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オセロでも、将棋でも、人生ゲームでもない…東大生が小6でハマった「遊ぶほど賢くなるボードゲーム」の名前

プレジデントオンライン / 2024年12月30日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/janiecbros

どうすれば「頭のいい子」に育つのか。現役東大生ライターの清野孝弥さんは「子供のころ、ボードゲームに熱中したという東大生は多い。私も小学生のとき、あるボードゲームにハマっていた。経済・法律・政治の知識を、楽しみながら自然と身につけることができた」という――。

■オセロや将棋は、2人でしか楽しめない

年末年始は、家族で過ごす時間が増えるのではないでしょうか。

テレビを見ながらゆっくりと過ごすのもいいですが、せっかくの家族の時間なので「家族での会話が盛り上がり」「子供の学習に役立つ」遊びを取り入れてみてはいかがでしょうか。本稿では、東大生の筆者の経験から、皆さんにおすすめのゲームをご紹介します。

家族で遊ぶゲームというと、テレビゲームやスマホゲームのような「デバイス型のゲーム」や、トランプやUNOなどの「カード型のゲーム」、オセロや将棋などの「ボード型のゲーム」など様々な種類があると思います。

特に、オセロや将棋などは「思考力が身に付く」「判断力が養われる」などのイメージがあるのではないでしょうか。確かにこうしたゲームは、学校の授業などでは鍛えにくい、忍耐強い思考力を身につけるのに大変効果的だと思います。

しかし主に2人用で、静かに取り組むものですから、家族や親戚とにぎやかに楽しむのには不向きかもしれません。「せっかくの年末年始なのに、何時間も静寂な空気の中で、将棋を打ち続けるのもな……」という感想を抱く方もいるのではないでしょうか。どうせなら、家族でにぎやかに遊べて子供の学習に役立つようなゲームを試してみたいですよね。

■おすすめのゲームは「モノポリー」

東大のフランス語の授業を受けていた際に、ボードゲームを用いてフランス語を使ってみるという機会があったのですが、その際に、クラスメイトの多くが「よく小中学生のころは、ボードゲームで遊んでいたから懐かしい」と語っていました。話を聞いてみると、オセロや将棋など王道のゲームをやっていた人も一定数いたのですが、意外にも「モノポリー」で遊んでいたという人が多かったのです。

私も子供の頃に「モノポリー」に熱中していたので、「みんなもやっていたんだ!」という驚きが隠せませんでした。少なくとも、私の周りにいる東大生の多くは、「モノポリーが良かった」と評価していた印象です。

この「モノポリー」とはアメリカ発祥のボードゲームです。「人生ゲーム」に似たすごろく形式のゲームですが、ゲームの設定が非常に巧妙で、経済や法律、政治を学ぶことができるという代物だと思います。

各プレイヤーは、ゲーム開始前に一定のお金を持ちます。ゲームの勝利条件は「他のプレイヤーを全員破産させること」という子供のゲームらしからぬ設定です。

プレイヤーは、すごろく形式でマスを進みながら、止まったマスごとに「土地の売買」「建物の増建築」を繰り返します。自分が家を建てたマスに他のプレイヤーが止まれば収入が生まれますが、自分自身が他のプレイヤーが家を建てたマスに止まってしまうと、レンタル料を支払う必要があります。

計画的に土地の買収や建物の投資を行って他のプレイヤーのお金を回収し、最終的には世の中のお金を独占することを目指します。(モノポリーとは、日本語で独占という意味です)

■ゲームなのに「経済」「法律」「政治」が学べる

「他のゲームと比べて、随分と社会性があるな」と思われた方が多いと思います。このゲームはすごろく形式で進んでいくので、仕組みは至って単純で、子供でも容易に理解できます。

しかし、このゲームは背景や設定が大変奥深く、時には大学で学ぶレベルの思考が必要とされます。このような性質から、アメリカのローラス大学では「国際政治経済」の授業でこのモノポリーを活用しているそうです。

