「こっちが学校を蹴ってやりますよ」中学受験当日に「子どもの実力を引き出した」親の神フレーズ集
プレジデントオンライン / 2025年1月17日 18時15分
※本稿は、『2万人の受験生親子を合格に導いたプロ講師の 後悔しない中学受験100』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
■受験前日と当日の過ごし方
勝負に臨むときの鉄則は、「迷いなくやり切ること」です。勢いをつけて試験会場に送り出しましょう。試験会場へ向かう子どもたちの背中は本当に美しく、そして頼もしいものです。
入試数日前からは、漢字や計算練習の答えが多少間違っていても○をつけてください。どんな形でも、自信たっぷりの状態にすることです。当日、会場前で、「今朝の計算も間違ってたから、本番では気をつけるんだぞ」なんて、最悪の声かけです。
■「なぁ、奇跡が起きたぞ」
過去に、こんなエピソードを話してくれたお父さんがいました。
「奇跡の答え」で笑顔になった日
受験生本人からも、そのあとに話を聞く機会がありました。
■「絶対に間違うもんか」と気合が入った
「うん、お父さんが演技してたの、気づいてたよ。でも、いつも怖いお父さんが私のための問題も作って演技までしてくれたのが本当にうれしかった。『絶対に間違うもんか』って気合い入れて解いたんだ」
バレてはいましたが、父の愛はきっちりと伝わっていました。
子どもは、入試会場ではたった一人で問題と向き合わないといけません。長い間一番近くで努力を見ていたみなさんにしか言えない言葉を、かけてあげてください。
「今まで本当によくがんばってきたね。自慢の子だよ」
「たくさんの悔しい経験、つらい経験が最後に盾になり守ってくれるよ」
「この中学校に一番合っているのは君だ!」
「大丈夫! 胸を張っていこう!」
■入試期間のピンチの乗り越え方
中学受験は「自分の受験ではない」というどうしようもなさが、保護者にストレスとなってのしかかります。私も「何度、子どもたちのかわりに受験したい」と思ったことか。ここでは、息つく暇もないほどの目まぐるしさで過ぎていく入試期間をどう乗り切ればいいかを説明します。
●困ったら塾へ
子どもに「私、受けたい」と真剣な顔で言われたら止められないですし、「もう無理だと思う」と泣かれたら受けさせられません。子どもの気持ちがなかなか落ちつかないようなら、家庭で抱え込もうとせずに、すぐに塾に相談しましょう。
●残念ながら不合格だったときは
子どもは、不合格がわかったときの保護者の表情の変化を敏感に察知します。まずは、つとめて平常心を。赤ちゃんのときからそうしてきたように、子どもを支え続けていくことこそが、保護者が唯一できることです。
落ち込んでいる子に、自分の失敗談を語れる保護者は最強です。あるお父さんは、高校のときに、自分のエラーで最後の試合に負け、全国大会出場の夢が断たれた話をしたそうです。「あの失敗に比べれば、他人に迷惑をかけない不合格なんて、失敗と言えないよ」と心から伝えたその言葉は、確実にその子の勇気につながったでしょう。
不合格でつらい思いをしているのは、決してわが子だけではありません。
■「こっちが学校を蹴ってやりますよ」
帰国子女で、国語がとにかく苦手な子がいました。5年生で入塾したときは、カタカナもままならぬ状況で、早めに塾に来て一緒に練習したことを覚えています。
その子は、記述が多く国語も難しい神奈川最難関の男子校にチャレンジすることになりました。入試当日、校門の前で、親子を激励したときのことです。
お母さん「先生、うちの子が日本で一番がんばりましたよね」
私「はい、カタカナができない段階から、よくぞ記述欄が埋まるようになりました。私も日本一だと思います」
お母さん「そうですよね。そんなわが子をこの学校が不合格にするんだったら、こっちからこの学校を蹴ってやりますよ」
不合格だったら、辞退することはできないという無粋なことはさておき、その子は「お母さんの一言が本当にうれしかった」と10年以上経って教えてくれました。
