1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

年収400万円でも子供の「医学部進学」を諦めてはいけない…「学費0円」で医師になれるコスパ最強の受験方法

プレジデントオンライン / 2024年12月12日 16時0分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PeopleImages

学費が高額な医学部に「コスパ良く」進学するにはどうすればいいのか。医学部・獣医学部の専門予備校「東京メディカル学院」の新著『コスパ最強の医学部受験バイブル』(日刊現代)より、一部を紹介する――。

■「年収400万円の家庭」から医学部進学は可能

年収400万円の家庭から子どもを医学部に進学させるなんて、夢のまた夢だと思っていませんか?

たしかに、医学部の学費は高額です。国公立大学の場合、6年間で約350万円ですが、私立大学はその約10倍。半数以上の大学が3000万~4000万円の学費を設定しています。

2024年度の入試データによると、最も安いのは国際医療福祉大学で1850万円、最も高い東京女子医科大学では約4620万円でした。これでは、「なかなか手が届かない」と思うのも無理はありません。

国公立大学の志願倍率は前期試験で約4倍、後期試験では20倍を超える高倍率となっており、非常に「狭き門」です。医学部進学の可能性を広げるために私立大学の併願を検討したくても、学費面を考えると容易ではありません。

このような現実に、医師になる夢を諦めそうになっている方もいるのではないでしょうか。また、子どもの夢を応援したくても、経済的な理由からサポートをためらってしまう親御さんもいるかもしれません。

しかし、諦めてはいけません。

「高額な学費を0円で済ませる方法」が存在するからです。

その方法とは、「地域枠制度」の利用です。

■大学によっては、学費が「実質無料」に…

地域枠とは、2008年に国が始めた制度のこと。地域枠を利用することで、医学部を卒業した後、一定期間、医師が不足している地域で働くことを条件に、学費の援助を奨学金として受けることができます。また驚くべきことに、奨学金の金額が、医学部の実際の学費を超える地域もあります。

つまり大学によっては、学費が実質無料になるだけでなく、余った分を生活費に回すこともできるのです。すごい制度だと思いませんか? 地域枠の定員数は年々増加しており、現在では医学生の約1割以上が地域枠で入学しています。

一方で、地域枠という言葉を聞いたことがあっても、正しく理解していない人が多いのも現状です。中には、やっとの思いで医学部に入学したのに、学費が払えず辞めてしまうケースもあります。もし、地域枠についての情報を事前に知っていれば、学費の問題で医学部を諦めたり、中退したりすることなく、医師への道を歩み続けることができたかもしれません。

地域枠は、奨学金制度と組み合わせることで、さらに強力なサポートシステムになります。

※注
地域枠で医学部に進学する際に受け取る奨学金には「返還免除制度」があり、医学部卒業後も返済する必要はありません。
「返還免除制度」とは、卒業後に一定期間、指定された地域で医師として働くことなどを条件に、奨学金の返済が免除される制度です。
たとえば、卒業までに総額3000万円の奨学金を受け取ったとします。この奨学金は、卒業後すぐに返済しなければならないものではありません。代わりに、県が指定する地域で一定期間、医師として働くことが求められます。この条件を満たせば、奨学金の返済は免除されます。さらに、この期間中は通常の給与も満額支払われるので、経済的な不利益はありません。

■制度を理解し、自分に合った方法を選択するのが重要

現在、一般の大学生の半数以上が何かしらの奨学金を利用する時代です。日本学生支援機構が実施した「令和4年度 学生生活調査」によると、大学(昼間部)で55%、短期大学(昼間部)で61.5%、大学院修士課程で51%、大学院博士課程で58.9%と、かなりの割合の学生が奨学金を受け取っています。また、その数は年々増加傾向にあります。

今や奨学金などの制度を利用し、大学に行くことは、珍しいことでも特別なことでもなく、むしろ一般的なことなのです。

とくに医学部の学費は他の学部と比べても、群を抜いて高額です。志のある学生が経済的な理由で医師への道が閉ざされてしまうことは、個人の夢を奪うだけではなく、社会全体から見ても大きな損失といわざるを得ません。

