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実はおせち料理は体に悪い…危険な「塩分」が多くなりがちな和食に加えると減塩できる身近な白い飲み物

プレジデントオンライン / 2024年12月27日 17時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/visualspace

年末年始は、おせち料理やおつまみなど塩分の多い食事が多くなりがちだ。管理栄養士の成田崇信さんは「特に中高年や血圧の高い人は、塩分の摂りすぎに要注意。食事内容にメリハリをつけて、可能な範囲で減塩してほしい」という――。

■年末年始は塩分摂取量に要注意

年末年始は、お酒を飲みながら、おせち料理やおつまみなどの塩分の多いものを食べがちです。塩分過多で、朝起きたら顔がむくんでいるという人もいるかもしれません。

おせち料理は、年末にまとめて調理して重箱に詰めておくことで、正月三が日は食事作りを休めるようにと考案されたもの。日持ちをよくするために通常より塩分や糖分を多く入れて味を濃くし、水分を減らした料理が多いのが特徴です。

また、お酒のおつまみにはイカの塩辛のような味の濃い料理が多い傾向があります。しかも、お酒自体は食塩を含んでいませんが、アルコールで酩酊すると、普段は自制している人でもつい塩辛いものをたくさん食べてしまいがちなので注意が必要なのです。

こうして塩分を摂りすぎてはいけないのは、なぜでしょうか。それはご存じの通り、高血圧や腎臓病などの生活習慣病のリスクが高くなるためです。特にすでに高血圧や腎臓病などの持病のある人はより注意が必要になります。

■食塩を摂りすぎてはいけない理由

そもそも、食塩は「塩化ナトリウム」に「塩化マグネシウム」などの微量ミネラルが加わったもの。このうち健康上の問題をもたらすのが、塩化ナトリウムに含まれる「ナトリウム」です。もちろん、ナトリウムも他のミネラルと同じように、私たちの体に必要な成分であることは間違いありません。

ただし、ナトリウムを摂取しすぎると有害なので、その濃度を薄めるために体内に余分な水分を溜め込むことになります。その後、ナトリウムは腎臓を通って尿として排泄されますが、摂取量が多くて排泄が追いつかないと、腎臓に負担がかかるのはもちろん、いつまでも体液の多いむくんだ状態が続いて血圧が上がってしまうのです。

こうして血圧が上がると、腎臓により負担がかかって機能が低下し、さらにナトリウムの排泄が滞るようになり、さらに血圧が上がる……という悪循環に陥ることに。そうして血圧が高いままだと、脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患、心疾患などの重大な病気になるリスクが高まります。健康のために減塩が大切だといわれるのには、こうした理由があるのです。

さらに食塩の摂取量が多い人ほど、上部消化管がんのリスクが高いというデータもあります。これは食塩の粘膜への刺激も影響していると考えられ、魚の干物など表面に塩が浮くほど塩味の濃い食品をよく食べる人ほど注意が必要です。

■日本人の平均的な食塩摂取量

では、どのくらいの塩分摂取量ならいいのでしょうか。日本人の食事摂取基準では、1日あたりの食塩摂取量の目標量を男性7.5g以下、女性6.5g以下と設定しています。意外と少ないですね。高血圧で治療が必要な人の場合には、脳疾患や心不全を予防するために、食塩は1日6g未満に制限すべきだとガイドラインで定められています。

一方、実際の日本人の食塩摂取量はというと、令和元年の「国民健康・栄養調査」では、1日あたり男性10.9g、女性9.3gと報告されています。目標量との間に大きな差がありますね。でも、その前の平成16年の調査では男性12.1g、女性10.5gであり、15年間で1g以上の減塩が進んでいるように見えます。

ところが、食事の記録をもとに摂取量を計算する「国民健康・栄養調査」は、間食の記載漏れや食事量の過少申告があることが知られています。より正確な数値を知ることができる、尿中のナトリウム量を測定する「24時間蓄尿法」によると、1日の食塩摂取量は男性で約14g、女性で約12gであり、日本人の減塩は実はあまり進んでいないともいわれているのです。

なかなか食塩摂取量を減らせない理由は、目標値を厳守すると、ほとんど味のない食事になってしまうためだろうと考えられます。普段の食事の約半分に減塩し続けられる人は、なかなかいません。1日7.5gや10g以下などの数値目標をたてるのは悪いことではありませんが、まず無理なく継続できるレベルの減塩を進めることが大切だと思います。

塩
写真=iStock.com/Aygul Bulte
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Aygul Bulte

■年末年始に塩分を摂りすぎないコツ

この年末年始は、おせち料理やおつまみなどの塩分の多い食事ばかりを食べすぎないようにしましょう。体内に入ったナトリウムが腎臓で排泄されるペースを超えないよう、食事から接種する食塩の量をコントロールすることが大切です。

