「俺の好物は作ってくれない…」子供の好物を作る妻を諦め不倫離婚した40代男性が食べたかった"揚げ物"の食材
プレジデントオンライン / 2024年12月10日 10時15分
※本稿は、岡野あつこ『なぜ「妻の一言」はカチンとくるのか? 夫婦関係を改善する「伝え方」教室』(講談社+α新書)の一部を再編集したものです。
■「アジフライが食べたい」で不倫した夫
夫婦の価値観の違いは食事の好みにもあらわれます。好きなメニューを自宅で食べられなければ、それはストレスになってしまうでしょう。
実際、私のところに相談に来た中で、アジフライが食べたいのに、妻がつくってくれないので不倫してしまった、という男性もいました。相談者の男性は四〇代。五歳年下で専業主婦の妻は、小学生の息子のことにしか興味がないそうです。
食卓に並ぶのは、息子の好物のハンバーグやオムライスばかり。夫の好物はアジフライなのに、揚げ物は片付けが面倒だと言って、家ではつくってくれないのだそうです。
夫はそんな妻に不満を感じていました。ちょうど同じ職場に少し年上の女性がいて、仕事の相談がてら妻の愚痴をこぼしているうちに、不倫関係になってしまったとか。
夫は、妻がアジフライをつくってくれないのは、もう自分のことを愛していない証拠のように感じていたのです。
四〇代はこういう問題が起きやすく、夫婦関係にとって危険な時期です。二〇代で結婚したならそろそろ結婚二〇年です。三〇代ならまだラブラブな雰囲気も残っていたりしますが、四〇を過ぎると子育ての共同作業は一段落して、だいたいの妻の関心は子どもの進路のことばかりで、夫婦関係はどうしても冷え込んできます。
一方、四〇代になると夫の(妻もかもしれませんが)仕事の責任が増え、出世したり給料が増えてくるもの。だから「仕事では評価されているのに、なぜ家庭では逆なのか……」と承認欲求をこじらせて悩んでしまう人も多いのです。
■「焼肉の作法」には要注意
「ささいなこと」で行き違いが起きやすい状況の一つに、外での食事があります。食の作法やマナーの違いにイラッとしがちなのです。
私は焼肉店でケンカをしてしまうことがよくあります。
たとえば二人で焼肉に行った場合、私は一度に焼くのは二枚までにしたいんです。そうすば、肉を食べているうちに、また新しい肉が焼けている、となるわけです。
なのに、一度に四枚も五枚も焼かれると、食べるのが間に合わなくて、焼きすぎになる肉も出てくるので、イラッとしてしまう。元夫がまさにそうでした。
なぜそんな焼き方をするのか、元夫に聞いてみたところ、「うちは兄弟が多かったから、こういう食べ方をしないと、自分の肉がなくなってしまう」と言っていました。
それはそれでよくわかります。でも、いまは二人で焼肉に来てるのだから、何も競って食べなくても……と思うわけです。
焼肉店でなくても、そもそも飲食店で頼みすぎる人は嫌なんです。やたら多く注文するくせに自分は食べずに周りにすすめてばかりの人っていますよね? 人を気遣って頼んだつもりでしょうが、おしつけがましいというか、自分が頼んだものは自分で食べてほしい。
それでその人がお金を払うならまだわかるんです。お会計は私なのに、自分で勝手にどんどん注文する人もいる。頼まれてもないのに「みんなの分を」などと言われると、正直ムカムカしてしまう。
もちろん、別の考えの人もいらっしゃると思います。せっかくご馳走するんだから、食べきれないくらいたくさん頼んであげるほうがいい、という考え方の人もいるわけです。
でも、人のことに気を遣わなくていいから、自分が食べたいものを食べればいいと私は思います。要するにそういう人とは価値観が合わないのです。
ちなみに、鍋のときも私は「鍋奉行」です。具材を入れる順番があるので、絶対に人にはやらせません。
こんなちょっとしたことにも、人それぞれの考え方、好みがもちろんあります。
こうした嗜好や価値観や感覚が微妙にずれると人間関係はなかなかうまくいきません。だから夫婦関係を維持するのは本当に大変なことですし、お互いに努力して意見をすり合わせることが大事です。ときには妥協も必要です。
■「冷蔵庫に納豆がギッシリ」で夫が激怒