結果は、残念ながら不合格……。しかし、その日の夕方に繰り上げ合格の連絡が届きました。必死で埋めた記述のどこかの部分点の1点が合格につながったこと、そしてその1点が、母の愛から生まれたのは間違いありません。
■子どもの「幸せな中学生活」は親にかかっている
中学受験を「わが子なりに悔いなくやり切れた」「あのがんばりはかっこよかった。一生忘れない」などで締めくくれれば、その受験は成功です。
さて、中学受験はゴールでもあり、その先につながるスタートでもあります。もう少しだけおつきあいください。
第一志望への未練を引きずってしまう保護者の気持ちもわかります。しかし、子どもは案外早く切り替えるにもかかわらず、保護者が「あのとき○○しておけば」という後悔から離れられないようであれば、子どもは決して幸せな中学生活を送れません。
「置かれた場所で咲きなさい」という言葉もありますが、「子どもが入った学校がベスト」だという考えを、保護者が持てるかが重要です。
「転ぶのが痛いのではない。転ぶのを見られるのがつらいだけだ」という言葉があります。子どもの進学する学校に納得がいかないのは、ひょっとして誰かに対しての見栄からきているかもしれません。
また、4月になって中学生としてがんばるのは子ども本人です。子どもが12歳を越えたら「子離れ」をしていくことです。世界には、12歳でお金を稼いでいる子がたくさんいます。日本は成人年齢が引き下げられたので、18歳で大人です。中学入学は、大人への階段の第一歩でもあります。
家族で、超ハラハラドキドキの吊り橋を長期間渡るのが、中学受験です。何かしてあげたいと思う部分は残っているかもしれませんが、中学受験を完走できたという体験が、すでに家族の一生の絆になっていることは、間違いないのではないでしょうか。
■寝る前に両親が話しているのが聞こえて…
最後に、卒業した生徒たちからの、等身大のメッセージを送ります。「合格した子たちはすごい子たちばかり。それと比べてうちの子は……」などと、まったく思う必要はありません。子どもたちがどんなことを感じ、何を考えて受験に臨んでいるのか、イメージをしていただければと思います。
●ほぼ0からのスタート
私は6年になる直前の2月から塾に通いはじめ、初のテストで算数がなんと2点でした。しかもその2点は、計算以外に○はありませんでした。でも母は「0からじゃないけど、ほぼ0からのスタートだね」と笑って受け入れてくれました。
志望校選びは、実際に学校に足を運ぶことで、最初の志望校から行きたい学校が少しずつ変わっていきました。文化祭を見に行ったとき、家族とはぐれて生徒会の人たちとしゃべったり、お世話になったりしたのも、よかったのかもしれません。
受験間近に、絶望的だった算数を詰めまくって本番へ。見事3連勝できました。合格発表を見たときは、びっくりして声が出ませんでした。母は涙を浮かべて喜んでくれました。
●終わった科目は忘れること
私は、1月受験で失敗しました。この不合格で私はやっと本気になり、ラストスパートをかけました。足を引っ張っていた社会を重点的にやることを決め、最後の1週間はさぼっていた社会のプリントを引っ張り出しては、根こそぎやっていました。
いよいよ入試当日の社会の時間、あまりできなかった算数のことが気になりつつ、「1科目が終わったらそのことは忘れて次の科目に全力を注げ」と先生に言われていたのを思い出し、社会に集中しました。
途中でわからない問題があったときも、もしかしたら採点ミスがあるかもしれないと思い、適当にでもとにかく書きました。塾に戻って確かめると、今までの最高点で、しかも当て勘で一つ合っていたので、最後まで諦めないことが大切だなと思いました(笑)。
●自分を信じて本番へ
スランプは夏期講習直前と、年明けの1月にありました。得意だった算数が得点できなくなったのです。1月は入試直前だったこともあり、気持ちが焦れば焦るほど、成績は下がり続けました。
ついに、先生に呼び出され算数の単元別プリントを解きまくりました。総合問題よりも「できた」という感覚がつかめたことで、少しずつ自信が復活していきました。最後に「単元」に戻るという先生の作戦は大成功でした。
