「口の中が最も汚い」このタイミングはマスト…歯科医が毎食後以上に「絶対忘れないで」という「2回のハミガキ」
プレジデントオンライン / 2024年12月13日 9時15分
※本稿は、栗原毅・栗原丈徳『体が勝手に痩せはじめる「おくち美化」習慣』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■起床後の口内は細菌が繁殖している
寝ているときには唾液の分泌量が減り、歯周病や虫歯などの悪玉菌が繁殖しやすく、朝起きたときの口の中には、たくさんの細菌が繁殖しています。ネバネバしたり口臭を感じたときには、口の状態が最悪のサイン。その状態で水を飲んだり朝食を食べたりすると、悪玉菌が食べ物などと一緒に腸に到達して腸内細菌に悪影響を及ぼし、脂肪肝や糖尿病、肥満につながります。
朝起きた直後に、5分程度時間をかけるつもりでしっかりとしたハミガキを習慣化してください。そして朝食後は軽めのハミガキで口の衛生を保つようにしましょう。力を入れて磨くと歯の表面を傷つけるのでご注意を。
■理想は「起床後、朝食後、昼食後、夕食後、就寝前」の5回
就寝中に歯周病菌や虫歯菌などの悪玉菌が増えるため、就寝直前と起床直後にしっかりハミガキをすることが理想です。また、夕食を食べてから就寝までの時間に開きがあると、その間は悪玉菌の増殖を抑えられない可能性があります。夕食後に軽くハミガキをして就寝直前にしっかり磨くようにしましょう。
外出していると昼食後のハミガキをしづらいことがあります。施設によっては新型コロナ対策でトイレでのハミガキを禁止しています。日中は唾液によって口の衛生環境は整えられるので、昼食後に虫歯予防のキシリトール成分の入ったガムをかんだり、マウスウォッシュでうがいをするだけでも効果的です。
重要なハミガキは、起床後と寝る直前と覚えておきましょう。そして、できる範囲で1日5回のハミガキを。
■ハブラシは「ペンを持つように」やさしく持つ
正しいハミガキの仕方はどのようなものでしょうか。
ハブラシを握りしめて力強く磨くと、歯の表面のエナメル質や歯ぐきを傷つけて逆効果になります。歯と歯ぐきの間の汚れもよく落ちないので、力の入れ過ぎに注意しましょう。
ハブラシの持ち方は、ペンを持つように親指と人差し指、中指で持つ「ペングリップ」が基本です。歯と歯ぐきの境目を意識して、やさしく小刻みに動かすようにしましょう。力が入りすぎて毛先が乱れると、歯と歯ぐきの間の隙間など、細かい部分がよく磨けなくなり、歯ぐきも傷つけることになります。ハミガキはペングリップでやさしく磨くことが、歯と歯ぐきを守り口の衛生につながります。
歯はブロックのように真四角ではなく、前歯と奥歯では歯の形も異なります。また、歯垢は歯と歯ぐきの隙間にたまりやすいため、隙間も含めて1本1本の歯を意識してハミガキすることが大切です。
■1本の歯に20~30回ハブラシを当てるのが理想
歯周病対策でお勧めの方法は、歯と歯ぐきの間にハブラシを45度の角度であてる「バス法」です。1本の歯に対して小刻みに20〜30回横に動かします。ハブラシは「ペングリップ」で力を入れ過ぎないように、鏡を見ながらハミガキすると行いやすいです。奥歯や歯の裏も1本ずつ磨くことを意識しましょう。
歯並びによっては磨き方にコツが必要なので、歯科医院で指導を受けることをお勧めします。また、丁寧なハミガキには時間がかかります。寝ている間に口の衛生環境は悪化するため、起床後と就寝直前に時間をとってハミガキしましょう。
■ハブラシの「硬さ」はどう選ぶべきか
ハミガキで大切なのはハブラシの選び方ですよね。
店頭にはたくさんのハブラシが並んでいます。お気に入りのブランドの製品を長年愛用している人もいるでしょう。しかし、ご自身の歯に合わないハブラシを使用していると歯垢がたまりやすく、口の環境は悪化します。たとえば、硬いハブラシは歯の表面の汚れを落としやすいのですが、歯と歯ぐきの間を磨くときには、力加減に注意しないと歯ぐきを傷つけることがあります。