次は、納豆が大好きな妻が、そのせいで離婚を告げられたという「納豆離婚」のケースです。
相談者の女性は納豆が大好きでした。納豆は三個パックで一〇〇円か、高くても二〇〇円くらいで買えますが、この人はとにかく納豆が好きで、スーパーの特売で安いときに大量購入するクセがありました。納豆は賞味期限よりも日持ちするからそれでも大丈夫なのだそうです。
そのため冷蔵庫にはいつも納豆が山のように入っていましたが、夫は納豆が嫌いだったのです。夫婦関係が順調なうちは、夫も譲歩し、妻も納豆をそこまで溜めないように注意していました。
とあるいさかいをきっかけに夫婦関係が急速に冷え込み、夫が家を出たことがありました。頭を冷やした夫が二週間ぶりに帰って来て冷蔵庫を開けると、中に賞味期限切れの納豆のパックがギッシリ詰まっていました。
夫はそれを見て、「俺に対するあてつけか」と、また怒ってしまったのです。結局、二人の関係は修復することはなく、離婚してしまいました。
■別居中の夫婦がよりを戻した「チョコレート大作戦」
逆に、ちょっとしたことで夫婦関係が改善する場合もあります。次にあげるのは、私が相談を受けた「チョコレート大作戦」の話です。
相談者は四〇代の女性です。結婚して一五年ほどですが、ある日突然、夫が出ていってしまいました。おかしいと思い探偵に依頼すると、夫は会社の同僚女性と社内不倫の関係にあることがわかりました。
妻は専業主婦で、どちらかというとおっとりしているタイプ。一方の不倫相手はバリバリのキャリアウーマンで、性格的には真逆なタイプでした。
妻の話では、夫婦関係に問題はなく、ずっとうまくいっていたとのこと。でも、夫が家を出ていった以上、本当はセックスレスだったとか、何か問題があったのでしょう。
いずれにせよ、夫は不倫相手のもとから戻ってきません。その状態が続き、とうとう二年も経ってしまいました。
妻は何とか復縁したいと思い、相談にやってきました。
別居して二年も経っているので、いまさらどうきっかけをつくってアプローチしていいかもわかりません。そこで考えたのが「チョコレート大作戦」です。
ちょうどバレンタインデーの前だったので、夫にチョコを送ることを提案しました。妻から直接送ると拒否される可能性があるので、子どもから送り、手紙を同封してはどうかと提案しました。
妻は最初、この作戦に乗り気ではありませんでした。いくら夫とはいえ、二年も顔を見ていません。チョコレートと手紙を送って拒否されるのが怖いのです。
でも、何とか説得し、妻も勇気を振り絞って手紙を書きました。心のこもった手紙が功を奏し、夫から返事がきました。これをきっかけに、少しずつ関係改善を進めていったのです。関係が破綻したからといって諦めることはありません。ふとしたきっかけやイベントごと、タイミングなどで、嘘のように元のサヤにおさまることもあるのです。
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夫婦問題研究家・パートナーシップアドバイザー・公認心理士
夫婦問題研究家、パートナーシップアドバイザー、NPO日本家族問題相談連盟理事長。立命館大学産業社会学部卒業、立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科修了。自らの離婚経験を生かし、離婚相談所を設立。離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立する。これまでに32年間、38000件以上の相談を受け、2200人以上の離婚カウンセラーを創出『離婚カウンセラーになる方法』(ごきげんビジネス出版)。近著は夫婦の修復のヒントとなる『夫婦がベストパートナーに変わる77の魔法』(サンマーク出版)。著書多数。
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(夫婦問題研究家・パートナーシップアドバイザー・公認心理士 岡野 あつこ)
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