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これで中学入試直前まで大きく伸びる…受験生が親に言われて「ホッとした言葉」上位の鉄板フレーズ

プレジデントオンライン / 2025年1月20日 16時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/fizkes

 志望校の入試が近づくにつれ、不安な気持ちでいっぱいになる子どもは少なくありません。2万人の受験生親子を合格に導いた、中学受験PREX代表の渋田隆之さんは「大人のピリピリは間違いなく子どもにも伝染して、メンタルのバランスが崩れてしまいます。家族の役割は『安心感』を伝えること。受験生が、親に言われてホッとした言葉をアンケートしたときに、常に上位に出てくる言葉がありました」といいます――。

※本稿は、渋田隆之『中学受験で合格に導く魔法のことば77』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■「だからこその今」とプラスに捉えて

「受験は短距離走ではなく、マラソン」であるとよくたとえられますが、決してゴールのないマラソンではありません。もう少し、あと少しという段階までくることができました。いよいよ収穫の時期です。

「締め切り効果」という言葉があります。人間は時間を区切られると、やる気が高まり、集中力を発揮するという心理的メカニズムのことを言います。入試直前という緊張感が、塾でも感じられるようになったり、それまでだらしなかった友だちのようすが変わったりすることで、いつの間にか子どもの顔つきも少しずつ変わっていくことにお気づきになるかと思います。

志望校対策で、「やるべきことが明確になってきた」という状況も後押しになります。夏までは計算練習をサボっていた子どもが、「計算ミスをなくせば、あと○点は取れそうだ」ということが実感としてわかり、丁寧に筆算をするようになる、苦手な記述問題から逃げていた子どもが、「部分点でも良いから加点されると、志望校の合格最低ラインに届きそうだ」などと頑張る変化も見えてきます。

「もう少し早く夏の時期から変わってきていたら……」というお気持ちにもなるかと思いますが、「その時期に、子どもなりに頑張ってきたからこその今である」とプラスにとらえていきましょう。

■受験生が「うれしかった」親からの言葉

この時期に、親から言われてうれしかった言葉で上位に入るのが「信じている」です。

自分でも頑張ってきたと自覚もある受験生には、親からのこの言葉でさらに頑張ろうと思えるようです。「信じているよ」と言われたら、その期待に応えたくなるのが人間の心情なのかもしれません。

ただし、応援する側が「どれだけ本気で信じていたか?」ということも大事なポイントです。子どもが、真剣になり始めているだけに、口先だけの言葉は、「そうやって勉強させたいんでしょ」と見透かされます。この時期の声掛けは、熱い気持ちも同時にぶつける必要があります。

子どもたちが親に言われて心に火がついた言葉をあげておきます。

■子どもの心に火がついた言葉

「お父さんは理系だったけど、お前の解いている問題は解けないよ。いつの間にか抜かれてしまったかな。大したもんだ」

「集中力ついたね。さっき話し掛けたけど、気づかなかったもんね。でも、ご飯できたからいっしょに食べようか」

「この学校に一番入りたいと思っているのはあなたじゃない? ママが校長だったら、絶対合格させたいと思うよ」

「“あんまり無理するなよ”と言う日がくるとは信じられない(笑)」

「一つの目標に向かって努力することができるようになったのは、収穫だ。これだけでも、中学受験をさせてよかったと思ってるぞ」

水泳教室のインストラクターさんからお聞きした話です。水泳のクラスでは、「レベルの細分化」が進んでいます。顔を水につけられたらレベルいくつ、足を底につけられたらレベルいくつとか、具体的に「数字を使って」成長を確認してあげると、安心感につながります。

また、ものさしで測れない成長もたくさんみつけてあげたい時期です。ひょっとしたら、ものさしで測れないことのほうが多いのかもしれません。

家族全員で、合格してほしいという気持ちがどんどん高まっていきます。そういう一致団結して良い空気になれるのも大変素晴らしいことです。そのうえで、熱く語りかける場面と、冷静に分析する場面のバランスがそろうと、息切れすることなく子どもは落ち着いて勉強してくれるでしょう。

さあ、ゴールはもう少しです。

「勇気とはプレッシャーのもとで発揮される優雅さのことである」(アーネスト・ヘミングウェイ)

■「受験は子どもの受験、人生も子どもの人生」

なぜ、「遊び」が楽しいのか?

