これなら体重維持の邪魔をしない…チョコレート中毒なのに太らないフランス女性が食べている"チョコ"の種類
プレジデントオンライン / 2025年1月12日 16時15分
※本稿は、ミレイユ・ジュリアーノ著、羽田詩津子訳『フランス人はなぜ好きなものを食べて太らないのか』(日経ビジネス人文庫)の一部を再編集したものです。
■チョコレート中毒のフランス人
最近パリで《レ・マンジューズ・ド・ショコラ》(簡単に訳すと《チョコレートを食べる女性たち》)という短い芝居を見た。3人の若いチョコレート中毒が、グループセラピーを受けようと決意する。そしてセラピスト(彼女自身、元チョコレート中毒)は、3人が中毒から解放されるための手がかりを見つけられるように手助けしようとする。全員が失敗して(意外)、何ひとつ解決されない(これがフランスの舞台なのだ)。
しかし、たくさんのいいせりふが登場し、中にはささやかな真実以上を含んでいるものもあった。たとえば、「調査によれば、フランス人の10人中9人がチョコレート好きだということが判明している……しかも好きではないと答えた10人目は噓をついている」
その芝居はフランス人のチョコレートへの執着ばかりか、アメリカではおそらくあたりまえの治療施設も風刺していた。おもしろく見たが、チョコレートをこっそりと食べる女性についての意見だけはいただけなかった。フランス人にとって、そういうことをする女性は冗談にできるほど馬鹿馬鹿しく感じられるのだろうが、わたしのアメリカ人としての経験から言うと、笑えなかったのだ。
■パンやチョコレートの存在を消すのは逆効果
アメリカ女性がこっそり何かを食べることは頻繁にあり、その結果感じるのは喜びよりは罪悪感である。そういう傾向は変えていかねばならない。どんなものであれ、罪悪感を覚えていてはおいしくない。
本当に何かを楽しむのであれば、わたしがチョコレートを愛しているように、人生においてそのための場所があるはずだ。だが罪悪感を覚えたまま、がつがつ食べることはしてはならない。洗練された喜びを感じてこそ、チョコレートを堂々と心から楽しめるのだ。アメリカ人が食べるべきではないとみなすようになった他のすばらしい食品についても、同じことが言える。
フランス女性はチョコレートをよく食べる(平均して年に5.5キロぐらい)。「敵」として監視リストに載っているパンも食べる。しかし、フランス女性は太らない。実際、これもまたフレンチパラドックスのひとつなのだ。
すなわち、そういう楽しみが存在しないふりをすること、あるいは長期間にわたって食生活からそれを抹消することは、おそらくまた体重が増えることにつながる。長期的な欠乏感がもたらす唯一の効果はヨーヨーだ――今日は下がっても、知らないうちにまた上がっている。それはまったく無意味なことだ。とりわけ、パンもチョコレートも体によいのだから。
■「友」にも「敵」にもなりうる食べ物
パンとチョコレートを食べても、太りたくないなら、ドクター・ミラクルのアドバイスのように頭を使う必要がある。返ってくる喜びを最大にして、犠牲を最小にするのだ。実際、ドクター・ミラクルはちょっとした楽しみが成功の鍵だと主張していたし、彼の処方に従うと、わたしはチョコレートを食べる必要があった。ただし少量だけ。さらに自分が食べているものに対する理解を深める必要もあった。
ようするに、どう扱うかによって友だちにも「敵」にもなりうる食べ物を、フランス式に楽しむ方法をドクターは教えてくれたのだ。大切なのは、感覚を意識すること、つまり分量、品質に対する感覚、全体的な健康を思い描く目だ。
わたしはすでに自分がチョコレートに夢中だということを告白した。それは基本的にチョコレート中毒ということだ。まちがいなく、母からの遺伝だと思う。母は驚くほどたくさんのチョコレートのデザートを知っていたし、チョコレートそのものを食べることも大好きだった。おかげで母のためにおみやげを買うのは実にたやすかった。
■チョコバーをかじるのとは違う官能的な食の経験
ベルギー、スイス、あるいはおいしいフランスのチョコレート店のものであれば、確実に母の心をとろかすことができた。何年か前、リヨンの有名なチョコレート職人が70代後半で亡くなり、《ル・モンド》の死亡記事に、生まれてからずっと彼は1日に1枚、大きめのチョコレートバーを食べていたと書かれていた。
わが家では、母よりもたくさんチョコレートを食べている人間が、フランスに少なくとも1人はいたことがわかったという冗談が交わされたものだ。しかし母は90歳を過ぎても、毎日チョコレートを食べているので、結局、最終的には彼を量で凌駕するのではないかと思う。
そのチョコレート職人の毎日の分量に驚かなかったら、あなたとチョコレートの関係を見直さなくてはならない。リヨンの男性はフランスの基準でいえば、異例なのだ――それほどたくさん食べて、問題が生じてこない人はめったにいない。チョコレートを味わうことは、競技ではない。その繊細な風味が弾け、これ以上ないほどなめらかな舌触りのチョコレートが口の中で溶けて、喉を滑りおりていくのを味わうこと、まさに官能的な食の経験なのである。歩きながらスニッカーズのチョコレートバーをかじるのとは、天と地ほども開きがある。
それにしても、どうやってこの穏やかな狂気は進化してきたのか? 歴史によれば、ギリシャ語で「神々の食べ物」を意味するカカオの木の学名、テオブロマ・カカオの魅力に深く根ざしているようだ。
