「ヨーグルト」は○だけど「飲むヨーグルト」は×…テレビが絶対に報じない"健康的"な飲み物の不都合な真実
プレジデントオンライン / 2024年12月17日 7時15分
※本稿は、尾形哲『甘い飲み物が肝臓を殺す』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。
■飲むと不健康になる危険な「甘い飲み物」一覧
さて、毎日少しずつのダメージが肝臓を弱らせるということはお分かりいただけたと思いますが(前回記事)、「甘い飲み物」と言っても、具体的にどのような飲料がいけないのでしょうか。
図表1は、我々の身近にあるたくさんの甘い飲み物のうち、いったいどの飲料にどれくらいの糖が含まれているのかを一覧表としてまとめたものです。
この表では、私たちスマート外来がそれぞれの飲料のエネルギー量を調べ、含まれている糖の量を換算しています。おそらく、みなさんがよく飲まれている飲料の名も見つかると思いますが、その中にもかなりの量の糖が含まれていることがお分かりいただけることでしょう。
なかには「えっ、まさか……この飲み物にもこんなに糖が入っているの?」「うそ……これ、健康にいいと思ってずっと飲んでたのに」と、にわかには信じられないという方もいらっしゃるかもしれません。
そんな方々のために、甘い飲料のカテゴリーごとに簡単な説明を加えていくことにしましょう。
■もっとも避けるべき飲み物
〈甘い炭酸飲料〉
以前から「甘い炭酸飲料にはたくさんの糖分が含まれていて、飲み過ぎは健康によくない」とは言われていました。私たちが調べた結果でも、アメリカ生まれの超有名炭酸飲料500mlには、角砂糖約20個分の糖が含まれていることが判明しています。他の炭酸飲料も軒並み糖分量が多く、やはり炭酸系は、数ある甘い飲み物の中でももっとも避けたい飲料だと言っていいでしょう。
シュワシュワして爽快感のある甘い炭酸飲料は子どもや若者に人気ですが、常飲していると若いうちから脂肪肝や糖尿病を進ませることになりかねません。大人も子どもも年齢にかかわらず、危機意識を高く持って甘い炭酸飲料に接していく姿勢が必要です。
■「熱中症予防のための水分補給」で糖尿病が悪化
〈スポーツドリンク、経口補水液〉
ある有名スポーツドリンク(500ml)には、角砂糖約10個分の糖が含まれています。このような高いエネルギーを補給しなくてはならないのは、マラソンなど、長時間にわたる激しい運動をしている人だけでしょう。
つまり、一般の人がちょっと汗をかいたくらいでスポーツドリンクをガブ飲みしたら、たちまち糖分の摂り過ぎとなって肝臓に負担をかけてしまうということです。
スポーツドリンクに対して「汗をかいたときの水分補給にいい」「熱中症予防のために飲んだほうがいい」「風邪で熱があるときに飲んだほうがいい」といった健康維持に役立つイメージを持っている人も多いと思います。
しかし、たとえこうしたシチュエーションで水分補給をする場合であっても、脂肪肝の人、糖尿病の人、肥満の人はスポーツドリンクの利用は避けたほうがいいでしょう。もちろん、水分補給をすること自体は非常に大事ですが、スポーツドリンクに頼らずとも、水かお茶を飲むので十分です。
また、「経口補水液ならいいだろう」という考えも間違いです。500mlに角砂糖4、5個分の糖が含まれています。
とくに高齢者の場合、糖尿病を抱えているのに「熱中症予防のための水分補給に」とスポーツドリンクや経口補水液を飲んで、いっそう糖尿病を悪化させてしまう人がたいへん目立ちます。
小まめに水やお茶を飲んでいれば、たくさん汗をかいたとしても熱中症も電解質異常も心配ありません。ぜひ、正しい健康知識を持って、しっかり水分補給をしていくようにしてください。
■野菜を摂取するのにジュースは×
〈野菜ジュース〉
小ぶりな紙パックに入った野菜ジュースを愛飲している人も多いかもしれません。これ1パックで必要な野菜の栄養を摂れるといった能書きにつられて“健康のためによかれ”と思って飲んでいる人も多いのではないでしょうか。
しかし、小さな紙パック200mlには、角砂糖約5個分の糖が含まれているのです。しかも、野菜の食物繊維がすべて取り除かれてしまっているため、糖の吸収も非常にスピーディー。当然ながら肝臓に負担を背負わせることになってしまいます。
