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レストランで提供された料理に髪の毛が入っていた…「いつも運が良い人」が店員を呼ぶ代わりにした神対応

プレジデントオンライン / 2025年1月16日 16時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Chaiwiwat Duangjinda

いつも運が良い人はどのように運を引き寄せているのか。感謝の専門家である田代政貴さんは「運は機嫌に比例する。普段ストレスを感じることも機嫌が良ければ、楽しい体験となる。機嫌よく感謝することで運を引き寄せられるのだ」という――。

※本稿は、樺沢紫苑・田代政貴『感謝脳』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

■運は機嫌に比例する

感謝の効果を最大化するとっておきの秘訣をお教えしましょう。それは、機嫌良く過ごすこと。

自分の機嫌が悪いと感謝は生まれません。いつも「機嫌良くいる」と決めて、心を穏やかな状態にしていくことが、日常でも感謝を生み出す源泉になります。

「運は機嫌に⽐例する」と言ったら、どう感じますか?

わかりやすい例として、旅⾏中を想像してみてください。

皆さんは旅⾏中に運が良いと感じることが多くないですか?

それには理由があります。旅⾏中は⼤抵、機嫌が良いからです。新しい場所を探検したり、美味しい料理を⾷べたり、新しい⼈々と出会ったりと、旅⾏は⼤抵の⼈をハッピーにします。そして、その幸せな気持ちが運を呼び寄せるのです。

しかも、「ありがとう」を⾔う機会も普段より多くなります。⾶⾏機のCAさんへ、レストランのウェイターさんや料理⼈さんへ、お⼟産を買ったお店の店員さんへ、旅先で出会った親切な⼈々へ、ホテルのスタッフへと、旅⾏中はたくさんの「ありがとう」を声に出しているのです。

旅行中はスケジュール通りにまわれなかったり、トラブルが起きたりなど、普段であればストレスを感じることも起きています。それでも運が良いと感じながら楽しい体験ができるのは、機嫌が良いから。

機嫌よく感謝することで「運」を引き寄せられるのです。

■いつも「運が良い人」がやっていること

「いつも運が良い!」という⼈を観察したことがあります。

いつでも、どこでも、「ありがとう」と⾔っているのですが、あるとき、お洒落なレストランで、お⽫の上の料理の中に髪の⽑が⼊っていました。

店員さんを呼ぶのかな?と⾒ていたら、そっと取り除いて、何事もなかったかのように振る舞っていたのです。気になって「店員さん呼びましょうか?」と聞いたところ、「いえ、呼ばなくて良いです。たまたま⼊っただけでしょ?」と、笑っていました。

たしかに、わざと⼊れたわけでもなく、料理も美味しかったですからね。さらには、帰り際には店員さんにも、厨房にいる料理⼈さんにも、「ごちそうさま、美味しかったです」と、挨拶されていました。

運が良い⼈は、相⼿の機嫌も良くしながら、⾃分も機嫌良く過ごしています。自分の機嫌は自分でとる。すると、感謝の恩恵も最大限に受けられるのです。

■「ありがとう」の始め方

感謝の効果がわかってきたところで、どう「ありがとう」を始めれば良いのか。

家庭内だとハードルが⾼く感じられる場合は、コンビニのレジの店員さんへの「ありがとうございます」がおすすめです。それから、エレベーターで扉の開閉ボタンや階層ボタンを代わりに押してくれた⼈、会社の事務連絡をしてくれた人に対しても、お礼を言うことができます。

さらに次は友⼈、といったように、徐々に⾃分との関係性が近いところに馴染ませていくのも良いですね。

【図表1】「すみません」を「ありがとう」に変える効果
出所=『感謝脳』(飛鳥新社)

■「すみません」は「ありがとう」に変えられる

⽇頃から「すみません」を多⽤している人はいますか?

もしそうなら、大いに伸びしろがあります! 「すみません」を「ありがとうございます」に変えるだけで、⾃分にとっても相⼿にとっても、会話が明るくなるのが体感できるでしょう。

私の友⼈で、何があっても「すみません」と言う⼈がいました。

「明⽇の集合時間に間に合うように来てくださいね」と言うと、「はい、すみません」。

写真を撮るときに「こっちに⼊ってください」と言うと、「はい、すみません」。

こんな感じで、特に悪いことをしているわけではないのに、いつも「すみません」と答えるのです。

周りからは、「なんで謝っているの? ありがとうに変えれば?」と⾔われ、それに対しても「はい、すみません」と⾔う始末。

それでも、しつこく⾔っているうちに、「ありがとう」に変換できるようになってきました。⾃⼰卑下することもなくなり、会話がポジティブに変化していったのです。

徐々に「ありがとう」を増やしたり、感謝を伝える習慣ができてくると、⼈間関係、夫婦関係は、より良いものへと変化していくでしょう。⾃尊⼼や⾃⼰肯定感が⾼まり、⼈との⽐較も減ります。

