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「5円を納めて二礼二拍手一礼」が正解とは限らない…無類の神社好きが納めている"お賽銭の金額"

プレジデントオンライン / 2025年1月2日 7時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Jonathan Austin Daniels

神社を参拝したとき、お賽銭はいくら入れればいいのか。年間のべ200社以上の神社を参拝するコピーライターの川上徹也さんは「決まりはなく個人の自由ではあるが、銀行に入金する時に手数料がかかるため、5円玉や10円玉のお賽銭は神社にとって迷惑になっている可能性が高い」という――。

※本稿は、川上徹也『「運のいい人」は神社で何をしているのか』(ポプラ新書)の一部を再編集したものです。

■明治以降、「二礼二拍手一礼」に統一

手や口を清めたらいよいよ参拝です。

古来、参拝の作法は全国の神社ごとに違っていました。

だから全国的にこうしなければいけないという統一した作法の決まりはなかったのです。それが明治から昭和にかけて徐々に「二拝二拍手一拝」(二礼二拍手一礼)に統一されました。

実際、全国の神社やその団体などのサイトを見ると今でも「神社にお参りする際の作法には厳格な決まりはありません。どのような方でも、どういった作法であっても、御参拝いただくことが可能です」と書かれていることが多いです(その後、一般的な作法を紹介しますといって「二拝二拍手一拝」を紹介することが多い)。

■神社本庁は「腰を90度に折る」を推奨

では「二拝二拍手一拝」とはどのような作法でしょう。

たとえば全国の約8万の神社の9割以上を包括する宗教法人神社本庁のサイトでは、参拝の作法を以下のように記述しています。

参拝作法(神社本庁のサイトより引用)

参拝作法は、永い間の変遷を経て、現在「再拝(礼)・二拍手・一拝(礼)」の作法が基本形となっています。

1 神前に進み、姿勢をただし再拝(礼)します。
背中を平らにし、腰を90度に折り、拝(礼)をします。
この時の拝(礼)は2度行います。
2 胸の高さで両手を合わせ、二拍手します。
この時、右指先を少し下にずらします。(第1関節くらいまで)
そして肩幅程度に両手を開き、2回手を打ち、その後、指を揃えます。
3 あらためて姿勢をただし、再拝(礼)します。
最後にもう1度拝(礼)をします。

私もこの作法に則って参拝しています。

特に、きちんと90度で拝ができ、二拍手でいい音が出ると気分がアガります。90度の拝は自分がやっているつもりだけで、身体がカタいので怪しいですが。

■同調圧力に負けない二礼四拍手一礼の神社

現在においてほとんどの神社が「二拝二拍手一拝」の作法を薦めています。

ただし例外があります。

出雲大社(島根)、宇佐神宮(大分)、彌彦神社(新潟)は「二拝二拍手一拝」ではなく「二礼四拍手一礼」を作法としています。

出雲大社のサイトにはその理由を以下のように記述しています。

一般的には「2礼2拍手1礼」ですが、出雲大社の正式な参拝作法は「2礼4拍手1礼」となります。ご本殿以外のご社殿をお参りの際にも、この作法にてご参拝下さい。

4拍手をする理由ですが、当社で最も大きな祭典は5月14日の例祭(勅祭)で、この時には8拍手をいたします。数字の「8」は古くより無限の数を意味する数字で、8拍手は神様に対し限りない拍手をもってお讃えする作法です。

ただし、8拍手は年に1度の例祭(勅祭)の時のみの作法としています。平素、日常的には半分の4拍手で神様をお讃えする4拍手の作法としていますが、お祈りお讃えするお心に差はありません。

(出雲大社のサイトより引用)

宇佐神宮や彌彦神社のサイトでは、理由は不明だが代々神職が伝えてきたものであるとしています。ほとんどの神社が「二拝二拍手一拝」としているところを、同調圧力に負けずに、伝わってきた作法を通しているところが個人的には好きです。

もちろん、これらの神社では、「二礼四拍手一礼」をします。

出雲大社
写真=iStock.com/sneil375
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/sneil375

■本殿だけでなく、摂社・末社も要チェック

ご本殿の参拝が終わったら、できれば境内にある摂社・末社なども参拝したいところです。

摂社・末社とは、ご本殿以外にある小さな社のことです。参拝者のほとんどは本殿の参拝だけで済ませますが、摂社・末社まで参拝する方が隅から隅までじっくり神社を楽しめるからです。大きな神社には数多くの摂社・末社があります。そこまで大きな神社でなくても、同じ境内に稲荷神社はあることが多いです。

摂社と末社の違いはあいまいなことも多いですが、摂社は、御祭神と関係のある神や地主神など、特別な由緒がある社で、それ以外を末社と呼ぶようです。

境内だけでなく敷地外に摂社・末社がある場合もあります。

ちなみに伊勢神宮は、正宮(内宮・外宮)2社、別宮14社、摂社43社、末社24社、所管社42社の125社の総称とのことです。別宮もすべて素晴らしいので、余力があればぜひ参拝してください。

