大賞は"パーカー発言"のホリエモン…強烈な破壊力持つ「輝くな! 日本大人げない発言大賞2024」最低最悪6作品
プレジデントオンライン / 2024年12月20日 10時15分
2024年も押し迫ってまいりました。今年も政治家や芸能人、企業の中の人などなど、さまざまな人から多彩な「大人げない発言」が飛び出しました。
強烈な破壊力を持つ「大人げない発言」は、ある時は私たちをムカつかせ、ある時はあきれさせながら、今という時代を映し出してくれます。印象に残った言葉を眺めてみれば、2024年がどういう一年だったかが浮かび上がってくるはず。珠玉の「大人げない発言」からにじみ出る独特の旨味を味わいましょう(肩書は発言当時のもの)。
【政治家編】
「大人げない発言」といえば政治家のみなさんです。発せられた順に、どれもそれぞれインパクト抜群の発言を思い出してみましょう。
発言その①
■「俺たちから見てても、このおばさんやるねえと思った」
by 麻生太郎自民党副総裁
【大人げなさ鑑賞ポイント】
「大人げない」と言えば、やっぱりこの人。自民党の麻生太郎副総裁は1月28日、福岡県での講演で、上川陽子外相が前年9月にアメリカを訪れた際の様子について、「そんなに美しい方とは言わんけれども、堂々と話をして、英語できちんと話をし、外交官の手を借りずに自分でどんどん、会うべき人に予約を取っちゃう」と評しました。さらに「俺たちから見てても、このおばさんやるねえと思った」とも。
いちおうホメているつもりのようですが、「そんなに美しい方とは言わんけれども」という前置きは極めて失礼だし、「このおばさん」という表現もまったく必要ありません。「俺たちから見てても」の一節にも、「女性という下の立場にいる相手を偉い俺たちが広い心で認めてやる」という尊大な気配がにじみ出ています。女性を素直にホメるのは「男の沽券」に関わるという意識が骨の髄まで染み付いているのでしょうか。「大人げない」なんてカワイイもんじゃなく、差別意識と勘違いに満ちた極めて恥ずかしい発言と言えるでしょう。
発言その②
■「道義的責任というのが何かというのが私はわからない」
by 斎藤元彦兵庫県知事
【大人げなさ鑑賞ポイント】
今年いちばんの「意外な出来事」といえば、パワハラや公益通報の問題で厳しい批判を受けて辞職した斎藤元彦兵庫県知事が、出直し選挙で謎の熱狂的な応援に後押しされて再選されたことです。選挙の不思議さと怖さをまざまざと見せつけられました。
この発言は9月6日、斎藤知事の疑惑を追及する兵庫県議会の百条委員会で、公益通報の取り扱いの妥当性や元県民局長が亡くなったことに対して「道義的責任を感じるか?」と尋ねられて、「道義的責任というのが何かというのが私はわからない」と答えました。本気でわからないのか苦し紛れの言い逃れなのかはわかりませんが、いずれにせよ常人の理解を超えたあまりにも強靭なメンタルです。大人げなさの破壊力を見せつけられました。
結局、疑問点だらけだった公益通報の取り扱いひとつとっても、再選によってうやむやになろうとしています。選挙戦でも、新たなツッコミどころや疑惑がたくさん生まれました。斎藤知事に投票したみなさんは、今、どういう気持ちでいらっしゃるんでしょうか。
発言その③
■「候補者にカネなど出してはいない。政党支部に出している」
by 石破茂首相(自民党総裁)
【大人げなさ鑑賞ポイント】
10月27日に行なわれた衆院選の最終盤、自民党の派閥裏金問題で非公認になった候補側に、党本部が2000万円の「活動費」を支給したことが判明。野党は実質的な選挙資金の提供であり、「偽装非公認」だと強く批判します。ちなみに、公認候補の党支部に支給された「公認料」と「活動費」の合計も同じ2000万円でした。
誰がどう見ても「裏公認料」ですが、石破首相は24日に広島市で行われた街頭演説でこの問題に触れ、「候補者にカネなど出していない。政党支部に出している」と主張。さらに「報道に負けるわけにはいかない」と責任転嫁をしつつ開き直ります。しかし、金権政治が批判されている中での臆面もない現金バラマキは、自民党の本質や思い上がりっぷりを見事に浮き彫りにし、受け取った側からも「ありがた迷惑」という声が上がりました。
その後の衆院選では、自民党と公明党の与党が過半数割れの大惨敗。この大人げない屁理屈に基づいた言い訳が、もともとの逆風にさらに勢いを与えたのは間違いありません。
このほか、元グラビアアイドルとの不倫がバレた国民民主党の玉木雄一郎代表が、涙を浮かべながら「私の妻はですね……日本一、夫のために地元を守ってくれる妻」(11月11日、不倫報道が出たことに対する記者会見で)と語ったのも、なかなか印象的でした。申し訳ないという気持ちに突き動かされてのことだとは思いますが、妻をホメている場合ではありません。「場違い」をものともしない大人げなさを発揮してくれました。
【芸能人&著名人編】
芸能人や著名人が発する「大人げない発言」も、また独特の香ばしさを醸し出しています。そっと振り返ってみましょう。
