「漢字検定3級」は職務経歴書に書くべきか…面接に進む人、書類で落ちる人の提出書類の決定的な違い
プレジデントオンライン / 2025年1月17日 8時15分
※本稿は、安斎響市『転職する勇気 「強み」がない人のための転職活動攻略マニュアル』(扶桑社)の一部を再編集したものです。
以下は、新卒4年目で転職を考える田中君(26)と、AIアドバイザー「転職デビル」の会話の一コマである。
■経歴書の添削を転職エージェントに頼ってはいけない
「職務経歴書ってさぁ、転職エージェントに添削してもらうこともできるんだよね?」
「できるか・できないかの二択で言えば、できるよ」
「なんだか嫌な言い方だなぁ。どういうことなの?」
「転職エージェントのサービス紹介文などには、よく『職務経歴書の添削』と書いてある。でも、実際には、そんなに丁寧に添削してくれるエージェント担当者はほぼいないんじゃないかな」
「なにそれ、ウソつきだな」
「ウソとは言い切れないよ。絶対にやらないというわけではないし、一応、求職者一人ひとりの職務経歴書を企業に送る前にチェックはしているわけだし」
「転職エージェントにお願いしたら、イイ感じに高評価をもらえる書類にパパっと仕上げてくれるんじゃないの?」
「そんな都合の良い話があるわけないよ。もう、田中君は楽をすることばかり考えるんだから」
「えー、転職エージェントは業界のプロなんだから、書類添削くらいしてくれてもいいじゃないか。ケチだなぁ」
「そこが問題なの。エージェントは別に人材業界のプロでも、転職活動のプロでもないよ。田中君は営業職だけど、自分のことを営業のプロだと思っているかい?」
「営業のプロ? そんなわけないだろ、この僕が」
「それと一緒だよ。その業界で働いているというだけで、知識豊富で経験やスキルがあるとは限らないだろ? 転職エージェントに頼るべきは、書類の添削とかそういう部分ではないんだよ」
■エージェントしか知らない「企業側の視点」を盛り込む
「他の部分なら頼りになるってこと?」
「例えば、さっきから言っている『視点』の話。田中君の仕事の経験は、あくまで田中君の中にあるものだから、エージェントに代わりに書いてもらってもなかなか良いクオリティにはならないし、エージェントが作った職務経歴書で書類選考を通過しても、面接で深掘りされたらボロボロになってしまう」
「たしかにそうだよね」
「でも、田中君の職務経歴書に企業側の視点を取り入れる作業をエージェントに手伝ってもらうのは、かなり有効だと思うよ」
■優秀なエージェントは「裏情報」を持っている
「エージェントに、『こんな感じに書いたんだけど、どうですかねぇ』って見てもらうということ?」
「そうじゃないよ。それは添削。意味がない。添削や書類のチェックではなくて、ネタ探しの部分さ。転職エージェントの中でも優秀な担当者なら、『このポジションは特に英語力が重視されています』とか、『ある程度若くて行動力のある人が欲しいみたいですね』といった裏情報を教えてくれることもあるんだ。だから、その人物像のイメージに自分を寄せていく」
「へー、なんだかカンニングみたいだなぁ」
「求人票を見ただけでは絶対に分からない、貴重な裏事情を教えてくれるエージェントも実際にいるよ。まあ、ごく一部の優秀な担当者に限った話だけどね」
■「2カ月の休職」は経歴書に書くべきか
「職務経歴書の書き方なんだけど、ちょっと気になっていることがあって……」
「何?」
「僕、実は入社1年目の冬に体調を崩して、2カ月くらい休職していたことがあるんだけど、それって正直に書かなきゃダメかな?」
「書かなくていいよ」
「え?」
「1行も書かなくていい」
「でも、それだと経歴詐称にならないかな?」
「ならないよ。経歴詐称っていうのは、事実と異なるウソを書くことだろ? 書かなくてもいい不要なことを書かないのを、別に詐称とは呼ばない」
「休職歴って、書かなくていいの?」
「職務経歴書の内容って、これを絶対に書けとか、これは書くなとか、明確なルールはないんだ。別に何の法律もないし、書式フォーマットも自由だろ?」
「でも、後で休職してたことがバレたら、ヤバくない?」
「それはケースバイケースだよ。田中君の休職は、入社1年目の頃ってことは3年近く前だろ? そんな前のことを、別にいちいち書かなくていいよ。書いても評価が下がるだけだし、減点要素をわざわざ自分からさらけ出すことはない」
■減点要素はわざわざ書かなくていい
「ケースバイケースってことは、書かないといけない場合もあるってこと?」
「例えば、現在病気休職中の人とかは書いたほうがいいかな。現時点で復帰できていないということは、転職後の仕事にも多少は影響があるだろうし、体調の不安とか、残業があまりできないとか、そういう具体的に業務に支障が出る可能性のある場合は、きちんと自己申告しないとダメなんだ」
