15分で「サザエさん症候群」の元を断つ…月曜朝イチからバリバリ仕事をする人がやっている「金曜午後の使い方」
プレジデントオンライン / 2024年12月31日 18時15分
※本稿は、マイナビ健康経営のYouTubeチャンネル「Bring.」の動画「815社・ビジネスパーソン17.3万人のAI分析でわかった『トップ5%社員』の働き方」の内容を抜粋し、再編集したものです。
■「トップ5%社員」の働き方の共通点5つ
【澤円】越川さんが代表を務めるクロスリバーでは、これまで815社、約17万3000人のビジネスパーソンを対象とした調査から、「トップ5%社員」の働き方の共通点を導き出したそうですね。
【越川慎司】わたしたちは、トップ5%社員に見られる働き方の特徴を「5原則」としてまとめました。
①「目的」のことだけを考える
②「弱み」を見せる
③「挑戦」を「実践」だと捉える
④「意識変革」はしない
⑤常に「ギャップ」から考える
■パワポを無駄に綺麗に仕上げない
順に解説しましょう。まず「①『目的』のことだけを考える」というものです。あらゆるタスクには必ず目的が存在します。商談に必要な資料をつくるタスクなら、お客様に「イエス」といわせることがその目的です。
ところが、多くの人が肝心な目的を見失いがちなのです。資料をつくること自体が目的にすり替わってしまい、PowerPointの機能をたくさん使って綺麗な資料をつくろうとするようなことです。お客様に「イエス」といわせられるなら綺麗な資料である必要はないのに、その目的を見失っているがために、時間と労力をかけて的外れの資料をつくってしまうようなケースはよく見られます。
【澤円】いわゆる「手段の目的化」というものですね。「①『目的』のことだけを考える」については、ご著書『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)に書かれていた「ビッグロック」の意識も関係するように思います。
【越川慎司】ビッグロックは、タスクの優先順位をつけるメソッドです。必要ないにもかかわらず綺麗な資料をつくる例のように、優先順位を考えないで目の前の仕事に注力すると、優先順位が高い仕事がおろそかになりかねません。
そうならないよう、1週間のはじまりに、その週に必ずやらなければならない「大きな岩」にあたるタスクをふたつ挙げるのです。そのビッグロックを意識すると、ビッグロック以外のタスクの優先順位が相対的に下がりますから、確実にビッグロックをこなせるという仕組みです。
■完璧に見えるリーダーだとサポートを頼みづらい
【澤円】次の「②『弱み』を見せる」というのは、どのようなものでしょう?
【越川慎司】チームで仕事に臨むためのものです。いまの時代の仕事は、かつてと比べてはるかに複雑化しています。わたしたちの調査では、ビジネスパーソンがひとりで完結できるタスクは13%に過ぎないことがわかりました。残りの87%は、いろいろな人を巻き込んで協力を得なければ完結できないのです。
そうするためにも、弱みを見せることが有効です。逆に弱みを見せないとどうなるかというと、「あの人はなんでもできる」と勘違いされ、困ったときにもサポートを得られないということになりかねません。
【澤円】リーダーの場合、それこそ「自分の弱みを見せたくない」と考える人も多そうです。でも、リーダーであっても弱みを見せることが大切になってくるということですね。
【越川慎司】むしろ、リーダーだからこそ積極的に弱みを見せてほしいですね。リーダーの役割は、「1+1」を「2」ではなく、「3」や「5」にしていくことだと思うのです。つまり、メンバーそれぞれの強みも弱みも把握したうえで、どうすればチームのパフォーマンスを最大化できるかを考えなければならないのです。
そこで、リーダー自らが「自分はデータ分析ができない」「しゃべりが苦手なんだよ」というように自己開示すれば、メンバーも弱みを明かしてくれるようになります。そうすることで、メンバーが持つ能力をしっかり把握できるようになるのです。
■あらゆる行動を「実践」「実験」と捉える
【澤円】「③『挑戦』を『実践』だと捉える」「④『意識改革』はしない」については、ともに「行動」の重要性を指しているようなものですか?
【越川慎司】そうなりますね。行動が重要だと思っていても、なかなか一歩を踏み出せないという人はたくさんいます。その大きな理由は、行動を「挑戦」だと捉えているために、その先にある失敗を恐れるからだと思うのです。でも、あらゆる仕事の結果が成功か失敗かに分けられるわけではないですよね?
そこで、行動を「挑戦」ではなく「実践」や「実験」と捉えたらどうでしょうか。そうすることで、失敗せずに成功することを目指すわけではなくなり、実践や実験の結果から学びを得ることが目的になるはずです。すべての行動の結果から学びを得られるようになるので、必然的に成長につながっていくでしょう。
■意識改革は小さな実験の積み重ねでようやく起こる
【澤円】「意識改革」についても同様ですよね。「意識を変えろ」という言葉をよく使う経営者もいますが、それは意識改革がすぐに成功につながると考えているからでしょう。
【越川慎司】わたしがクロスリバーを立ち上げてから約8年間にわたって800社以上の企業の「働き方改革」をサポートしてきて感じたのは、本当の意味で意識が変わるには5年や10年といった長い時間が必要だということです。ですから、最初から意識改革を目指すのではなく、やることは小さな実践や実験という行動です。すると、「やってみたら意外とよかった」と思えることも出てきます。それこそ、意識が変わる瞬間だと思うのです。
たくさんのビジネス書を読み、成果につながるといわれる方法を数多く知ったとしても、それを実践しなければなんの意味もありません。実践や実験を通じて「やってみたら意外とよかった」というものを積み重ねて習慣化することが、成果を生むことにつながるのだと思います。
■トップ5%社員のスケジュール帳の使い方
【澤円】最後の「⑤常に『ギャップ』から考える」も行動につながる話ですね。
【越川慎司】トップ5%社員のスケジュール帳の使い方に、ひとつの特徴が見られました。それは、目標を達成したい日付にまずマークをするということです。すると、「このタイミングでイベントを行うには、いつまでに企画書をつくり、いつまでに資金を集めなければならない」というように、ゴールから1週間前、1カ月前、3カ月前にはどのような状態にしておくべきかを逆算して考えることができます。
まずゴールを見据えて、現在とのギャップを捉えて行動するということです。
IT業界でいう、いわゆる「アジャイル」と呼ばれる進行法です。まずゴールを決めて、正しいと思われる方法と中間ポイントを決め、そこでチェックした結果、もしうまくいっていなかったら調整するというかたちです。
【澤円】逆にこの意識が欠けていると、どのような不具合が起きると考えられますか?