また、中学高校に入学した先輩たちが、一見、辛いとも思える部活や学校行事を頑張れているのか?

その共通点は自発的な行動であることと言えます。中学受験を始めた当初は、親や先生の言う通りに動くことばかりを求められた部分もあるでしょう。それは、年齢的にもしかたがないことだと思います。

しかし、ここまでご家族も含めて、さまざまな苦難を乗り越えてきたから、入試直前を迎えられているのも事実です。

ある受験生のお母様の言葉で、「受験の伴走がうまくいかずに、毎日悪戦苦闘の毎日でしたが、あるとき、悟りを開きました(笑)。その悟りとは、“この受験は子どもの受験。そして、人生も子どもの人生”ということです。怒ることも少なくなり、良い入試を迎えられたと思います」というのがあります。

この後に、「親子げんかをする暇があったら、勉強してほしいなという欲もありましたので、完璧な悟りではありませんでしたが」というオチがつきます。

ここまでの道のりは平坦ではなかったと思います。私の好きな言葉で、「あなたは、アスファルトの道ではなく、歩きにくい泥だらけの道を歩いてきた。でも、その道には泥であるからこそ、しっかりと足跡が残されている」というものがあります。

■大人がブレーキを踏まないように注意

「必要に迫られたから」というのは、大きな動機づけになるものです。

過去問等を分析すると「あと○点で合格できるかもしれない」ということが見えてくるのは直前の時期です。点数だけではなく、「途中式を書かないと」「字をきれいにしないと」「計算間違いは許されない」と、今までいくら注意されても聞き流していたことが実感となり改善できるのが、この時期です。

「今まで一生懸命やってきてだめだったのだから、あと○日ぐらいやっても難しいのではないでしょうか?」というご相談を受けたときは、日程も迫っているので、「親がそういう気持ちだったら、難しいでしょうね」と少し厳しめに言うことがあります。

受験生が、ようやくアクセル全開で頑張り始めようとしたときに、大人がブレーキを踏んでしまうと、車ならスピンして事故になってしまいます。

ゴールが迫ってきた今だからこそ、大きく伸びます。そして、今まで頑張ってきたことも事実です。

■「自分には無理」というブロックを外す

入試当日、お子さんは、かばんに筆記用具と受験票、そして、期待と不安を背負いたった一人で試験会場に向かうことになります。当然ではありますが「試験会場では誰も助けてはくれません」。

しかし、会場に入る直前までは「合格をともに勝ち取る味方」として大人の果たす役割は重要です。

生まれてはじめての受験本番ですし、前受け受験で合格があろうと緊張しない受験生なんていないでしょう。さらに、第一志望については、決して楽な受験ではないはずです。

子どもに強い気持ちで本番を迎えさせるためにも、「そんなことは自分には無理だろう」「できるわけがない」という思い込み(心理学用語ではメンタルブロック)を外すための事例収集は必要です。

たとえば、陸上スポーツなどで、それまではなかなか破られなかった100メートル走10秒の壁を破る記録を誰かが出すと、次々とそれを破る選手が出てくるように、他の人の成功例を見ると「自分にもできるかもしれない」という気持ちがもちやすくなります。

「この偏差値では合格できないだろう」という迷いや不安があったときには、ベテランの塾の先生などに成功事例がないか、また合格体験記などにうまくいった先輩がいないかを探してみてください。

きっと、勇気と元気につながるのではないでしょうか?

■志望校を変える理由は「より自分に合った学校が見つかったから!」

酸っぱい葡萄の心理とは、自分が手に入れることができなかったものについて、「どうせたいした価値はない」と考えることで、自分の感じる悔しさや敗北感などの負の感情を紛らわせる心理メカニズムを指す言葉です。

キツネが高い場所にあって届かない葡萄を「どうせ酸っぱい葡萄にちがいない」と考えたというイソップ寓話から、この名前がついています。キツネは「酸っぱくておいしくない」と食べてもいない葡萄の価値を下げて、自分を正当化させるという教訓として用いられます。

しかし、キツネは、葡萄を食べることができないとわかると、いつまでも「食べたかった」「おいしそうだった」と、クヨクヨ考えるのではなく「酸っぱくておいしくないはず」と、こだわる姿勢をやめました。「過去にいつまでもとらわれていてもしかたがない」という教訓としても考えることができます。

