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人にあわせるでも、機嫌を取るでもない…「初対面で好印象をもたれる人」がさりげなくやっている雑談の極意

プレジデントオンライン / 2024年12月23日 8時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Atstock Productions

相手に好印象を与えるには、どうしたらいいのか。『「気くばり」こそ最強の生存戦略である』(SBクリエイティブ)を書いた西村僚子さんは「上手な気くばりが重要だ。相手をよく観察する必要があり、ぜひ知っておいてほしいコツがある」という――。

■「相手に興味を持つ」ことが気くばりの出発点

相手がどんな人物で、どんなことを喜ぶのか、あるいは好まないのか。こうしたことがわからなければ、的を射た気くばりができず、喜んでほしい相手に喜んでもらうこともできません。

つまり、気くばりをするためには、相手をよく観察する必要がある。言い換えれば、相手に興味をもつことが、気くばりの出発点というわけです。

相手に興味をもつと、相手の日ごろの言動にアンテナが張られ、相手がどんなことを喜ぶのかが見えてきます。それが、誰に対しても同じ杓子定規の気くばりではなく、本当に相手のことを思った気くばりにつながります。

とはいえ、「相手に興味をもとう」と言われても、何から始めればいいか、迷ってしまうかもしれません。そんな方には相手との「共通点を探すゲーム」をおすすめします。

たとえば、

・兄弟はいらっしゃるのかな? 私と同じ、長女かな? それとも、一人っ子かな?
・出身地はどこかな? ちょっぴり関西弁だから、もしかして同じ関西人かも?
・ファッションセンスが素敵だし、アクセサリーも私好み! このお洋服、私も似たのを持ってる!
・姿勢がよくて、言葉遣いも丁寧だから、お仕事は接客業かな?

などなど……楽しく、ゲーム感覚で妄想を膨らませていく感じです。そこから、「もしかして……チラッと関西弁のような気がしたのですが、出身は関西ですか? 実は私も関西で、実家が神戸なんです」というように、会話のキャッチボールが始まっていくのです。

■「共通点を探すゲーム」をしてみる

人は自分と共通点が多い人に対して親近感を抱きやすいといわれています。これを心理学の用語で「類似性の法則」といいますが、「共通点を探すゲーム」は、「類似性の法則」の観点からもおすすめなのです。

「共通点を探すゲーム」でしてはいけない注意点としては、いきなり「結婚されていますか」「お子さんはいらっしゃいますか」などと、プライベートすぎる切り口から、質問してしまうこと。唐突すぎる質問には、くれぐれも注意してくださいね。あくまでも、聞かれて困るような質問ではなくて、答えやすい質問から始めましょう。

即興で相手との共通点を探すのは、ハードルが高く難しいという方は、事前準備ができる場面で、相手のことを徹底的にリサーチすることから始めてみてください。

ビジネスパーソンにとって、事前準備は仕事の基本ですが、この基本を「徹底的に」やることが大切です。私が事前準備をするタイミングは、営業先や得意先への訪問があるときだけではありません。仕事のパートナー、一緒に働く同僚や友人、レストランに対しても同様に事前準備を徹底しています。

研修を担当させていただく会社については、その会社のHPを見れば、社訓や企業理念などが書かれており、打ち合わせの際にその話をすると「この講師はしっかりとうちの会社のことをわかってくれている」と相手に伝わり、かなり好印象です。

■相手に合わせて、機嫌をとってはいけない

気くばりをする際、覚えておいていただきたいのが、相手に「気を配ること」と、相手に「合わせること」は、まったく違うということです。

たとえば、日ごろ相手を観察してきた成果として、相手が言ってほしがっている言葉がわかったとします。でも、自分の本心から言えないことならば、言うべきではないでしょう。お世辞など心にもないことを言うのは、単なる迎合、おべっかです。

親しくしたい、好かれたい、嫌われたくないと思うあまり、つい相手に合わせてしまう。そのような気持ちは理解できなくもありませんが、相手の機嫌を取るだけでは、いつまでも表層的な関係が続くだけでしょう。

本心から出た言葉なのか、それとも、その場のご機嫌取りのために出た言葉なのかは、相手にも何となく伝わるものです。みなさんにも、誰かの言葉に「これは私に合わせて適当に言っているだけだな」と思ったことがきっとあるでしょう。では、そういう人のことを信頼し、これから親しくしたいと思えるでしょうか。

皮肉なことですが、「好かれよう、好かれよう」とするあまり、ご機嫌取りに終始し、言葉が上滑りするほどに、相手の心は離れてしまうものなのです。正直でない人は、信頼も信用もされません。

オフィスで会話をする2人の女性
写真=iStock.com/kokouu
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kokouu

■“本当の気くばり”であれば、気疲れしない

つまり、深い関係を築くには、相手と本心で向き合うことが一番といっていいでしょう。ありのままの本当の自分として相手と向き合っていく。ここでも、やはり自己肯定感の重要性がおわかりいただけるかと思います。

何より、相手に合わせようとして、心にもないことを言うことがしょっちゅうでは、自分が疲れてしまいます。自分を偽るのは存外に心を削る行為なのです。その相手といるときに、「本当の自分」でいられない時間が多いというのも、とても健全な関係とはいえませんね。

気くばりは、いっさい気疲れするものではなく、むしろ相手を喜ばせることで自分自身も満たされるもの。この本書の大前提からしても、今後、「相手に合わせる」という発想はナシにしましょう。

相手に興味をもって観察し、相手が喜びそうなこと、なおかつ――もっとも重要なこととして――自分が心からしたいと思うことだけを、心を込めて行動に移していってください。

■「上下関係」「損得勘定」の意識を捨てる

「周りに気を遣いすぎて疲れる」「相手に合わせようとして疲れる」こうした気疲れを防ぐには、「上下関係」や「損得勘定」といった意識を捨てるのも効果的でしょう。

相手との上下を意識しすぎると、自分より「上」の人に対しては、「失礼がないように」とか「うまく取り入ることができるように」などが気になって、なかなか本当の自分で向き合うことができません。

そうかと思えば、自分より「下」のように見なすと、ちょっと偉そうな態度になってしまったり、マウントを取ろうとしてしまったり……と、いいことがないのです。

「損得」も同じです。たとえば相手が憧れの人であったり、有名な人であったり、いわゆる“自分にとってすごい人”と出逢った場合に、「こんな私が……」癖が出てくる人も少なくありません。

「こんな私が話しかけていいのだろうか」「この人に対して、私は何かメリットをもたらすことはできるのだろうか」など、自分を卑下して、話しかけられなかったり、せっかく話しかけても、関係がそれっきりになってしまったりすることはないでしょうか。そこも、『「気くばり」こそ最強の生存戦略である』の第1章で伝えた自己肯定感の低さが大きく影響するポイントなのです。

クライアントと商談をするビジネスパーソン
写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maroke

■付き合う相手を損得で決めるのは、発想が貧しい

自己肯定感を上げるワークで、「こんな私が」を手放し、相手に合わせたり、疲れる気づかいをしたりするのではなくて、その人との会話を思いっきり楽しむことが大切です。

「私と話しても何のメリットもない」「私なんて、彼と付き合う相手に相応しくない」などという自己肯定感の低さから、相手を必要以上に持ち上げたり、喜ばせたり、何とかしなきゃと焦りながら、気疲れするようなことはもうやめましょう。

私のメンターである作家の本田健さんからこんなことを言ってもらったことがあります。「モモちゃん(筆者)は相手に対してメリットをもたらさないと、自分とは付き合ってもらえないというような垣根がない。大抵の人は、相手が大物だったりすると、“何か相手に対してメリットがないと、私なんかと付き合ってもらえないのではないか”というふうに考えるでしょう」

私は「この人と仲良くなっておいて損はない」という考え方が嫌いですし、私自身、誰かと出逢ったときに、そんなふうに考えたことがありません。そもそも「好きかどうか」ではなく「自分の得になるかどうか」で付き合う相手を決めること自体、発想が貧しいと思います。そこから相手も自分もハッピーな人間関係が始まるとは、とてもイメージできないのです。

■媚びへつらいも、マウントをとる必要もない

しかし、誰かと初めて話すときに、相手の年齢や立場が気になる人は多いのではないでしょうか。人間は社会的動物であり、「序列」をつけるのが社会というものですから、それも無理からぬことです。

特に日本語では、敬語(尊敬語、謙譲語、丁寧語)、さらにはタメ口と、相手によって使う言葉遣いが個別に確立されています。それを遵守するには、最初に相手が自分よりも上なのか下なのかを知って、「どういう言葉遣いで話すのか」を判断しなくてはいけません。美しい言語文化ですが、そこに少し煩わしさを感じている人もまた、多いと思います。

しかし、上下関係を気にしていると、目上の人にはやたらと丁寧に話し、目下の人のことはぞんざいに扱うというように、あからさまな態度の違いが表れかねません。これでは気くばりとはいえませんね。

ですから、気になるのはわかりますが、まず「誰が上、誰が下」という発想をいったん取り払ってしまいましょう。そして、みなをフラットに扱うように意識してみてください。

といっても、誰に対してもタメ口でオーケーということではありません。「誰が上、誰が下」という発想を取り払い、みなをフラットに扱う。これは、「みなを自分と同等に扱う」ということではなくて、「みなを等しく敬う」ということ。目上だからといってむやみに媚びへつらう必要もなければ、目下だからといってむやみにマウントをとる必要もありません。

コーヒーを飲みながら話をする3人の女性
写真=iStock.com/koumaru
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/koumaru

