1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

食事と一緒に「口の中の細菌」を流し込んでいる…ハミガキ、フロスに「あと1つ」加えたい「おくち美化」のひと手間

プレジデントオンライン / 2024年12月25日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Olga Shefer

口内環境を清潔に保つにはどうすればいいのか。歯科医師の栗原丈徳さんは「ハミガキ、フロスに加えて、1日1回の舌磨きもやってほしい。舌の汚れはハミガキでは取れず、苔が溜まると口臭などの原因になる」という――。

※本稿は、栗原毅・栗原丈徳『体が勝手に痩せはじめる「おくち美化」習慣』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■ハブラシだけでは6割しか汚れを除去できない

ハブラシだけでは、歯と歯の間の細かい部分の汚れを落とすことが難しく、プラークの60%程度しか除去できないと報告されています。ハブラシと歯間ブラシの併用では除去率が約85%、ハブラシとデンタルフロスの併用では除去率が79%という研究もあります。

口の衛生を考えると、歯間ブラシやデンタルフロスの併用が役立つのです。とはいえ、忙しいのに毎食ごとのハミガキに時間がかかるのは困るということはあるでしょう。ハミガキは就寝直前と起床直後にしっかり磨くことをお勧めしています。そのときに歯間ブラシやデンタルフロスも活用してみてください。

■歯間ブラシ→ハミガキの順だとより汚れが落ちやすい

歯間ブラシはサイズがいろいろあるので、迷ったときには歯科医院に相談するのがベストです。自分に合ったサイズの歯間ブラシを見つけたら、まずは前歯の歯と歯の間に入れてみましょう。歯面に沿わせて前後に動かし清掃すると、歯と歯の間の汚れを効率よく取り除けます。

歯間ブラシはこう使う!

出所=『体が勝手に痩せはじめる「おくち美化」習慣』

奥歯は、使いやすいように歯間ブラシの先を曲げるとよいでしょう。曲げたほうが奥歯は磨きやすいです。最初はなかなか慣れないかもしれませんが、習慣化できればスムーズに磨けるようになるでしょう。図表1を参考にいろんな磨き方にトライしてみてください。

歯間ブラシの後にハミガキをすると汚れがより落としやすいといわれます。ちょっとハミガキ時間が長くなりますが、ぜひ試してみてください。

■舌は細菌やゴミがたまりやすい

歯の次は舌の話をしたいと思います。

舌の上は粘膜の突起(舌乳頭)で覆われています。長い毛の絨毯のような状態で食べ物などをキャッチし、味蕾と呼ばれるセンサーで味を感じます。

感覚器として優れた役割を果たす舌ですが、溝に細菌やゴミもたまりやすく、口の中の衛生環境が悪い状態では、細菌が繁殖した舌苔が生じます。舌苔は口臭につながり、舌苔の細菌が唾液を汚し、歯に付着すると歯周病に、舌苔の細菌が肺へ侵入すると誤嚥性肺炎にもなります。

口の衛生環境を考えたときには、ハミガキに加えて舌磨きも重要といえるのです。

では、舌磨きはどうやってどれくらいの頻度で行えばいいのでしょうか。

■舌掃除は専用の舌ブラシで磨く

口の衛生状態が悪く舌苔が厚くなると細菌の温床となります。歯周病菌は酸素を嫌う嫌気性細菌という種類で、酸素に触れることが少ない舌表面の突起の間の溝の中で増殖しやすいのです。

その舌の状態で食事をしたらどうなりますか?

歯周病菌は食べ物と一緒に胃を通って腸へ到達し、腸内環境を乱すことで脂肪肝、糖尿病、肥満へとつながるのです。しかし、ハミガキをしても舌苔はとれません。舌磨きが必要なのです。

とはいえ、無暗にゴシゴシすると舌を傷つけることになり逆効果です。舌も正しく磨きましょう。

舌ブラシの使い方

出所=『体が勝手に痩せはじめる「おくち美化」習慣』

市販の舌ブラシは、ヘラタイプやブラシタイプなどの形状や、シリコン製やプラスチック製といった素材など、いろいろなタイプが発売されています。やさしく磨けるものを選ぶようにしましょう。

舌ブラシの使い方は、奥から手前にこするのが鉄則です。手前から奥にこすると、細菌や汚れが喉の方へ行くので注意しましょう。

①鏡を見ながら舌を思い切り出します。②舌苔のついている部分を確認しながら、舌ブラシで必ず奥から手前にこすります。1日1回、就寝直前に行うと、寝ている間の細菌の繁殖や、唾と一緒に飲み込むことでの誤嚥性肺炎を防ぐことにもつながります。舌磨きを習慣化すると風邪などの感染症の予防にもなります。

ハブラシでの舌磨きは舌を傷つけるので逆効果になります。止めましょう。

■自宅のハミガキだけでは限界がある

毎日しっかりハミガキをしているつもりでも、歯と歯ぐきの間や、歯と歯の間に磨き残しは生じます。磨き残しによるプラークは、口の中のカルシウムと結合することで石灰化して硬い歯石になり、ハミガキでは取り除くことができなくなります。

歯石は歯周病菌などの温床で、放っておくと歯周病菌の毒素で歯ぐきの腫れや出血といった症状が起こり、歯周ポケットが深くなってさらに歯周病が進行します。それを防ぐには、定期的に歯石や歯垢の除去を歯科医院で行ってもらうことが大切になります。同時に、口の状態に合わせたハミガキ指導も受けることができます。

■毎日のセルフケアと、数カ月に1回のプロケア

毎日ハミガキをして歯間ブラシや舌ブラシを使うなど、セルフケアに時間がかかると面倒に感じることがあるでしょう。

栗原毅・栗原丈徳『体が勝手に痩せはじめる「おくち美化」習慣』(KADOKAWA)
栗原毅・栗原丈徳『体が勝手に痩せはじめる「おくち美化」習慣』(KADOKAWA)

定期的な歯科医院でのプロフェッショナルケア(プロケア)を受けるようになって、「歯科で歯石をとってもらうから」とセルフケアをおろそかにしてしまう人がいます。しかし、セルフケアを怠ると、歯と歯ぐきの隙間などに歯石がたまり、それらはハミガキで取り除くことができないため、口の衛生環境が悪化します。

一般的に歯科医院の歯石除去のメンテナンスは、4カ月〜半年に1回ですのでプロケアだけを頼りにすると口の環境は悪化します。セルフケアを日々しっかり行った上でプロケアを活用するのが基本です。ハミガキのコツなどもプロケアで教わることで、日々のセルフケアを効率的に行えるようにすることも可能です。

----------

栗原 毅(くりはら・たけし)
医師
1951年新潟県生まれ。北里大学医学部卒業。東京女子医科大学で消化器内科学、特に肝臓病学を専攻し、同教授を歴任、2007年より慶應義塾大学教授。2008年に消化器病、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病の予防と治療を目的とした「栗原クリニック東京・日本橋」を開院。『1週間で勝手に痩せていく体になるすごい方法』(日本文芸社)など著書多数。

----------

----------

栗原 丈徳(くりはら・たけのり)
歯科医師
1982年、東京都生まれ。鶴見大学歯学部卒業。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科中退。栗原ヘルスケア研究所所長・歯科医師。「予防歯科」「食と健康」をテーマに活動をしている。とくに「口の健康と全身疾患との関連性」に興味を示す。大学や介護施設などで講演も行っている。日本抗加齢医学会、日本咀嚼学会、日本摂食嚥下リハビリテーション学会会員。

----------

(医師 栗原 毅、歯科医師 栗原 丈徳)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください