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高校まで絶対スマホを持たせなかった…わが子が欲しがるものを与えてきた早実初等部校長が譲らない唯一の事

プレジデントオンライン / 2024年12月16日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Delfinkina

クリスマスなどの親から子への贈り物にはご褒美や励ましのほか、「こんな人になってほしい」といった願いも込められる。名門私立の校長は自分の子供に何をプレゼントしたのだろうか。威厳ある校長先生ではなく、家庭のパパ・ママとしてどんな思いがあったのか。プレジデントFamily編集部の取材に、渋谷教育学園幕張中学校・高等学校校長の田村聡明さんと早稲田実業学校初等部校長の星直樹さんが答えてくれた――。

※本稿は、『プレジデントFamily2025冬号』の記事の一部を再編集したものです。

■■渋谷教育学園幕張中学校・高等学校校長 田村聡明先生

地球儀と地図です。時や場所を超えてほしかったから

Q:子供に贈ったプレゼントは?

地球儀と地図を贈りました。

地球儀を回せば、世界を意識することができます。果ては宇宙まで意識を広げることも可能かもしれません。科学(サイエンス)もまた、天文学から始まりました。これまで人類が歩んできたさまざまな歴史的事柄に思いを馳(は)せることは楽しいことです。

また、いろいろな地図を見れば、今とは違うことがたくさん発見できます。時代や社会、世界の変化に想像を膨らませることもできます。子供たちには、時や場所を超えて自由に、いろんなことを考えてみる時間を大切にしてほしいと思っています。

Q:プレゼントを選ぶときに心がけていること、ルールはありますか。

田村聡明氏
田村聡明氏(出典=『プレジデントFamily2025冬号』)

あまり「子供」に与える、ということを意識しないようにしています。子供だからこういうものを、とか、教育にいいからこれを、というのではなく、私自身がいいな、面白いなと感じたものを贈るようにしたいと心がけています。

面白いな、楽しいな、これは何だろう、といった刺激は、子供の心に影響を与え、好奇心を育む素地になるのではないでしょうか。

いろいろな刺激こそ、本校の理念でもある、自らの手で調べ、自らの頭で考えるという「自調自考」につながっていくと感じています。

■■早稲田実業学校初等部校長 星直樹先生

欲しがるものを! その子の世界観を深めます

子供は2人。上が社会人1年目の息子、下は大学4年生の娘です。

息子へのプレゼントで、よく覚えているのが自転車、いわゆるロードバイクですね。中学校1年生の頃だったかな。私も趣味程度に乗っていたので、一緒に店に行って選びました。それからは、息子はどこに行くにも自転車。電車で行く距離でも自転車で乗り付けるから、みんなから「星くんは、いつも自転車だね」って言われていたみたいです(笑)。私ともよく一緒に出かけました。富士山の周りのサイクリングコースも2人で走りました。

長男と私の自転車。黒のトレックは3代目、息子に最初に買った自転車はキャノンデールの白でした。
長男と私の自転車。黒のトレックは3代目、息子に最初に買った自転車はキャノンデールの白でした。(出典=『プレジデントFamily2025冬号』)

娘にも同じように自転車を買いましたが、そちらは全くヒットしませんでした。娘が欲しがったのは、ぬいぐるみ。ディズニーのキャラクターや動物など、そういうものを贈ると、すごく喜びました。

基本的には、本人が欲しがるものを与えていました。ただし、いくら欲しがってもスマートフォンは、高校を卒業するまでは与えませんでした。2人ともスマホを持ったのは、大学生になってから。友達や部活動での連絡など、ものすごく苦労したようですが、絶対にスマホを持たせない。それは、わが家の教育方針でした。

星直樹氏
星直樹氏(出典=『プレジデントFamily2025冬号』)

夫婦で話していたのは「子供ならではの世界、子供らしい生活を大切にしよう」ということでした。昔は「大人は大人」「子供は子供」、それぞれの世界があって、それぞれの生活がありました。でも今は、大人も漫画を読むし、SNSは子供も使える。特にスマホの登場によって、その境目がなくなってしまいがちです。だからこそ子供の育つ環境は、親が意識して整えようと思ったのです。

子供の世界は、「具体物に触って」なんぼです。昆虫や植物、川の水や畑の土……、実際に触ることで感じることから、子供は多くのことを学び成長していくのです。そこをスルーしてスマホの画面で満足してしまうと、子供時代にしか感じられないもの、子供だからこそ引っかかることがなくなって、一足飛びに大人になってしまう。非常に残念なことです。デジタルや仮想空間の世界に行くのは、具体物に触った後でいいのです。

■大学生で初めてスマホを持った長男の進路先

子供らしく過ごせる環境を整えることは、これからの親の役割として、ますます大切になるだろうと思います。

息子は、ロードバイクがきっかけで機械いじりを始めて、技術系の道に進みました。娘は、ぬいぐるみに癒やされたことも多かったのでしょう。物を通して人とつながることがすてきだなという思いがあったようで、将来は、言葉や製品を通して、人と人をつなげる仕事を目指しているようです。

子供が欲しがるものには、その子の興味・関心が反映されています。そのプレゼントによって、自分の世界観をより深めて、やがて自分の進むべき道を見つけていく。2人を見ていると、つくづくそう感じます。

『プレジデントFamily2025冬号』(プレジデント社)
『プレジデントFamily2025冬号』(プレジデント社)

これからの時代は“違い”が大事になってきます。そこで重要なのは「自分の願いを持つ」こと。現状を鵜呑みにするのではなく、こんな社会になったらいいな、このような便利なものがあったら生活がすてきになるな、など、人の生活をよりよくするための創造力や構想力を持ち、膨らませることが大切だと思います。

将来なりたい自分なんて、明確なものでなくていい。ただ好きなことや好むものを、だんだん意識させていく。贈り物は、その絶好の機会といえるかもしれません。

ですから親御さんは、一線を守りながらも、基本的にはその子の欲しがるものを与えていいと思います。それが、その子の世界観を形成する手助けになるのはもちろん、要望にこたえてやると、子供は小さな成功体験を積むことができます。肯定された、認められたと感じることができるでしょう。そう考えると、プレゼントの積み重ねというのは、すごく大事ですね。

(プレジデントFamily編集部 構成=池田純子(星先生)、本誌編集部(田村先生) 撮影=遠藤素子(星先生))

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