野菜の積極的な摂取はもちろん大事なのですが、液体ではなく、しっかり食物繊維が残っている状態で摂るのを基本に据えたほうがいいでしょう。
■「毎日1本」が逆に健康にマイナスに働く可能性
〈乳酸菌飲料〉
小さなプラ容器に入った乳酸菌飲料を毎日飲むのを習慣にしている人も多いかと思います。でも、この小さな1本(65ml)に角砂糖約4個分もの糖が含まれているのです。きっと、びっくりする人も少なくないでしょう。
もちろん、乳酸菌が腸に対して多くの健康効果をもたらすことは間違いありません。腸内細菌のバランスをよくすることが、さまざまな病気の予防や治療に役立つことも明らかになっています。
ただ、残念ながら「多くの糖を使って、甘くつくられてしまっている」以上、脂肪肝や糖尿病、肥満の人にとっては、逆に健康にマイナスに働いてしまう可能性大なのです。
ですから、腸へのメリットだけでなく、肝臓や糖尿病へのデメリットをよく考えて摂取するようにすべき。そのデメリットに目を向けないまま、「毎日1本」を習慣づけてしまうのは、私は危険だと思います。
■カフェイン×糖で血糖値上昇
〈甘い缶コーヒー〉
コーヒーや紅茶は「無糖」であればまったく問題ないのですが、最近はかなりの糖分を加えて甘くしたものが数多く出回っています。
よく見るサイズの缶コーヒー(185g)を見ると、マイルドな甘さの加糖タイプは角砂糖約4個分、微糖タイプは角砂糖約2個分の糖が含まれています。また、ゴクゴクッと飲めるタイプの500mlペットボトルの加糖カフェオレ飲料には、角砂糖約15個分もの糖が含まれています。
しかも、コーヒーや紅茶などのカフェイン飲料の場合、「カフェインに糖がプラスされると、より血糖値が上がりやすくなってしまう」という特徴があることも分かっています。
コーヒーや紅茶はかなり習慣的に飲むケースが多いので、健康を大事に思うなら無糖で飲むことをおすすめします。とりわけ、脂肪肝や糖尿病がある人、肥満の人は、砂糖なしで飲むのを徹底して習慣づけるほうがいいでしょう。
〈エナジードリンク〉
仕事や作業で疲れたとき、「疲れを取りたい」「元気を取り戻したい」とエナジードリンクを利用する人も少なくないと思います。ただ、じつは小さい瓶に入った人気のエナジードリンク(100ml)にも角砂糖約6個分の糖が含まれているのです。
また、エナジードリンクにはたいていカフェインが含まれているので、そこに糖が加わることで血糖値が上がりやすくなってしまいます。
だから、脂肪肝や糖尿病、肥満があるにもかかわらず、毎日エナジードリンクを飲みながら仕事をがんばっているような人は、“疲れを取りたい”と思ってやっている習慣が、逆に自分の健康にとってマイナスに働いていたということになる可能性大です。
心当たりがある人は、エナジードリンクに頼ることなく疲労回復をする手段を考えたほうがいいでしょう。
■むしろ健康へのデメリットのほうが大きい
〈黒酢ドリンク〉
お酢には健康にプラスになる多くの作用があります。お酢を使った料理を積極的に摂取するのはもちろん、少量のお酢を飲むのを習慣づけるのもいいと思います。
ただ、市販されているお酢のドリンクには、糖を加えて飲みやすくしたものが多いのです。小さな紙パックの黒酢ドリンク(125ml)にも角砂糖2個分の糖が使用されています。日々常飲していると、酢の健康へのメリットよりも、糖の健康へのデメリットのほうが大きくなってしまうことも十分考えられます。
黒酢などのお酢を飲用するなら、ぜひ糖が含まれていないものを選ぶようにしてください。
〈ゼリー、プリン〉
ゼリーやプリンは、甘い飲み物とほとんど変わりません。胃での消化の必要がほとんどなく、スピーディーに小腸に到達します。そして、甘い飲み物と同様、ブドウ糖や果糖が肝臓へのダメージにつながっていくのです。
なお、フルーツゼリーの中には、フルーツの果肉が丸ごと入っているようなタイプもありますが、そういうタイプは食物繊維が残っているだけマシ。食物繊維がすっかり取り除かれてしまっているタイプのリスクは、「甘い飲み物とまったく同じ」と思っておいたほうがいいでしょう。
■ゼリーよりも固形物を
〈パウチゼリー〉