「これだけたくさんの問題を解いたんだからきっと大丈夫。いつもの実力を出せばいいんだ」と自分を信じて本番に臨むことができました。
●やる気が出た瞬間
私がベッドに入って寝ようとしているとき、父と母が私のことで相談している声が聞こえてきました。普段は怒りっぽい父が、「この子は最後には結果を出せる子だ。志望校も本人の行きたい学校でいい。信じていこう」と言ってくれていたのです。負けられないと思いました。
----------
国語専門塾・中学受験PREX代表
教育コンサルタント・学習アドバイザー。神奈川大手学習塾で中学受験部門を立ち上げ、責任者として20年携わる。毎年、塾に通う生徒全員と直接面談を実施。保護者向けにも、ガイダンス、進路面談、カウンセリングを担当し、これまで関わった人数は2万人以上にのぼる。日々の思いを綴るブログ「中学受験熱血応援談」は年間100万件以上のアクセスを獲得している。2022年7月に中学受験PREXを立ち上げ、現在も継続して中学受験の最前線に立ち続ける。国内最大の受験人数を誇る首都圏模試センターの中学受験サポーターも歴任し、中学校と受験生の橋渡しとなる情報提供を日々行っている。一番大切にしていることは、ご縁があり指導することになった子どもたちとご家族のために、誠心誠意、ベストを尽くすこと。著書に『中学受験 合格できる子の習慣 できない子の習慣』(KADOKAWA)、『2万人の受験生親子を合格に導いたプロ講師の 後悔しない中学受験100』(かんき出版)、『親の声掛けひとつで合否が決まる! 中学受験で合格に導く魔法のことば77』(KADOKAWA)がある。
----------
(国語専門塾・中学受験PREX代表 渋田 隆之)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
これではA判定でも合格できない…入試直前のわが子にやってはいけない行動、言ってはいけないフレーズ
プレジデントオンライン / 2025年1月17日 8時15分
-
「緊張しなくていいからね」より効果的…ガチガチで受験会場に向かう我が子にかけたい親のポジティブフレーズ
プレジデントオンライン / 2025年1月16日 18時15分
-
これは親にしかできない…中学受験目前、プレッシャーに押しつぶされそうな我が子にかけたい魔法の言葉
プレジデントオンライン / 2025年1月15日 18時15分
-
中学受験突入! 最後の作戦会議で伝えること「捨てる問題なんてありません」 桜井信一の攻める中学受験
産経ニュース / 2025年1月11日 11時0分
-
【中学受験】難関私立中の併願パターンが大激変! 午後入試を味方につける「併願校選び」の新セオリー
オールアバウト / 2024年12月28日 20時50分
ランキング
-
1「中居氏騒動」フジ社員に伝えたい"企業防衛"論理 「もし会社が消滅するかもしれない」事案起きたら
東洋経済オンライン / 2025年1月18日 17時30分
-
2「ほぼ常に揺れている」ダイソー、原因は上階のフィットネスジム? バーベルの落下音やランニングマシンの振動が社会問題化
まいどなニュース / 2025年1月18日 15時10分
-
3“正しい鼻のかみ方”ちゃんと出来てる?テッシュメーカーが伝授 ポイントは「片方ずつゆっくり」なんだって
まいどなニュース / 2025年1月18日 20時30分
-
4CMが「ACジャパン」になっていく…中居正広氏を起用し続けたフジテレビ社長に現役社員が抱く“強烈な違和感”
プレジデントオンライン / 2025年1月19日 7時15分
-
5「早く死ね」とダイレクトメッセージを送ってきた60代男性の心を浄化した52歳僧侶の"許しの返信"
プレジデントオンライン / 2025年1月19日 7時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください