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スポーツドリンクを飲むより効果的…「風呂上がりの水分+栄養補給」にピッタリな飲み物の名前【2024下半期BEST5】

プレジデントオンライン / 2025年1月1日 8時15分

出所=『いのちを守る水分補給』

2024年下半期(7月~12月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった人気記事ベスト5をお届けします。食生活部門(前期)の第2位は――。

▼第1位 これほど健康にいい食べ物はない…高血圧、糖尿病、心不全の持病持ちの医師(64)が年に200回食べているモノ
▼第2位 スポーツドリンクを飲むより効果的…「風呂上がりの水分+栄養補給」にピッタリな飲み物の名前
▼第3位 だからボケずヨボヨボにならず天寿をまっとうした…103歳が毎日食べたミネラルをしっかりとれる「おやつの名前」
▼第4位 パンと白米よりやっかい…糖尿病専門医が絶対に飲まない"一見ヘルシーに見えて怖い飲み物"の名前
▼第5位 肉を食べるより有益な成分を摂取できる…予防医学の名医「世界の長寿エリアでもりもり食べられているもの」

入浴後は水分補給が必要だが、最適な飲み物は何だろうか。医師の谷口英喜さんの書籍『いのちを守る水分補給』(評言社)より、湯冷めしない水分補給についての解説をお届けする――。

■スポーツしなければスポーツドリンクは飲まなくていい

スポーツドリンクを飲むことで、なんとなく適切な水分補給になっている、健康増進につながったり、元気になれたりすると思っていませんか。

しかし、スポーツしなければスポーツドリンクは無理に摂取する必要はありません。

それでは、どのようなときにスポーツドリンクを摂取するのがよいのでしょうか。

ここでは、スポーツドリンクについてとことん学んで、その正しい飲み方を習得してみましょう。

■元祖スポーツドリンク「ゲータレード」

わが国では、何種類ものスポーツドリンクが発売されています。その元祖が「ゲータレード」です。

ゲータレードは1965年に、フロリダ大学のアメリカンフットボールチーム「フロリダ・ゲーターズ」のために、同大学の医学・生理学者ロバート・ケード博士によって開発された飲料です。

ゲータレードという名称は、チーム名と「エード」(ade:レモネード〈lemonade〉等、飲料の意)の合成語です

ゲータレードはスポーツドリンクの元祖で、現在でも、世界シェアナンバーワンのスポーツドリンクです。

100ミリリットルあたり5ミリグラムと高濃度のナトリウム(塩分)が含まれています。その理由は、体を動かしたことによる発汗に対して、適切な量のナトリウムを補うためです。

また、いわゆる疲労回復の際に最も効率のよいエネルギー源であるブドウ糖やショ糖が多く含まれています。

つまりスポーツドリンクはその名のとおり、激しい運動で失われた水分、ナトリウム、糖分を補うための飲料であるということです。

■スポーツドリンクの成分に明確な基準はない

わが国では、スポーツドリンクの成分には明確な基準がありません。「スポーツに際して適した飲料」とうたって自由にアレンジしているのが現状です。

ボトル入りの青と黄のスポーツ飲料
写真=iStock.com/leonori
スポーツドリンクの成分に明確な基準はない(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/leonori

実際には、商品により塩分および糖分濃度や、含有されている栄養素の種類もさまざまです。

したがって、飲料の摂取目的にもさまざまなものがあります。

【スポーツ飲料の摂取目的と適切なスポーツ飲料(例)】

①スポーツ後に失ったエネルギー補給→糖分が強化された飲料
②スポーツ後の疲労回復→ビタミン・クエン酸が強化された飲料
③スポーツ後の電解質補給電解質が強化された飲料(目安はナトリウムイオン濃度4m/d以上)
④スポーツ後の水分補給→経口補水液に近い成分
⑤スポーツ後の筋肉の再生目的→アミノ酸(分岐鎖アミノ酸)が強化された飲料

■目的が異なるスポーツドリンクを飲むと逆効果

このように、摂取目的がさまざまなので、本来はスポーツドリンクとしてひとまとめにするべきではないのです。例えば、④の目的で②を飲めば、浸透圧が高いので水分吸収に時間を要します。

熱中症の際に③の目的で⑤を飲めば、アミノ酸により体温が上昇してしまい熱中症を悪化させる危険もあります。

したがって、本来ならばスポーツドリンクをカテゴリー別に分けて、消費者の健康に寄与する飲料として販売するのが消費者目線といえるでしょう。

■熱中症に効果的なスポーツドリンクは意外に少ない

スポーツドリンクは水分補給に適しているかと聞かれれば、その答えは、商品によりまちまちです。日常生活における水分補給ならば「お茶や水」で十分でしょう。

木製のテーブルの上に暖かい緑茶
写真=iStock.com/kuppa_rock
「お茶や水」で十分(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/kuppa_rock

熱中症や脱水症のとき効果的な水分補給のポイントは、ナトリウムイオン濃度が高いこと、糖分が少ないこと、浸透圧が低いことの3つになります。

じつは、この3つのポイントが加味されているスポーツドリンクは意外にも少ないのです。

■糖濃度が高いと水分補給の速度が遅くなる

何よりも、スポーツドリンクはスポーツ後のエネルギー補給を第一としているので糖濃度が高くなります。具体的にはスポーツドリンクの糖濃度は6~8%程度ですが、経口補水液の糖濃度は2.5%と低いのです。

