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「出世コースから外れた」は大チャンスである…人生後半が孤独な人と楽しくなる人の決定的違い

プレジデントオンライン / 2025年1月25日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

人生後半を楽しく生きるにはどうすればいいか。経営コンサルタントの藤井孝一さんは「50代で出世コースから外れた人は、意に沿わない異動を告げられることもあるが、ここで腐っているのはもったいない。異動先で携わった業務に、定年退職後の起業のネタが見つかることもある」という――。

※本稿は、藤井孝一『50代がうまくいく人の戦略書』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

■独立もできるし、会社にも残れる人になる

先の記事で述べたように、シフトチェンジをすれば、50代からの人生を充実させることができます。まだまだ人生は長いのですから、50代から守りに入るのは早すぎます。

私は2019年に『大人の週末起業』(クロスメディア・パブリッシング)という本を発表しました。

これは定年を目前に控えた同世代の読者に向けて、会社にいながら自分のビジネスをはじめる方法を指南する本です。

出版後、週末起業を目指す同年代の読者から、相談を受ける機会が増えました。そのとき、多くの人は次のように語っていました。

「60歳の定年以降も再雇用で働き続けることができるけど、給料も大きく下がるし、若い人たちからお荷物扱いされるだけ。だったら、今のうちに稼ぐ力をつけて、会社から独立して働きたいです」

ところが、です。数年経って同じ人に話を聞くと、みんな一向に会社を辞めようとしないのです。

もちろん会社を辞めるかどうかは個人の自由です。私は、別に退職をあおるつもりはありません。

ただ、少々引っかかるのは、彼らが「本当は辞めたいけど、会社がなかなか辞めさせてくれないんですよ」などと言い訳していたことです。

常識的に考えて、そんなわけがありません。退職届を出せば、会社は簡単に辞めることができるのですから。

■最後まで会社にしがみつきやすい構造

60歳の人が守りに入って会社にしがみつこうとする気持ちはよくわかります。特に20代からずっと同じ会社で働いてきた人は、その会社の社員であることがアイデンティティとなっています。会社を辞めたら自分が何者でもなくなるように思え、不安になるのもうなずけます。

私は34歳のときに独立しましたが、仮に58歳の現在まで会社で働き続けていたなら、辞めずに会社にしがみついていたかもしれません。

会社にいれば、減るとはいえ毎月定収入は得られますし、組織に属しているという安心感も得られます。

大企業に勤務している場合は、ある程度経費も使えます。福利厚生も充実しており、セコい話ですが、提携ホテルを割引料金で利用できるなどの特典もあります。そういったもろもろを守ろうと思えば、最後まで会社にしがみつくしかありません。

しかも、今は国を挙げて雇用延長を図ろうとしています。

要するに、年金の支給を遅らせるために、サラリーマンの面倒を会社に押しつけているわけです。

2021年に施行された「改正高年齢者雇用安定法」では、70歳まで働けるようにすることが企業の努力義務となっています。

仕事内容や給料に文句をいわず、会社のお荷物としての立場を甘んじて受け入れれば、とりあえず会社に居続けることはできます。

■60歳は、あっという間にやってくる

でも、50歳そこそこで守りに入り、そんな選択を受け入れていいのでしょうか。

体力や気力が多少落ちているとはいえ、50歳になったばかりの人は、まだまだいろいろできることがあるはずです。

第一線で仕事をしていれば、会社のインフラを使って人脈をつくる、広げることも可能です。リスキリングもできます。

実際に定年後も会社に居続けるかどうかはともかく、

「しかたなく会社にしがみつく」

というのと、

「独立もできるし、会社にも居続けられる」

というのとでは天と地ほどの差があります。

あくびをするビジネスマン
写真=iStock.com/PonyWang
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PonyWang

大事なのは、今から10年後の人生計画をしておくことです。会社のインフラも使えるものは使って人生戦略を立てることです。

「今の忙しさ」を理由に、「そのうち考えよう」などといって漠然と過ごしていたら、60歳はあっという間にやってきます。

50代のはじめ頃に計画を立て、その計画に沿って準備していけば、確実に人生は変わります。

■「外の世界」をもっとよく知ること

50歳にもなれば、会社内でのポジションや評価もほとんど定まっていることでしょう。私の同世代にも「役員になれなかったし、あまり出世もできなかったな」など、自分のキャリアを悲観している人が少なくありません。

