「お母さんは専業主婦じゃないと合格しにくいです」お金持ちが通う都心の私立小学校の「時代錯誤なお受験事情」
プレジデントオンライン / 2025年1月31日 10時15分
■父親なのに「家に帰ってくる人」ではなく「たまに来る人」
【ヨッピー】今日、家入さんに「話を聞こう」とはるばる長野まで来たのは、「家入さんって育児面においてはかなり特殊なポジションにいるな」と思ったからなんです。
家入さんって、前の奥さんとの間にふたり、今の奥さんの間に3人子どもが居るじゃないですか。で、前の奥さんとの子どもが小さかった頃って、仕事に追われてあんまり子育てしてこなかったでしょう。
【家入】あー。前の家族の時は、仕事で夜遅くに家に帰ったら起きてきた子どもに「ママ~! パパが来たよ~!」って言われたんだよね(笑)。「家に帰って来る人」じゃなくて「たまに家に来る人」みたいになってた。
【ヨッピー】でしょう。でも今の家庭だとかなり子どものお世話もしてるんですよね。
【家入】まあそんなに大きな顔で「してます!」とは言えないけど、前日どれだけ遅く帰ったとしても朝必ず子どもたちを送るようにしてたり、オムツ替えたり……。オムツ替えるの、好きなんだよね。
【ヨッピー】そうそう。だから家入さんは「育児ぜんぜんやってないパパ」の経験もあるし、「育児そこそこやってるパパ」の経験もあるし、東京で家庭持ってた経験もあるし、長野で家庭持つ経験もあるっていうなんか特殊な立ち位置にいるんですよ。「両方やってた」っていう。
【家入】なるほどね。長野に引っ越したのはタイミング的なものでしかないんだけど、コロナ禍でフルリモートになって、「別に東京にいる理由がないな」と思ったのがひとつ。
あとは上の子が「そろそろ小学校」くらいのタイミングになって、もともとは公立の小学校に入れようと思ってたから受験なんて考えてなかったんだけど、仲良くしてた子どもたちがみんな「お受験する」っていうから、その影響で「私も受験する」って言い出して。
でも、小学校から私立に行こうと思ったらいろいろやらなくちゃいけないんだよね。狙ってたのはミッション系の小学校だから「日曜日の朝に教会に行ってると有利らしい」みたいな話があって毎週教会に通ったり、受験対策の塾に行ったり。
■「パパ」ではなく「お父様」
【ヨッピー】そういう塾って、何を習うんですか?
【家入】すごいよ。面接対策って言うのかな。「お父さんのお仕事はなんですか」って必ず聞かれるっていうから、そういう受け答えを練習するんだけど、「パパは~」って言うと怒られるの。「お父様、って言いなさい!」って(笑)。
【ヨッピー】えーーーー! マジですか⁉
【家入】意味わかんないよね(笑)。
それに、子どもの面接って言いながらも両親がどんな人間かは必ず見られるから、当時の妻は髪の毛がピンクだったんだけど全部黒く染めて。あとは塾から「お母さんは専業主婦じゃないと合格しづらいです」って言われたから、奥さんは元DJなんだけどSNSも全部鍵かけて外から見られないようにしてさ。
■子どもより先に妻がダウンした
【ヨッピー】なんだろう。時代錯誤がすごいなって思っちゃいますね。
【家入】そう。僕もその辺はすごい疑問に思っちゃって。でも子どもは塾で習ったこととか頑張って勉強するし、苦手だった鉄棒も一生懸命やってて、そういう経験は無駄じゃないなと思うんだけど、奥さんが先に参っちゃったんだよね。
【ヨッピー】あー……。
【家入】ヨッピーの『育児ハック』に「良いことが書いてるな」と思ったんだけど、「機嫌悪くなったり病んだりしながら頑張っても、子どもには良い影響がないからほどほどに手を抜こう」みたいなくだりがあるでしょ。
「まさにこれだな」と思ったんだけど、1人目の子どもが生まれた時に、僕が「大変だったらシッターさん呼ぶなりナニーさんを雇うなり外注すればいいよ」って、よかれと思って軽く言ったら、「あなたはなんでもそうやってすぐお金で解決しようとする‼ 自分の手でやらなきゃどうするの‼ 私たちは親なんだよ‼」ってめちゃくちゃ怒られたんだよね。
【ヨッピー】そういうふうになる人、けっこう居るんですよね……。僕、そういう心意気というか気持ちはもちろん大事だと思うんですが、かといって「自分がやらなきゃ!」ってなんでも抱え込んでテンパったり病んだりしちゃったら、むしろそっちのほうが子どもにとって悪影響なので「機嫌よくやれないことまでやる必要はない」っていうのを提唱しております。
【家入】本当にそうだよね。病むぐらいなら外注なり親戚なり行政なり、外部の力を借りた方がいい。もちろんそういったものにアクセスできない人、しづらい人がいるのも現実としてあるのだけど。でもそういう意思の強い奥さんだったから、お受験の時も塾の送迎に子どもの勉強に教会とあれこれ付き合っているうちにパンクしちゃって。
僕も「お父様」とか言わせるような学校は嫌だなと思ったし、自分の子どもがそんな学校に向いてるとも思えないから、「じゃあお受験どうしよう」と立ち止まって考えてみたら、長野に真逆の小学校があるな、と。
【ヨッピー】「なんでも自由」で有名な小学校がありますよね。
【家入】そう。だから結局長野に引っ越して、そこに入れることにしたの。
■「東京の子育て」は競争の連続
【ヨッピー】僕、つねづね思うんですけど、東京のそこそこお金持ち層というか、いわゆる「パワーカップル」みたいな人たちって、共働きで頑張って働きながらタワマンに住んで、小学校受験をさせるか、小学生の時にSAPIXとかに通わせて中学校受験させるじゃないですか。こうした受験も含めて、「東京の子育てって、マジでなんでもかんでも競争だな」って思うんですよ。
お盆の時に、テレビ朝日でやってた「ドラえもん祭り」みたいなのに行ったんですね。子どもがドラえもん好きだし、「お盆期間なら空いてるかな」とか思って。
