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夜に近所の洗濯機が「ガタガタガタガタ」…堅牢なはずのタワマンで「騒音問題」が多発する不可避な理由

プレジデントオンライン / 2025年2月3日 17時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Tero Vesalainen

多くの世帯が入居するタワマンでは、どんなトラブルが起きやすいのか。首都圏のタワマンで管理組合の理事長を務めた経験がある作家・竹中信勝さんは「高層建築の性質上、隣戸や上下階からの生活音が壁や床を通じて伝わりやすく、管理組合に騒音に関する苦情が寄せられる」という――。(第2回/全2回)

※本稿は、竹中信勝『タワマン理事長 ある電通マンの記録』(ワニブックス)の一部を再編集したものです――。

■どこの家が「発信源」が分からない

投書箱に入れられる要望は後を断ちません。「夜、洗濯機の騒音がうるさくて不眠になった」と、投書がありました。

投書のあった居室へ管理人が現地調査をしに行きましたが、原因となる洗濯機がどこの居室に置かれているものかわからないとのこと。音の発信源は隣家とは限りません。問題の居室を挟んでいる上下階の洗濯機が怪しいと睨むも、どうやらそこではないようなのです。

振動は予期しない方向にも伝わるため、上下左右の居室が原因ではないと判明した時点で、上下左右のさらに上下左右、斜めの居室など、いたずらに調査範囲を拡大することはやめました。

■1000円以下でお手軽な騒音対策

こうした苦情の解決策はまず、全戸に夜間はなるべく洗濯機を稼働しないよう注意喚起することです。その上で管理組合は、洗濯機騒音の根本原因解決グッズを推奨することになりました。住民の注意だけでは防げないケースもあるので、物理的な解決法も提案します。

洗濯機の足部分に敷くだけで騒音問題が解決できる「洗濯機用防振ゴムマット」なる商品の存在を知って、私も自宅の洗濯機の下に早速敷きました。値段は当時の価格で1000円未満というお手軽さ。

管理組合の推奨どおり全戸でこのゴムマットを導入してもらえたら、洗濯機の騒音問題は解消できるでしょう。同じような問題でお困りの管理組合理事の方は、ぜひ導入をオススメします。

■アラーム音も隣の家に聞こえてしまう

タワマンといえば建物の高さがある分、地上の喧騒から離れ、静けさの中で暮らせるイメージを持たれがちです。しかし実際は、高層階になるほど風の音や外部の騒音が強く響くだけでなく、音は下から上に伝わりやすい性質を持つため、地上の音がより聞こえやすくなります。さらに構造上の性質でタワマン内部の音が聞こえやすいという問題もあるのです。

タワマンは見ての通りの高層建築。建物全体の重量を軽減するために軽量な建材が使用されています。とくに、隣戸との壁には石膏ボードを使用した「乾式壁」が多く採用されています。この乾式壁は、コンクリートの湿式壁に比べると軽量化できるメリットがある反面、遮音性が低いというデメリットもあります。

そのため隣戸や上下階からの生活音(足音、家具の移動音、掃除機の音など)も壁や床を通じて伝わりやすいのです。管理組合に寄せられる苦情の中には「早朝から目覚ましのアラーム音がうるさい」というものもあるくらいです。住民がなかなか起きず、スヌーズ機能を何度も繰り返し起動させていたら、たしかにイラッとするかもしれません。

スマホのアラーム
写真=iStock.com/EKIN KIZILKAYA
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/EKIN KIZILKAYA

■お互いに気遣い合うことが重要

また、タワマンでは建物の軽量化や配管の利便性向上のため、「ボイドスラブ」や「二重床」などの工法が多く用いられます。あまり聞き馴染みのない用語ですが、これらの工法は建物の軽量化や配管・配線の利便性を高めるために空洞部分があるのです。そこが音を反響させやすく、遮音性に影響を及ぼすことがあります。

これらの要因が重なり、タワーマンションでは周囲からの音が聞こえやすいのです。住民ができる騒音対策は、防音カーテンやカーペットの導入が有効例として挙げられます。

マナーとして互いのことを思いやり、できうる対策を取りながら暮らしていきたいものですね。目覚ましの音には十分気をつけ、近隣の迷惑にならないようシャキッと瞬時に起きましょう。

■粗大ゴミの無断放置に頭を悩ます

ゴミのトラブルといえば、どこのマンションでも必ず出てくる身近な問題であり、また難題でもあるのです。とくにゴミのいい加減な分別が最も根深い問題で、その場合、行政がゴミの回収を拒否することもあります。そうなるとマンションのゴミ置き場に放置されたままとなり、住民の間でトラブルになることもしばしば。

我がマンションでもゴミの分別について何度も繰り返し告知を行い、その成果で徐々に問題が改善してきましたが、大型かつ有料の粗大ゴミに関しては依然として頭の痛い問題が残っています。

