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話が弾む人はなぜ、話が弾むのか…同じ内容なのになぜか会話がどんどん楽しくなる"弾む人の話し方"

プレジデントオンライン / 2024年12月12日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Farknot_Architect

会話を弾ませるには何をすればいいか。話し方講師の野口敏さんは「相手とのやりとりが増えると、何でもない内容でも楽しく感じられる。そのためには、言葉を区切り、間をとって相づちを待つ話し方をするといい」という――。

※本稿は、野口敏『どんな人とも楽しく会話が続く話し方のルール』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

■間をとると話がはずむ脳科学的理由

コミュニケーションブリッジの話し方を私の教室で学んだ男性が、職場のプレゼンテーションでそれを応用してみました。

すると相手からこうほめられたそうです。

「あなたの話は、まるで映画を観ているみたいに〈絵〉が浮かびました」

彼はとても優秀なビジネスマンで、高評価を得られた理由をもっと科学的に解明してみようと考えました。「この現象には、脳科学からのアプローチで何か説明がなされているのではないか」と外国の文献を調べてくれたのです。

すると本当に見つかったのです、「これぞまさにコミュニケーションブリッジの説明だ!」というものが。

彼はその内容をブログに書いてくれました。それを読んだとき、私はとても感激しました。一介のコミュニケーションの研究者に過ぎない私が見つけたスキルが、脳科学者たちが見つけたものと同じだったのです。

というわけで、読者のみなさんはどうか自信を持ってこのスキルに挑んでいただきたいと思います。

では、彼のブログの内容を以下に要約してお伝えしましょう。

■「扉を開く」と聞くと、聞き手の脳も扉を開く

間を置かず、情報を伝えるだけの話し方をした場合、聞き手はストーリーを映像化する時間が持てません。

そういう会話の際に聞き手の脳で使われているのは、もっぱら脳の左側の部分、音声を言語化してその意味を理解する領域です。

この場合、聞き手の脳は会話を「単なる情報」として扱うだけで終わります。この状態だと、おそらく会話ははずみません。

しかし、話し手が言葉を短く区切り、間をとって話すと、聞き手の脳内は変化します。言語処理の部分だけでなく、脳のほかの領域が活性化するのです。それは映画を観るときのような活動状態でした。

研究者がそのときの聞き手の脳をさらに詳しく調べたところ、聞き手の脳が話し手の脳を積極的に模倣していることを発見しました。

たとえば、話し手が「古い城の前に立ち、大きな扉を開くと」と言ったときには、聞き手の脳の運動皮質が活性化するのが確かめられました。

中世のドア
写真=iStock.com/Wibofoto
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Wibofoto

これは、聞き手が想像の中で扉を開けようとしていることを示しています。

つまり、聞き手は話し手の話を経験し、共有しようとしているのです。まさに、話し手と聞き手の脳は同期していた(つながっていた)のです。

■「目の前に広がる真っ赤なバラの園」を見ている感覚

さらに「城の中には、真っ赤なバラの花が咲き乱れていた」と言うと、今度は聞き手の脳の感覚皮質が活性化しました。これは話し手が感じたものと同じ感覚、つまり「目の前に広がる真っ赤なバラの園」を見ている感覚を聞き手も経験しているということになるのです。

このように、短い言葉で映像化が促されるたびに、聞き手の脳内では運動や感覚など、さまざまな領域が影響し合います。だから想像力が高まるのです。

さらには、上手な「間」をとることで、別の効果を生むことも検証されました。

間があるおかげで、聞き手はその話が次にどのような展開になるのか予想するようになります。

このとき聞き手の脳はどうなるかというと、神経細胞が活性化し、別の神経細胞と結合します。これがまた聞き手の想像する力をより高めるのです。

以上ここに述べたような脳の動きによって、話し手が短い言葉で区切り、効果的な間をとることで、聞き手はまるで映画を観るように話を聞くことができるというわけです。

それが一体感や親しみへとつながるわけですから、コミュニケーションブリッジの話し方の有効性は脳科学の面からも確かなものだといえるでしょう。

■何でもない話なのになんだか楽しくなる方法

私の教室でコミュニケーションの練習をしたときのことです。

そのときの学びのテーマも「短い言葉で区切って間をとり、相手から相づちをもらいながら話すこと」。

つまりコミュニケーションブリッジの話し方でした。

【話し手】私ね
【聞き手】ええ
【話し手】ちょっとセコイところがありまして
【聞き手】へー、意外ですね
【話し手】高級なチョコをお土産なんかでもらうとね
【聞き手】はい
【話し手】それを箱から出して、別の容器に詰め替えて
【聞き手】ええ
【話し手】そして、冷蔵庫の野菜室に隠しているんです
【聞き手】また、なんで⁉
【話し手】家族に見つかったら、食べられるからですよ
【聞き手】えーっ!

言葉を区切り、間をとって相づちを待てば、自然と相手との言葉のやりとりが増える。そういう感覚を体験してもらうためで、話の内容は読んでわかるようにたわいもないものです。

すると、生徒の一人がこんな感想をよこしました。

「野口さん、相手とのやりとりが増えると、何でもない話なのに、なんだか楽しくなってきますね」

野口敏『どんな人とも楽しく会話が続く話し方のルール』(三笠書房)
野口敏『どんな人とも楽しく会話が続く話し方のルール』(三笠書房)

これは私の想像ですが、これもおそらくは互いの脳が同期していることへの、脳からのごほうびなのでしょう。

脳は他人と結びつくことを、自分が生き延びるために必要なことと考えているのではないでしょうか。だから他人とつながりを感じるとき、私たちの脳からは幸せホルモンが分泌されているのでしょう。

この課題もいつの日か、脳科学の世界がその説明をしてくれるのではないでしょうか。

とはいえ、研究発表を待つ必要はありません。あなたが実証すればいいのです。

他人とコミュニケーションをとるとき、短い言葉で区切り、間をとって相手の相づちを呼び込むように話してみればいいのです。できれば、語尾に気持ちが出るように話してみましょう。

そのとき自分がどんな気持ちになるのか。それを確かめれば、それが証明となるでしょう。

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野口 敏(のぐち・さとし)
グッドコミュニケーション代表取締役
TALK&トーク話し方教室主宰。著書に、90万部超のベストセラー『誰とでも15分以上会話がとぎれない!話し方』シリーズほか、『誰とでもスッとうちとけて話せる!雑談ルール50』など。

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(グッドコミュニケーション代表取締役 野口 敏)

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