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「数字が苦手」のほとんどは思い込み…2万人の数字嫌いを救った専門家が研修で行う"エクササイズ"の中身

プレジデントオンライン / 2025年1月20日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Makhbubakhon Ismatova

数字の苦手意識はどうすれば払拭できるか。ビジネス数学教育家の深沢真太郎さんは「もしあなたが自分のことを『数字が苦手なタイプ』と思っているとしたら、それは単なる思い込みに過ぎない。数字に対する、かつての不快な記憶が蘇っているだけだ。例えば、3.14と聞いて円周率を連想したら数学嫌いな人はイヤな記憶が蘇る一方で、3月14日で『ホワイトデー』を連想したらちょっとイイ気分になるだろう」という――。

※本稿は、深沢真太郎『読むだけで数字センスがみるみるよくなる本』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

■3.14と聞いてイヤな記憶が蘇るか、イイ気分になるか

次の数字をご覧ください。

3.14

あなたは、この数字から何を連想しますか?

もしかしたら、かつて数学の授業で登場した「円周率」を連想したかもしれません。

「円周の長さを求めなさい」「円の面積を求めなさい」「球の体積を求めなさい」……

数学が好きだった方ならまだしも、嫌いだった方はかつてのイヤな記憶が蘇ったことでしょう。

しかし、もしこの数字から3月14日のことを連想したとしたらどうでしょう? そう、「ホワイトデー」です。

もしかしたら甘いお菓子やパートナーのこと、あるいは初恋を思い出し、ちょっとイイ気分になれるかもしれません。

ほかにも、こんなことを考えてみましょう。

あなたの好きな数字は何でしょうか? 私は自分の誕生日でもある「22」が好きです。いわゆるゾロ目なところも気に入っています。

車のナンバーやデジタル時計なども、「1111」のように数字が並んでいると、ちょっと嬉しくなります。

■数字への苦手意識は、単なる思い込み

おそらくあなたも私と同じように何かしらの理由をつけて、「好きな数字」を答えることができるはずです。

「ワタシは数字が苦手なので、好きな数字なんてひとつもありません!」なんて答える人は、おそらくいないのではないでしょうか。

ここまでの話をまとめる意味で、私がお伝えしたいことを2行で表現します。

あなたは、数字そのものが不快なのではありません。
数字に対する、かつての不快な記憶が蘇っているだけなのです。

もしあなたが自分のことを「数字が苦手なタイプ」と思っているとしたら、それは単なる思い込みに過ぎません。これはとても大胆でありながら、本書においてとても重要なメッセージになります。

そんなことない! と思う方もいるかもしれませんね。では、今からあるエクササイズを一緒にやってみましょう。

安心してください。難しい数字のお勉強ではありませんから。

あなたは勝手に「不快なもの」を
連想しているだけです。

■数字を使う意味づけがあれば不快にならない

次のような、2種類のエクササイズをやってみましょう。

【図表】2種類のエクササイズ
出典=『読むだけで数字センスがみるみるよくなる本』(三笠書房)

数字を使った計算そのものは、どちらも同じです。しかし、そのときのあなたの感情はどうだったでしょうか?

何の意味づけもされていない〈エクササイズ1〉での計算は、数字が苦手と思い込んでしまっている方にはちっとも楽しくない(むしろ不快な)作業だったのではないでしょうか?

ところが、〈エクササイズ2〉ではその計算をワクワクしながらできたのではないでしょうか?

なぜ同じ計算をしているのに〈エクササイズ1〉は不快なのか。

それは、意味づけされていない状態で数字を使うことを強要されているからです。おそらくあなたも、かつて算数の授業で同じような体験をしたのではないでしょうか。

一方、〈エクササイズ2〉は数字を使う行為に明確な意味づけがされています。その先の「答え」も気になります。だから、数字を使うことに不快感などないのです。

まさか、「私は数字が苦手だからラッキーナンバーなんて計算したくありません!」なんて人はいませんよね。

意味づけがあるかどうかで、
同じ計算でもワクワクしたり、不快になったりする。

いかがでしょう?

