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やる気をアテにする社会人は二流…17万人のデータでわかった「人事評価トップ5%社員」に共通する習慣

プレジデントオンライン / 2025年1月3日 18時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Kiwis

仕事のできる人に共通する生活習慣とは何か。企業の働き方改革を支援するクロスリバーの越川慎司さんは「トップ5%社員は仕事の初動が早い。やる気がなくても仕事が始められるように日々の行動をルーティン化している」という――。

※本稿は、マイナビ健康経営のYouTubeチャンネル「Bring.」の動画「運動・食事・睡眠の重要性を考える。『トップ5%社員』が実践する、生産性が上がる最高の健康習慣」の内容を抜粋し、再編集したものです。

■睡眠不足ではいい仕事はできない

【澤円】優秀なビジネスパーソンの「健康習慣」について伺っていきたいのですが、それに先立って、まずは越川さんが代表を務めるクロスリバーで実践している健康習慣についてお聞かせください。

【越川慎司】全メンバーが、フルリモートで週休3日、労働時間は週30時間以内、7時間以上の睡眠を実践しています。

【澤円】そのような働き方を実践するきっかけは?

【越川慎司】わたし自身の経験もそのひとつです。クロスリバーを起業する以前の会社員時代、わたしはうつ病を患った経験があります。その原因は、睡眠不足でした。仕事や人間関係に悩んでうつ病になったわけではなく、仕事が楽しくてアドレナリンが出っぱなしの状態で働き続けた結果、睡眠が足りなくなりうつ病を患いました。そうなれば当然、仕事にも支障が出ますから、いい仕事をするためにも健康こそが最重要だと考えるようになったのです。

それに、わたしたちの会社の仕事は、企業の「働き方改革」支援です。ただ労働時間を減らすのではなく、限られた時間で成果を残せる働き方を提案するためには、われわれ自身も新たな働き方の実験をしないと信頼されないと考えたのです。

■時間の制約があると集中力が高まる

【澤円】週休3日で週30時間労働ということは、1日あたりの労働時間は7.5時間の計算ですね。これらの実践で生産性は高まったのでしょうか。

【越川慎司】ふたつの観点から生産性が高まったと思います。ひとつは、いわゆる「締め切り効果」です。「週に30時間しか働けない」という時間的な制約により、集中力やモチベーションが高まるのです。

もうひとつは、「そのような環境で働きたい」という人が増えていることです。当社のような小さなベンチャー企業の場合、採用が難しいのが実情です。でも、当社には他に「複業必須」というルールも設けていることもあり、個性的なキャリアを持つ様々な業種の優秀な人たちが集まるようになりました。そうして、生産性が高まったのです。

越川慎司さん
写真=石塚雅人

【澤円】「副業」ではなく、「複業」が必須なのですね。そこにはどのような意図があるのでしょうか。

【越川慎司】副業の場合だと、どうしてもメインの主業に比べるとただのサブの扱いになりがちです。でも、片手間でやるような仕事でお客様を満足させることはできません。ですから、ふたつの仕事のどちらも「主業」だと認識して本気で取り組んだうえで、各メンバーが持つ知見を組み合わせ、複雑な課題を解決することを目指しています。

■仕事のできる人はやる気をあてにしない

【澤円】クロスリバー社のメンバーもそうだと思いますが、越川さんが分析した「トップ5%社員」の人たちには、健康習慣から生じる共通点のようなものはあるでしょうか。

澤円さん
写真=石塚雅人

【越川慎司】「①仕事の初動が早い」「②集中継続力が高い」という共通点が見られます。先に触れたわたし自身のうつ病経験からもいえますが、肉体的にも精神的にも健康でないと、いい仕事はできません。仕事の生産性を高めるには、礎として健康であることが必須だというのがわたしの考えです。では、なぜ健康な人は仕事の初動が早いのかといえば、ルーティンを持っているからです。

毎日一定時間以上の睡眠を確保しようと思うと、必然的に生活自体が規則正しくなり、日々の行動がルーティン化していきます。そして、優秀なビジネスパーソンは、そのルーティンに仕事に取りかかることも組み込んでいるのです。

トップ5%社員たちは、「やる気をあてにしない」とよく口にします。やる気があるときは仕事の取りかかりが早いけれど、やる気がないときはそうではないとなると、成果を出し続けることが難しくなります。だからこそ、やる気の有無に関係なく仕事に取りかかるルーティンを持っているのです。

■「50分集中しては休む」を繰り返す

【澤円】それは例えば、どのようなルーティンですか?

【越川慎司】朝起きて歯を磨いたら、観葉植物に水をあげて、次にコーヒーを淹れる。そうしたら、パソコンを起動させるといった具合です。一つひとつの行動が独立して存在しているのではなく、一連の流れとしてルーティンになっているから、やる気があろうとなかろうと自然に仕事をはじめられるというわけです。

【澤円】もうひとつの「②集中継続力が高い」についてはいかがでしょう?

【越川慎司】「集中力」ではなく、「集中継続力」だということがポイントです。体力任せで3時間仕事を続けたということでも達成感は得られますし、もちろん悪いことではありません。でも、そこで集中力を使い切ってしまうと、次のタスクをきちんとこなせないのです。だからこそ、集中を継続する力が求められます。

トップ5%社員は、1日のなかで集中する時間をたくさんつくろうという戦略を持っています。具体的には、「疲れ切ってしまう前に休む」のです。だいたい45分から50分くらいで一度仕事を区切って休憩し、また45分から50分集中するということを繰り返しています。

■優秀な人は「エネルギーの温存」がうまい

【澤円】人間が持っているエネルギーには限界があるからこそ、温存しているわけですね。意地悪な表現をすれば、「うまくサボっている」ともいえそうです。

【越川慎司】さらに言い換えるなら、「アクセルとブレーキの踏み分けができている」ということです。例えば、週報を書かなければならない企業は、いまも7割以上に上ります。でも、週報に多くのエネルギーを費やしても、評価が大きく上がることはありません。そうであるならそのエネルギーはもっと直接的な成果や評価につながることに注力したほうが得策ですよね? そのような仕事に取りかかったときにしっかりアクセルを踏むために、優秀な人はエネルギーの温存戦略をとっているのです。

■優秀な人は睡眠時間も長い

【澤円】先の、一定時間以上の睡眠を確保することもそうだと思いますが、優秀なビジネスパーソンはどのような健康習慣を持っていますか?

【越川慎司】睡眠時間が長い傾向にあることは間違いありません。トップ5%以外の平均睡眠時間が5.4時間に対して、トップ5%社員の平均睡眠時間は6.5時間と1時間以上も長いことが調査から判明しました。平均の数字ですから、なかには8時間以上という人もいるほどです。

仕事が忙しいときには、「まず睡眠時間を削ろう」と考えるのが一般的でしょう。でも、トップ5%社員は、「健康でなければいいパフォーマンスを発揮できない」と認識しています。そのため、睡眠時間を確保したうえで「仕事のなかでなにを減らしたらいいか」と考えるのです。

■ランチは腹八分目、間食はナッツ

【澤円】健康習慣というと、食事にもなにか特徴がありそうに思いますが、いかがですか?

【越川慎司】優秀なビジネスパーソンの多くが、「血糖値のコントロール」を意識しています。ランチに脂質や糖質が多いものをたくさん食べると、血糖値が急上昇します。その瞬間は高揚感が生まれますが、そのあとに血糖値が急降下し、集中力が低下したり眠気に襲われたりしてしまうのです。ですから、ランチは腹八分目に抑える意識をトップ5%社員は持っています。

その代わりに、間食をするという習慣も持っています。10時や15時にバナナやナッツ類、ドライフルーツなどを食べるのです。おなかが空き過ぎてしまうと、血糖値が低下して脳にエネルギーがまわらなくなり、パフォーマンスが落ちるからです。満腹にはしないものの、常にある程度おなかに食べ物があるという状態をコントロールしているようです。

バナナとナッツ
写真=iStock.com/Makidotvn
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Makidotvn

【澤円】健康であることがパフォーマンス向上に直結することがよくわかりました。そう考えると、「全然寝てないんだよ」などと不健康自慢をするようなことはもってのほかですね。

【越川慎司】そういった間違った武勇伝をして楽しいのは、話している本人だけです。むしろ、メンバー同士で「こういうことをしたら健康によかった」という経験を共有するなど、チーム内で建設的なディスカッションをしてほしいですね。

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越川 慎司(こしかわ・しんじ)
株式会社クロスリバー代表
元マイクロソフト役員。国内および外資系通信会社に勤務し、2005年に米マイクロソフト本社に入社。2017年にクロスリバーを設立し、メンバー全員が週休3日・完全リモートワーク・複業を実践、800社以上の働き方改革の実行支援やオンライン研修を提供。オンライン講座は約6万人が受講し、満足度は98%を超える。著書に『AI分析でわかったトップ5%リーダーの習慣』、『AI分析でわかったトップ5%社員の習慣』(共にディスカヴァー・トゥエンティワン)、近著に『29歳の教科書』(プレジデント社)がある。

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澤 円(さわ・まどか)
圓窓 代表取締役
1969年生まれ、千葉県出身。株式会社圓窓代表取締役。立教大学経済学部卒業後、生命保険会社のIT子会社を経て、1997年にマイクロソフト(現・日本マイクロソフト)に入社。情報コンサルタント、プリセールスSE、競合対策専門営業チームマネージャー、クラウドプラットフォーム営業本部長などを歴任し、2011年にマイクロソフトテクノロジーセンター長に就任。業務執行役員を経て、2020年に退社。2006年には、世界中のマイクロソフト社員のなかで卓越した社員にのみビル・ゲイツ氏が授与する「Chairman's Award」を受賞した。現在は、自身の法人の代表を務めながら、琉球大学客員教授、武蔵野大学専任教員の他にも、スタートアップ企業の顧問やNPOのメンター、またはセミナー・講演活動を行うなど幅広く活躍中。2020年3月より、日立製作所の「Lumada Innovation Evangelist」としての活動も開始。主な著書に『メタ思考』(大和書房)、『「やめる」という選択』(日経BP)、『「疑う」からはじめる。』(アスコム)、『個人力』(プレジデント社)、『メタ思考 「頭のいい人」の思考法を身につける』(大和書房)などがある。

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(株式会社クロスリバー代表 越川 慎司、圓窓 代表取締役 澤 円 構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム) 文=清家茂樹)

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