■私が参拝する時にやっている10のこと

拝殿の前での私は以下のような手順で参拝します(別にこれが正解という訳ではありません)。

①軽く礼をして拝殿の前へ
②お賽銭を静かに納める 鈴があれば静かに鳴らす
③二拝二拍手
④名前と住所を名乗る(ここからは声にならないよう口の中でつぶやくイメージです)
⑤その神社が初参拝の場合は「初めてお参りさせていただきます」、何回目かの場合はたとえば「1年振りに参拝させていただきます」と前振りのあと、「今日はお参りさせていただき本当にありがとうございます」とお礼
⑥元気でいること、この場に縁あって来られたことへの感謝
⑦どれだけ感動しているか、その神社の素晴らしさを褒めちぎる(ただし本当に思った時だけ)
⑧近況報告(例 最近新しい本を出した等)と目指す努力目標を宣言(例 本が多くの人に届くように頑張る等)
⑨「何卒、いい方向に導かれますようにご加護をお願いします」などの締め
⑩「ありがとうございました」と深々と一拝
これらの一連のルーティーンが終わると、軽く礼をして引き上げる

改めて書いてみると、お礼や感謝ばかりしているイメージです。きっと「感謝効果」も得られているでしょう。ただし、それを狙っているわけではなく自然に湧き上がってくる感情のままにそうしています。

■無料で入らせてくれる神社にお金を落としたい

お賽銭は、日々暮らしていることへの感謝を込めて、米などの農作物を神様へお供えしたことが由来だといわれています。後に貨幣が普及すると、お米の代わりに金銭も供えるようになりました。

お賽銭の金額、あなたはいくら納めていますか?

語呂合わせで、5円(ご縁)や15円(十分ご縁)という金額を入れている方も多いかもしれませんね。もちろん決まりはありません。個人の自由です。ここからはあくまで私の考えです。

お賽銭は「神様への感謝」という意味で納めるという考え方が一般的です。

しかし私は、お賽銭は「神社への感謝」と考えて納めさせていただいています(神社に神様がいるかどうかわからないという考えですし)。

考えてみればほとんどの神社に入場料はありません。信者じゃなくても無料で入らせていただいています。にもかかわらず、今までに述べてきたように、さまざまな効果を与えてくれる場所を提供してくれているのです。少しは神社にお金を落とさないとバチがあたります(誰から?)。

■5円玉や10円玉のお賽銭は迷惑?

では、前述した金額はどうでしょうか? 今、多数の硬貨を銀行などに入金しようとすると手数料をとられます。そのように考えると、(神社の立場では言いにくいでしょうが)5円玉や10円玉のお賽銭は迷惑になっている可能性が高いです。

川上徹也『「運のいい人」は神社で何をしているのか』(ポプラ新書)
川上徹也『「運のいい人」は神社で何をしているのか』(ポプラ新書)

本当は紙幣を納めたいところですが、そこまで思いきれない方が多いでしょう。だとしたら入場料代わりに硬貨は最低でも100円玉を入れる方がいいと考えます。

私はというと、小さな神社では100円玉か500円玉を、少し大きめの神社では千円札を納めることが多いです。「神社の大きさで変えるのか?」と言われそうですが、やはり大きい神社の方がいろいろ経費もかかるだろうし、摂社・末社も多いのが一般的です。

私は時間がある時は境内にある摂社・末社は一通り参拝しますが、一社一社でイチイチ財布から硬貨を取り出してお賽銭箱に入れる動作が好きでないので、その分も合わせて本殿に納めさせていただくという考えもあります。

日本の硬貨
写真=iStock.com/frema
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/frema

■紙幣はポチ袋に入れて納める理由

本当は大小かかわらずすべての神社のお賽銭を「紙幣」で納めていますという方がカッコいいのですが、結構な数を行くので無理のない範囲でそうしています。

紙幣は水引が印刷された小さなポチ袋に折りたたんで入れ、表に「御礼」と書き、裏に名前を記して納めています。賽銭箱にそのまま紙幣を入れると重みがなく、うまく下に落ちていかないこともあるのでそうしているというのが表向きの理由です。しかし、紙幣をお賽銭で入れるのだから少しはアピールしたい(誰に?)、という下心があるのも事実です。

当たり前ですが、お賽銭の金額によってご利益が変わるということはありません。感謝(神社でも神様でもサムシング・グレートでも)の気持ちを込めて、無理のない範囲であなたにとってふさわしい金額を納めましょう。

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川上 徹也(かわかみ・てつや)
コピーライター、湘南ストーリーブランディング研究所代表
大手広告代理店を経て独立。『物を売るバカ』(角川新書)『あの日、小林書店で。』(PHP文庫)など著書多数。海外6カ国にも20冊以上が翻訳されている。

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(コピーライター、湘南ストーリーブランディング研究所代表 川上 徹也)

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