副業で「ウーバーイーツ配達員」は悪手すぎる…紙とペンだけで「50代からの稼ぎ方」が山ほど見つかるワーク
プレジデントオンライン / 2025年1月30日 15時15分
※本稿は、藤井孝一『50代がうまくいく人の戦略書』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
■時間と体力を切り売りしない。できる人の「副業」戦略
私が『週末起業』を書いた2000年代前半は、副業という概念はあったものの、実践する人はまだ多くいませんでした。
「週末起業をしたいけど、会社の就業規則で副業が禁止されている」
「やりたくても会社にバレるのが怖くて、どうしても一歩を踏み出せない」
当時はそんな話をさんざん聞きました。
しかし、今は国も副業を推奨する時代です。厚生労働省が定めた「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、企業の対応の基本的な考え方として「原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当である。」とうたっています。
2018年に改訂されたモデル就業規則でも、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定を削除し、「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」という条項を盛り込んでいます。
ただ、安易に副業のムーブメントに乗り、コンビニや飲食店の店員、ビル清掃などの時給払いのアルバイトをはじめたり、ウーバーイーツ配達員などに代表されるギグワーク(企業との雇用契約を結ばない、単発・短時間の働き方)に取り組んだりするのは反対です。
アルバイトやギグワークをすれば、収入の足しにはなります。月数万円でも稼いで再雇用の収入減や年金生活の不安に備えたいという気持ちはわかります。
だからといって、50代で体力勝負の仕事をするのは無謀です。アルバイトで疲れ果て、本業の仕事に支障が出たら本末転倒です。体力のある若者でさえ、ギグワークで疲弊しているという話を聞くくらいなのです。
■副業は「目的」ではなく「手段」である
私は、アルバイトやギグワークを否定しているわけではありません。アルバイトやギグワークで経験を積み、自分が本当にやりたいことにつなげるのだったら、やってみる価値はあります。
たとえば、ウーバーイーツの配達員をした経験を生かして、飲食店のコンサルティングをするというならわかります。
私自身、会社員時代に、コンサルタントとして独立するための準備、手段として、コンサルティング会社でアルバイトをしていたことがあります。
具体的に何をしていたかというと、たとえばマーケティングの調査です。スーパーで冷凍食品数を数えたり、カウンターを片手に朝から晩まで通行量調査を行なったりすることもありました。一日あたりの報酬は5000円程度。当時はお金を得ることよりも、コンサルタントに必要な知識と経験を身につけることに必死でした。
コンサルタントになるための知識、情報を得るための書籍代を稼ぐために書評を書き、報酬を得ていたこともあります。その頃は、Amazonが日本に進出したばかりで、認知度が低く、今のようにレビューが集まりませんでした。
そこでAmazonは書評を一本数千円で買い取ってくれました。私はAmazonでコンサルタントになるために必要な本を買い、書評を書き、そのお金で新しい本を購入していました。
やがて書評の報酬はどんどん下がっていき、ご存じのように今では誰もが無料でレビューを書くようになっています。
私が書評を書いていたのは、勉強のためであり、文章力をつけるためです。当時の経験は、その後の執筆活動に大いに生かされました。
もし、お金を稼ぐことだけを目的にひたすら書評を書くことに没頭していたら、無理がたたって体を壊していたに違いありません。
繰り返しますが、体力勝負の副業は命取りです。やるにしても期限を決めて、経験とスキルを身につけるということを目的にするべきだと思います。
■50代以上の人の経験を活かせる「スキルシェアサービス」
会社にいながら副業で仕事をするなら、経験やスキルを効率的にお金にすることを考える必要があります。
世の中には副業したい人と、副業人材を活用したいと考える企業などの組織をマッチングするスキルシェアサービスがたくさん誕生しています。
たとえば、「ビザスク」というプラットフォームがあります。これは一時間からスポットでのコンサルティングを提供するサービス。企業がコンサルタントを雇うと相当なコストがかかりますが、ピンポイントで依頼すれば非常に便利です。
ビザスクにはさまざまな分野のエキスパートが登録しています。50代以上の人も経験を生かしてさまざまな案件を受注しています。