【越川慎司】やはり、修正しづらくなりますよね。「今日はとにかくこれをやらなければ」「明日はこれを」というようにタスクを目の前に積み上げていくことになり、ゴールはおろか中間ポイントも設定できていませんから、必要なタイミングでの適切な修正ができないのです。もちろん、それでは成果から遠ざかってしまいます。
■金曜午後に「15分の振り返り」を行う
【澤円】その修正にも通じることかと思いますが、クロスリバーでは顧客企業の従業員に週1回15分の振り返りの時間をお願いしていると伺いました。ゴールに向かってただ進むのではなく、きちんと振り返りの時間を取ることをルーティン化しているのは興味深いところです。
【越川慎司】業務生産性を高めるには、そうするための新たなことをやるか、いまやっていることをやめるかのどちらかしかありません。ただ、「いまは忙しい」と答える人が調査から97.5%もいることがわかりました。そんな状況では新しいことをはじめることは簡単ではありませんから、必然的にいまやっていることをやめることになります。
では、なにをやめればいいのでしょうか? それを見定めるために15分間の振り返りを行うのです。いまやっていることの大半は、「これをやればよりよい仕事ができる」「業務効率化につながる」などと「よかれ」と思ってはじめたことです。そうしてはじめたことは、なかなかやめることができません。振り返りによってその効果を検証していないからです。
【澤円】でも、振り返って「これは効果がないじゃないか」ということがわかれば、それをやめることができるというわけですね。振り返りは、どのようなタイミングで行うのがいいですか?
【越川慎司】カレンダー通りの勤務形態の人なら、金曜日の午後など1週間の終わりです。1週間のあいだに実践したことを振り返るのに最適ですし、休みを前にして気分的にも落ち着いているからです。加えて、いわゆる「サザエさん症候群」がなくなることもわかりました。
■日曜夜に憂鬱になる「サザエさん症候群」も起きない
サザエさん現象は、日曜日の夜になると翌日の仕事に対する不安から憂鬱な気分になる現象です。その不安の多くは、「週明けに取り組むことがわかっていない」ということに起因します。でも、振り返りによって「来週からはこれをやめよう」ということがはっきり見えていると、サザエさん症候群が起きないのです。
【澤円】成功するビジネスパーソンに共通しているのは、柔軟性なのかもしれませんね。柔軟性を持ち、失敗を恐れずに試行錯誤することが、成長の鍵となるのでしょう。
【越川慎司】大切なのは、完璧よりも進歩を目指すことです。毎週の小さな振り返りを通じて、自分になにが必要でなにが必要でないかを確認することで、自然と成果がついてくるものだと思います。
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株式会社クロスリバー代表
元マイクロソフト役員。国内および外資系通信会社に勤務し、2005年に米マイクロソフト本社に入社。2017年にクロスリバーを設立し、メンバー全員が週休3日・完全リモートワーク・複業を実践、800社以上の働き方改革の実行支援やオンライン研修を提供。オンライン講座は約6万人が受講し、満足度は98%を超える。著書に『AI分析でわかったトップ5%リーダーの習慣』、『AI分析でわかったトップ5%社員の習慣』(共にディスカヴァー・トゥエンティワン)、近著に『29歳の教科書』(プレジデント社)がある。
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圓窓 代表取締役
1969年生まれ、千葉県出身。株式会社圓窓代表取締役。立教大学経済学部卒業後、生命保険会社のIT子会社を経て、1997年にマイクロソフト(現・日本マイクロソフト)に入社。情報コンサルタント、プリセールスSE、競合対策専門営業チームマネージャー、クラウドプラットフォーム営業本部長などを歴任し、2011年にマイクロソフトテクノロジーセンター長に就任。業務執行役員を経て、2020年に退社。2006年には、世界中のマイクロソフト社員のなかで卓越した社員にのみビル・ゲイツ氏が授与する「Chairman's Award」を受賞した。現在は、自身の法人の代表を務めながら、琉球大学客員教授、武蔵野大学専任教員の他にも、スタートアップ企業の顧問やNPOのメンター、またはセミナー・講演活動を行うなど幅広く活躍中。2020年3月より、日立製作所の「Lumada Innovation Evangelist」としての活動も開始。主な著書に『メタ思考』(大和書房)、『「やめる」という選択』(日経BP)、『「疑う」からはじめる。』(アスコム)、『個人力』(プレジデント社)、『メタ思考 「頭のいい人」の思考法を身につける』(大和書房)などがある。
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(株式会社クロスリバー代表 越川 慎司、圓窓 代表取締役 澤 円 構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム) 文=清家茂樹)
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