「ウソをつく人」「約束を守らない人」は論外…億を稼ぐ富裕層が「絶対に関わりたくない」という人の特徴
プレジデントオンライン / 2024年12月26日 9時15分
※本稿は、田中渓『億までの人 億からの人 ゴールドマン・サックス勤続17年の投資家が明かす「兆人」のマインド』(徳間書店)の一部を再編集したものです。
■人間関係を意識して仕事を行う
お金に稼いでもらうことが大切。……といいつつも億を稼ぐようになる人は、資産を形成するまでは、自身の労働で稼がなければなりません。ですが、その働き方を見ていると、やはり圧倒的に違いがある、と感じます。投資でも取引でも、基本的には仕事は相手があることを前提に人間関係を意識した仕事ができている印象です。具体的には、以下のような共通点があると思います。
1.メールの返信が速い
2.情報提供や人の紹介を惜しまない
3.「ToDo」と時間軸の整理が明確
4.チームの稼働率を100%にできる
5.判断事項は、考えなしに持ち帰らず、その場で結論を出す
6.相手の立場が理解できている
7.いつでも責任感とオーナーシップを持って仕事をしている
富裕層は少なくとも4~5つ、ほとんどの場合7つすべてにチェックが入るでしょう。
それぞれの項目を簡単に解説していきます。
■メールは丁寧な返信よりもとりあえず読んだことを伝える
富裕層マインド1.「メールの返信やアウトプットが速い」
メールの送り主はいつでも相手の反応を気にしています。時間をかけて丁寧な返信をするより、とりあえず「拝受しました」「のちほど改めて」のように、まずは何かしらのレスポンスを出すと相手は「読んで意識してくれているのだな」と、モヤモヤがなくなります。「スピード感×相手の心情を察して動く」は基本です。
富裕層マインド2.「情報提供や人の紹介を惜しまない」
富裕層は信頼している相手に対し、情報や人脈、持ち物ですら惜しまずに与えます。そこに信頼関係があれば、そういう人に対してはお返ししたくなるという心理が働くので(返報性の原理)、ますます人間関係が良好になり、その輪は広がりながら循環します。
富裕層マインド3.「『ToDo』と時間軸の整理が明確」
「何をいつまでにやればいいのか」をいつでも正確に把握しておくことは、時間コントロール、リソースコントロールをするうえで必須。会議や打ち合わせであれば、終了前2〜3分のタイミングで、そこで決まったことや持ち帰り事項、デッドラインや役割分担などをさらっと整理して、そのとおり実行します。また、要所要所でのフォローアップや、決めたデッドラインが近づいたときのリマインドも欠かしません。
■「夜中にたまったメールをまとめて返す」はNG
富裕層マインド4.「チームの稼働率を100%にできる」
稼げる人は、指揮系統が明確で、オーケストラの指揮者のようにチームメンバー全員を同時に稼働させ、コントロールができています。
「Aさんが事業計画の骨子をつくっている間にBさんはなかに入れるデータを明日までに集めておいて。Cさんは公表のためのコンプライアンスの承認をとっておいて。これは今週中で大丈夫です。その間、Dさんは想定問答集をつくって、先にマネージャーに渡しておいて。その際は、事業計画は作業中だけど、明日朝には見られるようにしておく、と伝えておいて」
「あと、マネージャーは今日会食だから、想定問答集はは15時までに渡して、17時までに意見もらっておいて。会食前に資料レビューの時間ください、とはあらかじめ伝えてあるから時間はとってくれるはず。その間、僕は今から、全体のプレゼンテーションのレビューをして、みなさんにメールします。その返信はみなさんの作業が終わってからでいいです」というようにテキパキと役割分担とデッドラインを明確に決めて指示し、上司であるマネージャーも含めて、全員の稼働率を100%にします。作業の山場が来る日のことを先読みして、各人のスケジュールをあらかじめ押さえておくことなどにも余念がありません。
悪い例としては、日中は自分の作業だけに没頭し、夜中にたまったメールを返すパターンです。まとめてメールを返せてスッキリするし、ハードワーカーな気分になりますが、夜中にメールを返しても、その返信が来るのは翌日以降。メールを往復するだけで1日かかってしまいます。
日中にメールを返しておけば、相手に作業をお願いして稼働率を上げられたり、何往復かのやり取りで建設的な議論ができたり、日中の作業の効率性が相当変わってくるものもあります。「稼働率の意識」の大切さはおわかりいただけると思います。
■権限がなくても「持ち帰ります」とは言わない
富裕層マインド5.「判断事項は、考えなしに持ち帰らず、その場で結論を出す」
投資において、迅速な意思決定は何よりも武器になります。自分が大事な依頼をする際や、投資の意思決定をしたいときに、特に意見もなく「持ち帰って検討します」というスタンスの人には相談しません。
これはその相手が意思決定権者であるかどうか、という話ではありません。自分に権限がない場合でも、その場にある材料で仮説を立てて、それに基づき自分なりに結論を出し、判断をします。
「伺ったお話をまとめると、こういうハイライトの投資だと理解した。リスクは〜にあるが、〜の理由でリスクは限定的だと社内整理できると思う。それらを踏まえて、このリターンが出るのであれば、私の経験上、社内稟議を通せる可能性は高いと思うので、ぜひ取り組みたい。戻り次第至急マネージャーと議論し、今日中に連絡する。社としての最終判断には2週間時間をいただきたい」という具合です。
その場での仮説、結論を出したうえで、意思決定権者の判断を仰ぐために「持ち帰る」のが正しい持ち帰り方。稼げる人は自分がどのレベルでも、きちんと判断をしています。
■「話す相手がさらに話す相手」のことまで意識する
富裕層マインド6.「相手の立場が理解できている」
稼ぐ人は、「自分が伝えたいこと」ではなく「相手が知りたいこと」をつねに意識しています。たとえば、同じ投資のストーリーを話すにしても、アメリカの意思決定権者に話すとき、日本の銀行に話すとき、社内の専門外の部署の人に話すとき、それぞれまったく別のプレゼンテーションをします。相手が関心を持っていること、聞きたいことがまったく異なるからです。
さらには「話す相手の、さらに話す相手」まで想像力を及ばせることができるかどうか、これも重要です。話を聞いた相手が、その上司に報告しやすいように相手先の重要視しそうなところを強調しておく。自分の上司に報告を求められた際も本人が知りたいだけなのか? その先の上司にさらに報告の必要があるのか? ということを考えて、要点をまとめる、などです。
たとえば、学生に1週間の合宿プロジェクトについてプレゼンテーションするとしましょう。当然学生に刺さるプレゼンテーション資料をつくるのは当たり前ですが、その学生が保護者にどのようにプレゼンテーションをするのか? そこを考えて、追加のスライドを入れます。お金の出し手である保護者が最終意思決定者です。その顔が見えているかどうか、を想像することが大切です。
■自分の会社の売上を答えられるか
富裕層マインド7.「責任感とオーナーシップを持つ」
責任感とオーナーシップは、信頼関係のある人間関係の構築には必要不可欠。みずからの頭で考えて意味のある行動をしているので、仮に経験値が浅くて、末端の仕事をしていたとしても、プロジェクトの全体感が理解できているため、なぜその末端の仕事が必要か理解できています。
まわりを見渡すこともできるので、ボールが落ちてしまっていることに気づけて、進んでボールを拾うこともできます。あらゆる質問に対し、的外れな答えをすることもありません。
プロジェクトを超えて、会社レベルでどこに向かっているのか理解できているかどうか、自身のとり組んでいる仕事の意義を考えてみましょう。「あなたの会社の売上はいくらですか?」と聞かれて即答できる人は極めて少ないのではないかと思います。全体が見えなければ、一部である自分の仕事の意義はわかりません。
また、典型的な会社員の例で、経費を湯水のように使う人がいます。ですが、その人が自分で起業したとして、苦労して投資家まわりをして集めた出資金や、個人保証を差し入れてまで得た借入金を目減りさせてまで、同じようにお金を使うとは思えません。会社の損益についての責任感と、オーナーシップが欠如しているといえます。
