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人に親切にすると何倍で返ってくるか…ベストセラー精神科医の3年にわたる"実験"で分かった驚きの結果

プレジデントオンライン / 2025年1月23日 16時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Lemon_tm

人に親切にすると、その親切は何倍になって返ってくるのか。精神科医の樺沢紫苑さんは「私は身近な20人に『その人の喜ぶこと』を徹底して行う親切実験をしてみた。どういうわけか半年くらいでは、全く効果が見られなかったが、1年くらいして、小さな効果が、3年すぎくらいに、大きな見返りが戻ってきた」という――。

※本稿は、樺沢紫苑・田代政貴『感謝脳』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

■親切は何倍で返ってくる?

感謝の実験①「返報性の法則」は本当か?

心理学で「返報性の法則」というのがあります。人に親切にされると、親切をお返ししたくなる心理のこと。1971年に心理学者のデニス・リーガンが行った実験が有名で、昔から心理学の教科書に必ず書かれている法則です。

それを受けてか、スピリチュアルの世界でも、「ギブをすれば、必ず戻ってくる」と言われます。でもあなたは、どう思いますか? ギブをすれば、必ず戻ってくると思いますか? 人に親切にしても、何も返してくれない人は、多くないでしょうか?

多くの人が、人に親切にできない理由は、親切にしても「何も返ってこない可能性が高い」ので、「人に親切にしても、無駄になる。損をする」と感じているからだと思います。

親切にしたものが、確実に10倍に返ってくるのなら、ほとんどの人は必死になって「親切」をするでしょう。

これを、私は実験してみようと思いました。

■身近な20人に親切をしてみた

まずは、自分の身近な人10人に、「その人の喜ぶこと」を徹底して行いました。その人が知りたいことを教えてあげたり、その人の本を紹介したり、人を紹介したりしました。

半年ほどしましたが、何かが返ってくることはありませんでした。さらに、10人くらいに、同じことを繰り返しました。最初の10人にも親切を継続しました。

親切実験から1年ほどたって、「お返し」する人が現れましたが、ボチボチです。

3年すぎた頃に、私にとって非常に重要な人を紹介してくれたり、大きなイベントに呼んでくれたり、ということがようやく起こり始めました。

10人に親切の実験をすると、5人は何も返しません。3人はギブした分くらいは返します。ひとりは、3倍以上にして返します。そして最後のひとりは、10倍返し。

自分の人生の転機となる人を紹介してくれたり、すごいチャンスをつなげてくれたりするのです。

結論を言うと、「トータルで考えると、与えたギブは、3倍以上で戻ってくる」。これが私の実験結果です。

ただ注意すべきは、どういうわけか半年くらいでは、全く効果が見られません。1年くらい継続して、小さな効果を実感する。「見返り」などを全く忘れた3年すぎくらいに、なぜか大きく戻ってくるのです。

■「見返りを求めるギブ」には効果がない

つまり、親切やギブは、最低でも1年、できれば3年は続けないと、大きな結果が出ない。これが私の実感です。

言い換えると、「見返りを求めるギブ」は効果がないとも言えます。

常識で考えればわかるはずです。見返りを求める、わざとらしいギブに、お返しをしたくなる人はいません。

ギブや親切が、意識しないでできるようになる。

これが、心のステージの中で最高の「太陽のステージ」です。太陽が無償で日光を注ぐように、ギブや親切ができるようになる。自然にギブできる「感謝脳」だからこそ、さまざまな好ましい結果が連鎖的に現れるのです。

米ドルと豪ドル紙幣の交換
写真=iStock.com/Atstock Productions
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Atstock Productions

■神頼みの効果

感謝の実験②神社参拝は効果があるのか?

私は、よく神社参拝に行きます。お賽銭を100円入れて参拝するのではなく、神主さんに祝詞をあげていただく昇殿参拝、正式参拝です。

という話をすると、「神頼みは、本当に効果がありますか?」「神様は本当にいるのですか?」という質問が、必ず返ってきます。

疑問に思うのなら自分で実験してみるといいでしょう。

私の経験をお話しします。私は神社やパワースポットを巡るのが好きです。昔からあちこち訪れてもいましたが、出版にまつわる不思議な体験をしました。

2018年8月に『アウトプット大全』(サンクチュアリ出版)を発売しました。

新刊の「見本」ができたので、サンクチュアリ出版の本社まで取りに行くことになりました。サンクチュアリ出版に行くのははじめてだったので、Googleマップを調べて驚きました。根津神社から徒歩2分のところに、サンクチュアリ出版があったのです。これには本当にビックリしました。

なぜならば、サンクチュアリ出版の社屋は、『アウトプット大全』を書き始めたときは、渋谷区の千駄ヶ谷にあったからです。実は、2018年の2月に社屋移転していて、それがたまたま出版の神様「根津神社」から徒歩2分の場所だったのです。

神社の本を何冊も出している神社ガール、白鳥詩子さんから、「出版の神様といえば、森鴎外、夏目漱石も通った文豪ゆかりの根津神社が良い!」とお勧めされ、『アウトプット大全』の2ヶ月前に発売された『いい緊張は能力を2倍にする』(文響社)の発売前に、ちょうど初参拝していたのです。

■著書が大ベストセラーに

そのときは、普通にお賽銭での参拝でしたが、参拝するのなら「正式参拝の方がいい」という話を聞いていましたので、次はそうしようと決めていました。

ということで、『アウトプット大全』の見本が刷り上がった当日、みんなで根津神社を正式参拝しようという話になりました。

私と弊社スタッフ、担当編集者と営業部長など5名で、正式参拝しました。

今まで、私ひとりで日本各地の神社を何度も正式参拝していましたが、編集者や弊社スタッフも一緒にというのは、「初」の試みでした。

そして、その結果は……『アウトプット大全』は、シリーズ累計100万部を突破する大ベストセラーとなっています。

ちなみに著者累計でいえば、『アウトプット大全』以前は50万部に満たなかったものが、現在は累計260万部を超えています。

これを、たまたまの「偶然」と考えるのか、「神社参拝の効果」と考えるのか? あなた次第です。

『アウトプット大全』以後、必ず担当編集者とスタッフで、根津神社参拝をしています。

『アウトプット大全』は、樺沢にとって28冊目の著書でしたが、現在まで51冊の本を出版。つまり、23冊連続、7年間連続で神社参拝(正式参拝)を続けています。もちろん、今回も本書の発売前に参拝しました。

東京の根津神社
写真=iStock.com/Starcevic
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Starcevic

■「神頼み」ではなく「ありがとう」

「神頼み」ではなく、「いつもありがとうございます」という感謝の気持ちで参拝しています。

神社で毎年開催される「祭り」ですが、元々の目的は「神様への感謝」です。

「祭」の語源は「祀(まつ)る」。神様に供え物をお祀りし、五穀豊穣、疫病退散などを祈願し、神の恩恵に感謝する目的で始まった行事と言われます。

私は、神社というのは、古代より「感謝の練習場」だったのだと思います。

私たちは、日頃は忙しいので、日々の生活や周りの人たちに感謝することを忘れています。しかし、神社に行けば「いつもありがとうございます」「今年も1年ありがとうございました」と、自然に手を合わせて、感謝の気持ちが湧き上がります。

感謝には、見返りは必要ないのです。感謝するだけで、私たちにはセロトニン、オキシトシン、ドーパミンがみなぎり、健康になり、仕事に集中することもできるし、幸せな気持ちに溢れるのです。

樺沢紫苑・田代政貴『感謝脳』(飛鳥新社)
樺沢紫苑・田代政貴『感謝脳』(飛鳥新社)

とするならば、機会があるごとに神社を参拝し、「感謝する」ことに、私は大きな意味があると思います。

神様にすら感謝できない人が、周りの人たちに感謝できるのでしょうか?

見返りを求めないのが、「感謝脳」のステージです。ですから、見返りばかりを求める「神頼み」に効果があるのか? というと、効果はないでしょう。

感謝によって、脳内の幸福物質セロトニン、オキシトシン、ドーパミンが分泌するのであって、いくら感謝のない「頼み事」や「お願い」をしても、幸せの脳内物質は分泌しないのです。

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樺沢 紫苑(かばさわ・しおん)
精神科医
作家。米・イリノイ大学への留学を経て樺沢心理学研究所を設立。YouTubeやメルマガで精神医学の情報を発信。著書に『学びを結果に変えるアウトプット大全』『精神科医が教える ストレスフリー超大全』『読書脳』ほか。

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(精神科医 樺沢 紫苑、感謝の研究家 田代 政貴)

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