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「善行を積めば幸せになれ、悪行を犯すと罰が下る」ワケではない…初詣の前に知っておきたい日本の神様の特徴

プレジデントオンライン / 2025年1月1日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/joka2000

新年、初詣を考えている人は多いでしょう。全国の神社に精通し、神職向けの講演も行う佐々木優太さんは「神社に上がるからには神様と仲よくなりたいですよね? まず、神様が嫌うものは不浄です。一方、好むのが『とこわか』です。じつは、我々もふだんから『とこわか』を実践しています」といいます――。

※本稿は、(ゲッターズ飯田/佐々木優太)著『幸せ舞い込む! あなたの開運神社』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。

■「神様好き」の日本人

「八百万(やおよろず)の神」という言葉をご存じでしょうか? 「八百万」とは「数が限りなく多い」という意味。

昔から日本では、どんなものも神が宿ると考えられていて、山や木などの自然物、はたまた家の台所やトイレに至るまで、人間の身の回りには数多くの神様が宿るとされてきました。

いまでも山や岩などを御神体とする神社はたくさんあります。

奈良時代になると、神話が『古事記』や『日本書紀』のかたちで記され、この中にもかなりの数の神様が登場します。

時代が進むと、菅原道真(すがわらのみちざね)公や徳川家康公など実在の人物の力が宿ったとされる神様や、「気象の神様」「市場の神様」など特定の職業の神様も祀(まつ)られるようになります。複数の神様を祀る神社も多く、日本人の「神様好き」がうかがえますね。

■不倫や浮気、ケンカや殺しと何でもアリ

では、少し視点を変えて、「日本の神様」の特徴を見出してみましょう。

まず神社(神道(しんとう))には、「唯一絶対神」といった神様はいません。開祖や教祖もいませんし、教義・経典もないため、たとえば、「善行を積めば幸せになれ、悪行を犯すと罰が下る」といったジャッジもありません。

「善と悪」の判断は、我々人間のモラルにゆだねられているのです。言葉を選ばずに言うと、日本の神話に出てくる神々は「何でもあり」です。不倫や浮気もあればケンカや殺しもあるし、嫉妬したり恨んだりと、とても人間的です。

また、神様それぞれに得意なことがあり、我々はその働きに生かされています。日本人が勤勉で仕事好きと言われるのは、日本の神様が働き者だからかもしれません。

人間っぽさのある神様に、なんだか親近感を抱いてしまいますよね。

■「アマテラス」はニックネーム

「アマテラス」だけ見ても「天照大神」「天照大御神」などいくつかの表記があります。神社にある由緒書には漢字で書かれている神様の名前ですが、今回は「音」を大事にし、カタカナで記しました。

ところで、神様の名前は「ニックネーム」だと、ご存じでしたか? たとえば、功績を称えたものや、性格などをうまく表現した愛称のような名前があります。

「アマテラス(天照大神)」は「天からこの世を明るく照らす神様」という性格を、「アメノタヂカラオ(天手力男命)」は「手の力の強い男の神様」という特性を、それぞれ表しています。漢字はあとから当てたものです。

そもそも名前は、なぜあるのでしょうか?

僕は、「名前とは、他人のためにあるもの」だと思っています。なぜなら、この世に自分しかいなければ名前は必要ないですもんね。

神様は目に映りませんから、「天からこの世を明るく照らす神様」というニックネームのような名前から思い浮かべる像は、人それぞれ違いますよね。

よく僕は、「一番尊敬している先輩が人それぞれ違うように、神様も人によって違うんだ」という話をします。だから、自分なりの想像力で神様と関わっていけばいいんです。自分なりの誠実さをもって。それが「ルールはないけどモラルはある」という神社のあり方にもつながります。

神様の名前から思うのは、自分も魅力や功績を表したニックネームをつけてもらえるよう人の役に立つことをしたり、人に感謝されるように生きていきたいなということ。多くの人に称えられている神様の名前にあやかって、後世に名を残せるよう、我々も自分の魅力や才能を発揮していきましょう。

■神様が嫌うもの、好むもの

神社に上がるからには神様と仲よくなりたいですよね?

