「ありがとう」と言えない50代社員は孤立していく…職場で「感謝される人」が日常的にやっていること
プレジデントオンライン / 2025年1月23日 8時15分
■「努力が報われない」のは誰のせい?
年間1万人近いビジネスパーソンにお会いする中で、さまざまな悩みを耳にします。その中で意外にも多いのが「こんなに頑張っているのに、誰も評価してくれない……」「もっと感謝されてもいいのに……」といった「報われない系」の悩みです。
「ありがとう」という言葉は、自分自身の嬉しい気持ちを相手に伝えるための特別な言葉です。人から「ありがとう」をいただけないということは、もしかしたら周囲の人を喜ばせたり、嬉しい気持ちにさせたりすることがあまりできていないのかもしれません。
周囲の人から感謝されないということは、努力が報われないという「虚しさ」だけの問題にはとどまりません。こうした不満や心の疲れは、自己肯定感を大きく下げてしまい人生の幸福感にも影響します。さらに信頼の醸成がされていないことで、人間関係やキャリアにも悪影響を与える可能性は十分にあります。
「自分はやるべきことはちゃんとやっている」「相手のことを考えている」「善意で動いている」という方もいらっしゃいますが、感謝や善意、努力があることと、それが相手に伝わるかどうかはまた別の話です。
なぜ、同じように努力しているはずなのに、周囲から「感謝される人」と「されない人」がいるのでしょうか?
■街の人の印象が旅人によって違う理由
まず、結論をお伝えすると、感謝心が強い人ほど、周囲からも感謝されます。
「もっと感謝されたい」と思うのであれば、まずは自分自身がどれだけ「感謝の気持ち」を持ち、周囲に伝えているかを振り返ることからはじめなくてはいけません。
人間関係は「鏡」のようなものだと私は考えています。自分が周囲に示す言葉や行動が、そのまま相手の反応となって返ってくるからです。
こんな寓話があります。
ある旅人が見知らぬ街を訪れ、駅員にこう尋ねました。「この街の人は、挨拶もしないし、不親切で感じが悪い」と。それに対し、駅員は「そうですね。この街の人は内向的で、あまり自分から挨拶しない人が多いです」と答えました。
しかし、別の旅人がやってきて、こう言います。「この街の人は、みんな親切で、道も丁寧に教えてくれる。来てよかった!」――すると駅員は、先ほどと真逆のことを言いました。「そうです。この街の人たちは本当に親切で、温かい人ばかりなんです」
その様子を見ていた人が、「どちらが本当なんですか?」と尋ねると、駅員はこう答えます。「どちらも本当です。鏡ですから」
■「ありがとう」と言える人は感謝される
これはまさに、現実の人間関係にも言えることです。自分が相手に対してどのように接するかによって、相手の反応や態度も変わります。例えば、笑顔で挨拶をすれば、相手も笑顔で返してくれる。逆に不機嫌な態度で接すれば、相手も同じように不機嫌になるでしょう。
「感謝」という点でも同じです。自分自身が感謝心を持ち、周囲に対して「ありがとう」を伝え続けている人は、自然と周囲からも感謝される存在になります。感謝心が強い人の周りには、「この人を大切にしたい」「この人と一緒にいたい」と思う人が集まり、信頼や愛情が育まれるからです。
一方で、感謝心が薄く、自分本位の態度が目立つ人は、どれほど努力しても周囲からの評価や信頼を得ることが難しくなります。なぜなら、相手も無意識のうちに「この人は自分を大切にしてくれない」「自分のことばかりだ」と感じてしまうからです。
もし、「こんなに頑張っているのに、周囲は感謝してくれない」と思うのであれば、まずは自分自身の日ごろの態度や行動を振り返ってみる必要があります。
■「有り難い」と気づけない人の末路
人から「感謝されない」、つまり自分自身も人に「感謝しない」人にはある共通点があります。それは日々の中に溢れている周囲のサポートや気遣いを「当然の権利」として受け取っているということです。
感謝の反対は「当たり前」。してもらって当たり前、ご馳走になって当たり前が癖になっていると、相手の努力や思いやりを自分でも気づかないうちに軽視してしまいます。
たとえば、会社に勤めていると、取引先などから贈り物をいただくこともあります。頂き物をした時の反応も人によって全く違います。その場で「ありがとうございます!」とお礼を言うことくらいは誰でもできますが、重要なのはその後です。毎回、必ず感想を添えて感謝のメッセージを伝える人もいれば、もらいっぱなしで終わる人もいます。
相手のことを想い、相手が喜ぶことを考えながら贈り物をした人は「本当に喜んでくれているかな?」「どう感じたのかな?」ときっと気にしているはずです。そんなことにも気づかず「当たり前」に消費してしまう――。こうした小さな感謝の欠如の積み重ねが、次第に周囲との信頼関係を損なっていきます。
■感謝するには、想像力と観察力が必要
一方で、「感謝される人」、つまり自分も人に「感謝する人」は、想像力と観察力に優れています。
まず、人に何かをしてもらって感謝の気持ちを持つためには、相手の行動や気遣いに「気づく」ことが最低条件です。誰かが手を貸してくれたとき、助けてくれたときも、それを当たり前だと思っているうちは、そのありがたみに気づくことすらできません。相手の行動に気づき、そこに込められた意図や想いを理解することが、感謝の第一歩なのです。
観察力は、ただ人や物事を「見る」だけでは育ちません。大切なのは、相手の立場に立って「この人はどういう気持ちでこんな行動を取っているのだろう」と想像することです。観察力と想像力をセットで鍛えることで、相手の行動の背景にある思いや配慮を理解し、その人の想いにまで気づけるようになります。
■今の若手社員は気を遣う経験が乏しい