でもこれが大きな間違いで、行ったら死ぬほど混んでて遊ぶどころじゃないし、「水遊び広場は2時間待ちです」とかやってて。つまり、「早く行く」っていう競争に我が家が負けたんですよ。動物園もプールもお祭りも、子どもが行きたがるような場所は全部競争。お受験も競争だしタワマン買うのも競争。
「これは無理だ」と思って「他に近くでなにかやってないか」って調べたら、麻布台ヒルズで縁日やるらしいから「よしそっちに行こう」って移動して、縁日がはじまるまで麻布台ヒルズのカフェでかき氷食べてたら、隣にいたファミリーの4歳くらいの子どもがグッチの帽子かぶってシャネルのポーチつけてる、みたいな全身ハイブランドで。ウチの子は全身しまむらなのに! 「恐ろしいところに来てしまった……!」って思いました。
■代官山のママ友のランチ会は1回5000円
【家入】僕もね、かなり前の話になるのだけど、前の家族のときには代官山に住んでいて、子どもは普通の保育園に通ってたんだよね。代官山ってお金持ちの子どもも多いんだけど、当時はNTTの社宅もあって、NTT職員の子どもたちもたくさんいたんだよね。
で、子ども同士は仲良くなるからそのお金持ちのママさんたちと、NTT社員のママさんたちが「一緒にランチに行こう」ってみんなでランチ行ったりするんだけど、そのランチ代が1回5000円だったりするから、だんだんNTT組は「ちょっとついていけないわ……」ってなって、結局NTT組と経営者組でスパッとママたちのコミュニティが分断されちゃうらしい。まあその辺は仕方ない部分なんだろうけど……。
あとは、やっぱり経営者の家族同士で集まることもあったりするんだけど、今の妻は元DJでサブカル好きだったりするから、いまいち奥様方の会話に入れなくて悩んだりもしてて。
【ヨッピー】どういう話をするんですかね?
【家入】「会話が3パターンしかない!」って奥さんが言ってたんだけど、「子どものお受験の話」、エルメスのバーキンなどの「ハイブランドの話」、効果の高いエステはどこかっていう「美容の話」などが全然参加できなくてつらかったみたい。
【ヨッピー】お受験とブランド品と美容か……。典型的すぎる……。
■東京にいると競争・ヒエラルキーに巻き込まれがち
【ヨッピー】これ、僕の友達の経営者から聞いた大好きな話なんですけど、その人もお金持ちだから、小学生の子どもを連れて「回らないお寿司」とかにも行くんですって。そんで白エビの握りを出してもらったのを子どもが食べて、「パパ、白エビは握りより天ぷらの方が美味しいね」って言ったんですって。友達も「これは育て方を間違えた!」って思ったらしい(笑)。
【家入】贅沢な小学生だな~~(笑)。
【ヨッピー】僕、なんかそういうのちょっと嫌なんですよね。子どもは子どもらしくというか、スシローでタマゴの寿司を食べてるくらいでいいじゃん、って思うんです。でも周りがそういう人たちだったら、「えー? お前のiPhoneめっちゃ古いやつじゃ~ん」っていじられたりして、そういうしょうもない格差とかに振り回されたりしないかなぁ、っていう。
【家入】東京にいると競争とかヒエラルキーとか、そういうものに巻き込まれがちなのはわかるし、子どもにとってそういう環境がプラスに働く子も居ればそうじゃない子も居るよね。お受験の塾で、よそのお母さんがすごい表情で子どもに怒ったりしてるのを見るのはつらかった。
■仕事で東京から離れられない人は多い
【ヨッピー】とはいえ、家入さんみたいに、「じゃあ長野に引っ越そう」っていう選択ができる人ならいいんですけど、大多数の人は仕事の問題とかで東京から離れられないから、そういう競争とかからも離脱できなくてしんどい思いをしている人は多いんじゃないかと思うんですよね。
体力バカだし自営業で時間の融通が利く、僕みたいな人間ですら「これはしんどいぞ」って思うことが多いくらいなのに。
【家入】ヨッピーは大阪出身でしょ。大阪も都会だしそんなに変わらないんじゃないの。
【ヨッピー】いや、東京だけ突出してますよ。大阪に帰省した時ももちろん子どもを連れてあちこち遊びに行きますけど、大阪でそんなに待たされたり、「人が多すぎてしんどい」みたいなイベントに出くわすことはそんなにないもん。「アンパンマンミュージアム」も年間100万人が来る横浜に比べれば神戸は年間60万人だから全然空いてる。
【家入】長野に引っ越してきなよ。
【ヨッピー】だからそう軽々しく言うなって。
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ライター
1980年生まれ。大阪市出身で、現在は東京都在住。体を張ったネタ記事からニュース記事まで幅広いジャンルの記事を執筆。銭湯が好きすぎて週に8回銭湯に行く。
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CAMPFIRE 代表取締役CEO
1978年生まれ、福岡県出身。株式会社paperboy&co.(現GMOペパボ)を創業し、JASDAQ市場へ上場。退任後、クラウドファンディング「CAMPFIRE」を運営する株式会社CAMPFIRE創業、代表取締役に就任。他にもBASE、partyfactory、XIMERAの創業、駆け込み寺シェアハウス「リバ邸」の世界展開、ベンチャーキャピタルNOW設立など。
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(ライター ヨッピー、CAMPFIRE 代表取締役CEO 家入 一真)
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