■「まっ黒なチョコレート」は体によいと言われる
ルイ14世の妻、マリー=テレーズは夫の太陽王に、夫とチョコレート以外には情熱を抱いていないと言明したそうだ(ただし、どちらをより高く評価していたかはわからない)。19世紀には、歴史上もっとも偉大な美食家、ブリア・サヴァランがこういった。「チョコレートは健康である」そして科学がチョコレートの能力を裏づけるはるか以前に、彼は多くの病気にそれを処方した。
まっ黒なチョコレートは、心臓によいと言われている。紅茶や赤ワイン以上に抗酸化物質を含んでいるし、マグネシウム、鉄、カリウム(すべて女性の健康に必要だ)に富んでいる。また脳内受容体に働きかけ、気分に有益な影響を与えるセロトニンやテオブロミンを含んでいるので不安や抑鬱を癒す。だが脂肪も多いので、脂肪たっぷりの休日のごちそうのデザートではなく、軽い食事のあとか、おやつとして単独で食べたほうがいい。
■チョコレートの大量生産への失望
20世紀のもっとも失望させられる進化のひとつは、チョコレートの大量生産である。それによって質の悪い脂肪をたっぷり含んだ劣った製品が作りだされ、その結果、多くのアメリカ人が一生のあいだに一度も本物のチョコレートを味わうことがなくなった。しかし、18世紀に完成された伝統的な技法を熱心に守ろうとする、職人的なチョコレート店が新たにできているのでほっとしている。今、アメリカじゅうに生まれているこうしたチョコレート製造業者には、そもそもチョコレートへの崇拝を生みだした品質を期待したいものだ。量よりも質というわたしのスローガンは、チョコレートのような影響力のあるものの場合は、いっそう重要である。
チョコレートを味わう場合、甘み、塩味、酸味、それに苦みが基本となる味だ。酸味は頰の内側で感じるはずのもので、香りの放散と、口の中での味の持続に欠かせない。苦みは舌の先で感じられる。ほとんど砂糖を入れていないチョコレートの場合は苦みがはっきりと感じられるが、他の味覚を消し去ってしまわない限り、苦みはチョコレート独特の特質である。舌触りも品質にはきわめて重大だ。なめらかさ、表面の歯触り。チョコレート職人は多種多様のチョコレート――甘くてしょっぱい、甘くて苦い、酸味がきいていて苦い、硬くてやわらかい、ぱりっとしていて香りがいい、冷たくて温かい――を作ることができるので、ある名人の品が別の名人の品とまったく味わいがちがうのは当然なのである。
■平均的なアメリカ人の食べるチョコレートは「ジャンクフード」
フランス女性にとって、本物はやはりダークチョコレートだ。ビタースイートか、できたらエクストラ・ビタースイートがいい。それはいちばん混じりけがなく、もっともカカオソリッド――チョコレートの味をチョコレートらしくするもの――の含有率が高い。
「チョコレートが嫌い」という人にはめったに会わないが、平均的なアメリカ人が食べているものは、チョコレートの目利きなら決して口にしない。ミルクチョコレート、ホワイトチョコレート、あるいはスーパーマーケットやドラッグストアでさまざまな包装で売られているもの。これははっきりいってジャンクフードで、砂糖がどっさり入り、カカオの量がとても少なく、たいてい人工着色料と保存料が加えられている(挽きたてのコーヒーと同じように、本物のチョコレートの完璧な香りを楽しめるのはごく短い期間である)。
たしかに、わたしたちフランス人はチョコレートに夢中になっている。チョコレート博物館やクラブまである。チョコレートをテーマにした雑誌《ユニヴェルシテ・デュ・ショコラ》と《サロン・デュ・ショコラ》もある。最高のチョコレート・スフレや最高のチョコレート・マカロンの試食会と競技会もある。パリ育ちの人々の中には、グレン・ド・カフェ(コーヒー豆の形をしたチョコレート)をある特定の店で買うためだけに、セーヌ川を渡る者もいるだろう。さらにフランスならではだろうが、きわめて権威のあるチョコレート・アカデミーもある。わたしがいい成績をとるたびに、母は「チョコレートのメダルをあげなくちゃね」と言ったものだ。
■上等な二粒のチョコレートなら体重維持を邪魔しない
いいチョコレートの価値は揺らがない。多くのフランス女性はこう言っている。「落ち込んでいるときは、チョコレートしちゃう」つまり、黒い食べ物にお金を浪費するということだ。チョコレートの味覚の喜びと精神的な安心感をもたらしてくれる潜在能力を認識するようになれば、それだけの投資をする価値があると納得できるだろう。幸い、いいチョコレートがあれば、楽しみのために何キロも買う必要はない――買うべきでもない。一日に上等な二粒のチョコレートは懐を痛めないし、体重の維持計画を邪魔しないだろう。
そしてもちろん、この「食べ物の神様」を少々用いれば、簡単きわまりないデザートが至福のものとなる。
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フランスで生まれ、大学卒業後に渡米。国連の通訳やフランス政府の広報担当として働いた後、LVMH傘下のヴーヴ・クリコ社のアメリカ現地法人クリコ社の開設に携わり、社長兼CEOをつとめる。現在は食とライフスタイルの評論家として活躍中。
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(クリコ社 前社長兼CEO ミレイユ・ジュリアーノ)
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