1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

「1ページから本を読む」は間違っている…仕事のできる一流が最初に開くページ、次に読むページ

プレジデントオンライン / 2024年12月30日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

本を効率的に読むにはどうすればいいのか。『トップコンサルタントの「戦略的」勉強法』(翔泳社)を書いた横山信弘さんは「テクニックやノウハウを身に付けたいなら、最初から最後まで読む必要はない。もっと効果的かつ効率的な読書法がある」という――。(第2回)

■同じテーマの本を10冊並べて、抜き取って読む

私は読書以上に「投資対効果」の高い勉強法はないと思っている。自分のペースでノウハウや知識を自由に手に入れられるからだ。それでは、読書を通じて効果効率的に勉強する方法「水平読書」について解説していきたい。私が長年、本を使って勉強するときに実践している読書法である。まずはその目的について整理しておこう。

そもそも読書にはいろんな目的がある。単に読書習慣を身に付けたいから読む人もいるし、流行っている本だから話のネタがほしいので読む人もいる。だが、今回ご紹介する「水平読書」の目的は明らかにそれらとは異なり、テクニックやノウハウを真剣に身に付けたいときに使う読書法だ。この「水平読書」を覚えたら、もう自己流の読書術には戻れなくなるだろう。

さっそく「水平読書」について簡単に解説していく。「水平読書」とは、同じテーマの本を5~10冊ほど複数並べ、そのテーマの箇所だけ抜き取って読んでいく読書法である。「5~10冊」と聞くと「ギョッ」とする人もいるかもしれない。

しかし、体系的に網羅的に勉強するためには、このやり方が最も効率的だ。それに最新の知識やノウハウでなければ、数年前に出版された本でも問題はない。中古で買えば、そんなに大金を使わなくてもいいはずだ。1冊500円程度(送料込み)で手に入るのなら、5冊で2500円。10冊で5000円である。

研修に参加するよりも、はるかに安いし、本は資産化するのだから割り切って「大人買い」してもらいたい。

■網羅的な読書で、共通するポイントがわかる

次に「水平読書」の3つの特徴について紹介しよう。

(1) 多視点からの情報収集

水平読書1つ目の特徴は、「多視点からの情報収集」だ。勉強するにしても、まずどの角度で勉強したらいいか、わからないケースが多い。そういうときに「水平読書」は、とても便利だ。同じテーマに関して複数の著者の本を読むため、専門家の多様な視点を得ることができる。

たとえば「ファシリテーション」に関する本を読んだとしよう。異なる著者の本を5~10冊読むことで、ファシリテーションの様々な側面や応用方法を網羅的に知ることができる。

(2) 知識の平均値の理解

水平読書2つ目の特徴は、「知識の平均値」を理解できることだ。ある著者は「ファシリテーションには傾聴が大事だ」と書いた。しかし別の著者が「ファシリテーションには主導権を握らなければならない」と力説していたら、どうだろうか。

知識や経験が足りない人は、「どっちが正解なのだ?」と迷うに違いない。認知バイアスにかからない上でも大事なポイントだ。人間は、自分の都合のいい内容を目にすると、それ以外を受け付けなくなる傾向がある(これを確証バイアスと呼ぶ)。

このようなバイアスにかからないためにも、テーマ全体の「平均的な理解」を得ることだ。水平読書を通じ、複数の著者から共通して見られる考え方やテクニックを知ることができる。そのテーマに対するバランスの取れた理解が促されるのだ。私は株式投資をする際に「水平読書」で様々な投資法を学び、検討することができとても役立った。

■知識を体系的に組み立てられるようになる

(3) 体系的な知識習得

3つ目の特徴が「体系的な知識習得」だ。「水平読書」の目的は勉強である。読書が目的ではない。勉強であるがゆえに、枝葉の知識ではなく、体系的に、網羅的に知識を習得することが不可欠だ。

勉強するには「着眼大局・着手小局」の考えが不可欠。「水平読書」を通じて様々な角度から情報を得ると、そのテーマに関する知識を体系的に組み立てられるようになる。単に情報収集するだけではなく、知識を統合し、より広い視野で物事を捉えられるようになる。

ファシリテーションというテーマであれば、どんな準備をすべきか。対象者に対する前提知識はどのように取得すべきか。ファシリテーションしやすい環境設定のやり方はどうか。導入部から課題設定は? アジェンダの作り方、仕切り方、さばき方、意見の拡げ方、まとめ方、フォローのやり方など……。

5~10冊も読めば、気付くはずだ。「ファシリテーションって、いろんなことに気を付けないといけないんだ」と。そうして初めて、「ネットで知り得た知識は、ほんの一部分だった」と理解できるようになる。

開いた本と積まれた本
写真=iStock.com/SPmemory
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/SPmemory

