「どこから片づけても同じ」ではない…実家の「リビング、キッチン、寝室」で片づけのプロが最初に手を付ける場所
プレジデントオンライン / 2025年1月1日 16時15分
※本稿は、石阪京子『実家片づけ』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。
■まずは「仕分け置き場」を作るところから
片づけをするときは、スペースが必要になります。「いる」「いらない」「保留」など、ざっくりし分けて、それらをいったんどこかに置いておく必要があるからです。そのためのスペースを本書では「仕分け置き場」と命名します。大きさは、モノの多さにもよりますが、まずは4畳半の部屋1室分くらいあればよいでしょう。
もし、使っていない片づいた個室などがあればそこを「仕分け置き場」とします。
■物置部屋が「仕分け置き場」には最適
どこもかしこもパンパンな部屋しかないという場合は、まず「物置部屋状態」になっている部屋を空けて「仕分け置き場」を作ることから始めなければなりません。
「え? 物置部屋だから一番モノが多いんですけど?」と思われたかもしれません。たしかに満杯だとは思いますが、実はそこが家の中で一番スペースを作りやすい場所なのです。なぜなら、物置部屋は「一番心を使わない場所」だから。
古い家電や五月人形、使っていないアイロン台、古い布団、色褪せた布、昔の雑誌などが雑多に放り込まれているはず。そこには必ず「それはもういらない」といえるモノが交じっています。そういう、しまったまま存在を忘れているモノはどんどんさよならできます。それをゴミの一時置き場へ移動させてスペースを作っていきます。必要なモノや確認がいるモノは「いる」「保留」と書いた袋に入れて置いておきます。
物置部屋になっているのは、「元子ども部屋」であることも多いので、古い自分のモノなども出てくると思いますが、それはご自身で持ち帰るか捨てるか、判断しましょう。
「仕分け置き場」が確保できたら、生活の場を片付けていきます。
■実家片づけは「キッチン」から手を付けたい
仕分け置き場が確保できたら、場所別に3ステップに分け、片づけていきます。
【1】キッチン→【2】寝室→【3】リビング の順番です。
キッチンを最初に片づける理由は、年輩の方にとって最も生活に近い場所だから。3度の食事はいくつになっても必要なので、キッチンが片づいて使いやすくなると、快適さをすぐに実感できます。しかも7時間もあれば、だいたい片づきます。
また、キッチンは「省略と代用の考え方」を学ぶのに最適な場所。これは、用途が限られていたり役割が重複したりしているモノを減らし、他のモノで代用していくという考え方です。これがわかると、他の場所を片づけるときも、処分すべきモノの判別がつきやすくなり、前向きに取り組めるようになります。
■多すぎる保存容器や賞味期限切れの調味料が眠っている
まずは食器棚やシンク下など、キッチンにあるモノを全て出して床に並べます。
「え~、大変そう」という声が聞こえてきそうですね。
たしかに、足の踏み場がなくなりますし、気分も滅入ってきます。でも、実はその大変さが肝なんです。「こんなにモノが多いんだよ!」という現実をご両親に突きつけ、例えば10個出てきた保存容器を一つひとつ「いる? いらない?」と聞いていくと、どんなにもったいない派の人でも、必ず「それはいらない」と判断するモノが出てきます。
また、キッチンは賞味期限切れのストックも数多く眠っているので、処分するモノが明確なのもポイント。こうやって収納スペースを空けていくことで初めて、出しっぱなしになっているモノをしまう場所が確保できるのです。
■モノを全部出してチームごとに分ける
キッチンにあるモノを全部出したら、鍋やフライパンなどの「調理器具」、ボウルやザルなどの「下ごしらえ用品」など、チームで分けていきます。
チームで分ける理由は、そのほうが要・不要を判断しやすくなるからです。
今、床に広がっているモノはとても量が多いので、そのぶん、情報量も多いです。大量の情報を一度に処理しようとすると、処理能力を超えてしまって、逆に思考停止に陥ることがあります。特にご両親は高齢なのでその可能性は高いです。だから、小さく分けて考えましょう。チームごとに小さく分ければ、考えを巡らせる範囲が減るのでサクサク思考できます。その結果、時短になります。
また、チームで分けると、今使っているモノと使っていないモノとが明確になるのもポイント。新旧入り交じった状態だと、要・不要を判断しやすくなりますよ。
■買い替えで「代用」し省スペースを実現
チーム分けをしてみると、例えばザルやボウルが大小様々、複数あることがわかったりします。いろいろな形のモノがあるためそのぶんスペースをとっています。形が違うから重ねて収納することもできず、面積を奪われているのです。
でも、実はそのことに気づいたらチャンスです!