コンビニやスーパーなどで、時間がないときや忙しいときに素早くエネルギーをチャージするための「パウチゼリー」が売られているのをよく見かけます。プロテインが配合されたものやフルーツフレーバーを加えたものなど、とてもたくさんの種類が並んでいますよね。
ただ、あのタイプのゼリー飲料も、脂肪肝や糖尿病、肥満が少しでも気になるなら、摂取を控えておいたほうがいいでしょう。糖質をたくさん含んでいて、素早く小腸に到達して血糖値を急上昇させてしまうという点では、甘い飲み物とまったく変わりません。
どんなに忙しくても、ゼリー飲料やカロリー飲料に頼ることなく、ちゃんと固形物を食べることをおすすめします。
〈アイスクリーム、シャーベット〉
アイスクリームやシャーベットは、口の中に入れた瞬間に液体に変わるようなものです。やはり、リスクは甘い飲み物と同じだと思ったほうがいいでしょう。
暑い時期にたまに食べるくらいなら構いませんが、アイス好きの中には、冷凍庫に大量にストックしておいて、「毎日間食に食べる」「毎日デザート代わりに食べる」という人もけっこういると聞きます。
少なくとも、脂肪肝や糖尿病、肥満が気になるという人は、そういう習慣とは早急に手を切るべきです。
■ヨーグルトを食べるなら無糖で
〈飲むヨーグルト、甘いカップヨーグルト〉
「ヨーグルトは健康にいいもの」と思い込んでいる人が多いでしょう。もちろん、腸内環境を整えるなどの健康効果は盛りだくさんなのですが、市販の「飲むヨーグルト」や「甘いカップヨーグルト」には、かなりの糖がプラスされていることを忘れてはなりません。
これはかなり大きな盲点ではないでしょうか。健康のためにヨーグルトを食べるのを習慣にするなら、ぜひ無糖のものを選んでください。
また、無糖ヨーグルトにハチミツをかけて食べる人も多いと思います。「砂糖がダメでもハチミツならいいだろう」と考える方が多いのですが、これも間違いです。ハチミツには植物由来の不純物や水分が混じっているものの、成分の約8割は糖質で、ブドウ糖と果糖の割合はおおむね1対1。砂糖とほぼ変わりません。
さらに、大さじ1杯のカロリーも砂糖35kcalに対してハチミツ64kcalとハチミツのほうが高く、かえって体重増加につながりかねないのでご注意ください。
〈甘いアルコール飲料〉
最近、アルコール度数を低く抑えた「ジュースのような甘いお酒」を飲む人が増えています。コンビニやスーパーにはいろんな種類の350ml缶カクテル・サワーが売られていますよね。それに、梅酒、あんず酒などの果実酒、甘酒、甘い日本酒やワイン……。
こうした甘いお酒には大量の糖分が含まれるうえ、アルコールの影響もプラスされて、肝臓にたいへん大きな負担をかけることになります。とりわけ、脂肪肝や糖尿病、肥満が気になる人は、甘いアルコール飲料に気軽に手を出すのは禁物だと思っておくほうがいいでしょう。
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肝臓外科医
長野県佐久市立国保浅間総合病院外科部長、同院「スマート外来」担当医。医学博士。一般社団法人日本NASH研究所代表理事。1995年神戸大学医学部医学科卒業、 2003年医学部大学院博士課程修了。パリ、ソウルの病院で多くの肝移植手術を経験したのち、2009年から日本赤十字社医療センター肝胆膵・移植外科で生体肝移植チーフを務める。さらに東京女子医科大学消化器病センター勤務を経て、2016年より長野県に移住。2017年スタートの「スマート外来」は肥満解消と脂肪肝・糖尿病改善のための専門外来。著書に『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす食事術』、『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす7日間実践レシピ』『肝臓から脂肪を落とす お酒と甘いものを一生楽しめる飲み方、食べ方』(いずれもKADOKAWA)などがある。
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(肝臓外科医 尾形 哲)
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