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こんな人は孤独な老後が待ち受ける…スポーツジムで現役時代の肩書マウントを繰り広げる70代の痛々しさ

プレジデントオンライン / 2025年1月27日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/chanakon laorob

幸せな人生を送るため、中高年が意識するべきことは何か。経営コンサルタントの藤井孝一さんは「50歳をすぎてまでマウントをとりたがる人は痛々しいし、やがて誰からも相手にされず孤立する。定年退職後の長い人生の幸不幸は周りの人間関係で決まるため、『自分などたいしたことはない』と謙虚な心、感謝の心を持つべきだ」という――。

※本稿は、藤井孝一『50代がうまくいく人の戦略書』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

■限りある時間の密度をどう高めるか

今の年齢からでも、誰だって新しいことにチャレンジできますが、一方で、人生は有限です。ここからは「締め切り」を意識することが求められます。

1つ目の締め切りが、55歳頃にやってくる役職定年です。

役職定年とは、一定の年齢に達した社員が部長や課長などの役職を退く制度です。役職定年によって、会社は組織の世代交代を図り、人件費の高騰を抑えることができます。

役職定年を迎えると、事実上の降格となるわけですから、仕事の変化やモチベーションの低下といった問題にも直面します。もっとも、現在は深刻な人手不足やベテラン社員の士気低下から、役職定年を廃止する動きが見られます。

2つ目の締め切りは、60歳の定年退職・再雇用です。

あらためて説明するまでもなく、定年退職は、社員が一定の年齢に達したタイミングで退職となる制度です。現在、定年退職の年齢は60歳以上と決められており、60〜65歳と定めている企業が一般的です。

なお、定年年齢を65歳未満に定めている事業主には、65歳までの雇用確保が義務づけられています。企業によっては定年退職後に新たな雇用契約を結ぶ「再雇用制度」を導入しています。

■65歳で退職してから、25〜35年近くを過ごす

3つ目の締め切りは、65歳の再雇用雇い止めです。

65歳までの再雇用制度を導入している企業では、このタイミングで完全に会社から離れることになります。

ただし、2021年に施行された「高年齢者雇用安定法」では、70歳までの就業機会の確保を努力義務としています。これにより、定年年齢を70歳まで引き上げたり、70歳までの再雇用制度や、業務委託契約を導入したりするケースも見られるようになっています。

契約後に握手をするビジネスパーソン
写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maroke

最後にやってくる締め切りが寿命です。

内閣府によると、今から約40年後の2065年に、日本の平均寿命は男性84.95年、女性91.35年になると見込まれています。今後の寿命の延びを踏まえれば、100歳まで生きる可能性も大です。65歳で退職したら、25〜35年近くを過ごすことになります。

仮に会社を辞めたあとに個人で仕事ができたとしても、さすがに80歳まで現役をまっとうするのは難しいでしょう。

平均寿命の前に健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)のリミットがありますから、それなりに活動できるのは80歳くらいまでかもしれません。

■人生の後半を楽しく有意義にできるかは50代で決まる

しかも、年を経るごとに、充実して過ごせる時間は限られていきます。

私が会社を独立してフリーランスになったのが34歳のときです。当時は睡眠時間を削り、名刺を1000枚つくって3カ月で配り切るといったやり方で人脈を広げていました。非常に密度の濃い時間を過ごしていたという実感があります。今ではとてもそんな働き方は不可能です。

たとえば冷蔵庫の買い換えのタイミングは、一般的に約10年とされています。

ふと、「自分はあと何回、新しい冷蔵庫をわが家に迎え入れるのだろう」なんて考えるときがあります。

また、「自分は死ぬまであと何冊、本が読めるだろう」なんてことを考えることもあります。

これからは締め切りを意識しながら、貴重な時間を楽しく有意義に使っていく必要があります。人生の後半を楽しく有意義にできるかどうかは50代で決まります。

■もう「競争」をモチベーションにしない

若い頃は「同期よりも出世したい」とか、「平均よりもいい暮らしをしたい」というモチベーションで頑張ることにも、それなりに意味があります。

けれども、50歳をすぎてまで人と比べて一喜一憂するのは、みっともなくて痛々しいだけです。

私は通っているスポーツジムで中高年の人たちと一緒になることがあります。

その中には、もう70代だというのに、いまだに「○○商事の取締役までやったんだ」「○○大学で同期に政治家の○○がいたんだ」などと自慢する人がいます。聞いているこっちが恥ずかしくなります。

そういう人は、○○商事の取締役、○○大学のOBだったという以外に、人生において誇れるものが一つもないのかもしれません。会社や大学にすべてのアイデンティティをゆだねているから、いつまでも過去の肩書にしがみつくわけです。

ジムでは何かにつけて他人と比較して、いちいちマウントを取ろうとするタイプの人にも遭遇します。

「ゴルフシミュレーターの飛距離が○○ヤード」
「スクワットが○○さんより何回余計にできる」
「自分のほうが血圧の数値が低い」
「息子が○○大学に入った」
「娘の夫が○○社の社員」

そんなどうでもいいことを誇っているのです。

マウントを取りたがる人は、ずっと他人との比較の人生を送ってきたのでしょう。そうすることでしか自分の価値を確認できないのかもしれません。

当然ですが、他人と比べたがる人はジムの中でも嫌われています。誰からも相手にされず、やがて孤立していきます。「こんなふうになりたくないな」と、つくづく思うのです。

■「自分の力だけでのし上がった」は錯覚

50代にもなったら「自分などたいしたことはない」という自覚を持つ必要があります。自分を卑下するのではなく、謙虚な気持ちを持つということです。若い頃は、自分の力だけでのし上がってきたように思いがちですが、それは錯覚です。

一人ひとりの力に大した差はなく、たまたま運がよかったり、周りの人の引き合いがあったりして現在の地位を得たというだけなのです。

自分の力でのし上がってきたと思うからこそ、他人を平気で蹴落とそうと考えたり、出し抜こうとしたりして、どんどん嫌な人間になっていきます。

「自分の力なんて知れたものだ。みんなのおかげで、なんとかここまでくることができたんだ」

そんなふうに感謝の心、謙虚な心を持てば、誰かにマウントを取ろうなどとは思わないはずです。

藤井孝一『50代がうまくいく人の戦略書』(三笠書房)
藤井孝一『50代がうまくいく人の戦略書』(三笠書房)

人の幸せは仕事の成果だけで決まるわけではありません。

人生の後半であなたを評価するのは、会社ではなくなります。年を重ねるにつれ、家族や友人、趣味の仲間、地域の人たちへと変わっていきます。要するに、定年退職後の長い人生の幸不幸を決定づけるのは周りの人間関係なのです。

人間関係を良好にしようと思ったら、誰かと比較してマウントを取るなどもってのほかです。今から人と比べる生き方からのシフトを図りましょう。

目指すべきは、いい人たちに囲まれて幸せな人生を送ることです。

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藤井 孝一(ふじい・こういち)
経営コンサルタント
中小企業診断士。1966年、千葉県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、大手金融機関を経て99年に独立。著書に『週末起業』(ちくま新書)など。

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(経営コンサルタント 藤井 孝一)

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