「コンサルの仕事はちょっとハードルが高い」という人にも、いろいろな選択肢が用意されています。
有名なものでいえば、ランサーズやクラウドワークスなどのクラウドソーシングサービスが挙げられます。いずれも国内最大級のプラットフォームであり、デザインやライティング、ウェブ制作、アプリ開発などの案件が常に受発注されています。
専門性があれば優良案件を受注することも可能です。ただし、データ入力など低単価の単純作業も多く、結局は体力勝負になってしまうので注意してください。
■地方に目を向けると、自分を買ってくれることも
地方活性化に貢献したいという人には、地方に特化した副業のサイトもあります。たとえば「Skill Shift」や「イマクリエ」といったプラットフォームには、地方企業や地方自治体の副業案件が多数紹介されています。
地方は人手不足に悩んでおり、特に専門人材の募集に苦慮しています。東京でバリバリ働いている人の力をスポットでも借りたいと考えているわけです。しかも、現在はリモートワークで都市部にいながら地方の仕事ができる環境も整っています。
たとえば、地域の名産品を商品化したいと考える自治体が、マーケティングや商品開発ができる人材を求めていたりします。検索すれば、故郷の自治体の案件を見つけることも可能でしょう。
私の知り合いの一人も、出身地の自治体でコンサルティングを行ない、今は町おこし専門の商品開発コンサルタントとして活躍しています。
住み慣れた場所では、自分にたいした価値がないと思っても、地方に目を向けるなど、場所を変えることで自分を買ってくれるところが見つかることもあります。
副業のきっかけが見つからないという人は、まずはこういったプラットフォームに登録してみることをおすすめします。
■起業でも会社員でも「本当にやりたいこと」を再点検する
私が週末起業の勉強会などで、参加者に「何をしようと考えていますか?」と聞くと、「決まっていません」「特にやりたいことがないんです」などと答える人が結構います。
じつは、起業をはじめない人が挙げるはじめない理由の第一位が「起業のネタがない」という問題です。
当然ですが、やりたいことがないと、ずっと会社に残るしかなくなります。
50歳からの10年間は、やりたいことを再点検する時間です。起業するにせよ、会社に残るにせよ、です。
週末起業を目指す人たちに向け、私は「三つの輪」を書いて説明することがよくあります。三つの輪は、「好きなこと」「できること」「時流に沿っていること(お客さんがいること)」を表します。
この三つを満たすものが起業のネタとなり得ます。
特に若い人には、好きなことをやりましょう、とお話ししています。趣味や特技などをビジネスにできたら楽しい人生です。
ただ、50代くらいの人には「好きなことはいったん忘れてください」とお伝えしています。50代にもなれば、すでにできることはいっぱい持っています。しかも、できること=好きなことといえます。
できること+時流に沿っていることで勝負するのが50歳からの戦略です。
■「稼ぐ方法」などいくらでも見つかる
これまでの人生の中で、あなたはいろいろな経験をしているはずです。その経験をまずは書き出してみてください。
その中で、
「面白かった仕事」
「得意としてきた仕事」
を見つけ出し、それを仕事にすることを考えていきます。
何十年も仕事をしていれば、「あの仕事、楽しかったな」と思い出す仕事があるものです。
それを組織に属しながらやるのではなく、組織から出て個人でやるにはどうすればいいかを考えます。
新しいことを見つけるのは大変ですが、これならけっして難しくありません。私が見ている中でも、本業と同じ分野で起業した人のほうが成功確率が高く、しかも長続きしています。
ところで、「やりたいことがありません」という人の話をよくよく聞くと、「やりたいことはあるけど、それはお金にならないものなので、仕事にはできないんです」と答えるケースも少なくありません。自分で勝手に判断して、仕事にはならないと思い込んでいるのです。
でも、今の時代はネットを介してお客さんを見つけることが容易になっています。「お金にする方法」はいくらでも探せます。
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経営コンサルタント
中小企業診断士。1966年、千葉県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、大手金融機関を経て99年に独立。著書に『週末起業』(ちくま新書)など。
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(経営コンサルタント 藤井 孝一)
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