■相手が年下ほど、フラットな関係を意識するといい

つまり、誰に対しても敬意を払い、丁寧な態度で接することが、まず重要なのです。私は、特に年下の人に接するときは、年齢差を上下差と感じさせないような、フラットな関係になるよう、年上の人に接するよりも、さらに気をくばって、こちらから声をかけるようにしています。

数人と一緒に会話している時、誰か一人だけその話についていけていないと察したら、すぐに声をかけて、今話している内容を補足説明するということも、気くばりのひとつです。

あとは、年下の相手が気を遣いすぎて、話しかけづらいかもしれないので、あえて、私は「モモって呼んでね」などと言うようにしています。そうすることによって、ググッと距離感が縮まります。

年下の人になら、「○○さんは、いつも友達からどのように呼ばれているの?」と聞いてみて、「そしたら、○○ちゃんって呼んでいい?」と気軽に呼び合えるような距離感と雰囲気作りに気くばりするとよいでしょう。

私はよく「人との距離を縮めるのが上手い!」「絶妙な距離感の取り方ができるよね」と褒められます。ファーストネームや、ニックネームで呼び合うこと、相手の愛称をつけて呼びかけたり、自分も「モモと呼んでね」などといったりすることで、年下の相手が緊張しないように、距離感を縮めていきましょう。

■敬語は“相手との距離”を遠ざけてしまう

言うまでもなく、敬語のマナーは大事です。しかしそれにとらわれすぎて、血の通ったコミュニケーションができなくなってしまったら、それこそ本末転倒です。そもそも敬語というのは、使い方ひとつで相手との距離を遠ざける効果があります。たとえば、夫婦喧嘩をした際に、どちらの方が距離を感じますか?

A 「あんたねー遅くなるときは、いつも連絡してって言ってるでしょう? 何度、おんなじことを言ったらわかるのよーもう、ほんっとに!」

B 「遅くなるときはいつも連絡をしてほしいと今まで何度も何度も言ってきましたよね。何度同じことを言わせたら、あなたは理解するんですか。いい加減、やめていただけますか」

Bの方が、距離を感じ、突き放されたように思いませんか。では、敬語を正しく使いながらも、相手の懐に入るためには、いったいどうしたらいいのでしょう。ここでも絶大な効果を発揮してくれるのが、『「気くばり」こそ最強の生存戦略である』でお話しした「ラポール」です。

「ラポール」とは、ビジネスシーンでは、「相手と信頼関係を築き、よい人間関係を保つ」こと。もとは、心理セラピーで大切なものとして唱えられた臨床心理学用語なのですが、近年では、一般的な人間関係にも応用されるようになりました。私はこれを、さらに自分なりに解釈し、コミュニケーションの講座などでは「愛の架け橋」と呼んでいます。

■距離感に応じて、言葉を使い分けるといい

相手には、この「愛の架け橋」をかける意識で接するのです。すると、自然とウェルカミングな雰囲気が自分から醸し出されます。それが「親近感」の元となり、基本は敬語でありながらも、相手を温かく包み込むような血の通ったコミュニケーションができるようになるでしょう。

誰に対しても丁寧で、言葉遣いもちゃんとしているのに、すごく親しみやすい。そういう人こそ、人は「また会いたい」と思うもの。「敬意+ラポール」を意識するだけで、お互いに絶妙に心地よい距離感から、人間関係をスタートさせることができるのです。

西村僚子『「気くばり」こそ最強の生存戦略である』(SBクリエイティブ)
西村僚子『「気くばり」こそ最強の生存戦略である』(SBクリエイティブ)

そう考えると、やはり、敬語をきちんと使えることは重要です。「です」「ます」を語尾にする程度の丁寧語やタメ口しか知らなかったら、それが唯一の自分の言語となってしまいます。でも、これらに加えて尊敬語と謙譲語も知っていれば、相手との距離感の変化に応じて敬語のままでいることもできるし、丁寧語やタメ口に変えていくこともできます。

尊敬語は相手の動作につける(相手を敬う)敬語で、謙譲語は自分の動作につける(自分がへりくだる)敬語です。それだけ覚えておけば、敬語の使い分けはそんなに難しいものではありません。

「知っている」というのは「選択肢が増える」ということです。より多くの状況に対応できるようにするための基本的な敬語は、覚えておくことをおすすめします。

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西村 僚子(にしむら・ともこ)
株式会社MOMO Style代表取締役、研修講師
ドイツ在住12年目、研修講師として19年間、延べ2万人以上を指導した経験とホテルオークラで培ったおもてなしの原点をベースに、世界43カ国を訪問して身につけたグローバル・コミュニケーションと人生の質を上げる『新感覚マナー』を伝えている。現在は、コミュニケーション講座などを主宰。

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(株式会社MOMO Style代表取締役、研修講師 西村 僚子)

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