粗大ゴミとは、通常のゴミに比べて大きなサイズのもので、家庭用の一般ゴミとして扱えない物品を指します。具体的には、家具(ソファ、ベッド、テーブル)、電化製品(冷蔵庫、洗濯機、テレビ)、自転車などが含まれます。

各自治体によって基準は異なりますが、一定のサイズや重量を超えるものを粗大ゴミとして扱うのが一般的です。粗大ゴミは他のゴミよりも処分に手間がかかるため無断放置されやすいのかもしれません。

ソファや電化製品などの粗大ゴミ
写真=iStock.com/zepp1969
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/zepp1969

■たしかに事前にやるべきことが多いが…

粗大ゴミを出すにはまず、回収を希望する粗大ゴミのリストを確認し、電話やインターネットを使って自治体の回収センターに回収の予約を取ります。予約が完了したら、コンビニエンスストアや指定された販売店で粗大ゴミの回収手数料を支払い、そのときに発行される手数料シールを粗大ゴミにしっかりと貼ります。

そこまで準備した上で、指定された日時と場所へ粗大ゴミを運び出すのです。手数料シールが貼られていない場合や、予約がされていない粗大ゴミは回収されないので注意が必要となります。

こうした一連のステップを踏まず、マンションのルールを守らずに粗大ゴミを出す住民が残念ながら後を断ちません。意図的に深夜や早朝にこっそり粗大ゴミを放置するケースもあります。

防犯カメラの設置が進んでいるマンションでは、そのような行為を行った住民は大抵特定され、しかるべき措置が取られることになるのです。

■警告シールを貼るだけではなかなか効かない

ルール違反をした住民に制裁を加えるのは因果応報としても、ゴミ問題の根本的な解決にはなりません。マンション内でのゴミ問題を解決するためには、住民全員がルールを理解し、守ることが不可欠です。

ルール違反者とのイタチごっこを繰り返していても進歩がないので、住民へ粗大ゴミに関する正しい知識を広め、適切な方法で処理することが、快適な居住環境を維持するために重要となります。

とはいうものの、粗大ゴミは現在も出し続けられています。粗大ゴミとして出すよう、放置されたゴミに警告シールを貼り人目に付く場所に置いておきますが、イタチごっこは続きます……。

■マンションがゴミまみれになってもいいのか

ゴミの問題は粗大ゴミだけに留まりません。可燃ゴミの日に不燃ゴミを出す輩、可燃ゴミの中にビンや缶を混ぜて出す輩、ペットボトルに飲料が残ったままの状態で出す輩……。魑魅魍魎のごとく、マンションのゴミ置き場にはあらゆる種類のルール違反者が現れるのです。

この他にも、土や石膏ボード、タイヤ、パソコンなど、「逆に、どうして可燃ゴミに捨てても大丈夫だと思った?」と理解に苦しむようなゴミも。

竹内信勝『タワマン理事長 ある電通マンの記録』(ワニブックス)
竹中信勝『タワマン理事長 ある電通マンの記録』(ワニブックス)

我がタワマンでは、ゴミ収集日のたびに管理人がゴミのチェックをして、ルール違反を発見した場合は注意のシールを貼って対応しています。シールが貼られたゴミは一度持ち帰り、正しく分別して出し直さなければなりません。

ただ、管理人もすべてのゴミをチェックできるわけではなく、チェックをスルーしてしまったルール違反のゴミは、自治体から回収を拒否される可能性があります。それが続けば、そのマンションのすべてのゴミ回収を拒否される可能性も十分に考えられるのです。

現実に起きたらあまりにも恐ろしい事態ではないでしょうか。マンション中のゴミが回収されずに荒れ果てる未来を迎えないためにも、住民みんなでルールを守らなければなりません。

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竹中 信勝(たけなか・のぶかつ)
プロデューサー・作家
1961年10月生まれ。広告会社・電通に新卒入社。TVメディア、地方自治体、電力、住宅、自動車、流通、通信、金融等多数の業種を担当、新規顧客開拓で140社以上の実績。2020年12月末、35年勤務した電通を早期退職。人生100年時代における個人の多様な価値発揮を支援する仕組み=『ライフシフトプラットフォーム(LSP)』のスターティングメンバーとして活躍中。2022年3月、社会構想大学院大学実務家教員養成課程修了。タワーマンションを購入し、長い間管理組合の活動はスルーしてきたが、ある日管理組合の役員に抽選で決まり、しかも理事長を拝命する。全くの素人が悪戦苦闘しながら問題を解決していく。自分がいろんな人に聞きまわって集めたたくさんの情報や経験をブログ「タワマン理事長」として情報発信もする。幻冬舎WEBマガジン「THE GOLDONLINE」において「タワマン理事長」を連載。

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(プロデューサー・作家 竹中 信勝)

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