「いる? いらない?」と聞いた後に、次のような言葉を付け足してください。
「これを省略して、あれに代用したら、ぐっとスペースが減るよ」
「これに代用したら、洗い物が減ってラクになるよ」
「100均に売っている、小さいサイズのモノに買い替えたらスペースが空くよ」
通販番組のごとく、今これを決断したら、いかによい未来が待っているかを伝えるのです。
これは私が、通常のお片づけでもずっとやっていることです。
スライサーなど、キャベツ専用とか千切り専用とかいろいろな形のモノを持っておられる方に、「貝印のコンパクトな調理器セットなら全部の機能がそろっているから、こんなにわずかなスペースに収まりますよ」ということを、スマホで商品の写真を見せながら提案したりします。すると皆さん、「今の専用のものを全部捨ててそれに買い替えます」とおっしゃいます。
■「減らす」だけでなく必要なモノは導入する
あと、よくあるのはお砂糖やお塩、小麦粉などの二重管理。
小瓶や小さいストッカーに移して調理台に並べている方が多いのですが、それだと1袋分が入り切りませんので、別に袋を置いておく場所が必要になりますし、ストックの有無もわかりにくくなります。さらに、移し替える手間が生じますし、その際に中身が飛び散って掃除が必要になることも。
だから、保存容器は、1袋分すべてが入るサイズを選ぶと断然便利。おすすめはフレッシュロックの製品です。口が広くて(移し替えやすい)、密閉性が高いうえ、プラスチック製だから軽いし割れません。手の力が弱い高齢者でも安全に使いこなすことができます。砂糖1袋分が入る1.4リットルサイズをはじめ、サイズ展開が豊富なので一元管理をするには最適です。
もちろん、新しいモノを購入するとなると、そのぶん、お金はかかります。でも、実家片づけをする目的の一つは、親が幸せに暮らせるようにすること。今の暮らしにマッチするように、暮らしを再構築することです。だから、とにかく捨てて量を減らそうとするのではなく、必要なモノは導入するという気持ちで片づけに臨むことが大事。
図表1に、省略と代用のアイデアをまとめました。ご両親に伝えるときの参考にしてみてください。
■思い出の食器は「持ち帰り」を検討する
お料理が好きな親御さんだと食器もたくさんお持ちかもしれません。
食器棚は買い替えることもあまりないので、子どもがいた頃や、親戚が大勢集まっていた頃と同じだけの量をそのまま保管されてることも多いのではないでしょうか。
もちろん今も来客が多く、よく使うというのならそのままでかまいませんが、そうでないなら、このタイミングで、日常的に使わない食器は、「不要」か「保留」に仕分けてしまいましょう。もし、あなたが気に入った器があれば「懐かしい! これもらって帰ってもいい?」と聞いてみれば、喜んで手放してくださるでしょう。
今使っている食器だけにしてみたら「こんな大きい食器棚は必要ないな」「食器棚自体、もういらないかも」と思うようになるかもしれません。
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片づけアドバイザー
宅地建物取引士。JADPメンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラー。大阪で夫と不動産会社を起業、夢のマイホームを手に入れても片付けができないと諦めている多くの人に出会う。自分にできることはないかと女性目線での建築設計、引っ越し後のアフターフォローとして家の片づけを提案。独自のメソッドは、一度やれば絶対にリバウンドしないのが特徴で、これまで様々な片付け法を試したり、プロに頼んではリバウンドを繰り返してきた人たちの「最後の駆け込み寺」となっている。
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(片づけアドバイザー 石阪 京子)
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