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毎日ガミガミしていたのがウソのよう…「脱いだ靴はそろえなさい」の後につけると態度激変のキラーフレーズ

プレジデントオンライン / 2025年1月27日 16時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Tanja Ristic

明確な指示やお願いをしているのに、相手が動いてくれない時はどうすればよいのか。メンタルコーチの大平信孝さんは「たとえ簡単にできることでも、こちらから一方的にお願いすると、『無理強い』と受け取られてしまう。相手の状況やペースに配慮し、『やらされ感』が薄まる伝え方をするとよい」という――。

※本稿は、大平信孝『感情的にならず相手を「すぐやる人」にする34のコツ』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

■マルチタスクは相手の行動力を奪う

「相手の行動力を奪い先延ばし人間にする最強の方法」をご存じですか?

それは、「マルチタスク」です。一度に「あれもこれもやりなさい」と指示・命令して、キャパシティオーバーにする、つまり相手の実力や能力、限界を超えることを求め続ければいいのです。

食べ放題のビュッフェを思い浮かべてください。

目の前の相手は、すでに料理が盛られたお皿を両手に持っています。そこに、パンとサラダとデザートを無理やり盛ったらどうなるでしょうか。

席に戻るときに料理をこぼしてしまうかもしれませんし、誰かにぶつかってしまうかもしれません。たとえ席まで無事に運べたとしても食べきれずに残す、無理して食べて苦しくなる、おなかを壊すなど、どう考えてもよくない結果になりそうです。

こう聞くと、「そんな無茶なことはしないよ」と考える方が多いでしょう。でも、これが職場や家庭だと、案外やってしまいがちなのです。

■相手はますます逃げたくなる…

たとえば、出勤直後のスタッフに対して、「今週締切のあの件はどうなった?」「別件だけど、会議の日程、今日中に決めて連絡するように」「先週の出張の旅費精算はまだ?」「そういえば、昨日メールで届いていた、○○商事の件はどうなった?」などと、一度に複数のことを依頼したり確認したりしていませんか?

あるいは、朝目を覚ましたばかりの子供に対して「早く起きなさい!」「顔を洗って歯も磨いてね」「学校からのお手紙あるなら出して」「給食袋はどうしたの?」「着替えた?」「朝ごはん早く食べちゃいなさい」などと、畳みかけるように指示を出した経験がある方もいるのではないでしょうか。

上司の立場からすれば、これくらいのことは「できて当たり前」。「簡単」なことなのだから、「一度にすべてできて当然」と思うかもしれません。でも相手にしてみたら、出社して息つく暇もなく、指示・命令と確認の嵐となれば逃げだしたくもなります。

子どもにしても、まだ眠くて完全に目覚めていないのに朝からガミガミ言われたら、布団に逃げ戻りたくもなるでしょう。経験不足、実力不足、あるいは体調不良や睡眠不足などで、それどころではない場合もあります。

さらに、矢継ぎ早に指示・命令を受けて、それを処理できないことが続くと、言われたほうは自信を失います。すると、相手は逃げたくなるので、ますます行動から遠ざかってしまうのです。

■相手を動かす「指示のルール」

指示は一度に1つまで

「マルチタスク」という言葉がありますが、厳密にいえば人は「一度に1つ」のことしか考えることはできません。もちろん体も1つですから、メールと企画書を同時に書く、朝ごはんを食べながら歯を磨くなど、一度に複数の作業を行うことはできないわけです。

ですから、とくに経験の浅い相手に対しては、キャパシティオーバーにならないよう、指示は「一度に1つ」を厳守してください。

相手に動いてほしいなら、一度にたくさんのことを依頼する「マルチタスク」を避け、「シングルタスク」。これを覚えておきましょう。

指示を出すほうは、多少面倒に感じると思いますが、「1つだけ」なら能力ややる気にかかわらず、なんとか対処できます。また、わからないときの質問や相談もしやすくなり、結果として頼んだことが早く終わるようになります。さらに、1つ処理するごとに「達成感」を味わうことができるので、相手の自信にもつながりやすいのです。

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写真=iStock.com/matdesign24
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/matdesign24

■「今やろうとしていたのに」と反発を買う

「食器を洗っておいて」と家族に頼んでもなかなかやってくれないので、結局自分でやってしまう。

夫に「電球を交換して」と2日前から頼んでいるのに、まだやってくれない。

子どもに「早く布団に入りなさい」と注意しているのに、ずっとテレビを観ている。

「脱いだ靴はそろえなさい」といつも言っているのに、誰もやってくれない。

こうしたことで、日々イライラしている方も多いのではないでしょうか。

どれも、実際に動いてみれば5分以内で終わることばかりです。だからこそ、「自分のことくらい、言われなくても進んでやってほしい」「なんでこんな簡単なこともやってくれないの!」とイライラするわけです。

一方で、言われた側からすると「こちらの都合も考えずに一方的に言われるから嫌になる」「今やろうとしていたのに出鼻をくじかれた」「リラックスしているときに限って細かいことをガミガミ言うからイラッとする」と感じているかもしれません。

たとえ簡単にできることでも、こちらから一方的にお願いすると、「高圧的」「無理強い」と受けとられて、かえって反発されてしまうことがあります。

さらに、いつも一方的に指示やお願いばかりしていると、相手の主体性や自律性が徐々に失われるだけでなく、おたがいの信頼関係も崩れてしまうことがあります。

とはいえ、やってほしいことを伝えなければ。「すべて自分でやる」「相手が着手するまで、ひたすら自分だけがガマンする」ことになってしまいます。

■「やらされ感」を薄める

「いつだったらできそう?」を付け加える

では、こんなときどうしたらいいのでしょうか。

結論から言うと、いつも通りお願いしてOKです。

ただ、会話を終える前に、次の一文を加えてください。

「いつだったらできそう?」

先ほどの例であれば、

「廊下の電球が切れていて不便だから、換えてほしい。いつだったらできそう?」
「自分が脱いだ靴は自分でそろえるのがわが家のルールだけど、さっき脱いだ靴、いつだったら自分でそろえられる?」

といった具合です。

自分がやってほしいことを一方的にお願いしても、頼まれたほうは、自分のペースを乱されて、イライラ・モヤモヤしてしまい、「はい、今すぐやります!」とはなりません。

しかし、言いっぱなしで終わらせずに、「いつだったらできそう?」と相手の状況やペースに配慮するだけで、「やらされ感」が薄まり、相手に主体性が芽生えてきます。

「プレゼンの準備頼むね」「お風呂掃除を手伝って」などと、明確に指示やお願いをしているのに相手が動いてくれない……。そんなときは、「自分でやってしまおう」という気持ちをグッと抑えて、「いつだったらできそう?」を付け加えてみてください。

たったこれだけのことで、あなたの日常生活のイライラを減らすことができるはずです。

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写真=iStock.com/Umnat Seebuaphan
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Umnat Seebuaphan

■I(アイ)メッセージを使う

主語を「あなた」から「私」に変える

自分の要求を相手に伝える方法は、大きく分けると2つしかありません。

You(ユー)メッセージと、I(アイ)メッセージです。

「Youメッセージ」とは、「相手を主語」にして伝える方法です。たとえば、「あなたはこれをやりなさい」「あなたはこうすべき」といった伝え方です。

一方の「Iメッセージ」は、「自分を主語」にする伝え方です。「私はこうしてほしい」「これをしてくれると私は助かる」というように自分の要求を伝えます。

大平信孝『感情的にならず相手を「すぐやる人」にする34のコツ』(かんき出版)
大平信孝『感情的にならず相手を「すぐやる人」にする34のコツ』(かんき出版)

大多数の方は、仕事でもプライベートでも日常的にYouメッセージを使っています。しかし、相手とうまく信頼関係を築けている方は、「意識的に」Iメッセージも使っています。

Youメッセージには、「○○しなさい」と端的に要求を伝えられる反面、相手の行動や思考に介入することになるので反発されやすいというデメリットがあります。

その点、Iメッセージは多少まわりくどい表現になるものの、否定したり、相手の行動や思考を制限したりせずに自分の主張を伝えることができるため、相手がメッセージを受け取りやすいというメリットがあります。

相手を尊重しながら自分が伝えたいことも主張できるので、Youメッセージ一辺倒よりも相手との信頼関係を築きやすいのです。

■ちょっとの工夫で印象が大きく変わる

Iメッセージを使う際のポイントは、自分を主語にして、相手の行動による「自分への影響、変化、期待(感情や状態)」を伝えることです。

「そう言われても、ピンとこない」という方のために、いくつか例を挙げておきます。

○提出書類の誤字脱字やミスを確認してほしいとき

「誤字脱字やケアレスミスくらい、自分でちゃんと確認して!」
→「提出前に一度自分で確認してもらえると、ミスが減るので助かります」

○パートナーや子どもに家事を手伝ってほしいとき

「忙しいから、お皿くらい洗って!」
→「今忙しくて大変だから、お皿を洗ってくれるとすごく助かる」

○静かにしてほしいとき

「うるさいから静かにして!」
→「静かにしてもらえると。作業に集中できて助かるな」

○相手の言い方がキツいとき

「そんな言い方をするなんてひどい!」「言い方がキツくない?」
→「そんな言い方をされると悲しい」「そう言われると、私は傷つく」

いかがでしょうか。ちょっと言い方を変えるだけでずいぶん印象が変わると思います。

もちろん、場面によってはメッセージが明確で端的に伝わるYouメッセージが必要なこともあります。しかし、こればかりだと雰囲気も関係性も悪くなっていきます。相手に動いてほしいなら、適度にIメッセージを活用していきましょう。

伝え方を変えるだけで、相手との信頼関係が変わるということを覚えておいてください。

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大平 信孝(おおひら・のぶたか)
メンタルコーチ
アンカリング・イノベーション代表。目標実現の専門家。長野県生まれ。中央大学卒業。脳科学とアドラー心理学を組み合わせた独自の目標実現法「行動イノベーション」を開発。現在は、法人向けに、チームマネジメント・セルフマネジメントに関する研修、講演、エグゼクティブコーチングを提供している。個人向けには「行動イノベーション年間プログラム」とオンラインサロンを主宰。近著に『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ  科学的に先延ばしをなくす技術』『指示待ち部下が自ら考え動き出す!』(ともにかんき出版)、『先が見えなくても、やる気が出なくても 「すぐ動ける人」の週1ノート術』(PHP研究所)。公式サイト。

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(メンタルコーチ 大平 信孝)

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