これは親にしかできない…中学受験目前、プレッシャーに押しつぶされそうな我が子にかけたい魔法の言葉
プレジデントオンライン / 2025年1月15日 18時15分
※本稿は、渋田隆之著『2万人の受験生親子を合格に導いたプロ講師の 後悔しない中学受験100』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
■成績を理由に第一志望を変えるとき
私は第一志望を大事にする派ですが、子どもの成長や価値観の変化によって志望校を変更するのはまったく問題ないと思います。ただし成績を理由に第一志望を変えるときは、子どもの心に傷を残さないような大義名分が必要です。
「成績が伸びなかったから」という理由で、子どもの憧れの学校を「受けることすらできなかった」と後悔するのは、できるだけ避けたいものです。
「この学校は理系の授業に力を入れはじめたから、あなたの夢にぴったりじゃない」
「スポーツを本格的にやりたいなら、通学時間はやっぱり大事だよ」
などと、しっかり話をして、納得のいく選択をさせてあげるようにしましょう。他人の意見(視線)にとらわれずに、「わが子に合った受験校探し」をするのが一番です。
■学校はどこを見ればいい?
「行列ができるラーメン屋に『行列ができているから』という理由だけで並ばない」というのは、志望校選択の大原則だと思います。
昨今では、国際化、アクティブラーニング、ICT、英語指導、海外留学への対応などは、強化していない学校はありません。親世代とは違い、「この学校はなんだか新しいことを取り入れていそう」という理由だけで志望校を選ぶのは危険です。
また、校名変更、共学化、付属校化、校舎の移転などを行った学校は、情報の露出が多いことと期待値の高さから、入学難度が高めになりがちなので注意が必要です。
また、説明会でのアピールのみで判断するのもおすすめしません。改革前から通っている生徒がいきいきとしているかを確かめるほうがいいでしょう。学校行事の盛り上がりも志望校選びの参考にはなりますが、行事はあくまで「特別な日」。普段の授業を見学するほうが、学校の空気をつかむのには手っ取り早いです。
■ホームページや登下校の様子がヒントに
先生が教壇の前で解説し、生徒が静かに黒板を写しているだけの授業も時代遅れになってきています。生徒が主体的に授業を受けているかどうか、その学校の学習スタイルがわが子に合っているかどうかを、比較して見極めましょう。なかなか学校に直接行く機会がなくても、ホームページに生徒の写真や動画などを載せているところも増えています。
一部ではなく、たくさんの生徒が紹介されているホームページは、好感が持てます。
学校の外で生徒の「素」を見る
「進学実績」も重要ですが、数字は客観的に見るようにしたほうがいいでしょう。私は、ランキングに出ている表は参考程度にとらえています。大学入試後には、週刊誌で大学合格ランキングなどが特集されますが、卒業生数や現役・浪人の比率などが考慮されていない数字の場合もあるので、注意深く見ていきましょう。
東大や国公立大、早慶、上智などの難関大や、海外の大学への合格者数も大事な指標の一つではあります。しかしその一方で、生徒の希望の実現のための大学、学部・学科にしっかりと合格できているか、という例があるかも大切です。また、また、入り口(入学時)と出口(卒業時)の偏差値差が大きい学校は、確実に生徒を伸ばしている学校だと判断できます。
志望校選びは、いろいろな視点で見ることと、数字のみで見ないことが大切です。
進学後に濃密な6年間を過ごし、一生のつきあいとなる「母校」となります。学校の中にいると「なんか落ち着く」「ほっとする」というのも大事なポイントです。友だち選びや、配偶者選びと同じように考えてみるのも、いいかもしれません。
■「完璧な学校」は存在しない
「決断する前に、失敗を恐れない」
これは、何かを決定するときの鉄則です。
失敗を恐れる人や決断が遅い人の共通点に「完璧主義」があげられます。志望校を探すときに一番大事なのは、自分の子どもに合う学校はあっても、「万人にとって『完璧な学校』は存在しない」と理解することです。
「どうしても志望校が決まらない」という相談を受けたとき「○○君が行く学校が、一番いい学校になります。彼はまわりへの影響力があるので、どこに入ってもいい学校にしてくれますよ」と力説したこともありました。