いずれも当たり前のことですが、その当たり前のことを実践できているかどうかの差が、億までの人と億からの人を分けるボーダーラインになっているのも事実です。
■富裕層が「付き合いたくない」と思う人
円滑な人間関係を心がけるにあたり、「お互いに得るものがある人脈を広げていくこと」と同じくらい富裕層が大事にしているのは「時間とエネルギーを奪うだけの人との付き合いをやめること」です。例を挙げます。
・約束を守らない人
「後で送りますね」といっておきながら返信がない人。小さいことでも、交わした約束を守らない相手の信頼度は下がります。
・嘘をつく人
仕事でもプライベートでも、ついた嘘がバレていないと思っているのは本人だけです。嘘をつく人は約束を守らない人と同様、「信頼できない人カテゴリー」です。
・ゴシップだけで生きている人
そこにいない誰かのゴシップだけで会話を盛り上げて笑いをとる人は、話し上手で面白い一方で、「自分がこの場にいないとき同じようにやり玉に挙げられているのでは?」と面倒です。この手の人には大事な話はできません。
■時間とエネルギーは誰にとっても有限
・愚痴や批判の多い人
一度だけならガス抜きの付き合いとしてありだとしても、何度も同じ愚痴を聞かされるのは時間の無駄。正論で議論をはじめても「いっていることはわかるけど」と、言い訳を積み上げ受け入れる気がないならなおさらです。また、批判はチャレンジの弊害になります。障害があるからチャレンジなのであって、それを承知でチャレンジしようとする人に、正論のような批判で邪魔をするのは、相手のエネルギーを奪う行為でしょう。
・人の話を聞かない人
「人と人が、ある話題について意見や感想など言葉を交わし合うこと」が会話です。人の話を遮って話しはじめる、相手の話とは無関係の自分の話をし続ける、何をどう言っても自分の持っていきたい方向に着地させようとする、聞かれた質問に答えない、壊れたレコードのように武勇伝を永遠に繰り返す。こういうやり取りは、会話の体を成しておらず、時間の無駄です。
お金は増やしていくことができますが、時間とエネルギーは誰にとっても有限です。その貴重なリソースを奪っていく人は「敵」以外の何ものでもありません。人付き合いの棚卸は定期的にしたほうがいいと思います。
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元ゴールドマン・サックス マネージング・ディレクター
1982年、横浜出身。上智大学理工学部物理学科卒業。在学中に学科首席として表彰を受ける。同大学院に進学し、米国ロサンゼルスで、選抜された24人を対象に毎年開催されるビジネスセミナー「CVS Leadership Institute」に参加。個人優勝、チーム優勝を果たす。大学院中退後、53回の面接を経て、ゴールドマン・サックス証券株式会社に内定し、2007年に新卒として入社。瞬く間に金融危機(リーマンショック)が訪れ、ボーナスゼロ、大幅な減給に加え、在籍部署の9割の人員が削減される壮絶な経験をし、どん底に陥る。NHKドラマ「ハゲタカ」の舞台にもなった刺激的な投資部門で、星野リゾートとのジョイントベンチャーによる温泉旅館の再生や、企業価値5000億円を超える会社買収、1棟1000億円を超えるオフィスビル投資や、全国の大型国内リゾートホテルの外資系へのリブランド、企業再生やバリューアップなどのプロジェクトを中心に、上場・未上場株式、債券、不良債権、不動産、インフラストラクチャーなどへのあらゆる投資を行う。退社後は、少数精鋭の投資会社にて勤務。同社の不動産投資の責任者を務める。
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(元ゴールドマン・サックス マネージング・ディレクター 田中 渓)
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