あなたはおそらく、本書を手に取るまでは「自分には苦手意識がある」と思い込んでいたはずです。

でも、その苦手意識の正体はあなたにとって不快なものを連想してしまう「極めて軽い心の症状」に過ぎません。そして、その「症状」は正しいアプローチをすれば必ず治癒します。

では、どうやってその症状を克服していくか、ご説明していきましょう。

その苦手意識は、必ず克服できる、
「極めて軽い心の症状」です。

■数字と仲良くなるためのポイントは、「気分」にある

冒頭でお伝えした「3.14」の話を思い出してみましょう。

円周率 ⇒ イヤな気分
ホワイトデー ⇒ イイ気分

円周率を連想し、イヤな気分になるから目の前の「3.14」という数字にも不快感を持ちます。しかし、ホワイトデーを連想し、イイ気分でいればあなたは「3.14」という数字に不快感を持つことはないでしょう。

つまり、ポイントは数字というものに対するとらえ方ということになります。もし「自分には数字に対する苦手意識がある」と思い込んでいる人は、そう認識してしまうようなとらえ方をしてしまっているのです。

さらに、あなたがこれからの人生において数字と上手に付き合っていくためには、「気分」が極めて重要なポイントになります。

たとえば、カウントダウン。

「5、4、3、2、1、0〜!」と大きな声で叫びますよね。このとき、その人たちは不快な状態でカウントダウンをしているでしょうか。みんな笑顔で、楽しそうに数字を使っています。これは、その瞬間がイイ気分だからです。

「人間は感情の生き物である」とよくいわれますが、その通りだと思います。時々の感情によって、同じものでも好き嫌いや善悪が変わってしまいます。そこに理屈はありません。

だからこそ、私はあなたが数字を見たときに起こる不快な「症状」を、イイ気分で見たり、読んだり、計算したりできるようにすることで克服したいのです。

この考え方は、私も仕事の現場で活用しています。具体的には、受講者に数字の勉強をさせるのではなく、“数字で遊ぶ”時間を多くとっているのです。

手前味噌ですが、私がプロデュースし、講師として登壇する研修やセミナーでは、多くの方が「勉強になりました」ではなく、「面白かった」「楽しかった」という感想を残してくれます(半分はリップサービスかもしれませんが)。

でも、これは私の狙い通りで、そういう設計をしているのです。

【図表】あなたの苦手意識をはずそう!
出典=『読むだけで数字センスがみるみるよくなる本』(三笠書房)

■遊び心を持って数字に接する時間をたくさんつくる

研修やセミナーで、いくらビジネス数字に対する正論を“楽しくなく”伝えても、不快な気分では参加者は数字に対する苦手意識を決して克服できません。

深沢真太郎『読むだけで数字センスがみるみるよくなる本』(三笠書房)
深沢真太郎『読むだけで数字センスがみるみるよくなる本』(三笠書房)

しかし、その研修が楽しく心地よいものだとしたら? そのイイ気分を持ち帰れるので、明日からの仕事においても数字に対してイイ気分で接することができます。

遊び心を持って数字に接する時間をたくさんつくる。

これが、本書であなたにご提案することです。ですから本書でご紹介していくエッセンスは、あなたがイイ気分でいられるような「遊び」の提案になっています。

そしてどうか、「自分は数字が苦手なわけではなかったんだ」と思ってください。

それほどまでに、このテーマは「あなたが今どう思っているか」が重要なのです。

最大のポイントはあなたの感情。
イイ気分で数字と接しましょう。

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深沢 真太郎(ふかさわ・しんたろう)
ビジネス数学教育家
日本大学大学院総合基礎科学研究科修了。理学修士(数学)。国内初のビジネス数学検定1級AAA認定者。予備校講師から外資系企業の管理職などを経て研修講師として独立。その独特な指導法で数字や論理思考に苦手意識を持つビジネスパーソンの思考とコミュニケーションを劇的に変えている。大手企業をはじめプロ野球球団やトップアスリートの教育研修まで幅広く登壇。SMBC、三菱UFJ、みずほ、早稲田大学、産業能率大学など大手コンサルティング企業や教育機関とも提携し、ビジネス界に数学教育を推進。2018年に国内でただ1人の「ビジネス数学エグゼクティブインストラクター」に就任し、指導者育成にも従事している。著書に『数学的思考トレーニング 問題解決力が飛躍的にアップする48問』(PHPビジネス新書)、『わけるとつなぐ これ以上シンプルにできない「論理思考」の講義』(ダイヤモンド社)、『数字にだまされない本』、『数学女子智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。』(ともに日経ビジネス人文庫)などがある。

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(ビジネス数学教育家 深沢 真太郎)

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