「志望校は親が決めるのと子どもが決めるのとどちらがいいでしょうか?」と質問をされることがあります。
まずは、志望校に限らず「中学受験の主人公は子ども」ということが軸足ではないかと思います。ただし、子どもの経験値だけでは、適切な志望校選びが難しいのも事実なので、親子で上手に相談をしながら決めてください。
保護者が「受けたい学校を受けさせてくれた」ということに、子どもは思っているより感謝しているものです。これは、「合否にかかわらず」というのが大事な点です。「最後は自分のことを信頼して任せてくれた」というメッセージを、子どもたちはしっかりと受け取っています。
■子どもがプレッシャーでつぶれそうになっていたら…
第一志望校のことを「憧れの学校」と表現することがあります。「憧れること」は大事ですが、「自分の手が届かないくらいにはるかにすごい学校」という印象が子どもにつきすぎないように、気をつけていきましょう。もしもうまくいかなかったときに、「どうせ憧れだったから」などと自分自身に言い訳をしてしまうのは残念なことです。
以前、講演会でこういう話をしたことがあります。
「イタリアの伝統ある帽子メーカーが『日本円で20万円以上もする超高級な帽子をかっこよく被る方法』を説明していました。こんな高い帽子をどう被ればいいのか、鏡の前で、ああでもないこうでもないと悩みそうですが、『気にせずにさっと被る』が正解です」
超高級といっても、「たかが帽子」ですから、「被るあなたの価値のほうがはるかに高い」というのが、その答えの根拠です。
志望校の偏差値が、たとえば70だとしましょう。では、わが子の偏差値をつけるとすればいくつでしょうか。勉強面を一度忘れて、数字をつけるとすればいくつでしょうか。
学校の価値よりも、わが子の価値のほうがはるかに高いのは間違いありません。
もし、志望校について子どもが過度に気負ってしまっているようだったら、「当たり前のことを言うけど、○○中より、あなたのことのほうが、比べものにならないくらい大事だよ」と伝えてあげてください。
■どこを併願するかで迷ったら
中学受験は、午後入試や即日発表などもあり、併願作戦を立てるのはまるでパズルのようですが、第一志望を受けるためにも、併願校は重要です。
併願作戦を練るときのポイント
●第二〜四志望の序列を決めることに大きな意味はありません。第一志望は、モチベーション維持のために明確に、それ以外は「遠いけど進学実績はよい」などプラスマイナスの両面があるので、どこを選んでも大差ないと思いましょう。
●偏差値は「入学難度」であり、学校の価値とは別物という大前提に立ちましょう。
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国語専門塾・中学受験PREX代表
教育コンサルタント・学習アドバイザー。神奈川大手学習塾で中学受験部門を立ち上げ、責任者として20年携わる。毎年、塾に通う生徒全員と直接面談を実施。保護者向けにも、ガイダンス、進路面談、カウンセリングを担当し、これまで関わった人数は2万人以上にのぼる。日々の思いを綴るブログ「中学受験熱血応援談」は年間100万件以上のアクセスを獲得している。2022年7月に中学受験PREXを立ち上げ、現在も継続して中学受験の最前線に立ち続ける。国内最大の受験人数を誇る首都圏模試センターの中学受験サポーターも歴任し、中学校と受験生の橋渡しとなる情報提供を日々行っている。一番大切にしていることは、ご縁があり指導することになった子どもたちとご家族のために、誠心誠意、ベストを尽くすこと。著書に『中学受験 合格できる子の習慣 できない子の習慣』(KADOKAWA)、『2万人の受験生親子を合格に導いたプロ講師の 後悔しない中学受験100』(かんき出版)、『親の声掛けひとつで合否が決まる! 中学受験で合格に導く魔法のことば77』(KADOKAWA)がある。
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(国語専門塾・中学受験PREX代表 渋田 隆之)
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