1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

ホームページに「この情報」が書いてなければ要注意…医師が教える"名医"に出会える精神科・心療内科の選び方

プレジデントオンライン / 2025年1月13日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/wutwhanfoto

心療内科や精神科はどう選べばいいのか。大手外資系企業を中心に年間1000件以上の相談を行っている産業医の武神健之さんは「精神疾患の診療は医師と患者さんの相性がとても大切だ。自分に合った医師を探すためには3つのポイントがある」という――。

■一般的な精神疾患なら街のクリニックがいい

新年明けましておめでとうございます。産業医の武神です。

2025年も明るく元気に前向きに働きたいですね。誰もがそう思っていると思います。しかし、どんなに気をつけていても、誰でもメンタルヘルス不調になるリスクがあります。もしそうなってしまった場合、自分に合う、いいお医者さんはどのように見つけられるのでしょうか。今日はそのような疑問に答えたいと思います。

ずばり、これからお伝えする3つのポイントを押さえていただくことで、あなたの名医に出会えると思います。

一般的な精神疾患の場合、私は大学病院のような大きい病院よりは街のクリニックをお勧めしています。かかるべき科は心療内科か精神科でしょう。

どこのクリニックがいいですか? とよく聞かれますが、なかなか難しい質問です。なぜなら精神疾患の診療は医者と患者さんの相性がとても大切だからです。良い先生というのは、例えば10人の患者さんを診た場合、8人9人の患者さんが良い先生だと感じます。あまり良くない先生といわれる人でも、おそらく数人の患者さんは良い先生だと感じると思います。これが患者と医者の相性です。

■必要ならば、2つのクリニックを受診する

多くの人はメンタルクリニックへ行くのが初めての経験なので、何をもっていい医者なのか判断することができません。そこで、いい医者探しの1つめのポイントは、必要ならば2つのクリニックを受診することです。

最初に受診したクリニックの先生の診断が正しいのかわからない、先生との相性が自分に合うのかわからない、そんな時は2つの医療機関を受診すれば、きっとどちらの先生がベターか、自分に合う先生かわかります。そして自分に合うと思う先生のほうに今後は通えばいいのです。この2カ所を受診する時間的・精神的余裕を持つためには、ある程度自分自身に元気がある状態、余裕がある状態のうちにメンタルクリニックを探し、通院を始めたほうがいいです。これは早期治療開始以上に大切です。

ただし注意してほしいことがあります。先に受診したクリニックで処方薬が出ている場合、重複処方を避けるためにもちゃんとそのことはお話ししましょう。

2つのクリニックに行くなかで、どちらか一方に決められないとき、どのように選べばいいのでしょうか。

これは直感、フィーリングが一番です。大切なのは診療が終わったときにあなた自身が救われた、ほっとした、来てよかったという感情を持てたかどうかです。受診後、少し心が軽くなるようなお医者さんも、いいお医者さんだと言えるでしょう。迷ったときは自分の感覚を信じてください。

■「場所」と「診察時間」も重要な要素

メンタルクリニックから処方される西洋薬は飲みたくないが漢方なら飲んでもいい、睡眠薬は飲むが抗うつ剤は飲みたくない、などなど、いろいろと思うところがあると思います。ですから受診前には必ず、自分の治療に対する価値観(薬は飲みたくない、カウンセリングを利用したい等)を整理しておきましょう。自分の価値観をちゃんと主治医に説明し、あなたの価値観に寄り添ってくれる先生はいいお医者さんだと思います。

2つめのポイントは、いいお医者さんは、クリニックの場所と診察時間も重要な要素だということです。

通院するクリニックの場所が会社に近すぎると、仮に休職になったときや転職したあと通いにくくなります。かといって、あなたの家に近すぎても、クリニックに通う多くの患者が、あなたの会社の人たちの属性とは違うかもしれません。そのため、自分の家から通いやすい距離で、会社の方向に向かったターミナル駅などで探すことをおすすめします。

クリニックの診療時間も大切な要素です。自分の会社の就業時間を考えて、働きながら通院可能なお医者さんを選ぶようにしましょう。平日は何時まで受付をしてくれているのか、土曜日の診察時間はどうか、診療は予約制か、そういったことも確認してください。

机の上に置かれた聴診器やカレンダー
写真=iStock.com/Doucefleur
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Doucefleur

■平日夕方、土曜日などに通える先生やクリニックがおすすめ

私の産業医面談経験からおすすめしたいのは、休職している間は平日のすいている時間に通えて、働き出してからは、平日は夕方、もしくは土曜日などに通える先生、クリニックです。こうなると、やはり複数の曜日に診療をしている先生となるので、クリニックの場合は、そこの院長先生、もしくは常勤の先生となります。

クリニックのホームページを見て、診療時間などの項目にある、担当医が1週間のうち何回外来をやっているかも確認しましょう。院長先生や常勤の先生であれば、複数の曜日にいるはずです。