発言その④
■「アハハハ…なんか、トドみたいなのが横たわっているみたいな。かわいいなあ」
by 和田アキ子
【大人げなさ鑑賞ポイント】
8月11日に放送されたTBS系「アッコにおまかせ!」の中で飛び出した発言。パリ五輪陸上女子やり投げで、和田が以前から大ファンだという北口榛花選手が金メダルを獲得したときの映像を見ながら、親しみと祝福の気持ちを込めてこう言いました。
悪気はなかったとはいえ、「トド」に例えてしまったことに対して、多くの批判を受けてしまいます。もしかしたら和田アキ子の中では、トドはラッコやイルカと同じように「愛らしい生き物」なのかもしれません。十分に大人げない、世間一般の認識を気にせず、独自の比喩をしてしまう「我が道を行く大人げなさ」のリスクを示してくれました。
発言その⑤
■「もう、虹の橋を渡った向こう側では、きっと、好きな『気持ちいじゃ~ん。』っていう音楽を聴きながら、大好きなお酒だったりとか、楽しんでただきたいなと思いますね」
by 木村拓哉
【大人げなさ鑑賞ポイント】
こちらも、さっきの「トド」同様、けっして悪気があっての発言ではありません。木村拓哉が10月27日に、自身がパーソナリティを務めるラジオ番組で、17日に亡くなった俳優の西田敏行さんを悼むコメントの締めとして、こう語りました。
木村は、何度も共演したこともある西田さんとの思い出を語りつつ、尊敬や感謝の気持ちをしんみりと伝えます。それ自体は感動的でしたが、多くの人が引っかかったのが「虹の橋を渡った」という表現。はっきりした定義はないものの、一般的にはペットの死に対して使う言葉です。あちこちで「大人げない無知っぷり」を嘆く声が起こりました。
しかし、キムタクは言葉の専門家でもなければ、知識を求められる仕事でもありません。そういう人に対して、鬼の首を取ったみたいに「言葉の使い方が間違っている」と批判をぶつけるのは、それはそれで大人げない行為と言えるでしょう。「大人げない発言」は、それを鑑賞する側の「大人げなさ」も浮き彫りにしてしまう恐い一面があるようです。
発言その⑥
■「おじさんがパーカー着るなとか、若い子と交流するなとか言うのはエイジハラスメントじゃないですかね‼」
by 堀江貴文
【大人げなさ鑑賞ポイント】
もともとは27歳の女性作家が、YouTube上で「40近くになってパーカーとか着てるオジサンってけっこうおかしいと思うんですよ」と発言したのが発端でした。それ自体は「へえー、そう思う若い女性もいるんだなあ」ぐらいの話です。
ところが、この発言に対して実業家の堀江貴文氏が激しく反論。Xに「おじさんがパーカー着るなとか、若い子と交流するなとか言うのはエイジハラスメントじゃないですかね‼ 若い女がおじさんのことをdisるのはいいんですかね 逆はめちゃくちゃ叩かれるのに! 正直めちゃくちゃ腹立ちますね。この女」と、大人げなくキレ散らかします。
きっと堀江氏の心の大事な部分に触れてしまったのでしょう。その後、双方から「じつはこういう意図で」という補足や後出しの説明が出てきたりしています。そんな騒ぎを面白がりつつ、おじさんのあいだでちょっとしたパーカーブームが盛り上がっているのは興味深いところ。大人げなさのパワーがもたらした楽しい展開と言えるでしょう。
ほかにも、引っ張りだこだった女性人気タレントが、SNSにほかのタレントへの極めて大人げない暴言を書き込んだケースもありました。それがきっかけとなって、彼女は表舞台から姿を消します。大人げなさの危険性をまざまざと見せつけてくれる出来事でした。
とくに権威も意味もありませんけど、パーカーを日常的に愛用しているおじさんのひとりとして、最後の堀江氏の発言に「日本大人げない発言大賞2024」の称号を進呈させていただきます。おめでとうございます。これからも「大人げない道」を貫いてください。
さて、2025年は、どんな「大人げない発言」が飛び出すのか。世に「大人げない発言」の種は尽きまじ。来年も大人げなさが織りなすドラマを楽しみましょう。
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大人系&検定系コラムニスト
1963年三重県生まれ。1993年に『大人養成講座』でデビューして以来、大人の素晴らしさと奥深さを世に訴え続けている。『大人力検定』『父親力検定』『大人の言葉の選び方』など著書多数。最新刊『昭和人間のトリセツ』(日経プレミアシリーズ)と『人生が好転する95の言葉 大人のための“名言ケア”』(創元社)が好評発売中! 郷土の名物を応援する「伊勢うどん大使」「松阪市ブランド大使」を務める。
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(大人系&検定系コラムニスト 石原 壮一郎)
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