柔らかいハブラシは歯肉炎で出血しやすいときなどに有効ですが、歯の表面の汚れを落としにくいことがあります。このように、歯の形状、歯ぐきの状態、ブラッシング方法などによってハブラシの選び方は変わるのです。
ヘッド部分が大きいと、奥歯の表面を磨くときに頬肉に当たって磨きにくいことがあります。奥歯の外側も内側も、隅々まで磨くにはヘッド部分が小さい方が操作がしやすいのです。ハンドルも真っすぐなほうが、歯面に当てたときにちょうど良い力でコントロールしやすいでしょう。
■交換は1カ月が目安
普通の硬さであれば歯ぐきを傷つけるリスクは低く歯垢を落とせ、真っすぐな毛先は歯の表面も磨きやすいといえます。ヘッド部分の裏から見て毛先が横に飛び出したらハブラシの交換時期です。
目安は使い始めてから約1カ月後。毛先が横に開いた状態では汚れが落ちにくくなります。1〜2週間で毛先が広がるようならば、ハミガキに力が入りすぎている可能性があります。正しいハミガキ方法で磨くようにしましょう。
■「1日5回」のハミガキには研磨剤不使用の歯磨き粉を
ハブラシと同様、歯磨き粉にも選び方があります。
歯磨き粉も、歯周病予防や虫歯予防、口臭予防やホワイトニングなどの目的別、チューブや液体といった剤形、香り別など種類が豊富です。最近は、虫歯も歯周病もホワイトニングも、まとめて予防・改善が期待できるワンパッケージの製品もあります。
好みのものを選んでいただいてよいのですが、脂肪肝や糖尿病と関わりの深い歯周病を予防するならば、やはり、歯周病予防が期待できる成分が入っているものがお勧めです。また、1日5回程度磨くことを習慣化するときには、歯磨き粉の研磨剤で歯を傷つけないように、研磨剤不使用の歯磨き粉を選ぶとよいでしょう。
■歯磨き粉の成分表で見るべきポイント
ハミガキで磨き残しがあると、歯周病菌などの細菌が集まって身を守るために膜状のバイオフィルムを作ります。いわば外的要因に抵抗するための盾のような役割で、プラーク(歯垢)もバイオフィルムのひとつです。
そんなバイオフィルム内にいる細菌まで殺菌作用が及ぶ成分もあります。効率よく歯周病菌を除去して予防に役立つのが図表3の成分です。歯周病になると歯ぐきに炎症が起こります。
歯周病菌は酸素が苦手な嫌気性細菌で歯ぐきの奥に入り込み炎症を引き起こし、歯ぐきの腫れや出血につながり口の衛生環境を悪化させます。炎症を鎮め、血行を良くして歯ぐきの腫れを抑える成分も、歯周病予防の歯磨き粉には配合されているのです。殺菌や抗炎症作用の成分を覚えておくと比較がしやすいと思います。
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医師
1951年新潟県生まれ。北里大学医学部卒業。東京女子医科大学で消化器内科学、特に肝臓病学を専攻し、同教授を歴任、2007年より慶應義塾大学教授。2008年に消化器病、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病の予防と治療を目的とした「栗原クリニック東京・日本橋」を開院。『1週間で勝手に痩せていく体になるすごい方法』(日本文芸社)など著書多数。
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歯科医師
1982年、東京都生まれ。鶴見大学歯学部卒業。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科中退。栗原ヘルスケア研究所所長・歯科医師。「予防歯科」「食と健康」をテーマに活動をしている。とくに「口の健康と全身疾患との関連性」に興味を示す。大学や介護施設などで講演も行っている。日本抗加齢医学会、日本咀嚼学会、日本摂食嚥下リハビリテーション学会会員。
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(医師 栗原 毅、歯科医師 栗原 丈徳)
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