「イケメンに愛されたい」を捨てられるか…夜逃げ離婚、金銭トラブルを経て46歳の婚活で知った恋愛の真理
プレジデントオンライン / 2025年1月18日 16時15分
■顔だけのオトコを選んだのがすべての間違い
バブル期に青春を謳歌し、女子大卒業後イケメン資産家と人もうらやむ結婚生活をスタートさせたバブ子さん。
一人娘を名門私立小に入学させ、自身も事業を起こすなどまさに順風満帆の人生。と思いきや、「貯金」が趣味の夫に節約生活を強いられ、その圧に耐え切れなくなった彼女は、彼が免許不携帯で警察に連行されている間に夜逃げを決行。拘留(こうりゅう)を解かれ自宅に戻った夫は空っぽになった家で離婚届を目にすることに。
「顔だけの男と結婚したのが、すべての間違いだったわ」
痛い学習をしたバブ子さんでしたが、さてモトより楽しいことが大好きなバブル娘です。離婚後ほどなくして、かねて好意を抱いていた年上シニアの男性との恋愛を開始します。バブ子さん40歳。お相手は10年前に妻と死別した65歳でした。
「彼、見た目オジイサンでしたが、でも行為は立派なものでした」
そりゃあ若い彼女が出来たら、薬でも何でも力を借りて張り切ることでしょう。
■お金は男女交際における重要なポイント
幅広く事業を展開する彼は、元々は仕事を立ち上げたバブ子さんの相談相手でした。
事業の知識はもちろん、教養もあり、世間に知られた公的役職にもついていました。社会的成功者なのです。何よりカネ払いの良さが魅力でした。
元夫に節約を無理強いされたことで、「お金」に敏感になったバブ子さん。男女交際においても、お金は大事なポイントなのです。
「顔は元ダンナに比べれば、ただのおジイちゃんでしたよ」
しかし、一流レストランで食事を楽しみ、旅行は高級ホテルを取ってくれる彼との交際は楽しいものでした。一人娘はフランスに留学していて、彼女はバブル期の青春を取り戻した気分でした。
ところが、付き合って2年もしたころ、彼が事業を息子に譲って隠居生活に入ったのです。
すると当然、収入は無くなります。退職金と年金がいくらばかりかあったものの、それまでの贅沢な暮らしを続けていれば、あっという間にお金は無くなります。
■気持ちが引き潮のように引いたあの瞬間
「ちょっと貸して、200万ちょっと貸して」
ある日彼から切り出されたバブ子さん。
「え? とは思ったんですが、すぐ返してくれるだろうと。だって、大学の客員教授とかもやってる人なんで……」
「ちょっとしばらく返せないかもしれないから」
そう言って高級時計を差し出した彼。まるで質種(しちだね)。その時点で少しおかしいとは思ったのですが、「ちょっと」という響きにそれ以上突っ込めず、時ははらはらと過ぎていきます。その後全然返してくれない彼に、いつ返してくれるのかな?と軽く聞いたところ、
「え? あれ? 返さなくていいと思ってたあ」
その瞬間、気持ちがサーッと引き潮のように引いたと言うバブ子さん。
「私は、事業のために人から借金してもちゃんと返済計画表を提出し、判を押し、毎月きちんと返します。今までずっとそうやってきて、借金は全て返済してきました」
だから、借りた金を返さない男は、それでもうお終いなのだと、バブ子さんは言い放ったのです。
■誰かのために家事をやるのはもうムリ
ところで、お金のことがなければ彼との再婚とかも考えていたのか彼女に聞いてみました。
「いやー。だっておジイちゃんだし。それに私仕事が楽しくて忙しくて、誰かのために家事をやる生活はもう無理」
最初の結婚では、完璧な主婦として夫に仕えたバブ子さん。しかし完璧な専業主婦生活を送った女性ほど、再婚に二の足を踏むものです。
「なんでワタシあんなに一生懸命家事をやったんだろう?」
離婚(あるいは死別)後、自由を手に入れたら、確かにもう二度と家事に縛られる生活には戻りたくないですよね。けれど男性は変わらず、再婚すれば女は家事をやってくれるものと期待していて、そこに大きなズレがあります。
離婚後訪れた“バブルよ再び”の恋愛が、本当に泡のように弾けてしまったバブ子さん。しかし立ち直りもまた速いのです。
「次の楽しいことを見ーつけよ!」
そう思い立ったバブ子さんは、婚活パーティーに参加します。
離婚して2年。46歳になった彼女は、婚活サイトに手あたり次第参加を始めるのです。
■選択の決め手は青春時代のあの空気だった
アプリではなく、婚活サイトを選んだのは、「パーティー好きでしたので」。
さすが、毎日がパーティーで青春を送ったバブル娘。そのぶれなさが素敵です。
「離婚して、歳の差恋愛もちょこっとして、ともにお金がからんで嫌な思いをして、心機一転これからはいろいろ楽しいことをしよう!ってことで。エステとかジムとか。その流れでの、婚活パーティーだったんです」
バブル娘は目尻を光らせ続けます。
「サイトには、いろいろ顔出ししました。私も歳だったので40歳以上限定のパーティーを選んで。だって、若い娘に混じったら不利じゃないですか(笑)」
若い頃はそれこそ飛ぶ鳥を落とすモテ女だったバブ子さんでも、年齢には弱気になっていました。