■最初から最後まで読む必要はない

続いて「水平読書」の手順に解説する。手順は4つである。

(1) テーマを設定する
(2) テーマに沿った本を選ぶ
(3) テーマに沿った目次をチェックする
(4) チェックした部分だけ読む

買い物でたとえたらわかりやすい。サンドイッチを作りたい。そのための材料をスーパーへ買いに行った。その際、食パンが売っているコーナー、卵やハムが売っているコーナーなど必要なものが置いてある場所を目指すことだろう。目当ての材料が見つかったらそれらをカゴに入れていけばいい。

このようなやり方の読書バージョンが「水平読書」である。スーパーで売っているものをすべて抜け漏れなくチェックするのではなく、「必要なものが売っているコーナー」だけを目指す、というやり方だ。

したがって「ファシリテーション」というテーマを掲げたのなら、そのテーマについて書かれてある箇所だけに立ち寄って読むのである。もっと細かく「ファシリテーションの準備」だけを勉強したいなら、その箇所だけに立ち寄って精読すればいい。本を最初から最後まで読む必要はない。

■目次を見て「これだ」と感じたら買う

「水平読書」用の本は、どのように選んだらいいのか? 次にそのコツについて解説する。可能であれば、図書館や大きな書店に出かけて、まずはリアルの本を手に取ろう。本選びのコツがわかってくれば、いきなりネット書店で買ってもいい。しかし、まだ慣れないときは、目次を最初から最後まで目を通すようにしたい。

目次を確認すれば、どんな内容を知りたいか、知るべきか、手がかりを見つけられるはずだ。テーマに沿った内容が書かれている箇所を見つけたら、その周辺を1~2ページぐらい読む。

大きな書店であれば、同一テーマの本が近くに並んでいるはず。何冊か手に取って「目次読み」を繰り返すことで、どんな本を買えばいいかは、だいたい見当がつく。

ただし、あまり読み込むのはお勧めしない。なぜなら時間をかけて立ち読みしてしまうと、「わかった気になる」ことが多いからだ。「わかった気になる」と、その本を買う意欲が落ちる。最悪の場合、4~5冊立ち読みをしてしまって、「だいたいわかった」と結論づけてしまうのだ。

こういった心理効果を「ダニング=クルーガー効果」と呼ぶ。知識がゼロだと自信もゼロだが、知識が少し身に付くと、いきなり自信過剰になる。そういった現象だ。本物のプロフェッショナルは謙虚だが、少しだけ学んだことがある人は意外と自信満々になるものだ。ダニング=クルーガー効果を避けるためにも「わかった気になる」読み方はやめよう。「この本には目当てのテーマが書かれていそうだ」そう感じたら、迷わず買うのだ。

書店で本を読んでいる女性
写真=iStock.com/Wiphop Sathawirawong
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Wiphop Sathawirawong

■「目次」を読んでもわからなければ、買わない

ちなみに「目次」を読んでも中身がわからないような本はお勧めしない。目次はランドマークだ。迷ったときの目安、道しるべになるべき存在だ。それなのに、その役割を果たしていない、わかりづらい目次の本は扱いづらい。

「水平読書」するのは一回だけではない。必ず何度も読むことになる。道に迷わないためのランドマークがない本を選ぶと、読むたびに道に迷う。どんなに有名な著者が書いた本でも「水平読書」には向いていないと判断しよう。

いきなり本を10冊も買うのは難しいかもしれない。それに、そんなに一度に同一テーマの本が手に入る大型書店も多くはないだろう。だったら最初は3~4冊だけ買おう。3~4冊買って、本を読む前にすべての「目次」をチェックする。

● ファシリテーターの心得
● ファシリテーターのキラーフレーズ
● ファシリテーションの準備
● ファシリテーションのための情報収集
● アジェンダの作り方
● 会議中の雰囲気づくり
● 合意形成の仕方……

どの本の目次をチェックしても、ファシリテーションがテーマなら、このような共通するトピックが見つかるはずだ。体系的に理解するためにも、枝葉のようなテクニックが書かれてあるトピックも意識してチェックしよう。

■「事例」や「コラム」は飛ばしていい

こういった作業をすると、たったこれだけでも相当な満足感を覚える。4冊本を買って、すべての目次をチェックし、勉強したいテーマに沿ったトピックに赤ペンで丸を付けたり、線を引くだけで、かなり「わかった気になる」ものだ。

反復が脳の海馬を活性化させる。だから重要なトピックが記憶として残るだけでもかなり有益な作業だ。読書したあとに「知識を思い出すトリガー」になってくれるから、この作業は丁寧にやっていこう。

さて、ここで私が気を付けているポイントを1つだけ紹介する。それは、事例やコラムなどは飛ばすことだ。あとで時間があるときに読むようにする。最初は、ノウハウやテクニックを覚えることだけに集中するのだ。

チェックしたすべての目次の内容は一気に読んでほしい。時間をかけられる人は、飛ばさなくてもいいが、私のようなせっかちな人は、テクニックやノウハウだけを追いかけたほうが効率的だと思う。

チェックしたすべてのトピックを読むのに、どれぐらいの時間がかかるだろうか。たとえ4冊あったとしても、1時間もかかることはないだろう。1冊目は少し時間がかかったとしても、2冊目からは、かなり速く読めるはずだ。

なぜなら、同じような内容が書いてあるからだ。1冊目に書かれてあった内容と異なるポイントだけに着目し、マーキングしたりメモを残せばいい。3冊、4冊も同一テーマの本であるから、読めばざっくりとした全体像がわかるはずだ。

■3~4冊読んでも「わかった状態」にはならない

全体像がわかったら、次は細部にも目を向けてみよう。とくに重点課題だと思う箇所(本当に実践する事柄)を再読するのだ。どうせ実践で使わない限り、記憶には残らない。ここは徹底して割り切るべきだ。たとえば、

● ファシリテーションのための情報収集
● アジェンダの作り方
● オンライン会議でのファシリテーション術

について、さらに詳しく知りたい。来週から実際に意識してやってみたい。そう思える箇所を3~4冊並べて詳しく読み込むのだ。重点的に覚えたい箇所を再読しながら、また、

● ファシリテーターの心得
● ファシリテーションのための準備

といった基本的なトピックを読み返してみる。そうすることで、「そうか。なぜアジェンダをこうしなくちゃいけないのか。ようやくわかった。準備段階の心得と繋がっているんだな」と、点と点が繋がっていく感覚を味わったら、かなり理解度のレベルは上がっている。

1冊の本を超えて点と点が繋がっていく(コネクティング・ザ・ドッツ)ことで、どんどんと知識の幅が広がっていく。このテーマに関する興味・関心も、驚くほど湧いてくることだろう。

とはいえ、ここで満足することなく、さらに3~4冊は同一テーマの本を買って「水平読書」をしてみよう。「もう、だいたいわかった」と思い込んではいけない。そう思った時点で「ダニング=クルーガー効果」が働いていると受け止める。3~4冊本を読んだからといって「わかった状態」になることは、断じてない。どんなテーマであってもだ。

■反復すると、脳の記憶にしっかり残る

それに、たとえ「何冊読んでも一緒だった」という結果になったとしてもいいではないか。違う専門家が同じようなことを本に書いているのであれば、そのテクニックやノウハウに対する信頼度はさらに高くなる。「読んで損した」という感情を抱くべきではない。同一テーマの本の、同一のトピックを読めば、より一層多様な視点が手に入るはずだ。

「アジェンダはこう作るのか」
「このような会議の進め方のほうが自社に合っている」
「この著者はアナウンサーか。だからこの本で紹介されているやり方は、他と違うんだ」

本を読み比べるといろいろな発見がある。そのテーマに対する見識が爆発的に増えていく。「たかがファシリテーションと思っていたけど、シチュエーションによって随分とやり方も変わるんだな」多くの経験をしないと身に付かない見識が、10冊近く読むだけで、ある程度身に付いてしまうのだ。こうして体系的にノウハウを覚え、深く理解することで、自分が実践するときはどうしたらいいのか。具体策もイメージできるようになる。

横山信弘『トップコンサルタントの「戦略的」勉強法』(翔泳社)
横山信弘『トップコンサルタントの「戦略的」勉強法』(翔泳社)

また、実際にやってみてうまくいかなければ、もう一度「水平読書」を試みてほしい。チェックを付けた「目次」を頼りに、再びザーッと10冊ほどに目を通すのだ。すると、確実に新たな発見があるはずだ。

「そうか! 出席者の事前情報を正しく収集できていなかった。それを忘れていた」どの本で、その重要なポイントを見つけられるかはわからない。だから複数の本を並べて「水平読書」をするのである。

「水平読書」を反復することで、重要な知識が脳の短期記憶(ワーキングメモリ)にしっかり格納される。何かあったとき、すぐに思い出せるほど記憶に残る。まさにこれが「ダム勉強」である。

----------

横山 信弘(よこやま・のぶひろ)
株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長、コンサルタント
1969年、名古屋市生まれ。幼いころから自由奔放な性格で、大学も行かずに社会に飛び出した。35歳でコンサルタントに転身したことを機に、独学による猛勉強を開始。その数年後には実績を上げ始め、セミナーや講演の依頼が殺到。代表を務める会社のコンサルティング先はNTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで200社以上。著書に『絶対達成マインドのつくり方』『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの他、『「空気」で人を動かす』などがある。

----------

(株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ代表取締役社長、コンサルタント 横山 信弘)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください