部長 濱 裕宣)
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