このゲームが「子供の学習に役立つ」とおすすめできる理由。それはゲームなのに「経済」「法律」「政治」が学べてしまうからです。まず「経済」という観点です。

子供の頃は、学校や塾といった閉ざされた社会で生活することが多いため、「経済の仕組み」を体感する機会は非常に限られていると思います。私自身の過去を振り返っても、せいぜいコンビニでお菓子を購入する、もらったお年玉や小遣いを貯めたり銀行に預けたりする……くらいかと思います。

しかしこのモノポリーは、本格的な経済の構造をゲームにして体感することができてしまうのです。

モノポリー
写真=iStock.com/NoDerog
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/NoDerog

■小学生でも“経営者の考え方”を体験できる

例えば「新しい店舗を設ける」という事例で考えてみましょう。一般的に、企業が地方に新店舗を設けるかどうかを判断する際には、新設することでかかる支出と、店舗を新設することで増える売り上げを比較しているかと思います。

この際、売り上げの予測は大変不確定であることも多く、どれくらいのリスクを背負うべきかという判断を強いられると思います。企業の経営者が考えるような問題を、モノポリーでは「家を建てるかどうか」といった局面で考えることになります。

実際に私自身も小学校6年生の頃に「確率」を勉強したので、モノポリーではその知識をフル活用しながら「次のターンに他のプレイヤーが、自分の土地に止まる確率は30%で、家を建てることで得られる追加レンタル料は180ドルだから、期待値は54ドルか。しかし、次の自分のターンのことを考えると、最低でも手元に200ドルは残しておきたいから……」といった思考をめぐらしました。

もちろん「家を建てる」「ホテルを建てる」といった投資を行わなくてもゲームは進むのですが、手元にお金を貯めているだけだと確実と言っていいほど、負けてしまいます。

適切なタイミングにリスクをとって、投資を行い、そこから不労所得を得ていかないと、資本主義の世の中を勝ち抜けない。小学生ながらにして、こうした経済の厳しさも学ぶことができる点で、モノポリーは優れていると思います。

■難しい法律知識も、楽しみながら理解できる

続いて「法律」の観点です。実は、このゲーム内では「抵当」「競売」「保釈」など様々な法律専門用語が登場します。このように説明すると、「仰々しいゲームだな」とさらに思われてしまうかもしれないのですが、こうした法律上の概念が、子供でも理解できるように、わかりやすく組み込まれていました。

「抵当って何のこと?」と子供に聞かれて、わかりやすく説明するのは至難の業かと思います。これがモノポリーの中では「建物や土地の権利カードを裏返すと、銀行からお金が借りられる。しかし、お金を返せなくなると、建物や土地が没収されてしまう」という形でルールに組み込まれています。

これを専門的に説明すれば「金銭消費貸借契約の担保として、債務者の不動産に抵当権を設定した」という状況なのですが、正直、これではよくわからないですよね。

小学生の頃の私がこのような説明を受けても、何を言っているのか全く理解できなかったと思います。複雑な考え方でも自然に且つ楽しみながら学べたのは、モノポリーならではの魅力だと思います。

現在、私は法学部で民法などの専門科目を勉強していますが、このモノポリーの経験のおかげで、「抵当権」「競売」といった概念をスッと理解することができました。“建物を抵当に入れた”ことのあるお子さんはあまりいないと思います。少なくとも私の周りにはいませんでした。

モノポリー
写真=iStock.com/txking
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/txking

■勝利するには「交渉力」も必要

そのため、大学生や社会人になってからいきなり「所有権がどうだ」「抵当権がああだ」といった話を学んでも上の空になりやすいのではないでしょうか。

お子さんが将来、法曹になるかどうかはさて置いても、法律の基礎知識はどの大人も知っておいたほうがいい大切な教養だと思います。特にこれは不動産の知識でもありますから、知っておいて損はないと思います。