たしかに、一般的に40代後半からの出世は難しいとされています。50歳時点で部長にもなっていなければ、役員になる可能性は限りなく低いかもしれません。

外を眺めているビジネスマン
写真=iStock.com/mokuden-photos
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mokuden-photos

ただ、役員になれるかどうかなんて、結局のところは運しだいです。もちろん能力もあるでしょうが、同期で役員のポストはせいぜい一つ、二つあればいいほうですから、役員になるのはクジに当たるようなものです。

たとえば、つき従っていた上司が失脚したあおりで、出世競争から脱落してしまう人もいます。

いずれにしても、役員になどなれないのが「普通」なのです。

役員になれなくても、出世できなくても、そこで人生が終わるわけではありません。大事なのは、会社の外にも世界が広がっているという事実に気づくことです。

■50代の「妖精さん」は罪深いのか

サラリーマンをしていると、会社からの評価=自分の評価みたいに感じてしまいがちです。

けれども、実際には会社からの評価など、ごく一面的なものにすぎません。あなたが評価されるフィールドは、ほかにもあるはずです。

「妖精さん」という言葉があります。

職場でこれといった働きをせず、存在感の薄い中高年男性を総称した表現です。大手メーカーの若手社員が、同じ職場の50代社員を名づけて以来、一般的に広まったといいます。

毎朝ちゃんと出社するけれども、コーヒーを飲んだり新聞を読んだりしてたいした仕事らしい仕事もせず、手持ち無沙汰に過ごしている。そして、気がつけばいつの間にか職場からいなくなってしまう。

そんな様子を揶揄して「妖精さん」と呼ばれているのだそうです。会社もその存在を持て余しているものの、解雇するわけにもいかず、野放し状態となっています。

それでも、年功序列である程度の給料は手にしているわけですから、若手社員からしたら面白くありません。「こんなおじさんたちがいるせいで、私たちの給料が上がらないんだよ」と、モチベーションを下げる要因にもなっています。なんとも罪深い存在です。

■定年退職後の起業のネタをみつける

でも、もしかしたら妖精さんは、まだマシともいえます。

会社では、何もしなくても恨みを買うわけです。余計な口を出そうものなら、邪魔者以外の何物でもありません。

つくればなんでも売れた過去の時代の成功例を持ち出し、「オレたちの時代はこうやったんだ。おまえたちのやり方は甘すぎる!」などと偉そうに説教する……。

これは、最悪の振る舞いです。若い人にしてみたら、「時代も変わっているのに、そんなこといわれても」と当惑するだけです。

会社で先が見えてしまったからといって、ふてくされて若者の邪魔をしている場合ではありません。

50代で出世コースから外れた人は、傍流の部署に異動になるケースが増えます。閑職のポストに配置転換になるとか、子会社に出向するなど、意に沿わない異動を告げられることもあるでしょう。

しかし、ここで腐っているのはもったいないと思います。異動先で携わった業務に、定年退職後の起業のネタが見つかることもあります。

■出世を断たれた50代の末路

たとえば、自動車メーカーでは、自動車を生産したり販売したりする仕事が本業となります。ただ、大企業であるがゆえに、たくさんの子会社を抱えていて、出世を断たれた50代が、出向してICTに関連した新規事業に携わるといったことが起きます。

その仕事にふてくされて取り組む人もいるでしょうが、そこで頑張って新しい知識やスキルを身につけようとする人もいます。

藤井孝一『50代がうまくいく人の戦略書』(三笠書房)
藤井孝一『50代がうまくいく人の戦略書』(三笠書房)

もしかすると、これまで持っていた「自動車営業」と「ICT」のスキルをかけ合わせることで、自動車評論家の道が開けるかもしれません。むしろ大きなチャンスを手に入れられるかもしれないわけです。

仮に100年生きるとしたら、あなたの人生はあと50年もあるのです。今からふてくされて人生を投げ出すのは、あまりにももったいないと思います。

50歳でふてくされたら、残りの人生は苦しくなる一方です。今後の人生を楽しくできるかどうかは、50代でどう振る舞うかにかかっていると思います。まずはそのことを強く意識してほしいと思います。

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藤井 孝一(ふじい・こういち)
経営コンサルタント
中小企業診断士。1966年、千葉県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、大手金融機関を経て99年に独立。著書に『週末起業』(ちくま新書)など。

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(経営コンサルタント 藤井 孝一)

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