彼女が参加した婚活パーティーは、女性は座りっぱなしでそこに男性が順番にカードを持って短い自己紹介をし、ベルトコンベアみたいに次々と流れてゆく仕組みが多かったとのこと。ひと通り全員と話をした後、休憩タイムがあり、自分が気に入った異性の番号を主催者の人に渡すと、「何組成立しました」の発表となるらしい。
■持ち前の危険回避センサーのスゴさ
「カードに趣味とか書いてあるので会話は主に趣味の話とかですが、内容より話してみて感じイイとかワルイとか……、そっちですよね」
華やかなワンピースにピンヒールで参加したバブ子さんは、かなりの確率でカップル成立となったのですが、
「白紙でもいいけど、何となく書いておこうかなと思って成立しちゃって『ア、やだなあ』と思ったこともあります。成立後は二人でお茶する流れなんですが、『今日は時間ないんでー』と逃げちゃう。相手もそれで察しますよね。お互い連絡先はまだ交換してないので、危険は回避できます」
バブ子さんの、この危険回避センサーはやはりすごい。
時としてこちらがハラハラするような行動に出るものの、ちゃんとリスクは回避する。この嗅覚が素晴らしい。大胆、かつ細心。
自分の人生を変えたいと思っている女性から相談を受けると、「まず、自分が動きなさい」。私はそうアドバイスします。
バブ子さんは、まさにそうやって人生を切り拓いてきた良い実例なのです。
① 変えようと思ったら、自分が動く。
② リスクを回避するために嗅覚を研ぎ澄ます。
③ 自分の頭で考え抜く。
私が出会った成功者は、大体この3つを備えています。
性別、学歴、家柄、全く関係ありません。言い方を変えれば、このうち1つでも欠けたら何も変わらない。あるいは失敗する公算が大です。
■「楽で便利で信用できる」三拍子の彼
危険を回避し、婚活パーティーの要領も得た5回目の会場で、バブ子さんは現在の彼と出会います。
彼は9歳年上で、一流メーカーに勤務するサラリーマン。
「そんなにときめいたわけでもないんですが、話すとなんとなく楽しくて」
カップル成立後の初めての食事後、初キス。
それから二人で暮らすようになるまで、ひと月かからなかったそうです。大人のカップルに、もどかしい恋の駆け引きなど無用なのでしょう。
「彼といると、すっごく楽。顔なんてそんな良くないですよ。でも彼、DIYが趣味で何でも作ってくれる。私の職場をリノベする時も業者とのやりとりを全部引き受けてくれて……とっても役に立つの」
彼は資産運用も趣味らしく賃貸用マンションをいくつか所有していて、その転売も成功しているというからなかなかのもの。前夫や前恋人とお金で苦労したバブ子さんにとって「楽で便利で信用できる」三拍子の彼は、何者にも代えがたいパートナーみたいです。
彼女がコロナにかかったり乳がんの手術をうけた時も、支えになってくれたのは「彼」だったと言います。全くのひとりぼっちよりは、やはりパートナーがいるほうが心強いものです。バブ子さんは病にかかったことで彼に大きな感謝の気持ちを抱き、二人の絆はよりいっそう深まったと言います。
■「イケメン好きに良いこと無し」の鉄則
暮らし始めて、もう10年近く。彼からは「籍を入れるか」みたいな話も出るけど、「『え~』とか言ってはぐらかして(笑)」。
「大恋愛して結婚して気持ちが冷めきって離婚した経験をすれば、『恋愛』『結婚』って何だろう?ってなりますよね」
それより居心地の良い相手との同居で充分だ、と。
「昔は愛されていることをすごく望んでいた気がします。そのために恋人時代はおシャレして、結婚してからは家事も頑張って……。でも、それが上手くいかなかった。何かを間違えていたんだと思います」
これがバブ子さんの現在地です。
イケメンに「愛されたい」と願ったけれど、ケチで縛るような男に愛されたいと思ったのか? あたし、馬鹿! ってところでしょうか。それよりも自分でお金を稼いで、居心地の良いパートナーと暮らしている今のほうがよっぽど楽で居心地いいとバブ子さんは気づいています。
「イケメン好きに良いこと無し」
私はイケメン好きの女性に会うたびに助言してきました。イケメンは、最終的には女に許してもらえると、人生舐め切っているからです。女に甘え、女を見下しているのが、見え見え。
この話をバブ子さんにすると、大きく頷いてくれました。
「愛されたい」
この呪縛から抜け出さなければ、本当の幸せはつかめないのです。
(終わり)
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漫画家
1957年徳島県生まれ。お茶の水女子大学卒。1979年漫画家デビュー。あらゆる世代の恋愛をテーマにして『東京ラブストーリー』『あすなろ白書』『同窓生 人は、三度、恋をする』など多くの作品を発表している。エッセイ集も多く『恋愛論』『ぶつぞう入門』『柴門ふみの解剖恋愛図鑑』『大人恋愛塾』など。
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(漫画家 柴門 ふみ)
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