スーパーの棚で見つけたらラッキー…カルシウム濃度を上げ、骨のヨボヨボ化を防ぐ「意外な最強野菜」の名前
プレジデントオンライン / 2025年1月1日 6時15分
※本稿は、しん(野菜を育むプロ)、東京慈恵会医科大学附属病院栄養部(監修)『農家が教えたい 世界一使える野菜の教科書 おいしくて体にいい選び方&食べ方』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■「痩せる食材」は存在しない
症状:肥満
肥満はさまざまな生活習慣病につながります。対策には適度な運動習慣やカロリーコントロールが重要であり、「○○を食べたら痩せる」という話ではありません。毎日の食事が少しでも太りづらいものになるよう、次の野菜を意識的に取り入れてみてください。
きのこ
きのこは全般的に食物繊維の一種「βグルカン」が豊富。食事をとると血糖値が上がり、インスリンというホルモンが分泌されて血糖を脂肪に変えます。これは血糖を下げるために欠かせない体の正常機能なのですが、急激に血糖値が上がるとインスリンの分泌も急上昇し、それだけ血糖が脂肪に変換されやすいというデメリットが発生してしまいます。
βグルカンは、胃の中でゲル状になることで食べものの消化・吸収をゆっくりにします。これにより食後血糖値の上昇が緩やかになるため、インスリンの分泌が安定し、血糖が脂肪に変換されやすくなるというデメリットが抑えられるのです。また、βグルカンには腸内でもゲル状になり、コレステロールや脂肪の腸壁からの吸収を抑える作用もあります。
らっきょう
らっきょうに多く含まれる「サポニン」には、腸内での「脂肪合成を抑制」する作用、腸壁からの「脂肪吸収を制限」する作用、「脂質代謝(脂肪燃焼)を促進」する作用があります。つまり「脂肪を作らせない、入れさせない、燃やす」の全方位的に肥満の予防・軽減に役立つ成分と言えるのです。
■ピーマンはワタごと食べるのがベター
ピーマン
ピーマンに肥満対策の効果が期待できるのは、「クロロフィル」と「クエルシトリン」という2種のフィトケミカルが含まれているから。クロロフィルにはコレステロールの吸収を防いで体外に排出する作用があり、ピーマンの苦みの元でもあるクエルシトリンには血中の中性脂肪の代謝を促進し、脂肪が体内に蓄積されるのを防ぐ作用があります。コレステロールと中性脂肪、両方を低減させる作用があるピーマンも、肥満対策にうってつけの野菜と言っていいでしょう。
肥満予防! おいしくて体にいい野菜料理
きのこ汁
しいたけ、しめじ、まいたけなど、複数種のきのこをふんだんに使って汁ものに。きのこに含まれるβグルカンは水溶性ですが、汁ものなら溶け出した分まで摂取できます。石づきだけ切り落としたら、栄養の多い軸は細かく刻んでカサと一緒に料理しましょう。
ピーマンとらっきょうの蒸し炒め
ピーマンはクロロフィルとクエルシトリンを多く含むワタごと、らっきょうとともに少量の水で蒸し炒めます。脂溶性のクロロフィルは油で炒めることで吸収率アップ。
ただしクエルシトリンとサポニンは水溶性です。熱に対しては比較的安定していますが、高温調理は避けましょう。
■骨の軟化を防ぐレア野菜「つるむらさき」
症状:骨の軟化
骨は壊れては再形成されるというサイクルを繰り返しています。このサイクルが崩れて「壊れる」のほうが進みやすくなると骨密度が下がり、骨折しやすくなったりします。骨の再形成の促進に役立つ野菜を食べて、骨の強化につなげていきましょう。
つるむらさき、春菊、小松菜
骨元気のキー栄養素は「カルシウム」と「ビタミンK」
骨の再形成を促進するには、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKの3つが必要です。まず、カルシウムは骨の主材料となる栄養素ですが、ただ摂取するだけでは骨の形成は促進されません。そこで重要になるのが、カルシウムの吸収を助けるビタミンDです。ビタミンDは腸管からのカルシウムの吸収を促進し、血中のカルシウム濃度を正常に保ちます。
しかし、これでもなお不十分で、最終的には、カルシウムを骨にくっつけなくては骨の再形成は成立しません。カルシウムが骨にくっつくには、ある種のたんぱく質が必要です。ビタミンKは、このたんぱく質を活性化させることで、カルシウムが骨にしっかり沈着するのをサポートするのです。
つるむらさき、春菊、小松菜には、カルシウムとビタミンKが多く含まれています。あと1つ必要な栄養素、ビタミンDを豊富に含む食材と合わせて、骨を丈夫にする料理を作っていきましょう。
■動脈硬化、心筋梗塞、脳出血のリスク
骨元気! おいしくて体にいい野菜料理
小松菜、春菊、ツナのサラダ
小松菜と春菊に、優れたビタミンD食材であるツナを合わせた骨元気サラダ。小松菜と春菊のカルシウムは水に溶けにくい性質があり、ビタミンKは脂溶性なので生でも下茹でしてもOK。ツナ自体に脂質が含まれていますし、オイル系のドレッシングをかければ、脂溶性のビタミンKとビタミンDの吸収もばっちりです。
かつお節たっぷりつるむらさきのおひたし
つるむらさきのおひたしに、かつお節をたっぷりかけてビタミンDをプラス。ただのおひたしが、骨強化に役立つおひたしに大変身です。
症状:ドロドロ血液
食生活の乱れや運動不足により血液中の脂肪分が増えると、いわゆる「ドロドロ血液」になります。すると血管が古いホースのように硬くもろくなる動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血などを招きかねないので、日々食べるものにも気を配り、早めに対策するに越したことはありません。
■玉ねぎを水にさらすのはNG
玉ねぎ
玉ねぎは“血液サラサラ成分”として知られる「硫化アリル」が豊富。硫化アリルには血液の凝固を防ぐことで血液の流れをスムーズにする作用があります。また、強力な抗酸化物質でもある硫化アリルは、血管を酸化ストレスから守ることで血管の健康にも効果的。硫化アリルをしっかりとるなら、玉ねぎを水にさらすのはNGです。硫化アリルは水溶性なので、玉ねぎの辛みを抜くには、切ってから20~30分常温に置きましょう。
トマト
トマトに多く含まれる「リコピン」という物質はフィトケミカルの1つ。強力な抗酸化物質であり、血中のLDLコレステロールの酸化を防ぐことで、血液の流れを正常に保つ作用があります。これにより血管は若く健やかに保たれやすくなるため、結果的に動脈硬化の予防にも役立つ栄養素です。
みょうが
みょうがの香りの元でもある「αピネン」という成分には、血行促進作用があります。また、αピネンも強力な抗酸化物質をもつフィトケミカルの1種ですから、玉ねぎの硫化アリル、トマトのリコピンと同じく、血管を健康に保つよう働くことで動脈硬化の予防にも役立ちます。
■サラダだけでなく、冷製パスタでサラサラに
血液サラサラ! おいしくて体にいい野菜料理
トマトサラダ~玉ねぎとみょうがのドレッシング
細かく刻んだ玉ねぎとみょうがのドレッシングを、生トマトにたっぷりかけて食べるサラダ。ドレッシングに使う酢にも、血液サラサラ効果が期待できます。その他、玉ねぎのマリネやみょうがのピクルスなどでも同様のダブル効果を狙えます。
トマト、みょうが、玉ねぎの冷製パスタ
血液サラサラ野菜の冷製パスタ。トマト、みょうが、玉ねぎをにんにくとオリーブ油で炒めて冷まし、氷でしめたパスタをあえれば完成です。
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1977年生まれ。(有)高橋農園常務取締役。群馬県前橋市にて従業員約80名、ビニールハウス470棟にてほうれん草やチンゲンサイなどを周年栽培しながらフォロワー数26万超えのX(Twitter)を運営し、野菜と農業の魅力について配信中。衰退する日本の農業を元気にし、農業を通じて幸せになる人を増やすのが夢。
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東京慈恵会医科大学附属病院栄養部部長
給食栄養管理と臨床栄養管理をバランスよく機能させ、患者の立場に立った食生活の向上指導にあたる。監修書に『完全版 その調理、9割の栄養捨ててます!』(世界文化社)、『慈恵大学病院のおいしい大麦レシピ』(出版文化社)など多数の健康レシピ本にかかわる。
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(高橋農園常務取締役 しん/野菜を育むプロ(高橋伸吾)、東京慈恵会医科大学附属病院栄養部部長 濱 裕宣)
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