■「感謝の往復」が幸福感を生む

感謝の力は、⾃分にも相⼿にも作⽤します。

ポジティブな感情を持っているときは、⼈に対して自然と優しくしたり協⼒したりできるもの。仕事をしていくうえでも、⼈との関わり合いの中に、うれしい気持ちや幸せな気持ちが芽⽣えていきます。

すると、⾃分の⽴場だけで物事を考えるのではなく、相⼿の⽴場になって物事を考えられるようにもなっていきます。職場で困っている⼈がいれば、⾃然と⼿を差し伸べられたり、協⼒できたりするようになります。

取引先や顧客からも⼈柄を⾼く評価され、信頼に結びつき、ビジネスもうまくいくようになるでしょう。

職場内でも、あるいは取引先や顧客に対しても、共通して大切なポイントがあります。

それは、当たり前になっている「ちょっとしたこと」に「ありがとう」と感謝の意思を伝えることです。

この結果、感謝された相⼿に「返報性の原理」が働き、もっとあなたを喜ばせようとしてくれます。お互いに喜ばれることを繰り返す「感謝の往復」が、強い信頼関係と、幸福感を⽣むのです。

赤いハートを持つ女性の手
写真=iStock.com/Marcela Ruth Romero
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Marcela Ruth Romero

■感謝をベースに成長を遂げている企業

アメリカにある靴のネット通販会社ザッポスをご存知でしょうか。

ザッポスは、従来型の階層型組織ではなく、ホラクラシー型組織と呼ばれる上司不在のフラットで柔軟なサークル(チーム)型経営としても注⽬されています。

⽶フォーチュン誌が選ぶ「働きがいのある企業 100」の上位企業としても有名な、社員に愛されている企業です。

このザッポス、実は、「感謝をベースに成⻑を遂げている企業」とも言えるのです。

私が樺沢先生と一緒にザッポスを企業訪問したときの驚きの体験をシェアさせてください。

社内に⼊ってまず最初に驚いたのは、社員ひとりひとりのデスクが⾃由すぎること。椅⼦ではなく、ランニングマシーンで⾛りながら電話応対している⼈がいたのです!

周囲に⽬を向けると、ギターなどの楽器が置いてあったり、ペットの⽝がいたりと、なんでもあり。社員の個性を尊重し、いかに幸せに仕事ができるかを追求した結果なのでしょう。

その先へと進むと、⽇本では⾒たこともないような怪しい部屋があります。中を覗いてみると、そこはなんと瞑想ルーム。他にもカウンセリングルーム、仮眠室、トレーニングルーム、パソコン修理室などもあるではないですか。

さらには⾷堂は無料だし、医療費も全額会社が負担するなど、まるでオールインクルーシブ型のホテル以上。⼼のケアから⾝体のケアまで会社で取り組んでいることに驚かされました。

■「アマゾンがザッポスに負けた」

そんなザッポスには「Zollars」というユニークな社内通貨制度があります。社員は毎⽉、同僚に50ドル分のボーナスを付与できるようになっているのです。企業⽂化に沿って良い⾏動をとった⼈に感謝の意として送るとのこと。貯めたZollersは、ザッポスオリジナルのリュックやマグカップなどさまざまなものと交換できるようになっています。

ある⼈のデスクは、このオリジナルグッズで溢れていました。きっと⼈が喜ぶことを率先して⾏動している、素晴らしい⽅なのでしょう。

スタッフにこの制度について聞いてみると、こんな答えが返ってきました。

樺沢紫苑・田代政貴『感謝脳』(飛鳥新社)
樺沢紫苑・田代政貴『感謝脳』(飛鳥新社)

「この社内通貨があることによって、良い⾏いをする⼈、そして、良い⾏いを発⾒して認めることができる。それが社内のコミュニケーションや⽣産性の向上につながっているんだ」

現に、コールセンターひとりひとりにファンのような顧客がついており、リピート率は75%という驚異的な数字となっていたのです。

こうした独自の取り組みが評価され、2009年、ザッポスはアマゾンに12億ドルという破格の金額で買収されました。巷(ちまた)では、「アマゾンがザッポスに負けた」と評されています。

このように、感謝の力を使って機嫌よく過ごす人や企業は、幸運も生産性も手にすることができるのです。

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樺沢 紫苑(かばさわ・しおん)
精神科医
作家。米・イリノイ大学への留学を経て樺沢心理学研究所を設立。YouTubeやメルマガで精神医学の情報を発信。著書に『学びを結果に変えるアウトプット大全』『精神科医が教える ストレスフリー超大全』『読書脳』ほか。

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(精神科医 樺沢 紫苑、感謝の研究家 田代 政貴)

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