「5W1Hで話す」は絶対ダメ…会話が誰とでも楽しく続く人、あっという間に終了する人の決定的違い
プレジデントオンライン / 2024年12月14日 15時15分
※本稿は、野口敏『どんな人とも楽しく会話が続く話し方のルール』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
■5W1Hを使って話を一点に向けると会話が終了する
共感が苦手な人は、会話のイメージを変えてみましょう。うまくいかない人は、おそらく話の内容を論理的に考えているはずです。
たとえば次のように話を展開しているのではありませんか?
【話し手】今度、妻と旅行に行くんだよ
【聞き手】へえ、どこに行くの?
論理的に考えるタイプの人は、「会話とは話を一点に絞っていって結論を出すもの」という頭になっています。
だから「いつ」「どこで」「誰と」「どのように」などと、5W1Hを使って話を一点に向けがちです。するとすぐに答えが出るので、会話はそこで終わってしまいます。
これが会話の広がらない理由なのです。
ここで発想の転換をしてみましょう。
会話を結論へと導くのをやめて、話を広げる方向に向けるのです。
「妻と旅行に行く」と聞いた瞬間、そこで論理的に考えるのではなく、その場面を想像してみます。
旅行と聞けば、まず思い浮かぶのが海や山、飛行機や新幹線、ご馳走や温泉などの映像でしょうか。
すると反射的に「どこに?」と聞いてしまうことになります。
■ポイントは「相手を話の中心に据える」こと
ここからが共感力を高める重要なポイントです。
ここで注意したいのは、「旅行=電車、旅館、温泉、ご馳走……」などと、「旅行」そのものに想像の焦点を当てないようにすること。
では、何を想像するのか。それは「相手自身」です。
もちろん、電車、旅館、温泉、ご馳走などを想像するのは結構ですが、焦点を当てるのはあくまで相手自身です。
電車(飛行機)に座る相手、旅館に入りくつろぐ相手、温泉につかる相手、ご馳走を食べる相手……。あなたの想像の中心に、ドンと相手を置きましょう。
この話の流れですと、その隣には奥様も置かないとなりませんね。
すると、いきなり「どこに行くの?」などと質問はしなくなるでしょう。
旅先での二人を想像できたら、その状況を自分のこととして感じてみます。
すると、あなたの口からはどんな感想がもれるでしょうか。
質問よりもまず、その映像から感じる「気持ち」を言葉にすることが重要です。
「いいね♪」
「うらやましい」
「仲がいいね」
これで相手には、あなたが自分のことをしっかり想像してくれていることが伝わります。そして、自分に関心を持ってくれている様子に、相手はとても大きな喜びを感じます。
このように相手の状況(場面)を想像し、さらにその映像、その気持ちを自分が体験しているかのような感覚になることが共感の奥義といえるでしょう。
あなたの口から出てくる言葉は、もうひと事ではなく、自分に起こったことのように豊かな気持ちであふれています。
つまり、相手が描く映像の中にあなたも入り込んで、その気持ちを分かち合う。これがコミュニケーションの神髄となるのです。
■お互いの頭の中が「話の種」でいっぱいになると
実は聞き手がうまく共感すると、話し手の中でイメージが爆発するような瞬間がやってきます。
【話し手】今度、妻と旅行に行くんだよ
【聞き手】へーっ♪ いいですね。仲がよくてうらやましい
【話し手】いやいや、旅行に行ってもケンカばかりですよ
【聞き手】長いこと一緒にいると、ケンカもしますよね
【話し手】うちのは気が強くて
【聞き手】あ! それは怖いですね
こんないい共感をもらえると、話し手の中に映像が次々に浮かんできます。
電車に乗って一分で、もうケンカが始まった。
実は、何でケンカしたのか思い出せない。
妻はおいしい饅頭を食べたら、すぐに機嫌が直る。
このように、話し手には話すことが次々に浮かんできます。
ほとんどの話し手は、それを自分の能力だと思っています。しかし、話し手のイメージをふくらませたのは、実は「聞き手の共感」だったのです。
聞き手の感情豊かな共感で、話し手には受け入れられている安心感が広がります。すると、想像力がどんどん豊かになるのです。
さらに共感をしているほうの聞き手も、想像力がふくらんで聞いてみたいこと、話してみたいことがどんどん湧いてきます。こうして二人は、話したいことと聞きたいことをたくさん浮かべて話をすることになるのです。
これは話を焦らず、共感を行なって、ゆっくりとした展開をつくったから生まれた関係。お互いが話の種をたくさん手に持って話をするのです。話がはずむわけですね。
会話は実は聞き手がリードしている。そういわれる所以がここにあります。
共感と脳の活性化の関係
人間は、他人の感情に触れると脳内の神経細胞が急速に発達し、ほかの神経細胞とつながり合うことがわかっています。気持ちの入った共感をもらうと、話し手のイメージがふくらむのは、こういったことが理由のようです。
■相手の話が止まらなくなる質問のコツ
たっぷり共感して、お互いの中に話の種が渦巻いてきたら、いよいよ質問をしてみましょう。
この状態になれば、少し刺激を与えるだけで相手はいくらでも話をしてくれるはずです。
こちらも相手を想像の中心に置いて、電車の中、旅館、温泉、ご馳走を食べるときなど、相手が旅行中に「しそうなこと」「言いそうなこと」「思いそうなこと」を自由にイメージします。
たとえば、次のような想像ができれば、ずいぶん話ははずみます。
電車の中では奥さんと何を話しているのかな
電車で何か食べるのかな
電車の中でお酒は飲むのかな
旅行バッグの中には何が入っているのかな
そもそも旅行の企画は誰が立てるのかな
行き先を決めるときに、夫婦どちらの意見が強いのかな
大事なのは、自由に発想すること。
「そんなはずはない」「そうに決まっている」と発想にたがをはめると、いい想像はできなくなります。
これはどんな話になっても応用が利きます。
「今年は就活の年だ」「子どもが小学校に上がった」「夫が急にランニングを始めた」「娘にはじめての彼氏ができた」……と、相手の会話がどんな話になっても、同じことをしてみましょう。
まずその場面を想像し、気持ちを感じて共感の言葉を伝え、少しずつ質問をしてみる。質問する際も、相手の立場になって想像をめぐらせ、この人はそこで「何を行ない」「何を話し」「何を思うのか」を思い浮かべます。
私の教室では全員でイメージをする練習を行なっていますが、それは楽しい空想が出てきて、よく爆笑が起こります。口下手でおとなしかった人が、自信満々で自分の想像を口にしてくれる姿にもよく出会います。
これを見ても、空想をするということは人間の脳にとって、とても楽しいものだということがよくわかります。
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グッドコミュニケーション代表取締役
TALK&トーク話し方教室主宰。著書に、90万部超のベストセラー『誰とでも15分以上会話がとぎれない!話し方』シリーズほか、『誰とでもスッとうちとけて話せる!雑談ルール50』など。
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(グッドコミュニケーション代表取締役 野口 敏)
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