「なら、僕は書かなくても大丈夫かな。休職は3年前の話で、もう今は何も仕事に支障はないから」
「そういうこと。例えば、今の職場では何回も遅刻しましたとか、大きなミスをやらかして始末書を書きましたとか、いちいち自己申告しないだろ? 入社試験に合格したくてやっているんだから、減点要素はわざわざ書かなくていいんだよ」
「そんなもんかぁ」
「もちろん、もし万が一、『病気休職の履歴はありますか?』と面接で確認されたら、正直に答えないとダメだよ。そこで『ありません』と言うと、経歴詐称になるから」
「えー、そうなの?」
「さっきも言っただろ。事実と異なるウソをつくのは経歴詐称。でも、事実を全部自分から言う必要はない。あえて言っていないことがあっても、入社後の仕事をこなすのに何の影響もないなら、別にそれを詐称とは呼ばない」
「向こうから聞かれるまでは、いちいち自分で言わなくていいということなんだね」
「もし、休職していたのがほんの数カ月前の話だったら、源泉徴収や社会保険の履歴でバレたりすることもあるから、自分から言っておいたほうがいい場合もある。その辺りはケースバイケースだね」
■企業側が「書かれても困る」要素
「あとね、職務経歴書に人事異動やら部署異動やら、細かく全部書く人がいるけど、そういうのも実は要らないんだ」
「え? それって職務経歴の一部だから、細かく書かないといけないんじゃないの?」
「うーん。例えば、職種が大きく変わっていたり、扱う商材が全然別の物に変わっている場合は、ある程度書いておいたほうがいいかな。実務内容や経験年数の評価に関わることだから。でも、部署内の担当変更とか、組織変更で部署の名前が変わっただけとか、そういうのをいちいち全部書かれたって企業側の評価者も困るわけ」
■書類選考は「書類作成能力」を見るテストでもある
「なんで? 判断材料として情報は多いほうがいいと思うけど」
「それは違うね。情報は、採用判断に必要十分な量があればいい。余計な情報が多く含まれていると、逆に判断が難しくなって迷惑なんだよ。結果的に、分かりづらい書類に見えるから通過率も下がるよ。書類選考は、職務経歴の内容を見ていると同時に、書類作成能力を見るテストでもあるから」
「えぇぇぇぇぇぇぇ! そんなの初めて聞いたよ!」
「いやいや、別にそんな大げさな話じゃなくてさ。企業側で『書類の書き方』の評価項目が用意されているわけじゃないんだけど、ちょっと考えたら分かるだろ? ある人の職務経歴書は簡潔に要点がまとまっていて、レイアウトも見やすくて分かりやすい。もう1人の職務経歴書は、文字数が多すぎてごちゃごちゃしていて何が言いたいのか分からない。その上、やたらと誤字脱字が目立つ。この2人のうち、どっちを面接に呼びたい?」
「あ、そうか……」
「そういうことだよ。とにかく応募書類は簡潔に分かりやすく書くのが大事なんだ。そのためには、書き方や言葉遣いだけではなく、情報を絞ることも必要。余計な情報をダラダラと書かない。これは提出前の要チェック事項だよ」
「どうやってチェックすればいいの?」
「具体的な確認項目は、こんな感じかな」
◎職務経歴書に書いておいたほうが良いこと
・所属する業界と企業概要
・担当業務と経験年数
・取り扱い経験のある商材
・海外経験の有無など、転職先の業務に活かせそうな内容
・管理職経験(あれば)
・「対前年+○○%」「○○○万円規模のコストダウン」など、客観的な数字の実績
◎職務経歴書に書かなくて良いこと
・細かい組織変更や担当変更
・非管理職→非管理職への昇進など、社外から見てあまり意味のない実績
・兼務や労働組合の担当など、実務経験とは言えない仕事の内容
・「漢字検定3級」など、入社後の業務に直接関係のない資格
・「社内表彰3位」「予算達成」など、社外の人には分からない内容
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転職ライター
1987年生まれ。日系大手メーカー海外営業部、外資系メーカーなどを経て、2020年より外資系大手IT企業のシニアマネージャー。「転職とキャリア」をテーマに、ブログ、Twitterなどで情報発信を続け、日経BP『日経トレンディ』、東洋経済新報社「東洋経済オンライン」、マネーフォワード「MONEY PLUS」など、多くのメディアで取り上げられている。著書に『私にも転職って、できますか?~はじめての転職活動のときに知りたかった本音の話~』(ソーテック社)、『転職の最終兵器 未来を変える転職のための21のヒント』(かんき出版)などがある。
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(転職ライター 安斎 響市)
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