糖濃度が高いと、胃から小腸への移動速度が低下して、胃内に残ります。水分は小腸で吸収されるので、糖濃度が高くなればなるほど、水分補給の速度が遅くなるのです。

ただし、熱中症や脱水症の症状がなく、ゆっくり、じっくり水分を吸収しても待てるならば、スポーツドリンクで水分補給をしてもよいでしょう。

スポーツドリンクは基本的にスポーツ選手のために開発された飲料です。そのため、糖質の含有量も多めなものが発売されています。

日常生活の中でむやみに摂取することはせず、スポーツで失われたエネルギー、電解質および栄養素を補うための飲料として摂取するようにしましょう。

日常的に摂取すると、むし歯の原因になったり、血糖値が上昇して食欲の低下をまねき、食事摂取量が減ったりするおそれもあります。日常生活の中で摂取するようなことは控えましょう。

・スポーツドリンクは商品により使用用途が異なる。
・激しいスポーツ時の水分補給に適した製品は「低糖質」「高ナトリウムイオン含有」「低浸透圧」。

■「お風呂上がりに牛乳」の真相

私のような昭和世代の人間には、お風呂上がりに冷たく冷やした牛乳を片手に飲む姿を、格好よく感じた世代です。

この話に共感できるなら、間違いなくあなたも私と同世代です(笑)。

その姿を見ると、お風呂上がりの火照ったからだを牛乳で冷やしているように見えますよね。しかし、その真相を私は医師になってから知りました。

牛乳は、入浴中に汗をかいたことにより失われたビタミンやミネラルを補給してくれます。牛乳にはカルシウム、マグネシウム、タンパク質やビタミン類が多く含まれています。

■牛乳は熱中症・脱水症予防に適している

これらのミネラルや栄養素は、本来ならば食事でとれればベストなのですが、お風呂上がりには体温が高く、そのため食欲があまり出てこないことが多いようです。そんなときに、手軽に効果的に補給できる方法が「お風呂上がりに牛乳」なのです。

コップに注がれる牛乳
写真=iStock.com/naturalbox
牛乳は熱中症・脱水症予防に適している(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/naturalbox

牛乳は、熱中症や脱水症の予防には非常に適した飲料です。

その理由は、牛乳は血液内にアルブミンなどのタンパク質をつくる素材を提供してくれるからです。血液中にアルブミンやタンパク質が増えると血液量が増加します。そのため、熱中症にともなう脱水症への効果が認められているのです。

■熱中症になったら牛乳を飲んではいけない

その半面、次のようなことが明らかにされています。

「熱中症になってから、タンパク質を多く含んだ食事は体温を上げ、代謝を亢進させ水分を消費させるので避けるべき」(2010年、オハイオ州立大学誌 『Secondary Injury Prevention: Heat Stress』)

つまり、熱中症や脱水症になってから、牛乳を摂取することは避けるべきとされています。

冷たい牛乳でも、摂取するとタンパク質(アミノ酸)の作用により体温を上げてしまうからです。

■牛乳は体温を上昇させる

ここまでの話をまとめると、牛乳に含まれるタンパク質、アミノ酸は、体温を上昇させる効果があることがわかりました。

谷口英喜『いのちを守る水分補給』(評言社)
谷口英喜『いのちを守る水分補給』(評言社)

それでは、なぜ、お風呂上がりの体温が高い時期にもかかわらず牛乳を摂取しているのでしょうか。

その答えは「牛乳を飲むことで体温を維持して、湯冷めしないように」。つまり、持続した保温効果を狙って牛乳を摂取することが、本来の目的であることがわかりましたね。

ちなみに私たち麻酔科医は、手術中に患者さんの体温を上げるためにアミノ酸を輸液しています。

ここで、熱中症になったら絶対に飲んではいけない飲料を整理しておきましょう。

①アルコール――体温を上昇させ、利尿作用により脱水症を促進する。
②牛乳・アミノ酸含有飲料――体温を上昇させてしまう。
③大量の真水――水中毒を起こす。

・牛乳は、熱中症や脱水症の予防効果には優れた飲料。
・ただし、熱中症で体温が上昇しているときには控える。
・アミノ酸の摂取も体温を上昇させるので控える。

(初公開日:2024年7月14日)

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谷口 英喜(たにぐち・ひでき)
医学博士、済生会横浜市東部病院患者支援センター長
1991年福島県立医科大学医学部卒業。その後、横浜市立大学医学部麻酔科に入局。2011年神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部教授。2016年済生会横浜市東部病院患者支援センター長。現在、東京医療保健大学大学院客員教授、慶應義塾大学麻酔科学教室非常勤講師を兼任。熱中症・脱水症に関する報道でマスコミに多数出演。専門は、麻酔学・集中治療学・周術期管理・栄養管理・経口補水療法・脱水症対策など。臨床栄養の生涯教育サイト谷口ゼミを開塾し、医療従事者の生涯教育に邁進中。

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(医学博士、済生会横浜市東部病院患者支援センター長 谷口 英喜)

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