「みんなと仲良く」は大間違い… 職場にいる苦手な人を遠ざけるのに驚くほど効く「ペン1本」の使い方
プレジデントオンライン / 2024年12月15日 16時15分
※本稿は、武田友紀著『イラスト版「繊細さん」の本 人間関係も仕事もラクになる方法、集めました』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。
■不機嫌な人に手厚く対応してしまう
「職場に不機嫌な人がいて、同じ空間にいるだけでぐったりする」
「キツイ言い方をされたり、八つ当たりされやすい」
こうした悩みを抱える「繊細さん」はたくさんいます。
「繊細さん」は、アメリカの心理学者エレイン・アーロン博士が提唱したHSP(Highly Sensitive Person、とても敏感な人)のことで、日本人に親しみやすいようにそう呼んでいます。
繊細さんは、まわりの人の感情に気づくからこそ、なんとかしなければと「明るく声をかける」「不機嫌な相手ほど手厚く対応する」といった行動をとりやすいです。
でも実は、そうやって対応すればするほど、相手は繊細さんに寄りかかります。「私の機嫌をあなたがなんとかしてよ!」とばかりに、些細なことに文句を言ったり、八つ当たりしたり。
相手に配慮するという繊細さんの長所が、不機嫌な相手に対しては裏目に出てしまうのです。そのための対処をお教えしていきます。
「この人機嫌悪いなー」と思って、放っておく
その人の機嫌は、その人のもの。誰かが立て直し続けることはできません。心理的に距離をとって、「ふーん」ぐらいに思っておきましょう。
物理的な距離をとる
お手洗いに立つ、他の場所で作業するなど、できるだけ相手から離れたほうが心穏やかに過ごせます。家族の機嫌が悪いときは、お散歩や買い物などで外出してしまいましょう。
相手ではなく自分をケアする
相手にかまうのをやめて、自分が受けたダメージを癒やしましょう。穏やかな人と話す、ハンドクリームを塗るなど自分が落ち着ける方法でOKです。
■相手の悲しみや怒りにぐったり…
「人といると疲れます。特にガツガツしたタイプの人と話すと、エネルギーを浴(あ)びてしまうというか、消耗してしまう」
繊細さんは、相手の表情や声のトーンなど、非言語の情報も細やかにキャッチするため、長時間相手の話を聞き続けると刺激過多になりがちです。また、自分に向けられたものではなくても、相手の悲しみや怒りを感じてぐったりすることも。
相手の感情に巻き込まれないよう、「境界線」を引きましょう。「境界線の向こうは、相手の領域。私の担当ではない」とはっきりさせることで、自分を守れます。
■相手に巻き込まれないために
体を背もたれまで引き、物理的に距離をとる
相手に巻き込まれているときは、姿勢が前のめりになっているもの。そういうときは、ぐっと体を引いて相手と距離をとってください。これだけで、相手のペースから解放されて「目が覚める」効果があります。
相手との間に物を置く
職場ならペンを置く、会議であればプロジェクターをはさんで座る、プライベートであればティーポットやグラスを相手と自分の間に置く。相手との間に物を置き、「ここが、あなたと私の境界線です」と心の中で意識しましょう。
テレビ画面の向こうに人がいるとイメージする
相手の話に疲れてきたら、その人はテレビ画面の向こうの人だとイメージしましょう。
相手との間にアクリル板があるとイメージする
相手の感情が強いときは、自分と相手の間に、透明なアクリル板をイメージしましょう。
刑事ドラマで容疑者と弁護士が接見するときのような分厚い板のイメージです。相手がなにを言っても、エネルギーを直接浴びることはありません。
「キライ」は大切なセンサー
繊細さんの中には、「キライ」を封じている人がいます。
「みんなと仲良くするのがいいことだ」という世間の声をそのまま受け取ってしまい、「誰かを嫌っちゃいけない」「人を嫌う自分がイヤ」と思ってしまうのです。
ですが、実は「キライ」は生きていく上で大切なセンサーです。「キライ」というのは「この人は、自分に不利益をもたらす気がする。イヤな予感がする」ということでもあるのです。
「キライ」を封じると、相手との距離感を調整しにくくなります。
苦手な相手ほど「わかってもらわなければ」「いい関係を築かなければ」と思うため、自分から話しかけては相手の反応に傷ついたり、かえって相手から好かれるなど距離が近くなってしまうのです。
相手をキライでもいいんだ、と思ってみる
相手を嫌うことを自分に許しましょう。あいさつだけできればいい、くらいに思うと、苦手な人からのお誘いも断りやすくなります。
自分からは近づかない。絵文字は厳禁!
苦手だと気づかれないように自分から話しかけたり、SNSをフォローしたりと歓迎ムードを出すと、相手から好かれてしまいます。ニコニコした絵文字はNG。好意があると勘違いされてしまいます。キライな相手には「ちょっとドライかな」と思うくらいのビジネスライクな文面がちょうどいいのです。
一緒にいて元気になれる人といる
自分にとって、一緒にいて元気になれる人、ほっとする人は誰だろう? 振り返ってみて、好きな人と過ごす時間を増やしましょう。
■「殻」をかぶっていると素が出せなくなってしまう
どうやったら共感できる相手や、一緒にいて元気が出る相手に出会えるのでしょうか? まずは「人間関係の基本構造」を知っておきましょう。それは、「表に出している自分」に合う人が集まってくる、というシンプルな構造です。「本当の自分」を抑えて殻をかぶっていると、その「殻」に合う人が集まってきてしまうのです。
たとえば、無理にテキパキすると、それを評価する人が集まってしまい、本来ののんびりした自分を出せなくなる、といったことが起こります。
逆に、素の自分を出せば出すほど、自分に合う人が集まってラクになります。「人間関係の入れ替わり」が起こるのです。
■「人間関係の入れ替わり」を起こそう
ステップ1は「素の自分を出す」こと。自分の意見を言ってみたり、嬉しいときもイヤなときも素直に顔に出してみましょう。
ステップ2として、「自分を出すにつれ、合わない人が離れていく」ということが起こります。「あなたの“殻”が好き」という、本当にはあなたに合わない人たちが去っていきます。みんなが去るわけではなく、友人や家族など、あなたの気持ちを尊重してくれる人が残ってくれます。
そしてステップ3として、「自然体でいられる関係が増えていく」という望ましい状態に辿り着きます。一時的に寂しくなるかもしれませんが、本音を大切に、やりたいことをして過ごしましょう。そのうち必ず「素のあなたが好き」「感情豊かなあなたが好き」などと、自然体のあなたを好きになってくれる人たちと出会えます。
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HSP専門カウンセラー
メーカーでの研究開発を経て独立。フリーのカウンセラーとして個人向けの人間関係カウンセリングや適職診断を行う。著書に『「繊細さん」の本』『「繊細さん」の幸せリスト』ほか。繊細の森にてコラム掲載中
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(HSP専門カウンセラー 武田 友紀)
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