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夜中にグズる子どもが朝までスヤスヤ…2児の脳科学者ママが指南する「7つの熟睡テクニック」

プレジデントオンライン / 2025年1月25日 17時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Milatas

子どもがよく眠るために、親はどうすればいいか。2人の子どもを育てる脳科学者キム・ボギョンさんは「子どもの眠りは親の眠りと似てしまうため、まずは親が眠りを暮らしの最優先にして、よい睡眠環境をつくることが大切だ」という――。

※本稿は、キム・ボギョン著、簗田順子訳『0~5歳 賢い脳のつくりかた スタンフォード大学博士でシリコンバレーで2児を育てたママの脳科学育児コンサルティング』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

■「推奨される睡眠時間」と「適度な睡眠時間」

十分な眠りは子どもにとって最優先です。眠りは子どもの脳が今現在の機能を最適にするためにも、今後の成長のためにも必要なものです。では、どれだけ寝れば十分なのでしょうか?

いちばん多く使われるのは、アメリカの国立睡眠財団のガイドラインです。多様な分野の専門家が眠りについて研究を行い、人にとって最適な睡眠時間を分析した結果です。

ここでは推奨される睡眠時間と適度な睡眠時間を分けて提案しています。推奨される睡眠時間は、大部分の専門家が適切だと考える時間で、適度な睡眠時間は、この程度寝れば心配しなくてもいいだろうと思われる時間だと理解してください。ガイドラインの睡眠時間は、昼寝と夜の睡眠を合わせた総睡眠時間です。

年齢別推奨睡眠時間と適度な睡眠時間
出典=『0~5歳 賢い脳のつくりかた』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

■まず平均睡眠時間をチェック

子どもがどれだけ寝ているのか、まずは3〜5日程度、睡眠時間を記録してみましょう。子どもが眠った時間と起きた時間、お昼寝の時間を全部書き出して、平均睡眠時間を計算するだけでいいのです。睡眠時間が安定しない子どもは、少し長く観察して平均を出しましょう。

専門家が推奨する睡眠時間はありますが、十分な睡眠時間には個人差があります。他の子より睡眠時間が少ない子もいれば、たくさん寝る子もいます。夜はあまり寝ないでお昼寝をたくさんする子もいれば、お昼寝は早々に卒業して夜はたくさん寝る子もいます。

■日中、ウトウトしている子は要注意

子どもの睡眠時間を把握したら、十分に休息できているのかもチェックしましょう。よく寝て起きた子は朝から元気いっぱいに一日が始まりますし、昼間も活発に活動して、寝ている時間と起きている時間の区分がはっきりしています。

もし子どもが長い時間寝ていても、朝なかなか起きられなかったり、お昼寝の時間ではないのにウトウトしたり、寝る時間まで活動するのをおっくうがったりしていたら、睡眠時間が推奨時間の範囲内でもきちんと休めていないのかもしれません。

子どもがたくさん寝ているように見えても、睡眠の質が落ちていないか確認しましょう。

■発達中の脳には「お日さまと一緒」がいい

子どもがよく眠るためには、眠る瞬間だけ頑張るのではなく、概日リズムの助けを借りましょう。朝起きてから夜寝るまで、子どもの体が自然に目覚めて眠りにつける環境を整えてあげるのです。

ほとんどの睡眠専門家は大人が夜更かしをして朝寝坊しても、睡眠時間が規則的で質が良ければ健康だと判断しています。しかし私は子どもの場合、早寝早起きの習慣を身につけるのがいいと思っています。発達中の子どもの脳には、お日さまとともに起き暗くなったら眠る、健康的な睡眠パターンが役に立つからです。

また、子どもが起きている時間帯は子どもの活動にも影響を及ぼします。朝の7時に起きた子どもは朝から夕方までいつでも外に出て、日差しをたっぷり浴びながら遊び回ることができますが、午前10時に起きて夜中の12時に寝る子は4、5時間を暗闇の中で活動することになります。

外に出て走り回ったり、友だちと一緒に遊んだりする機会に差が出てしまうのです。ですから24時間の単位で考えることが重要なのです。

子どもにどんな生活環境を提供することが望ましいのか、時間帯別に考えてみましょう。

《7つのテクニック》
①朝、余裕を持って起きる
②午前中に日差しを浴びる
③お昼寝や休む時間をとる
④夕方、眠くなる環境をつくる
⑤夜、1人になれる時間をつくる
⑥規則的なリズムをできるだけ守る
⑦自分自身の睡眠リズムを見直す