最後に「政治」という観点です。モノポリーは“オセロや将棋と異なり、家族でにぎやかに楽しめる”と前述しました。なぜかというと、モノポリーでは「交渉」が重要な要素となっているからです。サイコロを振って土地の売買をするだけなく、購入した土地や建物を、他のプレイヤーと交渉して譲渡することも認められています。

例えば、1人のプレイヤーがたくさんの土地や建物を独占して、富豪に成り上がっているというケースです。このときは、それ以外のプレイヤーが協力し合って、財産を共有して富豪に対抗してみたり、プレイヤー間の資本力が均衡していれば、2対2の派閥を作って互いに牽制し合ったりということが起こります。国際政治の舞台を見ているようだと感じます。

経済力や軍事力のバランスが取れるよう強国と小国が連合したり、同盟を組んだりするのは、モノポリーで学べる「勢力均衡」の仕組みが政治の舞台にはたらいているからです。

■“勉強っぽくないところ”が良い

自分にも相手にも有利な交渉へといかに持っていくか。もしくはどうやって自分に有利な条件をのませるのか。外交の現場のメカニズムを、教科書ではなく実体験として学べるというのは、大変稀有な経験だと思います。

ここまでモノポリーと勉強とのつながりについて解説してきましたが、モノポリーというゲームは、実際にプレイしていてとても楽しいのです。熱中していた私自身も、難しいことは考えずに純粋に楽しんでいました。

しかも、やっているだけで思考力や判断力を養えるだけでなく、大人になっても学び続けなければならない「経済」「法律」「政治」といった教養を、子供時代から身につけられるのが魅力的だと思います。

近年は高校でも金融教育の一環として投資の仕組みを学ぶ授業が増えてきています。これは、従来大人だけが知っていれば良いと思われていたお金の仕組みや経済の仕組みを、高校生の段階で知っておく必要性が生まれてきたということを表しています。

■家族や大人数で遊ぶのに“ベスト”なゲーム

実際に私の周りの生徒たちからは「金融の話って、ちょっと複雑すぎてよくわからない」「お金の勉強が大切なのはわかるけど、親近感がわかない」という声を聞くことがあるので、そんな時には、ぜひモノポリーをやってみてほしいと伝えています。

いずれは、小学校や中学校でも金融や経済に関する授業が増加していくかもしれません。「思考力や判断力」といった力のみならず、金融リテラシーや法律リテラシーなども、重要な能力として求められる時代になってきたのでしょう。

なかなか家庭の日常会話や学校、塾の勉強だけではこうした知識を身につけるのは難しいのではないかと思いますが、モノポリーなら、どの家庭でも簡単に実践できる「遊び」です。親も子供も一緒になって遊んでいたら、経済や法律の知識が自然と身についてしまうゲームは、ほかに例が無いのではないかと思います。

子供の視点からすれば、ゲームであるにもかかわらず両親と本気で話し合い、時には交渉や駆け引きをするという経験は、とても貴重なものです。たわいも無い話をして盛り上がりつつも、「モノポリー」というゲームに勝つためには、真剣に「経済のこと」「お金のこと」を議論することになります。そうした体験の中で生まれる会話の一つ一つは、家族のコミュニケーションとしても、とても大切なものだったと今改めて感じます。

長期の休みであれば、家族の団欒も増えると思います。まだやったことのないという方は、ぜひこれをきっかけに子供の学習に多いに役立つ「遊び」を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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清野 孝弥(せいの たかや)
現役東大生ライター
2003年生まれ。東京大学法学部の現役学生。公立高校から塾や予備校に通わず、独学で東京大学の文科I類に現役合格。独学で培った勉強法や各科目のノウハウをYouTubeなど数々のオンライン媒体で公開し、授業動画は100万回再生超え。現在は、明豊高校九大専科コースなど全国の高校現場で学習指導や進路指導などを提供している。

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(現役東大生ライター 清野 孝弥)

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