実は巷にごろごろいる年収1000万円稼ぐ50代フリーランスがやっている「スモールビジネスの種類」
プレジデントオンライン / 2025年1月31日 15時15分
※本稿は、藤井孝一『50代がうまくいく人の戦略書』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
■50代から起業するならなぜ、フリーランスか
世の中には50代から起業している人がたくさんいます。もちろん、あなたにも起業のチャンスは十二分にあります。ただし、50代以降の起業は「個人で、お金をかけない」というのが基本です。
法人を設立して、人を雇用し、上場を目指すような起業を50代からはじめることは簡単ではありません。50代は学習能力も若い頃に比べて落ちていますし、柔軟性も体力も低下する一方です。若者とガチンコで勝負しても勝ち目はありません。
また、会社員として部下を使うのと、経営者として従業員を雇用するのとでは、まるで話が違います。経験したことがない人がいきなりはじめても、失敗する可能性が大です。
私は34歳で独立しましたが、その時点ですでに出遅れているのを感じました。独立した頃、いろいろな起業家に出会い、「この世界では、いろいろな人が活躍しているんだな」と感じたのを思い出します。
学歴もなく、大企業出身でもない人が、とんでもなく優秀で、20代から会社を大きくしてバリバリ稼いでいたのです。
■フランチャイズや飲食店開業は悪手
会社を経営するのが難しいからといって、安易にフランチャイズに走るのは反対です。フランチャイズのメリットは、起業ネタを考えずに済むところにあります。できあがったスキームに乗り、組織に属さず働けるので、手っ取り早い独立の手段ではあります。
けれども、フランチャイズの多くは体力勝負です。本部に従って動くという意味では、会社員と大同小異です。
やりたいことがフランチャイズで実現できるなら別ですが、起業ネタが思いつかないという理由だけでフランチャイズに安易に手を出すことは避けるべきだと思います。
そして、個人で飲食店などを開業するのも、できるだけ避けたほうがいいと思います。
ビジネスサイトなどでは、早期退職をして居酒屋などをはじめて失敗する人の記事が定期的にアップされています。
失敗の記事が読まれるからこそ、記者も意図的に取り上げているのでしょうが、実際に飲食店で失敗する中高年はあとを絶ちません。
飲食店はフランチャイズ同様、最初は体力勝負の商売です。しかも、開業するには莫大なお金がかかります。
50代で借金をして失敗したら、もう取り返しはつきません。運よく軌道に乗ったとしても、体を壊してしまったら一巻の終わりです。
私が選んだのは自分の経験を生かしてコンサルティングなどを行なう個人事業です。50代からの起業としておすすめしたいのも、こういう起業です。
具体的にはコンサルタントやアドバイザー、コーチや講師などの専門家として活動するのが最もスムーズです。会社員生活で培った経験や知識をもとに、執筆や講演を行なったり、困っている個人の相談に乗ったりするところからはじめてみましょう。
専門家の仕事であれば、1000万円プレーヤーを目指すのも不可能ではありません。実際に、それだけの額を稼ぐ50代のフリーランスはごろごろいます。
■自分の強みを再点検する
自分が持っている強みを認識してください。
50代は社会人経験が豊富です。あなたは専門性や各種のスキル、コミュニケーション能力などをすでに備えています。気づいていないかもしれませんが、組織で長年にわたって仕事を続けるのはかなりすごいことなのです。
また、若い人と比べて時間をかけてつくった人脈を持っています。
さらに、信用や貫禄もすばらしい価値です。
じつは、若手の起業家は見た目の貫禄で苦労しています。私も若いときには切実に貫禄がほしいと思っていました。
同世代のコンサルタントには、わざわざ髪を白く染めたり、ひげを伸ばしたり、メガネをかけたりする人がいたくらいです。
大事なのは、こういった強みを最大限に生かすことです。
専門性や実績を生かせば、売り込みが不要となります。50代からの起業で成功している人は、ほぼ例外なく売り込みをしていません。
起業というと、熱心に営業活動をして顧客を獲得しなければいけないと考える人が多いのですが、大きな間違いです。むしろ、売り込みで顧客獲得を試みるのは逆効果といえます。
売り込みをすると、相手はあなたのことを専門家ではなく「営業マン」とみなします。いきなり売り込んできた営業マンから商品やサービスを買いたいと思う人はいません。
人は「買ってください」と懇願されればされるほど「買いたくない」と思う生き物なのです。
特に中高年がガツガツ売り込みをすると悲壮感が出てきます。足元を見られて、安い仕事を請け負うことにもなりかねません。
若者ならがむしゃらに安い仕事をこなして実績や信用を築くことにも意味がありますが、50代からは無理は禁物です。
自分ができる範囲で、注文を受けた仕事を中心に堅実にこなしていくのがベストです。
起業を考える人は、こういう働き方を目指すべきだと思います。
■儲かる仕事よりいい仕事を追求する
個人で起業をするなら、お金よりもやりがいや楽しさを重視することが大切です。儲かる仕事は若い人に任せておけばいいのです。
では、なぜそれほど儲けなくていいのか。
それは、人生の後半生は前半ほどお金がかからないからです。とりあえず、65歳以降は年金がもらえます。いざとなれば年金に頼り、足りない分を働いて稼げば生きていけます。
少し前に「老後資金4000万円不足」というニュースが話題となりました。2019年に「老後資金2000万円不足」が大きく取りざたされましたが、最近の物価高をもとに専門家が計算したところ、不足額は4000万円になる可能性が出てきたというのです。
大前提として、4000万円不足がただちに当てはまると考えるのは早計です。生活スタイルによって家計の支出は異なりますし、物価上昇が予想通りになるのかという問題もあります。
そういった問題はいったん置いておいて、純粋に4000万円が不足するとしましょう。このとき65歳以上の夫婦は30年間、毎月11万円程度が不足する計算となります。
いずれ働けなくなるときがくるにしても、ある程度の預貯金を保有する家庭も多いはず。それを考えると、夫婦で毎月11万円を稼いでいくのは、困難な目標ではありません。
私の周りにも、一人で月10〜20万円を稼ぐ人はいくらでもいます。
■起業するなら、ブルーオーシャン一択
やりがいを犠牲にしてまで儲けなくていいもう一つの理由は、大変だからです。
儲かる仕事は、顧客がたくさんいる仕事です。顧客がたくさんいるところでは、みんなが稼ごうとするので競争が激しくなります。50代が、「レッドオーシャン」で若者に混じって勝ち抜こうとするのは困難です。
ましてや、これまでの本業とはまったく異なる分野で起業したりすると、ハンデ戦を強いられます。
前述したように、安易に飲食店に手を出すなどは危険な行為です。レッドオーシャンの上、本業で取り組む人が死にものぐるいでしのぎを削っているのですから。
起業するなら、ブルーオーシャンです。そこで欲をかかずにコツコツ稼ぐのがベストです。
40代までの私は「この仕事を受けたら、フィーが高い仕事はこなくなる。足元を見られたら困る」などと考え、安価なオファーを断っていました。
これは若い頃には必要な戦略でした。でも、今は金額にかかわらず「いい仕事」だと思えば、迷わずオファーを受けています。お金よりも人を育てたり、社会に貢献したりしたいという思いが強くなっているのです。
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経営コンサルタント
中小企業診断士。1966年、千葉県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、大手金融機関を経て99年に独立。著書に『週末起業』(ちくま新書)など。
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(経営コンサルタント 藤井 孝一)
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