では、神様が好きなこと、嫌いなことを知っておきましょう。

まず、神様が嫌うものは「不浄(きれいではない状態)」です。不浄は疫病の原因になるからです。

昔の神社は、神様に祈ったり感謝を伝えたりしたい人たちが集まるコミュニティセンターのような場所でした。もしそこに疫病にかかった人が入ってきたら? 集団感染が起こり大変なことになります。ですから、「神様は不浄を嫌う」とされ、病原菌を神様のもとに持ち込まないよう人々は自重したのです。

一方、神様が好きなものは「常若(とこわか)」です。常若とは、神様の宿っているものを「常に若い(新しい)」状態にしておくこと。神様が宿る先は、おもに神社、御神札(おふだ)(お札)、お守りなどです。

これらが古くなれば、宿っている神様の力も弱ってしまうため、神様の宿る器を定期的に新しいものにして「常若」の状態を保ち、神様のエネルギーを若々しい状態に保っています。

伊勢の神宮は20年に1度、社殿を建て替える「式年遷宮(しきねんせんぐう)」を行いますが、これも「常若」です。また、御神札やお守りは1年で古札納(ふるふだおさ)め所に返納し、新しいものに替えますが、これも「常若」です。

じつは、我々もふだんから「常若」を実践しています。外出後は手洗いやうがいをする、夜はお風呂に入る、毎日服を着替えることで健康を維持しています。そうです、「常に清潔でいる」ことのメリットは、人間も神様も同じ。

清潔でいることで病気を防ぎ、安心して気持ちよく暮らせる。当たり前のことですが、これも開運につながる行動です。

手水で手を清める人
写真=iStock.com/JGalione
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/JGalione

■「自分のお金を手放す」のは嫌だった

神社巡りをしていると徳の高い人のように思われがちですが、もともと僕は、お金への執着が強い未熟な人間でした。

シンガーソングライターの活動もしているので、当時は路上で歌い、ギターケースにお金を入れてもらっていました。路上で歌っているシンガーはほかにもいて、いい歌だな、応援したいなと思っても、僕はお金を入れませんでした。

同じ境遇なのに、自分のお金を手放すのは嫌だったんです。そんな僕がいま、「神社に自らお金を納めたい」と思うまでになったのは、神社で多くの学びがあったからです。

■ただ「返ってくる」

日本の神様は目に映らないため、「何を表しているのか?」と考える機会がよくありました。たとえば参拝時、前を見ると「鏡」が置かれています。

ゲッターズ飯田/佐々木優太著『幸せ舞い込む! あなたの開運神社』(朝日新聞出版)
ゲッターズ飯田/佐々木優太著『幸せ舞い込む! あなたの開運神社』(朝日新聞出版)

あるとき、神職のかたから「かがみ」という言葉の真ん中の「が」を取ると「かみ」になる。鏡に映る自分から「我(が)」を取ったら「神(かみ)」になるという話を聞きました。

しかし、実際に映っているのは「我」のある自分ですよね。「我」を消せないうちは「神」ではない。ということは、自分の中にある「我」を押し出さず、神様や他人など、自分以外の存在をいかに優先できるか、そんなことが問われているのではないか、と思うようになります。

目に見えない神様にとる態度は、鏡に映され、自分に返ってきます。

誰も見ていなくても神様はすべて見ていて、「神様にしていることは、自分に跳ね返ってくる」のです。そう気づいたら、自分の行動や言動は誰かに影響を与えていて、人から返ってくるもので開運するんだ、ということがわかりました。

■相手への「敬意」が態度にあるかどうか

「生きる」とは「人と関わる」こと。

人との関わりでは、相手への敬意を態度で伝える必要がありますよね。神社は、その練習をさせてくれる場所だと思うようになったのです。

神社巡りをはじめてから、自分に起きた変化に一番驚いているのは、僕自身です。「お金への執着が減った」「人への態度が変わった」「出会う人が変わってきた」……これらはすべて神社に上がることを習慣化したなかで起きた変化です。

神社でお参りをする人々
写真=iStock.com/leodaphne
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/leodaphne

それを期待していたわけではなく、気づいたら変わっていた、というものかもしれません。みなさんもぜひ「神社習慣」を身につけてみてはいかがでしょう。

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佐々木 優太(ささき・ゆうた)
現在の御師
これまで参拝に上がった神社は全国15000社以上、受けた御朱印は4400を超える(2024年9月現在)。「神社巡拝家」として各地を巡るなかで、神職の方々や現地のかたにその土地の伝承を聞くなどして知見を深める。その知識をもとにYouTube「神社ソムリエのあやかりチャンネル」などで発信。現在は、江戸時代まで活躍していた御師になぞらえ「現在の御師」を標榜。神職向けの講演会やテレビ、ラジオなどで活動している。

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(現在の御師 佐々木 優太)

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