「今日も不愉快でいてくれて、ありがとう」…こいつだけは許せないと思う相手に感謝できるソクラテスの言葉
プレジデントオンライン / 2024年12月13日 10時15分
■嫌な奴ばっかり…複雑にからまった人間関係をほどくヒント
人生における最大の悩みの種は「人間関係」です。会社の中にも、気に入らない相手や苦手な相手がいるはず。「合わない」程度ならどうってことありませんが、時には「許せない!」「ふざけんな!」という激しい怒りや憎しみを抱いてしまうことも。
そんなときに、別の同僚に「あいつだけはホントどうしようもない」「今日もこんなことを言っていた」などと悪口や批判に精を出しても、何の解決にもなりません。むしろ余計にムカムカするし、結果的には自分の評判や評価を落とすだけです。
人間関係のあれこれは、いくら悩んでも考えても出口は見えてきません。ただ、相手の性格や態度を変えることはできなくても、自分の受け止め方や考え方を変えることはできます。名言の力を借りて、複雑にからまった紐をほどくヒントを探りましょう。
名言その1
■【弱いものほど相手を許すことができない。許すという気持ちは強さの証だ】
マハートマー・ガンディー(インドの弁護士・政治指導者・思想家/1869~1948年)
人と人とが付き合う中で、相手の言動に怒りを覚えたり、理解できないと感じたりすることはよくあります。そのたびに「こんな人とは思わなかった」と幻滅したり、「こんな人とは付き合っていけない」と距離を取ったりしたら、あっという間にまわりから誰もいなくなるでしょう。
誰しも身に覚えがあるように、人間は完璧ではありません。そして、どんなに仲が良くても、すべてわかり合えるわけではありません。自分自身も、たくさんの不完全な部分を抱えていて、思いがけず誰かを怒らせたり、知らないうちに周囲から顰蹙を買ったりしながら生きています。
相手を許すのは簡単ではありません。許すためには、自分自身も含めて人間の不完全な部分を丸ごと受け止める勇気と覚悟が必要です。許さずに怒り続けているほうが「楽」ですが、マイナスの感情に振り回されていても何も得られません。勇気を振り絞って、「許す」という選択肢を選んでみましょう。
名言その2
■【友と敵がいなければならない。友は忠言を、敵は警告を与えてくれる】
ソクラテス(古代ギリシャの哲学者/紀元前470頃~紀元前399年)
たとえば職場の顔ぶれを思い浮かべてみると、大ざっぱに「友」と「敵」に分けることができるのではないでしょうか。いや、露骨に対立している必要はありません。表面上は仲良くしていても、言葉の端々にトゲを感じたり態度や表情でこちらを不安にさせたりする人はいます。
人間は至らないところだらけ。あなたのことを本当に考えてくれている「友」は、時に「ここは直したほうがいい」という“忠言”を与えてくれます。いっぽうで、微妙な関係にある「敵」は、親切にアドバイスしてくれたりはしません。しかし、ちょっとしたイヤミや不機嫌な態度を通して、「あなたは間違っている」という“警告”を与えてくれます。
何に対する警告なのか、よくわからない場合もあるでしょう。ただ、苦手意識を持っている「敵」からの不愉快な言動や態度は、自分に大切なことを教えてくれていると考えると、ショックが和らぎます。「今日も不愉快でいてくれるからこそ勉強になります」と感謝の気持ちを抱いてもかまいません。
名言その3
■【「垣根」は相手が作っているのではなく、自分が作っている】
アリストテレス(古代ギリシャの哲学者/前384~前322年)
職場でもプライベートでも、「この人はどうも苦手」と感じる人はいます。話しかけづらかったり、勇気を振り絞って話してみてもギクシャクしてしまったり……。そうしたことが続くと、相手が自分に対してマイナスの感情を抱いている気がしてきて、ますます苦手意識がふくらみます。
それはまさに、自分で「垣根」を高くしている行為。どこか遠慮がちに話しかけていたら、相手だってギクシャクした受け答えになってしまいます。自分の領域に踏み込まれるのが怖くて、分厚い「垣根」を築き続けているケースも少なくありません。「あの人はどうして……」と相手に原因を求めるのをいったんやめて、自分の「垣根」を取り払ってみましょう。
それでも「苦手意識」がなくならない場合もあります。すべての人と仲良く接することはできません。相手ごとにちょうどいい距離感で、誰とでもなるべくフラットな気持ちで付き合うことも、目障りな「垣根」を意識しない人付き合いの秘訣です。
名言その4
■【相手の態度に腹が立ったときには、「世の中に腹の立たない人がいるだろうか」と自問自答してみなさい】
アウグスティヌス(カトリック教会の司教、神学者、哲学者/354~430年)
この言葉は、さらに「ありえないことを相手に求めてはいけない」と続きます。腹が立ったということは、言い換えれば、相手に「私を不快にさせるな」と要求しているということ。そもそもが無理のある要求だし、こっち側の勘違いやワガママで腹を立てていることもあります。
嫌なことを言われたりされたりして、腹が立ったときだけではありません。仕事を覚えてくれない、話が通じない、考え方が合わない……など、目の前の人が、こちらの求めに応えてくれないケースは山ほどあります。しかし、仕事を完璧に覚えてくれたり、どんな話もすんなり通じたり、考え方がピッタリ合ったりする人なんて、どこにも存在しません。
他人に対して腹立たしさや不満を感じたときは、「ありえないこと」を相手に求めていないかどうか、胸に手を当てて考えてみましょう。相手の求めに十分に応えられていないのは、自分だって同じです。多少の至らない部分は、お互いに許し合いたいところ。そのほうが、自分自身も楽になれます。
名言その5
■【嫉妬深い人間は、自ら真実の徳をめざして努力するよりも、人を中傷するのが、相手を凌駕する道だと考える】
プラトン(古代ギリシャの哲学者/紀元前427頃~紀元前347年)
巷には悪口や中傷が飛び交っています。誰しも、同僚や知人の心無い悪口に傷ついた経験があるはず。当人は悪口のつもりはなくても、何気ない嫌味や無意識のマウンティングで、けっこうなダメージを受けることも少なくありません。
この言葉を見ると、どうやら人間がやることは、プラトンが生きた古代ギリシャ時代から、ぜんぜん変わっていないようです。嫉妬深い人間や努力する気がない人間は、誰かを中傷することで自分のプライドを手っ取り早く満たしてきました。実生活だけでなく、ネット上にもそういう人は山ほど見かけます。
そんな残念な人たちのセコイ都合に振り回される必要はありません。まして、反省する必要なんてありません。たとえ自分に向けて言われた言葉でも「自分には関係ない話」です。そんなことに精を出している姿を見て、哀れに思ってあげましょう。
「名言」は人類の叡智の集大成です。さまざまな偉人が残した言葉や、世界各地で大昔から伝わっている言葉には、強く生きるための知恵や自分を元気づける秘訣が詰まっています。生きていく上で必ず付きまとう悩みや迷いやモヤモヤは、名言に解消してもらいましょう。悲しいときや落ち込んだときは、名言に慰め励ましてもらいましょう。名言という頼もしい味方と手を取り合いながら、あなたの人生をあなたらしく胸を張って歩いて行ってください。
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大人系&検定系コラムニスト
1963年三重県生まれ。1993年に『大人養成講座』でデビューして以来、大人の素晴らしさと奥深さを世に訴え続けている。『大人力検定』『父親力検定』『大人の言葉の選び方』など著書多数。最新刊『昭和人間のトリセツ』(日経プレミアシリーズ)と『人生が好転する95の言葉 大人のための“名言ケア”』(創元社)が好評発売中! 郷土の名物を応援する「伊勢うどん大使」「松阪市ブランド大使」を務める。
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(大人系&検定系コラムニスト 石原 壮一郎)
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