■カーテンを開け、「おはよう」と挨拶を

①朝、余裕を持って起きる

子どもが何時に起きればいいのか正確に決めるのは難しいです。家庭によって事情は違うと思います。子どもが朝活動を始めるまでに十分余裕がある時間に起きるようにしましょう。

もしも子どもが夜更かしして朝寝坊することが習慣になっているなら、早く起こすことから始めてみましょう。一気に時間を早めるよりも、30分ずつ早めながら徐々に子どもの体を適応させるのがいいでしょう。

朝イコール光です。明るい光で朝を教えてあげましょう。カーテンを開けて日差しを入れ、曇りの日には明かりをつけて脳に朝が来たことを知らせるのです。声や音にも光と同じ効果があります。優しく起こす声、家族の話し声、リビングの音楽や台所で朝食の支度をする音などで、一日が始まったことを知らせてあげてください。

朝、カーテンを開ける手
写真=iStock.com/xijian
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/xijian

そして、子どもが目を覚ましたら目を合わせて挨拶をしましょう。ギュッと抱きしめたり頭をなでたりしながら、親子のコミュニケーションが始まる時間であることを教えてください。朝ごはんで一日を始める力をつくってあげましょう。

■朝のお散歩は親の眠りも良くしてくれる

②午前中に日差しを浴びる

午前中に日差しを浴びると体温が上がって脳がすっきり目覚めます。まだ学校に通っていない子どもなら、朝のお散歩や午前中の時間を利用したおでかけもおすすめです。

学校に通っている子どもなら学校まで歩いて行かせるといいでしょう。学校が近すぎる場合は登校前に10分よけいに歩かせましょう。早く登校してグラウンドで遊べたらもっといいですね! 

子どもと一緒にお散歩しながら日差しを浴びれば、ご両親の眠りにも役立ちますよ。日差しはメラトニンの分泌に影響を及ぼします。日差しを浴びている間はメラトニンの分泌が減り、暗くなるとメラトニンが分泌されて眠くなるのです。昼間は子どもと一緒に屋外で過ごすことを意識しましょう。

■お昼寝のしすぎは夜の眠りに悪影響

③お昼寝や休む時間をとる

まだお昼寝をしている子にとって、お昼寝は一日が終わって夜眠るための睡眠補充の時間です。夜までの日課を無事に終えるために休む時間だと考え、夜の眠りによくない影響を及ぼすほど寝てしまわないように注意しましょう。お昼寝は体と脳に休息を与えて一日の行動の効率を高め、学習や記憶にも役立ちます。

子どもがお昼寝しない日があったり、そろそろお昼寝は卒業かな、と思ったりしたら、眠らなくてもいいので休息を取る時間を持つようにしましょう。

お昼寝には決められた推奨時間がありません。また、お昼寝の卒業は一般的に1〜2歳頃と言われますが、3〜4歳頃に卒業する子もいますし、5歳になってもお昼寝が必要な子もいます。子どもの睡眠パターンと家庭の生活パターンに合わせてお昼寝の時間を調整しましょう。

■「寝る前のスマホ」は快眠の大敵

④夕方、眠くなる環境をつくる

夕食以後は一日を終える過程にいると考えましょう。お腹いっぱい食べることが眠りを助けてくれます。お腹が空いていると眠くならないので、朝まで食べなくても寝ていられるくらい満腹にならなければなりません。夕食を終えて眠り始めるまでの間隔が空きすぎると空腹で眠れないこともあるので、一度時間をチェックしてみましょう。

夕食後は照明を少し落として夜になったことを教えてあげます。騒々しい音楽やテレビの音をなくして、落ち着いた雰囲気をつくりましょう。

まだはっきりと結論が出たわけではありませんが、ブルーライトが睡眠に及ぼす影響について警告する専門家も多くいます。デジタル機器のディスプレイから出るブルーライトは、体が夜を認識することを妨害し、眠りにくくするというのです。

ハーバード大学医学部の研究によると、寝る前にタブレット端末で電子書籍を読んだ場合、紙の本を読んだときよりメラトニンの分泌が遅れて、眠くなる時間も遅くなるそうです。

布団の中でスマートフォンを見る子ども
写真=iStock.com/fzant
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/fzant

他の研究では、ブルーライトをカットしても、デジタル機器を使用するだけで眠くなる時間が遅くなることが発見されています。ですから子どもが寝る前にはデジタルメディアの利用を控え、デジタル機器のディスプレイから出る光、特にブルーライトの影響で子どもが眠れなくなるのを避けるようにしましょう。ご両親も同じですよ!