相手の気遣いや配慮に気づける人は、自分自身が「気を遣う経験」を積んできた人であることが多いのも事実です。なぜなら、気遣いをした経験がある人ほど、その行動の裏にある努力や難しさも知っているからです。
人にご馳走するのも、仕事が円滑に進むようにチームメンバーに裏でこまめに声をかけるのも、簡単なことではありません。自分も同じような経験がある人ほど、相手の行動を当然と思わず、「ありがたい」と素直に受け止められます。
相手の気遣いを知るためには、自分自身が「気を遣う側」になってみることが最も効果的です。
今、多くの職場で問題となっているのが上司と部下の逆転現象です。パワハラなどの問題や、人材不足の懸念から上司が部下に対して気を遣い、ご機嫌を伺うばかりになる「逆転現象」が見られることがあります。また、リモートワークが増え、顧客と直接対面する機会も少なくなっています。
若い世代の方々にとって、目上の人にいちいち気を遣わなくていい環境は、確かにラクかもしれません。しかし、人に気を遣うという経験をしないまま、逆に気を遣われるばかりで年月を重ねれば、「やってもらって当たり前」という感覚はどんどん大きくなっていきます。
■人間関係が一気に崩壊するのが50代前後
そうした環境に長く浸かっていると、人との関わりの中で、感謝を示すことの大切さや、感謝心の意味にも気づかず年齢だけを重ねていくことになります。今の若い世代がラクに慣れたまま40代、50代と年齢を重ねていくことを私はとても危惧しています。
正直、20代や30代のころであれば「若気の至り」で許されることもたくさんあります。自分勝手な振る舞いで失敗しても、それはそれで大切な人生の経験です。しかし、きちんと叱ってくれる上司や先輩に出会わないまま、他人のサポートや気遣いの存在に気づかず、当たり前のものとして受け取ってきた人は、自意識がどんどん肥大していきます。
「俺はすごい」「これは私の手柄だ」と成果や成功を独り占めして、謙虚さを忘れてしまった人は、その後どうなると思いますか?
答えは簡単。周囲の人がどんどん離れていくのです。
謙虚に周囲に感謝しながら過ごしてきた人が何十年とかけてコツコツと周囲の人との信頼関係を築いてきた一方で、感謝を忘れた人々は少しずつ少しずつ人間関係にヒビを入れ続けています。それが一気に崩壊するのが50代前後です。
■仕事でもプライベートでも「独り」になる
職場やビジネスの現場でも、年齢とともに求められる役割は変わります。単に仕事をこなすだけではなく、チームをまとめて後輩を育てることが重要になっていきます。
ところが、「あの人には何をしても報われない」「感謝の言葉すらない」と思われてばかりいれば、誰も「あの人と一緒に仕事をしたい」「困っているなら手を貸してあげたい」とは思ってくれなくなるのが自然です。
結局、責任のある仕事を任せられることも少なくなり、キャリアは頭打ちとなり、孤立してしまう――。そうした状況に陥る人は決して少なくありません。
プライベートでも同じです。パートナーの支えを当たり前として享受し、感謝を忘れてしまっていた人が、ある日突然パートナーから手を離され、呆然としているケースを私は何度も見てきました。
今からでも、ぜひ周囲の方々や大切な家族に感謝を伝える習慣をつくってみましょう。
■まずは1日10人に「ありがとう」を伝える
感謝を示すということは、特別なことをしなくてはいけないわけではありません。小さな感謝の習慣の積み重ねが、人間関係を大きく変えていきます。
そのための具体的な一歩として、まずは今日から1日10人に「ありがとう」を伝えてみませんか? たった2、3秒で済みますし、特別なスキルも必要ありません。普段の生活の中で、家族、同僚、部下、友人など、どんな小さな場面でもいいので、感謝を言葉にしてみてください。
「資料をまとめてくれて助かったよ」
「このコーヒー、美味しいね」
「話を聞いてくれてありがとう」
日常的な会話で構いません。ポイントは、「何に感謝しているのか」を具体的に伝えることです。そして、できればどんな感謝を伝えたのかをメモしておきましょう。記録しておくことで、後で見返したときに「私はこんなに周囲の人に支えられて生きているんだな」ということを実感することができ、さらにありがたい気持ちになります。
「ありがとう」は自分の嬉しい気持ちを相手に伝える言葉である、と冒頭にお伝えしましたが、実は「ありがとう」を受け取った側もさらに嬉しい気持ちにさせることができる、魔法のような言葉です。
ありがとうの連鎖が生まれる関係は、とても豊かで幸せなものになっていきます。1日10回「ありがとう」を伝えれば、1年間で3650回。何百回、何千回「ありがとう」を重ねていくうちに、あなた自身の人生もきっとさらに良い方向に変わっていくはずです。
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新規開拓社長/「トップセールスレディ育成塾」主宰
1962年大阪生まれ。小学校教師、税理士事務所、証券ファイナンス会社などの勤務を経て、人材育成の企業に営業職として入社。営業未経験ながら、礼儀礼節を徹底した営業スタイルを確立し、3年で売上NO1、トップセールス賞を受賞。その後、自身の営業ノウハウを広く伝えるべく独立。2004年6月、株式会社新規開拓設立、同代表取締役に就任。女性の真の自立支援、社会的地位の向上を目指した、「トップセールスレディ育成塾」を主宰。開講から20年経ち、卒業生は延べ3800名を超える。これまでに著作は41冊(累計約48万部)刊行され、近著に『運を整える。』(内外出版社)がある。
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(新規開拓社長/「トップセールスレディ育成塾」主宰 朝倉 千恵子)
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