実際にクリニックを探す方法で手っ取り早いのは、メンタルクリニックにかかったことのある友人や、会社の人事、カウンセラー、産業医にどこか推薦がないか教えてもらうことです。きっと今まで社員が通っていて、良いと思ったところを教えてくれると思います。必ず複数教えてもらってください。そのなかから必要に応じて2つ以上を受診するといいでしょう。

■精神科専門医か心療内科専門医を選んだほうがいい

3つめのポイントは、メンタルヘルスの専門家を選ぶことです。

メンタルヘルスの病気にかかっている場合、メンタルヘルスの専門家にかかるべきです。クリニック名に「メンタル」や「心」など、そういった関連の名前があったからといって、必ずしもその先生がメンタルヘルスの専門家とは限りません。

何をもって専門家とするかは議論の余地がありますが、私はざっくりと、精神科専門医か心療内科専門医であることを一つの判断軸としています。クリニックのホームページの医師紹介、医師挨拶の部分でご確認ください。所属学会ではなく、専門医の資格を持っているかを注意して見てください。なお、診療する医者の名前や紹介がないクリニックは選ばないほうが無難です。

もちろん、専門医でもよくない先生、専門医を持っていないけれども良い先生はいるでしょう。しかし、専門医を持っている先生のほうが、たくさんの患者さんを見てきて、症例経験が豊富な場合がほとんどです。また、私自身、自分の家族がメンタルヘルスを患ったとしたら、それぞれの専門家に診てもらいます。

インターネットで検索する人
写真=iStock.com/Sompong Lekhawattana
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Sompong Lekhawattana

■ホームページに院長の挨拶があるかは要チェック

ご注意いただきたいのが、インターネットで検索して安易に行くクリニックを一つだけ決めてしまうことです。「地名+メンタルクリニック」と入力して上位に出てきたクリニックが、必ずしも人気があるクリニック、良いクリニックとは限りません。単に検索対策がなされて上位に表示されているだけのところも多々あります。ホームページが今風で親しみやすいのは、あくまでそういう業者にHP作成を依頼しているからであって、医療の質とは関係ありません。

クリニックのホームページを見るときは、そこに院長や担当医の顔と名前や挨拶が出ているか注意して見てください。特に院長先生の診療方針に関する挨拶があるかどうかは、重視してください。バイトの先生が多く在籍しているところは、医師紹介すらない場合もあります。いずれもちゃんと載っているところのほうが安心できます。

■迷ったら即受診、早期治療が早期回復につながる

最後になりますがお願いが1つあります。

それは、メンタルクリニックに行くべきか迷った時や、どのメンタルクリニックに行こうか迷った時、なるべく迷っていないで、すぐに行くようにしてください。早期治療はとても大切です。

早期に治療を開始した方が治るのも早いです。仮にお医者さんに行くのが2カ月遅れた場合、治療開始してから同じ期間で治るわけではありません。回復するにはもっと時間がかかることは確実です。

先に書いた3つのポイントを押さえ、お医者さんを探すのにはそれなりに気力と体力を使います。もしこのままお医者さんに行かずに数カ月経ってしまったら、そのような気力体力があなたにはもう残ってないかもしれません。すると、最初に行ったお医者さんがたとえ合わないと感じたとしても、ワラにもすがる思いで、その医者に通うしかないと判断をしてしまうでしょう。だからこそある程度元気なうちに、自分からお医者さんを選べる状態のときに、早めにお医者さんに行くようにしてください。結局は、自分のためになります。

患者に話をする医師
写真=iStock.com/Volha Rahalskaya
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Volha Rahalskaya

■「自分にとっての名医」は見つけられる

実際に受診したときは、「産業医にメンタルクリニックに行くように言われました」「友達に最近、顔色が悪いからメンタルクリニックに行ったほうがいいと言われました」と話を進めていただければ、あとは先生がリードしてくれるでしょう。

ならないに越したことはありませんが、メンタル不調の治療こそ主治医との相性がすごく大切です。ですから、もしもの時は、ぜひ相性の合う良いお医者さんを見つけてほしいと思います。あなたに合う先生、つまりあなたにとっての名医はちゃんといます。今はただ出会っていないだけです。しっかり見つけてください。

本年もよろしくお願いします。

----------

武神 健之(たけがみ・けんじ)
医師
医学博士、日本医師会認定産業医。一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事。ドイツ銀行グループ、バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバ、ムーディーズ、フォルクスワーゲングループ、BMWグループ、エリクソンジャパン、テンプル大学日本校、アドビージャパン、テスラ、S&Pといった大手外資系企業を中心に、年間1000件以上の健康相談やストレス・メンタルヘルス相談を実施。働く人の「こころとからだ」の健康管理を手伝う。2014年6月には、一般社団法人日本ストレスチェック協会を設立し、「不安とストレスに上手に対処するための技術」、「落ち込まないための手法」などを説いている。著書に、『職場のストレスが消える コミュニケーションの教科書』や『不安やストレスに悩まされない人が身につけている7つの習慣』『外資系エリート1万人をみてきた産業医が教える メンタルが強い人の習慣』などがある。公式サイト

----------

(医師 武神 健之)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください