皮ごとカレーで煮込んだら細胞から若返る…「ジャガイモでもサツマイモでもない」ビタミンCが豊富な「根菜」とは
プレジデントオンライン / 2025年1月9日 6時15分
※本稿は、しん(野菜を育むプロ)、東京慈恵会医科大学附属病院栄養部(監修)『農家が教えたい 世界一使える野菜の教科書 おいしくて体にいい選び方&食べ方』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■めまい、息切れ、動悸が気になる人は
症状:貧血
貧血とは血液中の赤血球や、赤血球中のたんぱく質、ヘモグロビンが不足している状態。酸素が体のすみずみまで行き渡らなくなるので、めまい、息切れ、動悸といった症状が現れます。少しでも改善するには、赤血球を増やす作用のある成分をとることが重要です。
水菜、小松菜、ほうれん草
貧血解消のキー栄養素は「鉄」「ビタミンC」
赤血球中のタンパク質、ヘモグロビンが十分に生成され、正常に機能すると、体のすみずみまで酸素が行き渡ります。酸素は、体の各部位が正常に働くためのエネルギーをつくる際に必須なので、ヘモグロビン不足はエネルギー不足につながり、その症状の1つとして貧血症状が現れるというわけです。
そんなヘモグロビンの生成に鉄が欠かせないことは、すでによく知られているかもしれません。しかし単に鉄を摂取すればいいわけではなく、鉄の吸収を助けるビタミンCも一緒にとることが理想です。より厳密に言うと、植物に含まれる「非ヘム鉄」は単体だと体内での吸収率が低いのですが、ビタミンCと一緒にとることで吸収率が上がるのです。
■赤身肉やレバーと合わせると効果的
ここで挙げた水菜、小松菜、ほうれん草は、鉄、ビタミンCともに豊富な野菜。どれか1つを主材料とするだけでも貧血解消を助ける料理ができますが、体に吸収されやすい「ヘム鉄」という形の鉄を含む食材(赤身肉、レバーなど)を合わせると、より効果的です。
貧血解消! おいしくて体にいい野菜料理
牛肉の青菜あんかけ
鉄とビタミンCが豊富な小松菜とほうれん草を、牛肉のヘム鉄が後押し! 赤身の牛肉に片栗粉をまぶして揚げ、ほうれん草と小松菜で作ったあんをかけます。赤身肉のパワーを貧血解消に役立てましょう。
水菜とあさりの酒蒸し
貝類もヘム鉄が豊富な食材。赤血球の生成を助けるビタミンB12も含まれており、水菜との相乗効果を期待できます。殻付きのあさりに酒を加えて蒸し、口が開いたら鉄とビタミンCに富む水菜を加え、サッと仕上げます。
■れんこんの皮はむかなくてOK
症状:老化
誰もが老化現象から逃れることはできませんが、「日々、何を食べるか」で加速を食い止めることはできるでしょう。老化の原因を取り除く成分を含む野菜を食べて、若々しい肌と内臓を作っていきましょう。
れんこん
れんこんに多く含まれるタンニンとビタミンCは、ともに強力な抗酸化物資です。体内では絶えず活性酸素が発生しており、これが肌のシワやシミなど見た目の老化を進める一大要因となります。この活性酸素を除去する抗酸化物質は、老化の進行を抑え、肌のシワやシミを予防、改善する助けに。また、ビタミンCは肌の潤いやハリ・ツヤの元であるコラーゲンの生成に欠かせないという点でも、見た目の若々しさに寄与します。タンニンは特にれんこんの皮に多く含まれているので、皮はむかずに料理しましょう。
なす
なすに多く含まれる「ナスニン」「クロロゲン酸」も強力な抗酸化物質。紫色の色素をもつアントシアニンの一種、ナスニンには、老化の一因である炎症を抑える作用や、血管を保護し、血流を改善する作用があります。また、ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸には糖尿病につながる血糖値の急上昇を抑える作用や、脂肪の分解を促進する作用があります。つまりなすは、肌の若さにも内臓の若さにも役立つと言えるのです。
■ビタミンC摂取のために「葉」も食べよう
かぶ
かぶにはビタミンCと「グルコシノレート」という物質が多く含まれています。ともに強力な抗酸化物質としてアンチエイジングの助けになります。また、グルコシノレートは体内で「イソチオシアネート」に変化。イソチオシアネートには、肝臓の解毒酵素を活性化して体内の有毒物質の排出を助けることで老化を抑える作用、さらには老化の一因である慢性炎症を抑える作用があります。ビタミンCは特にかぶの葉に多く含まれています。
老化予防! おいしくて体にいい野菜料理
れんこん、かぶ、なすのカレー
極力栄養を損ねないために、手早くスパイスで炒めて水を加え、軽く煮込んだら完成。カレースパイスに含まれるウコンは、細胞の健康を保つ「オートファジー」を促進するので、野菜のアンチエイジング効果を増強できます。
かぶとなすの味噌炒め
老化抑制に役立つなすとかぶを一緒に油で炒め、甘辛い味噌ベースのたれで仕上げます。
■トマトは睡眠の質を高める「GABA」が豊富
症状:不眠
睡眠中は、細胞の修復や免疫機能の強化、脳内での記憶の整理と定着、血圧の調整などが行われます。こうしたプロセスが滞ってしまう不眠は万病の元。気分をリラックスさせ、快眠を導く成分をとって、睡眠の量・質ともに充実させていきましょう。
にんにく
にんにくに多く含まれる硫化アリルは血液サラサラ成分として知られていますが、血液をサラサラにする、つまり血流をよくするというのは、つまり体を温めて眠りにつきやすい状態を作ってくれるということでもあります。
また、硫化アリルは神経を鎮めて気分を落ち着かせる作用によっても快眠をサポートしてくれます。
トマト
トマトには、脳内で神経伝達物質として働く「GABA(ギャバ)」というアミノ酸が多く含まれています。GABAの脳内での働きは抑制系であり、ストレスホルモンの分泌を抑制するなど脳の興奮を抑え、気分をリラックスさせる機能があります。また、GABAは睡眠そのものにも作用します。睡眠中はレム睡眠とノンレム睡眠が周期的に繰り返されるのですが、GABAはそのバランスを調整することで、質のいい睡眠をもたらすよう働いてくれるのです。
■肉や魚料理にはほうれん草を合わせて
ほうれん草
ほうれん草に含まれるマグネシウムには、神経の興奮を沈静化して気分をリラックスさせる作用や筋肉の緊張をほぐす作用があり、頭・心・体のこわばりがとれることが快眠につながると言えます。
また、マグネシウムはスムーズな入眠に必要なホルモン、「メラトニン」の生成もサポート。メラトニンは、「トリプトファン(アミノ酸の一種)」から作られる「セロトニン(脳内神経伝達物質の一種)」を材料とするため、肉類や青魚、大豆製品などトリプトファンに富む食材とほうれん草を一緒にとると、セロトニン→メラトニンの生成が促進されると言えます。
不眠改善! おいしくて体にいい野菜料理
トマトのにんにく炒め
トマトとにんにくの快眠成分(GABA、硫化アリル)を同時にとれるシンプルな炒めもの。寒い時期には同じ材料を使ってスープにすれば、体が温まって、快眠効果アップが期待できます。
ほうれん草、きのこ、鶏むね肉のグラタン
ほうれん草のマグネシウムの働きを増強し、快眠を導くグラタン。マグネシウムの吸収をよくするビタミンDを多く含むきのこに、トリプトファンを多く含む鶏むね肉を合わせます。
■ボケ防止成分「チロシン」を豊富に含むたけのこ
症状:もの忘れ
年を重ねるごとに脳も老化し、だんだんものを覚えづらく、忘れやすくなっていきます。自然な老化現象ではありますが、少しでも脳の若さを保てるよう、脳内神経伝達物質にかかわる成分を意識的にとっていきましょう。
たけのこ
たけのこに含まれる「チロシン」というアミノ酸は、脳内で分泌されるアドレナリンとドーパミンの材料になります。アドレナリンもドーパミンも記憶力に深く関わる物質なので、その材料となるチロシンはもの忘れの予防、改善に役立つ成分と言っていいでしょう。チロシンはたけのこのほか、鶏肉や魚介類にも豊富に含まれています。
そら豆
そら豆に含まれている「レシチン」という物質は、体内で「アセチルコリン」という脳内神経伝達物質に変わります。新しいインプットはまず脳の「海馬」というところに入り、短期記憶や長期記憶に変換されます。ここで記憶形成にかかわるのがアセチルコリン。その生成を助けるレシチンは、記憶と学習に役立つ物質と言えるのです。その材料となるレシチンは、ビタミンCと一緒にとると吸収がよくなります。
アタマ活性化! おいしくて体にいい野菜料理
たけのことそら豆の炊き込みごはん
これ一品でチロシンとレシチンを補給し、アドレナリン、ドーパミン、アセチルコリンの分泌を促進できる脳活性化ごはん。鶏肉も加えればチロシンの増強に、またほうれん草やモロヘイヤなどビタミンCに富む野菜を副菜とすれば、レシチンの吸収のアップを図れます。
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1977年生まれ。(有)高橋農園常務取締役。群馬県前橋市にて従業員約80名、ビニールハウス470棟にてほうれん草やチンゲンサイなどを周年栽培しながらフォロワー数26万超えのX(Twitter)を運営し、野菜と農業の魅力について配信中。衰退する日本の農業を元気にし、農業を通じて幸せになる人を増やすのが夢。
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東京慈恵会医科大学附属病院栄養部部長
給食栄養管理と臨床栄養管理をバランスよく機能させ、患者の立場に立った食生活の向上指導にあたる。監修書に『完全版 その調理、9割の栄養捨ててます!』(世界文化社)、『慈恵大学病院のおいしい大麦レシピ』(出版文化社)など多数の健康レシピ本にかかわる。
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(高橋農園常務取締役 しん/野菜を育むプロ(高橋伸吾)、東京慈恵会医科大学附属病院栄養部部長 濱 裕宣)
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