日本人の99%は無意識にこれをやってしまう…あなたの「お辞儀」 「お礼」に全然気持ちがこもらない当然の理由
プレジデントオンライン / 2024年12月17日 10時15分
※岡本純子『なぜか好かれる「人前での話し方」』(東洋経済新報社)の一部を再編集したものです。
■プレゼン、会議、面接は「目」で決まる
「目は口ほどに物を言う」
こんな言葉がありますが、目は人間の身体で最も注目を集めやすいパーツです。あるアンケート調査によれば、どのような顔が「性格が悪そうな顔なのか?」という質問に対して、
「目が冷たい」(46.9%)
「笑っていても目が笑っていない」(45.1%)
という回答が多く寄せられていました。
逆に、どのような顔が「性格が良さそうな顔なのか?」という質問に対する回答は、
「笑ったとき、目も笑っている」(54.5%)
「目がキラキラしている」(34.8%)
という順番でした。
シェイクスピアの言葉に、「The eyes are the window to the soul」というものがあります。直訳すると「目は魂への窓」「心の鏡」などと訳されたりします。
目を見れば、その人の本質までが見えてしまう、ということのようです。
それぐらいに大事な「目」は、人前で話すときも非常に大きな役割を果たします。
「ボディランゲージの一番のポイントは?」と聞かれたら、私は迷わず「アイコンタクト」と答えるでしょう。
それぐらい、話し手と聞き手が視線を交わすことは大切なのです。
それは、なぜでしょうか?
アイコンタクトは両者の大脳辺縁系のミラーシステム(目にした行為をあたかも自身のものであるかのように「共鳴する」仕組み)を活性化することが、生理学研究所の定藤規弘教授らの研究で明らかになっています。
つまり、喜びや興奮といった感情を共有し、お互いの共感を高め、絆を深めることができるということなのです。
それ以外にも、アイコンタクトによって、話の内容が理解され、記憶されやすくなる、敬意を感じやすくなる、より魅力的に見えるなど、その効果は多くの研究によって実証済みです。
まるでネオジム磁石のように、人間同士を結びつける最強の武器である一方で、目を合わせないことは自信のなさを示すとも言われます。
アイコンタクトを極めることは、話し方マスターへの第一歩なのです。
■アイコンタクトは「キャッチボール」と「0-3-50-70-100」方程式
アイコンタクトがいかに大切とはいえ、「恥ずかしい」「やり方がわからない」「目を合わせるのが苦手」という方に朗報です。「目からうろこ」の秘策があるのです。
プレゼンなどで複数の人の前で話す場合、目の前にいる人たちとのアイコンタクトの方法として、次のうち、どれが正解でしょうか?
①灯台方式:灯台のサーチライトのように聴衆全体をなめるように見渡す
②見返り美人方式:目線は基本、スライドに向き、時々、振り返るように聴衆を見る
③テニスの観客方式:右から左、左から右へと振り子のように目線を配る(首相会見のように、両側にプロンプターを置くとやりがち)
じつは、どれも間違っています。
「目の前の人たちを、じゃがいもだと思え」などというアドバイスもありますが、これもNG。
正解は「キャッチボール方式」。目の前の一人ひとりと順番にキャッチボールをするように、目線を交わすのです。人数の多い会場であれば、6セクションぐらいに分け、Aセクションの誰かひとり→Cセクションのひとり……というようにひとりずつ目を合わせるようにしていきます(図表1)。
ポイントは、聴衆の誰かひとりとしっかりと目を合わせること。
「この人は私のことをちゃんと見てくれている」
「私に対して話しかけてくれている」
と相手に思わせるのです。向き合うのは人であり、じゃがいもではありません(どちらも「め」はありますが……)。
「人と目線を交わすのがどうしても苦手」という人は、相手の両目の間、眉の間など、目になるべく近い箇所を見るようにしてください。
アイコンタクトの方程式は「0-3-50-70-100」と覚えましょう(図表2)。
<ここがポイント>
●相手と会った瞬間(0秒目)、話しはじめる前に、まず目を合わせる
●1回のアイコンタクトは3秒ぐらい
●自分が話しているときは50%の時間、相手の目を見る
●話を聞くときは70%の時間、相手の目を見る
●リモート会議では、話す間は100%、目線を合わせる
2023年に、海外のTikTokで大いにバズったのが「トライアングルメソッド」と言われるアイコンタクトの手法でした。「相手の片方の目→口→もう片方の目」という順に見つめることで、「相手を自分に夢中にさせる」というものでしたが、これに科学的根拠はありません。ただ、アイコンタクトを戦略的に使うことで、相手の心をつかみやすくなることは間違いないでしょう。
■お辞儀で「ありがとう」はおすすめしない理由
人と人が気持ちを通わせるうえで、これだけ重要なアイコンタクトですから、間違ったやり方では、いっきに印象を下げてしまうので注意が必要です。
アイコンタクトのNG例としては、こんなものがあります。
<これはNG>
●まったく目線を合わせない
●相手を凝視する
●せわしなく、不自然に急いで目をそらす
●ずっと下を向く
●目線を上に向ける
目をそらすときはゆっくりと、相手の顔のほかのパーツなどに目をやりましょう。最後の「目線を上に向ける」というしぐさですが、これは、「えっと〜」と考えながら、上を見るあの動作のことです。
じつはこのしぐさをする人は少なくなく、とくに若い女性に多い印象です。何かを答えるときに、頭の中にある答えを探ろうとして、つい、上を見てしまうらしいのですが、「しっかりとした答えがない」「自信がない」「不安そう」に見えてしまうというデメリットがあります。
気づかないうちにクセになっている人もいるので、注意してみましょう。
そして、もうひとつ。これはNGではないのですが、私は個人的にあまりおすすめしていないふるまいがあります。
それが、日本人の99%が無意識にしている「お辞儀をしながら『ありがとう』を言う」ことです。
お辞儀をしている間は、アイコンタクトができません。本当に大切なメッセージを伝える場面では、やはり、「目と目を合わせる」ほうが気持ちは断然、伝わります。だから、「ありがとう」と伝える場面では、相手の目をしっかりと見て、目でも気持ちを伝える。
お辞儀は、そのあとでもいいのです。
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コミュニケーション戦略研究家・コミュ力伝道師
「伝説の家庭教師」と呼ばれるエグゼクティブ・スピーチコーチ&コミュニケーション・ストラテジスト。株式会社グローコム代表取締役社長。早稲田大学政経学部卒業。英ケンブリッジ大学国際関係学修士。米MIT比較メディア学元客員研究員。日本を代表する大企業や外資系のリーダー、官僚・政治家など、「トップエリートを対象としたプレゼン・スピーチ等のプライベートコーチング」に携わる。その「劇的な話し方の改善ぶり」と実績から「伝説の家庭教師」と呼ばれる。2022年、次世代リーダーのコミュ力養成を目的とした「世界最高の話し方の学校」を開校。その飛躍的な効果が話題を呼び、早くも「行列のできる学校」となっている。
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(コミュニケーション戦略研究家・コミュ力伝道師 岡本 純子)
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