「金利2%台」を絶対に逃してはいけない…賢くお金を貯める人がやっている「定期預金の活用方法」
プレジデントオンライン / 2025年1月10日 10時15分
※本稿は、深野康彦『金利で損しない方法、教えてください! 人気FPが教える金利上昇時代の「お金の新ルール」』(扶桑社)の一部を再編集したものです。
■「1年物定期」を毎年乗り換える
【ウエノ記者】定期預金っていろんな種類がありますけど、どんなタイプを選んだらいいんですか?
【深野康彦さん】ずばり言います。金利上昇局面では、なるべく金利の高い「1年物定期預金」を選びましょう。それを毎年乗り換えるようにしてください。
【ウエノ】え、そんなに頻繁に変えたほうがいいんですか?
【深野】理由を説明しますね。そもそも定期預金とは、「決められた契約期間内は原則お金を引き出せない代わりに、普通預金よりも高い金利を得られ、預入時の金利が満期まで適用される」という固定金利の商品です。その契約期間も「1年物」「3年物」「5年物」など様々な種類があります。そして、期間によって設定されている金利もバラバラです。
【ウエノ】はい。実際には期間内でも出金(中途解約)できるけど、そのぶん、受け取る金利が減っちゃうんですよね。
■金利の波を意識し、ピーク圏を逃さない
【深野】そうです。だから当面使う予定がないお金は普通預金ではなく定期預金に入れておくほうがいい。とはいえ、適当に商品を選んでずっと持っておくだけじゃダメ。定期預金の効果を最大化できる“コツ”があるんです。
【ウエノ】そのコツとは……?(ゴクリ)
【深野】金利上昇局面では“金利の波”を意識することが大切です。金利上昇は数カ月から2年ほど続き、その後に金利のピーク圏が訪れます。定期預金の効果を最大限に享受する方法とは、このピーク圏で「なるべく多くの金額を長い期間で“固定”する」ことなんです。
【ウエノ】ええと、それと1年物の乗り換えがどう関係するんでしょうか?
【深野】一般的に定期預金の金利は原則1週間ごとに見直しされていますが、金利がピーク圏になったときに「すでに定期預金を契約しているから、預けるお金がない」という事態を避けたいのです。
■1~2年でつなぎ、5~10年で固定
【深野】ちなみに、かつては半年ごとに金利が見直される「変動金利型定期預金」もあったのですが、超低金利が長期化したので各銀行とも取り扱いをやめてしまいました。
そのために、今の商品ラインナップなら金利上昇局面では“つなぎ”として期間が短い定期預金を使う。具体的には数カ月〜1年物です。そして、いざピーク圏が近いと感じたら、5〜10年物の定期預金に入れてください。(図表1)
【ウエノ】なるほど。短い定期でつなぎながら、金利のピークを“狙いにいく”感じですね。
【深野】実際には、金利がどこでピークをつけるのかは未知数です。ただ、ピークをつけたときになるべく長期間で定期預金を固定できると、その後は安全・確実に高金利で運用できるわけです。
こうした方法で得をした人がバブル時代にはたくさんいました。本書の第1章で「バブル期の人たちは高金利に慣れすぎて、うまく低金利時代にシフトチェンジできなかった」と話しましたよね? 実はそこには、「あえてする理由もなかった」という側面もあるんです。
■「政策金利1%超」が目安になる
【ウエノ】どういうことですか?
【深野】仮に、かつての高金利時代のピークだった1990年頃に10年物定期預金を契約した場合、その契約期間が切れるのは2000年頃です。つまり、その間ずっと高金利の恩恵を享受できたわけです。「利息収入があるのだから、あえて株なんて買う必要はない」と考えるのが普通でしょう。いわゆる「果報は寝て待て」というわけです。
【ウエノ】たしかに……。なんて羨ましい。では、金利のピーク圏をどう狙えばいいんでしょうか?
【深野】やはり、政策金利が1%を超えてきた頃が目安ですね。今後、政策金利が1%まで上がってくれば、一部の銀行では恐らく、長期10年物の定期預金で2%台という水準の商品まで出てくる可能性が高いと思います。
【ウエノ】単純計算だと、100万円を預ければ毎年2万円が手に入るわけですもんね。バカにできない収入!
【深野】ただ、実際には金利収入には約20%の税金がかかるので、手取り額は1万6000円程度になります。金利が高くなるほど、税引き前と税引き後の差は大きくなるので、何か計算をする際には税引き後を基準に考えたほうがいいですね。
【ウエノ】なるほど。ぬか喜びを避けるためにもそうします!
■金利がより高いネットバンクがおススメ
【深野】やや横道に逸れましたが、政策金利が1%に上昇してくれば、恐らくメガバンクの定期預金でも1%台の商品が出てくるでしょう。となれば、世間が騒ぎ出す。テレビのニュースなどにも取り上げられたり、あちこちで話題になってくると思いますよ。もし10年物定期預金で2%超が出てきたら、資産の3分の1程度は入れていいかもしれません。
【ウエノ】ちなみに、選ぶべき銀行はやはりネットバンクがいいのでしょうか?
【深野】基本的にはネットバンクがお得ですね。ネットバンクは窓口手数料などコストを抑える代わりに、金利を高く設定しています。メガバンクと比べると、今でもかなりの金利差がありますから。(図表2)
ただ、もう一つチェックしてほしいのは、各銀行がこれから力を入れるであろう「優遇金利キャンペーン」です。特に1年物定期預金は銀行としても扱いやすいので、キャンペーン特別金利が設定されることが多いんです。
■穴場は地方銀行の「ネット支店」
【ウエノ】今まで全然チェックしていませんでしたが、金利がある世界では銀行の動向を詳しく見ないと損をしてしまうんですね。
【深野】ネットバンクだけでなく地方銀行にも注目してください。実は地銀の中には金利を高めに設定したユニークな「ネット支店」を構えている銀行があるんです。(図表3)
【ウエノ】すでにいろんな地銀が高めの特別金利を打ち出しているんですね。
■地方にお金を呼び込むためのキャンペーン
【深野】なぜこんな試みをするのかというと、その多くが相続税への対応と言われています。地方在住の富裕層などに相続が発生すると、その子供たちは都市部に住んでいるケースが多く、都市部の銀行に口座を開設しています。このため資金が地方から都市部へと流出してしまうのです。
都市部への資金流出を防いだり、新たな資金を県外などから呼び込むために、相対的に高めの金利を提供しているのです。インターネット支店なら全国から資金を呼び込むことができますから。
【ウエノ】銀行ごとの様々な思惑があるんですね。どちらにせよ、高金利で預金ができるならチャンス。これからどんな商品が出てくるか楽しみになってきました。ちなみに、普通預金はどこがお得なんでしょうか?
■金利引き上げは定期預金→普通預金の順
【深野】普通預金の場合、正直あまり気にする必要はないと思いますよ。というのも、金利上昇時代にはどの銀行も横並びで普通預金の金利を上げてきます。
したがって、そこまで大きな差は生まれないと思うので、ATMの引き出しや振込手数料、あるいは利便性などの使い勝手だったり、自分のライフスタイルに合わせた好みで選んでいいと思います。要するに、「使う銀行」と「増やす銀行」は分けましょう、ということですね。
【ウエノ】じゃあ、特に焦って銀行を変える必要はないわけですね。
【深野】ちなみに、普通預金は定期預金よりも遅れて最後に金利が上がってきます。本書の第2章で「長期金利が先に上がって、短期金利が後から上がる」と話しましたが、それと同じですね。
まずは契約期間の長い定期預金から上がりだして、最後に1年物や普通預金の金利が上がります。なので、まずは定期預金の動向からチェックしておけばいいでしょう。
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ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルリサーチ代表。1962年生まれ。中堅クレジット会社勤務などを経て、独立。完全独立系ファイナンシャルプランナーとして、個人のコンサルティングを行いながら、テレビ・ラジオ番組への出演、新聞・マネー雑誌・各種メールマガジンへの執筆など、さまざまなメディアを通じて投資の啓蒙や家計管理の重要性を説いている。
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(ファイナンシャルプランナー 深野 康彦)
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