具体的には塩味の濃いものを食べた次の食事は減塩を意識したメニューにしたり、体がむくんでいるように感じるのであれば、1日ぐらいナトリウムが抜けるような食生活を意識したほうがいいでしょう。例えば、肉や魚、野菜を下味をつけずにフライパン等で焼いて、食べる時に少量の塩を振ったりすると、塩分が少なくても美味しく食べることができます。

また、お酒を飲んでしまうと、判断力が低下することは避けられません。飲む前に食べるものと量を決めておいて、小皿に取り分けておくのもいい方法です。また、お酒を飲まない人がいれば、その人に頼んで食事量をコントロールしてもらってもいいでしょう。料理を大量に食べれば、カロリーだけでなく、食塩摂取量も増えるのです。

■ここを意識するだけで違う減塩ポイント

さて、普段の食事でご自身がどのくらいの量の食塩を摂っているのかを把握している人は少ないと思います。いちいち食塩量を計算するのも困難です。だから、目標量を守るというのは現実的な方法ではありません。食事療法は、細かく厳しくて継続できないものより、多少は緩くても継続できることが大切なのです。そこで、減塩の簡単なポイントをお伝えします。

①新鮮で美味しい食材を活用する

新鮮で美味しい魚や野菜、肉などは、あまりたくさんの調味料を使わなくても満足することができます。また旬のものも美味しいのでおすすめです。

②うまみ成分やスパイス等をうまく使う

醤油や塩だけで味をつけると、味が濃くなりやすいので、旨味成分やスパイスを上手に活用しましょう。具体的には出汁を濃いめにとったり、ハーブや香味野菜、唐辛子などのスパイス、果物、酢などを加えてみてください。

③汁物の摂取量を減らす

お味噌汁やスープ、うどん、そば、ラーメンなどの汁物は、塩分摂取量が増えてしまいがちです。食べる回数を減らす、汁よりも具の割合を増やす、汁を残すなどしましょう。

④「乳和食」を作ってみる

和食は健康にいいというイメージがありますが、じつは洋食に比べて使う食材や調味料は塩分の多いものが少なくありません。例えば、煮物などにはたくさんの醤油や味醂などを使うため、塩分も糖分も多くなりがちです。そこで、牛乳を加える「乳和食」がおすすめです。牛乳のコクと旨みが、塩分少なめでも美味しく仕上げてくれます。詳しくは、「Jミルク乳和食サイト」を見てみてください。

牛乳
写真=iStock.com/Alter_photo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Alter_photo
⑤野菜を十分に摂取する

野菜などに含まれる「カリウム」は、ナトリウムの体外への排出を促してくれます。カリウムはさまざまな食品に含まれているものの、加工食品だけでは十分に摂取することが難しいので、生野菜や果物、ナッツ類などを意識的にとりましょう。

■減塩食品やバランス栄養食、弁当もいい

このほかに減塩調味料や減塩加工食品を活用する方法もあります。近年、減塩醤油、減塩味噌、減塩めんつゆなどのさまざまな減塩調味料が出ていて、風味の点で物足りなく感じる人もいるようですが、以前より美味しいものが増えているようです。

また、カロリーメイトなどの栄養バランス食品の多くは塩分が少ないので、手軽に減塩することができます。食事をとる時間がないとき、摂取カロリーを減らしたいときにも便利です。また、最近ではコンビニ弁当等も塩分の少ないものが多くなっていますし、宅配の冷凍弁当には低塩分食があります。表示などを確認して上手に利用してください。

また、意外とおやつで塩分をとりすぎていることもあります。スナック菓子はもちろん、じつはアップルパイなども塩分が多いのです。柿の種などの減塩したもの、プロテインバーなどを食べるようにすると、食塩摂取量を効率よく減らせるので覚えておいてください。

平均余命が延びた現代、年齢が上がるにつれて多くの人の血圧が高くなり、同時にさまざまな病気のリスクも高まります。長く健康でいるためにも塩分摂取量をしっかりコントロールしていきましょう。

〈参考文献〉
24時間蓄尿によるナトリウム摂取量のメタアナリシス
Keiko Asakura , Ken Uechi , Yuki Sasaki , Shizuko Masayasu , Satoshi Sasaki. Estimation of Sodium and Potassium Intakes Assessed by Two 24 H Urine Collections in Healthy Japanese Adults: A Nationwide Study. Br J Nutr. 2014 Oct 14;112(7):1195-205.

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成田 崇信(なりた・たかのぶ)
管理栄養士、健康科学修士
管理栄養士、健康科学修士。病院、短期大学などを経て、現在は社会福祉法人に勤務。主にインターネット上で「食と健康」に関する啓蒙活動を行っている。猫派。著書に『新装版管理栄養士パパの親子の食育BOOK』(内外出版社)、共著書に、『薬局栄養指導Q&A』(金芳堂)、『謎解き超科学』(彩図社)、監修書に『子どもと野菜をなかよしにする図鑑 すごいぞ! やさいーズ』(オレンジページ)がある。

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(管理栄養士、健康科学修士 成田 崇信)

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