■本の読み聞かせや子守歌はいいことだが…

⑤夜、1人になれる時間をつくる

寝る時間が近づくと体温が下がり始めます。熱いシャワーを浴びた直後より時間が経って体が冷めてきてからのほうが眠くなります。室内の温度も昼間より少し涼しいほうが熟睡には役立ちます。

睡眠の専門家とともに健康的な睡眠に関する専門知識を伝達するアメリカの非営利団体、スリープファウンデーションによると、熟睡に適した室内温度は約18.3度、新生児にはもう少し高い20.5度が適当だそうです。

子どもが寝る部屋は暗くして、子どもの脳に夜が来たことを知らせましょう。子どもの部屋は遮光カーテンより普通のカーテンがおすすめです。朝、自然に明るさを感じられるからです。窓のそばに明るい外灯などがあるなら、遮光カーテンを使うのもいいですね。

ベッドで本を読んだり、子守歌を歌ってあげたりしながら、子どもがリラックスして一日を終え、親の愛を感じながら眠れるのは本当にいいことです。ただし、子どもが寝るまでパパが背中をなでてあげたり、子どもが目を覚ますたびにママのパジャマの裾をつかんだりする習慣は、結果的に子どもの熟睡を邪魔する可能性が高いです。寝るために他の人を頼っているからです。

短期間で子どもの習慣を変えるのは難しいでしょう。子どもに「夜は自分で寝る時間」であることを徐々に教えていきましょう。最初のうちは、すぐに寝付けなくても、すぐに目を覚ましてもかまいません。親を捜してまた眠らなきゃと思うより、少しだけ1人でいればすぐに眠くなると思えれば、子どもの心も楽になるはずです。やがて、1人で寝ようとすれば、すぐに眠りにつくことができるようになります。

■「休日だから夜更かし」はお勧めしない

⑥規則的なリズムをできるだけ守る

24時間の身体リズムをつくるためには、規則的な生活を通して、いつが朝でいつが夜なのか、いつ一緒に遊んでいつ1人で寝るのかを学習しなければなりません。

こうしてつくった一日の日課を、できるだけ規則的に維持しましょう。可能であれば、週末も平日と同じ時間に起きて、お昼寝の時間も同じタイミングにしてみましょう。

特別なイベントがあったり、体調が悪くて日課どおりにいかなかったりしても、心配する必要はありません。病気が治るように、乱れた日課もいくらでも修復できるのです。

■まずは親が「よい睡眠環境」を整える

⑦自分自身の睡眠リズムを見直す
キム・ボギョン著、簗田順子訳『0~5歳 賢い脳のつくりかた スタンフォード大学博士でシリコンバレーで2児を育てたママの脳科学育児コンサルティング』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
キム・ボギョン著、簗田順子訳『0~5歳 賢い脳のつくりかた スタンフォード大学博士でシリコンバレーで2児を育てたママの脳科学育児コンサルティング』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

子どもの眠りと同じくらい、親の睡眠も重要です。子どもの眠りは親の眠りと似てしまうからです。親が眠りについてネガティブな表現をしたり、眠りを邪魔する行動をしたりすると、子どもはそれを見て真似してしまいます。

子どもが朝起きて活動を始めるためには、一緒に元気いっぱいに目覚めさせてくれる親が必要で、子どもが夜にスマホを見ないようにするためには、デジタルメディアの利用を管理する親が必要です。子どもはまだ学習段階。親がまず眠りを暮らしの最優先にして、よい睡眠環境をつくってください。

「昼に散歩をする」「いつも同じ時間に布団に入る」「夜遅くにスマホを見ない」。眠りに関するアドバイスは単純でどれも聞いたことのあるものばかりですが、実践するのは簡単ではありません。でも、この小さな行動が集まって脳がよい睡眠を学び、発達できるということを覚えておきましょう。

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キム・ボギョン 脳科学者
高麗大学心理学科修了後、アメリカのスタンフォード大学で意思決定神経科学を専攻し、心理学博士の学位を受けた。人の脳がどのように意思決定を下すかが主な研究テーマ。自身が開発・運営するサービス「スタジオビー脳開発研究所」では、両親に脳科学と心理学をベースとした子育てコンテンツを提供。健康でバランスのとれた脳発達のための子供たちの行動と環境改善をコンサルティングしている。現在は、米国カリフォルニアのシリコンバレーで2人の子供を育て、多様な企業、スタートアップ、学校などとともに自己統制および意思決定能力を発達させる行動ブログラムを研究開発している。

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(脳科学者 キム・ボギョン)

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