とはいえ、こうした支援制度の存在を知らずに、夢を諦めてしまう人がいるのもまた事実です。これらの制度をしっかりと理解し、自分に合った方法を選択できれば、お金の心配なく医師になる夢に集中できるでしょう。

実際の地域枠では、どのくらいの経済的サポートを受けられるのでしょうか。

■新潟県の地域枠は「全国トップレベルの手厚い支援」

図表1は、日本大学医学部の地域枠における6年間の学費と貸与額をまとめたものです(巻末の「地域枠入試攻略シート」より抜粋)。

【図表1】日本大学医学部の地域枠の貸与額と学費
出所=『コスパ最強の医学部受験バイブル』(日刊現代)

日本大学の「新潟県地域枠」を見ると、6年間で受けられる貸与額は3660万円。一方、6年間の学費の合計は3338万円となっています。

貸与額が学費を上回るため、新潟県地域枠の学生は学費の全額をカバーできるだけでなく、さらに322万円が手元に残ることになります。

そしてこの余剰金は、なんと生活費に充てることもできるのです。アルバイトに時間を取られることもなく、学業に専念できる環境が整うでしょう。

新潟県は、近年地域枠に力を入れ、全国トップレベルの手厚い支援で注目されています。

新潟県が地域枠を充実させている背景には、医師不足の深刻化が関係していると考えられるかもしれません。しかし、新潟県の医師数を見ると、全国的に見て極端に少ないわけではありません。

では、なぜ新潟県は地域枠にこれほど力を入れているのでしょうか。

その理由を探っていくと、新潟県の抱える医療問題の本質が見えてきます。

■数は足りていても、「医師の高齢化」が進んでいる

医師の偏在を示す「医療偏在値」という指標で見ると、新潟県は「とくに偏在がひどい地域」とされています。この指標は、単純な医師の数だけでなく、医師の年齢も考慮に入れているのが特徴です。

つまり、新潟県は、医師の数は足りているけれど、医師の高齢化が進んでいるのです。

このまま医師の世代交代が進まなければ、次の世代では医師が大幅に不足する可能性があります。新潟県が医療偏在の深刻な地域とされているのは、将来の医師不足を見据えてのことなのです。地域枠の充実は、医師の年齢を考慮した、長期的な視点に立った対策だといえるでしょう。

特に新潟県の事例は地域枠の中でも手厚い支援の一例です。地域枠の経済的支援は各都道府県によって異なりますが、どの地域枠も学費の大部分をカバーし、経済的な負担を大幅に軽減することができます。同じ日本大学の他の地域枠の例も見てみましょう。

■多くの地域枠では「学費の半分程度」をカバー

埼玉県地域枠では、月額20万円の貸与を行っています。6年間で1440万円となり、これは学費の約半分をカバーする金額です。静岡県地域枠も埼玉県と同様に、月額20万円の貸与を実施しており、6年間の合計は1440万円で、同じく学費の約半分に相当します。

東京メディカル学院『コスパ最強の医学部受験バイブル』(日刊現代)
東京メディカル学院『コスパ最強の医学部受験バイブル』(日刊現代)

一方、茨城県地域枠は月額25万円の貸与を行っており、6年間で1800万円になります。他の2県よりも若干高額で、学費のより大きな部分をカバーできます。

これらの例から分かるように、多くの地域枠では学費の半分程度をカバーし、残りの部分は他の奨学金や教育ローンと併用することで、学費全体を賄えます。

このように、地域枠を活用することで、学費の全体を賄うことが現実的になり、学生が経済的な不安を抱えることなく、学業に集中できます。地域枠は、地域医療への貢献を約束することで学業支援を受けられる理想的な制度です。これから医師を目指す学生にとって、地域枠の利用は非常に魅力的な選択肢です。

----------

東京メディカル学院 医学部・獣医学部の専門予備校
完全定員制で、少人数制だからこそ一人ひとりに寄り添った指導を行っている。2023 年にはオンライン予備校「イシャなる/ジュウイなる」を設立。著書に、所属数学講師の宮崎格久が執筆した『大学入試数学 落とせない必須101題』(かんき出版)がある。

----------

(医学部・獣医学部の専門予備校 東京メディカル学院)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください