「調子はどう?」の雑談にどう答えるか…「仕事がうまくいく人」と「頑張っても報われない人」の明らかな差
プレジデントオンライン / 2025年1月9日 8時15分
■考えの「大きさ」が成功を左右する
成功というのは、大学卒の肩書きや家柄などで決まるものではない。
それは、彼らの考え方が大きいか小さいかによって決まるのである。どれだけ大きく考えることができるかというのが、業績の規模を決めるのだ。では、どのようにしたらわれわれの考えを大きくすることができるのかを検討してみよう。
ジョンは新聞で社員募集の広告を見た。それはまさしく彼が望んでいた就職口だ。しかし彼は何もせずにそれを見送ってしまった。「自分はその職にふさわしくない。今さらじたばたしたってはじまらないさ」と考えてしまったのだ。
あるいは、ジムはメリーとデートしたいと思っている。けれども電話もかけない。自分は彼女にはふさわしくないと考えてしまったからだ。
トムは、リチャード氏が彼の商品にうってつけの客だと感じる。しかしトムはリチャード氏の家を訪問しようとはしない。リチャード氏は大物すぎて、どうせ会ってくれないだろうと考えるからだ。
ベートは就職志望用紙に必要事項を書き入れている。その中に「初任給はいくらぐらいを望みますか」という質問があった。ベートはごく控え目な数字を書き込んだ。ほしいと思う金額には値しない男だと思ったからだ。……などなど、自分を過小評価する例は限りなく続く。
紀元前にある哲学者が“汝自身を知れ”というすばらしいアドバイスをしてくれているが、ほとんどの人たちはこの忠告を、どうも“汝自身の消極面だけを知れ”という意味に解釈しているようだ。
そのため彼らの自己評価は、欠点や欠陥、不適格などを延々とリストアップすることになってしまうのだ。たしかに、自分の欠点を知るのは悪いことではない。それによって、改善すべき点はどこにあるかを知ることができるからだ。しかし、自分の消極的な特徴だけしか知らないとしたら、それは地獄にいるようなものだろう。自分の価値はどんどん小さくなっていくだけである。
■自分の「ほんとうの大きさ」を測る方法
次のことを実行すれば、あなたのほんとうの大きさを測ることができる。会社幹部やセールスマンの訓練にこれを使ってきたが、なかなか効果のあるやり方なのだ。
(1)あなたの主要な長所を五つあげてみる。客観的に物事を見てくれる人――それは奥さんでもいいし、上司でも先生でもかまわない――とにかく、あなたに正直な意見を言ってくれる人に協力してもらうといい(よくあげられる長所としては、たとえば、教育、経験、身につけた技術、外見、家庭がうまくいっていること、態度、人柄、創意性などがある)。
(2)次に、それぞれの長所の下に、大きな成功を収めてはいるが、あなたほどにはこのような長所を持っていない人の名前を3人書きこむ。
やってみると、たぶん少なくとも一つの長所においては、成功した人びとに勝っていることがわかるだろう。このことによって導き出される結論はただ一つ。あなたは、あなたが考えているよりも大きいのだ。ならば、あなたの考えを、あなたのほんとうの大きさに合わせればいい。あなたがほんとうにそうであるくらい大きく考えることだ!
断じて、自分自身を過小評価してはならない!
■言葉遣いの重要性
「丈夫な」と言えば通じるのに「堅牢無比(けんろうむひ)」と言ってみたり、「まじめな」でいいのに「謹厳実直(きんげんじっちょく)」と言ったりする人がいる。
即座には理解しかねるような難しい言葉を使う人や大げさな言い回しをする人は、高圧的でもったいぶった人間に多く見られる。そして、このようなもったいぶった人間というのは、物事を小さく考える傾向があるのだ。
言葉や言い回しの重要性は、言葉を多く知っているとか、大げさな表現をするということで決まるものではない。大切なのは、その言葉が相手の考え方に及ぼす効果はどうなのかということだ。
一つ、非常に基本的なことを覚えておいてほしい。それは、われわれは言葉や言い回しで考えるのではなく、絵やイメージ(あるいはこの両方)で考える、ということだ。
■人は聞いた言葉を素材に「絵」を作り上げる
たとえば誰かが「ジムは新しい二階建ての家を買った」と言えば、あなたはそういった家をイメージするだろう。だが「ジムは新しい小屋を建てた」と聞けば、それとは違った別のイメージを描くはずだ。言葉は考えの素材にすぎない。言葉や言い回しは、自動的に心の絵に置き替えられるのである。そして、あなたがつくり出すその絵によって、相手の反応は限定されてくるのである。
「残念ですがわれわれは失敗したと言わざるを得ません」とあなたが言ったとしよう。すると、これを聞いた人たちはどんな絵を見ることになるだろう?
彼らはあなたの敗北した姿を見、「失敗した」という言葉によって連想される失望や悲嘆の状態を思い浮かべるだろう。しかし、同じことを「まだ発見できないけれども、ここにはきっと新しいやり方があるはずです」と言ったとしよう。彼らは再び勇気づけられ、やる気が起きるのを感じるにちがいない。
あるいはまた、「われわれは今、難しい問題に直面している」と言えば、相手は心の中に、解決することのできない難しい状態の絵や不愉快な絵をつくり出してしまう。そうではなく、「われわれは今、チャレンジ(挑戦)に直面している」と言ったとしよう。するとそれは、愉快な、何か楽しくなるような、スポーツめいた絵をつくりあげているのである。
■聞き手に「前向きな絵」を描かせる
この間題のポイントは次の点にある。
つまり、大きく考える人というのは、自分自身にはもちろん、相手の心にも積極的で、前向きで、楽天的な絵をつくる名人であるということだ。大きく考えるためには、大きくて積極的な心像を生むような言葉や言い回しをしなければならないのである。
下記の図表1に、消極的で気がめいるような言い回しと、積極的な言い方とをあげておく。これを読み、「いったい私はどのような心の絵を見るだろう?」と自問してみることだ。
■大きく考える人の言い回しを身につける4つの方法
① どう感じているかを説明するときには、大きく、積極的で、元気のよい言葉や言い回しを用いる
誰かに「今日の気分いかがですか?」と聞かれて、「どうもすぐれません」と答えてごらんなさい。ほんとうに気分が悪くなってしまう。だから次のように言うことだ。「おかげさまですばらしい気分です」と。あるいは、「大きい」とか「けっこうな」といった言葉を使うのである。
あらゆる機会にこういった言葉を口にすると、何か大きく感じはじめるだろう。いつも大きく感じている人だと言われるようになれば、友だちも得られるのである。
② 他人のことを説明するときは、明るい、元気のよい、好意的な言葉や言い回しを用いる
どんな友人や同僚について話すときも、大きくて積極的な言葉を使うことを原則とするのである。「彼はほんとうにすばらしい人だ」と相手をほめるのだ。彼を小さく見せるような表現をすれば、それはあなたを小さく見せるだけなのだ。
③ 人を元気づけるときには、積極的な言葉を使う
誰もが、ほめ言葉を望んでいるのだ。妻や夫に対しては、毎日特別すばらしい言葉を用意しておきなさい。いっしょに働いている人なら、彼らを認め、ほめてあげることだ。心からほめてあげることは、やがて成功するための道具になる。それを用いることだ。しかも、繰り返し、繰り返しほめるのだ。彼らの外見、仕事、業績、家族、何でもいい。機会あるごとに、人をほめてあげなさい。
④ 計画を人に説明するときには、積極的な言葉を使う
「よいニュースがある。われわれはほんとうのチャンスにめぐり会った」というような言葉を聞けば、人の心は生き生きとしてくるだろう。逆に「うまくいくかどうかわかりませんが、こんな計画があるのですが……」と言えば、聞いた人はうんざりしてしまう。勝利を約束すれば、相手の目も輝く。勝利を約束すれば、支持も得られる。城を築くことだ! 墓を掘ってはいけない!
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ネブラスカ大学で理学士取得。オハイオ州立大学で修士号、オハイオ州で博士号取得。専門分野は主として、経営組織、マーケティング、経済、心理学。また、人材の活性化および開発を手がける業界のコンサルタントも務める。『大きく考えることの魔術―あなたには無限の可能性がある』(実務教育出版)の原書『THE MAGIC OF THINKING BIG』は、アメリカで1959年の発売以来、世界的ベストセラーとなった。
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(ジョージア州立大学経営管理学部教授 ダビッド・J・シュワルツ)
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