ずっと心の中にあった志望校は、きっと素晴らしい学校であると思います。でも、新たな志望校もきっと同じく素晴らしい学校です。むしろ成長した自分が選んだとしたら、より自分に合っている学校だと信じて前に進みましょう。

私は、「自分が進学する学校が、一番合っている学校だよ」と言い続けていますし、その通りだと思います。

■第二の鉄板フレーズ「大丈夫!」

入試が近づいてくると「今やっていることは、本当に正しいのだろうか?」という不安と心配がよぎります。特効薬は劇的な子どもの変化だったり、見違えるほどの成績の向上だったりすると思いますが、期待通りにはならないことも多いでしょう。

また、期待通りになったとしても、「その結果が続かなかった」「もっと良い結果を目指してしまう」のが人間の性というものです。

子どもが大変な時期、大人が「早くやらせなきゃ」「こんなことはしていられない」とピリピリしていれば、そのピリピリは間違いなく子どもにも伝染して、メンタルのバランスが崩れてしまいます。「油断するんじゃないの!」「焦ってくれないと困るわ!」とわざわざ心配しなくても、入試前は、塾でのクラスメイトのムードだったり、頻繁に返ってくるテスト結果だったりが、ピリピリ感を伝えてくれます。

だからこそ、家族の役割は、そして家族しかできないことは「安心感」を伝えることです。

母と娘
写真=iStock.com/miya227
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/miya227

受験生が、親に言われてホッとしたと言われることをアンケートで調査したことがあります。順番が入れ替わっても、常に上位に出てくる言葉がありました。

その言葉は、「大丈夫!」です。

■覚悟を決めて腹をくくろう

自分の良いところも、だめなところも引っくるめて、今までの中学受験生活を肯定する気持ちをもつことが、覚悟を決めることにつながります。

渋田隆之『中学受験で合格に導く魔法のことば77』(KADOKAWA)
渋田隆之『中学受験で合格に導く魔法のことば77』(KADOKAWA)

中学受験の勉強のプロセスでは、決して勝つことばかりでなく、正直、負けて悔しい思いをすることもたくさんあったかと思います。その競争を通して、子どもは自分の弱みだけではなく強みを知ることができたのではないでしょうか。

つまり、より深く自分というものを理解する体験もできたのではないかと思います。この体験は、きっとこの後の人生につながる意味のあることだったと胸を張ってよいのです。

そして、迎える入試という機会も、二度とは体験できない貴重な機会です。

高校受験や大学受験、また就職などもやり直しがききます。オリンピックも4年後に再チャレンジできます。

しかし、この中学入試という機会だけは、小学校6年生という今しかできないチャレンジとなります。

そのかけがえのない機会を

下を向いて行うのか、顔を上げて行うのか?
余力を残して戦うのか、全力を出し尽くして悔いがないように戦うのか?

ということに尽きるでしょう。

昔の人は覚悟を決めることを「腹をくくる」という言い方をしました。力が湧く言葉だと思います。最後の瞬間は、腹をくくってやり抜きましょう。

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渋田 隆之(しぶた・たかゆき)
国語専門塾・中学受験PREX代表
教育コンサルタント・学習アドバイザー。神奈川大手学習塾で中学受験部門を立ち上げ、責任者として20年携わる。毎年、塾に通う生徒全員と直接面談を実施。保護者向けにも、ガイダンス、進路面談、カウンセリングを担当し、これまで関わった人数は2万人以上にのぼる。日々の思いを綴るブログ「中学受験熱血応援談」は年間100万件以上のアクセスを獲得している。2022年7月に中学受験PREXを立ち上げ、現在も継続して中学受験の最前線に立ち続ける。国内最大の受験人数を誇る首都圏模試センターの中学受験サポーターも歴任し、中学校と受験生の橋渡しとなる情報提供を日々行っている。一番大切にしていることは、ご縁があり指導することになった子どもたちとご家族のために、誠心誠意、ベストを尽くすこと。著書に『中学受験 合格できる子の習慣 できない子の習慣』(KADOKAWA)、『2万人の受験生親子を合格に導いたプロ講師の 後悔しない中学受験100』(かんき出版)、『親の声掛けひとつで合否が決まる! 中学受験で合格に導く魔法のことば77』(KADOKAWA)がある。

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(国語専門塾・中学受験PREX代表 渋田 隆之)

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