「元日くらい勉強を休んだら?」と聞けば一発でわかる…現役東大生が断言する「志望校に合格できる人」の共通点
プレジデントオンライン / 2025年1月1日 8時15分
■「休んだ」4割、「勉強していた」6割
寒さが厳しくなり、多くの受験生が「あと○日で入試がある」と気を揉むシーズンが到来しました。受験生にとってクリスマスや大晦日・元日なんて「追い込み」の時期でしかなく、休む間もなく勉強しているという人がほとんどだと思います。
そんな今の時期、多くの人からこんな質問をいただきます。親御さんからは「元日も、子供に勉強させるべきでしょうか。この日くらいは休ませてあげるべきなのではないか」と聞かれ、受験生からは「神社に初詣に行ってもいいものなのでしょうか」と聞かれます。
要するに、元日は勉強すべきかどうか、という質問です。確かに根を詰めがちな直前期において元日のちょっとした息抜きは必要だという意見にも一理ありそうな気もしますし、全く逆に「そんな時間なんて作らずに勉強するべき/させるべきだ」という意見も正しそうな気がします。
このことについて東大生にアンケートを取ると、約4割は「元日くらいは休んでいた」のですが、逆に約6割が「元日でも関係なく勉強をしていた」と答えていたのは非常に注目すべき点です。どうでしょうか? みなさんが思っていたよりも勉強している人の割合が多いと感じたのではないでしょうか。ここからは、それぞれの理由を見ていきます。
■「視野」が狭くなると、ケアレスミスにつながる
まず、「元日くらいは休んでいた」という約4割の人たちです。話を聞くと、以下のような回答がありました。
・「年末年始もずっと勉強を続けて、この日だけは休むと決めていた」 文学部3年
・「この日を越えたら受験だ、という決意を決めて、休んでいた。視野が狭くなっていたので、この日にリフレッシュできてよかった」 経済学部4年
この「視野が狭くなる」(経済学部4年)ということについては、少し説明が必要かもしれません。これは試験中のミスを指しているのですが、「視野が狭くなって、通常では考えられないようなミス」が起こり得るということを意味しています。
試験直前になると、受験生はどうしても1問1問に対して集中し過ぎてしまいます。「1つの問題をいかに早く解くか」に意識が集中し、ヒントを見逃したり、マークミスをしたりと「普段やらないようなケアレスミス」を連発してしまうのです。例えば筆者の友人に、「マークミスで東大に落ちた」という人がいました。彼は今までの模試や他大学の試験では一度もマークミスをしていなかったのにもかかわらず、センター試験(当時)の本番だけ、マークミスをしてしまったのです。
■一度息抜きを挟んで、リセットする
きっとそれは「運が悪かった」のではなく、本番で緊張し、問題に対して正解をすることのみに集中しすぎた結果、マークミスを避けるという考え方が頭の中からすっぽり抜け落ちてしまったのだと思います。
このように、試験本番になって「いつもはしないミス」をする人はあまりにも多いのです。「模試の点数よりも30点低かった」「本番で大失敗した」という人が多くいるのは、そういう「普段やらないようなケアレスミス」が原因です。
そうならないためには、ちょっとした息抜きが必要です。一度休みを設けてリセットし、“狭まった視野を広く設定し直す”必要があります。
そうすると、試験中に何か突発的な、想定外の出来事が起こった時の立ち回りもうまくなります。今年から大学入学共通テストが新課程となり、大幅な傾向変化が予想される科目もあります。もし本番で、今まで解いていなかったような問題が出てきたら、緊張して「どうしよう! 解けないんじゃないか?」と頭が真っ白になる場合もあります。
しかし、よく考えてみると、傾向が変化してあたふたしているのは、試験会場にいる全員です。多くの人がみんな一様に難しく感じているわけですから、焦る必要はないのです。むしろ、焦っていると普段考えられないようなミスをしてしまったりして、失敗する確率が高くなってしまいます。
■「俯瞰する余裕すらない受験生」は休息を
傾向が変化した試験でも実力を発揮できる人というのは、これを自覚し、「どうせみんな焦っているんだろうな」とメタ認知することができる人です。
例えば、周りの受験生が焦っているのを見たら「みんな焦っているな。ということは、ここで焦らず堅実に問題を解くことができれば、この試験では平均点以上が取れるはずだ」と考えることができるのです。
また、難しい問題と出合った時には、「この問題、難しいからみんな解けないだろうな。じゃあ、一回スルーして次の問題を解こうかな」と柔軟にその場で発想することだったりします。そのためには、とにかく焦ってはいけないのです。そしてこのように「周りの人がどう考えているのか」ということを考えながら試験問題を解くというのは、広い視野が必要です。さもなくば目の前の問題に必死になり、焦れば焦るほどドツボにハマってしまいます。毎日根を詰めて勉強を続けた結果、俯瞰する余裕がなくなってきていると感じている受験生は、元日くらいは休息を取ったほうがいいということになります。
■「なんとなく勉強していた」タイプが合格を掴む
一方で、注目すべきは約6割という半数以上が「元日だからといって関係なく勉強していた」という事実です。東大生からはこんな意見もありました。
・「『1月1日くらいは休んでいいだろう』みたいな発想は持たなかった。1日だけ休むと、スイッチが切れてしまいそうで怖かったから、休めなかったという方が正しいかもしれない。」 文学部4年
・「実はこの日くらいは休もうと考えていたんだけど、なんとなく手持ち無沙汰になって、午後になったら勉強してしまっていた」 教養学部2年
たしかに、追い込みの時期において、一度休んでしまうとスイッチが切れてしまいそうで怖いという意見もあるでしょう。
しかし、ここで着目すべきは、実は東大生で一番多いのが、2番目の回答のような「休むつもりだったんだけど、なんとなく勉強してしまっていた」というタイプです。「今日くらいは休んでいいか」と気持ちとしては思っているんだけど、でもなんとなく勉強してしまっていた……。そういうタイプが一番合格を掴んでいるのです。
休もうと思っても身体に染み付いた習慣として「勉強」がルーティンになってしまっているということです。
■頑張ってきた受験生は「勝手に勉強してしまう」
ここまで頑張ってきている受験生であれば、普段からちょっとした隙間時間を使って勉強することがルーティンとなっていることでしょう。休もうとしても手持ち無沙汰になってしまい、ちょっとした時間に単語帳を開いたり、スマホで英単語の勉強アプリを見たりすることが当たり前になっていると思います。
そうすると、自分で「やめよう」と思っても、身体が勝手に勉強をしてしまう習慣が身に付いているため、正月だったとしても勉強をすることにつながっているわけです。毎日風呂に入っている人が「今日だけは入らないようにしよう」と思っても、なんだか落ち着かない気分になってしまいますよね。それと同じように、ちゃんと勉強している人であればあるほど、ちょっとした時間で勉強してしまうものです。
具体的に言えば、初詣のちょっとした待ち時間、例えば10分あれば単語帳を開いてしまったり、初詣から家に帰ってきて食事まで30分あれば「さっき暗記したことの復習ができるな」と考えたりして、実行に移してしまうわけです。
決して悪いということではなく、むしろいまの自分が何をすべきなのかをわかっていて、身体に勉強が染み付いている人、「勉強したい!」と意欲的な状態になっている人だということです。こういう姿勢の人は、その後、受験本番を迎えても合格できる確率が高いでしょう。「休むつもりだったけど休めなかった」「なんとなく手持無沙汰だった」という東大生の体験談には、そういった面が色濃く表れていると言えます。
■子供の勉強を強制的に止める必要はない
アンケート結果からは、もう一つ言えることがあります。それは、ただ「正月だから」という理由だけでダラダラ過ごすのは、もしかしたら危ないサインかもしれませんよ、ということです。
せっかくの正月ですから、初詣に行ってもいいとは思います。久しぶりの親戚とのご挨拶、集まり、大人数での会話や遊び、そういった“ならではの行事”も、もちろんやっていいとは思います。根を詰めた状態をリセットできるので視野が広がり、試験でもいい効果が表れる可能性があるからです。
でも、もし元日以外でも大して勉強に身が入っていない、明らかに合格できる学力が身に付いていないのに、「ただ元日だから休む」と考えている人は要注意です。
ここまで述べてきたように、自分の立ち位置がわかっている受験生は、今何をすべきかをちゃんと理解して、それが正月に勉強する・しないという行動に表れているだけです。視野のリセットのためにあえて休んだり、反対に、自ら“やりたい”と思えるほどの状態になっているから意欲的に勉強したりしているのです。
もしこの記事を読んでドキっとした受験生は、ぜひ10分でも、1分でもいいから、隙間時間を見つけて勉強に取り掛かりましょう。「勉強したい!」と思っている受験生のほうが多いのですから、ただ正月という理由だけで休んでいては、周りと差をつけられてしまうかもしれません。
また、親御さんであれば、受験生の子供に対して「元日くらいは勉強を休んだらいいんじゃない」と声をかけてみてください。もし、それでも子供が勉強していたり、スキマ時間で単語帳を読んでいたりしたら、受験生としての本気の姿勢が身に付いている証拠です。勉強を強制的に止める必要はなく、「あ、これなら大丈夫そうだ」と捉えて、そのまま続けさせてあげてください。そういう受験生であれば、合格を掴む日も近いかもしれません。
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現役東大生 カルペ・ディエム代表
1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すものの、2年連続で不合格に。二浪中に開発した独自の勉強術を駆使して東大合格を果たす。2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教え、教師に指導法のコンサルティングを行っている。日曜劇場「ドラゴン桜」の監修や漫画「ドラゴン桜2」の編集も担当。著書はシリーズ45万部となる『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大算数』(いずれも東洋経済新報社)ほか多数。
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(現役東大生 カルペ・ディエム代表 西岡 壱誠)
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